111 / 223
第二章 ‐ 迫害と対立と交流と絆
111話 シャドウアサシンのリリィ
しおりを挟む
「ほんとなの? え? わぁ~嬉しいです……それに、私の名前を憶えていてくれた!?」珍しくリリィがニコッと笑った笑顔が可愛い。いつもは不愛想で感情を表に出さず無表情なんだけど、そのギャップが可愛い。
「そりゃ~ね、アサシンとしてのセンスが良いし。良く話をしてくれるしね」ニコニコしながら言った。
「……それって、シャドウアサシンとして失格だと思います。そう……話をしている時点で失格ですよ」落ち込んだ表情になってしまった。
「いやいや。俺は、闇の王なんだろ? 全員の場所の特定くらい出来るってばっ! リリィは優秀だって」落ち込むリリィの頭を撫でて言った。すると、にっこりと笑い嬉しそうにしていた。
そういえば……明日の護衛を任せたんだけど、俺の専属だって言っちゃったしなぁ。別の者を探さないとか?他の者も優秀だから大丈夫か。
翌日は、森の奥深くの探索に出かけた。気分転換と久しぶりの剣の練習も兼ねて。森の奥に一人で進むと、薄暗い木々の間に潜むオオカミの魔物が、鋭い目でこちらを睨みつけていた。この森に棲むオオカミの魔物の体は通常のオオカミよりもはるかに大きく、筋肉質な体躯が恐ろしい力を示している。毛皮は黒く光り、まるで闇そのものが形を成したかのようだ。
突然、オオカミの魔物が低く唸り声を上げ、鋭い牙をむき出しにして飛びかかってきた。反射的に帯剣をしていた剣を構え、攻撃を受け止める。金属と牙がぶつかり合う音が響き、火花が散る。オオカミの魔物の力は凄まじく、押し返すのに結構な力を要する。
一瞬の隙をついて、魔物の側面に回り込み、剣を振り下ろす。しかし、オオカミの魔物は素早く反応し、鋭い爪で攻撃を防ぐ。爪が空を切り裂き、風を巻き起こす。再び距離を取り、次の攻撃の機会を伺う。
オオカミの魔物は再び飛びかかり、今度はその巨体を使って押し倒そうとする。地面に叩きつけられそうになるが、素早く身を翻して回避する。
その時、影から声が聞こえてきた。「加勢が必要ならば……わたしが」わぁ……剣の練習を隠れてしてるのにぃ……見られてたの?恥ずかしいじゃん……。最近魔法ばっかり使っていたからなぁ。
「大丈夫……練習だからさぁ……他のヤツには内緒だからねっ! リリィ」ムスッした表情をして自分の影に向かって話した。
「……は、はい……わかりました。控えています」少し落ち込んだ声で返事を返してきた。
再びオオカミの攻撃を回避し跳躍し、地面に着地した瞬間、魔物の背後に回り込み、全力で剣を突き立てる。剣が肉を貫き、魔物の咆哮が森中に響き渡る。
しかし、オオカミの魔物はまだ倒れない。傷口から黒い血が流れ出し、その目には怒りと憎しみが宿っている。再び立ち上がり、最後の力を振り絞って襲いかかってくる。こちらも全力で迎え撃ち、剣を振り下ろす。
最後の一撃が決まり、オオカミの魔物はついに力尽きて倒れ込む。息を切らしながらも、勝利の実感が胸に広がる。森の静寂が戻り、戦いの終わりを告げた。
「リリィ、どうだった?なぁ~見てたんでしょ?」と、その場に座り自分の影に話しかけた。
「……オミゴトデシタ。」うわ、絶対にお世辞だよね……だって、棒読みで言ってるし。はぁ……スキルも魔法もなしだと……こんなものか。
「リリィは、分かりやすくて良いね。もっと修行をして頑張るかぁ……」その場に寝転がり、空を見上げて呟いた。
「……むぅ……お見事と言いましたけど……」不満そうな声が影から聞こえてきた。棒読みで言ってるのに? 素直に喜べないってば。
「あぁ……うん。すぐに倒せるようにならないとかなーと思ってさ」
「主様は、魔法が得意じゃないですか……」と、俺の耳元の影から顔を出して言ってきた。それ、怖いんですけど……リリィさん。……まるで、おばけじゃん……
ゾッとしたので、リリィから距離を取ろうと移動するとついてくる……「リリィ、ついてこないでよぉ……こわいてばぁ」
「え? わ、そんなぁ……わたし、こわいですか?」ショックを受けた表情をして影に潜った。
「だ、だって……影から顔だけ出してるって……おばけみたいじゃんっ」涙目になり、自分の影に言った。
「ううぅ……どうすれば……?」動揺した声が影から返ってきた。
「リリィが怖いってことじゃなくて……顔だけ出すと怖いってことだから! リリィは、可愛いくて好きだよ?」怖いと言われて落ち込んでいるリリィに言い訳をした。
「……え? ……えっと……その、あ、ありがと、ございます。はぅ……えっと……気をつけます……」さらに動揺をした声で返事が返ってきたが、うれしそう? いや、恥ずかしそうだった。
恥ずかしがっているリリィも可愛いだろうなぁ……いつも隠れてるからなぁ……。ニイィー♪
「あっ! リリィ……」と、名前を呼ぶと慌てたリリィが姿を現した。
「主様っっ!?」姿を表したリリィを抱きしめた。「捕まえたぁ~♪ うん。これで怖くない」ニコッと微笑んだ。
「きゃ、わ、わぁぁ……つ、捕まっちゃいましたっ……。むぅ……。……は、はうぅ……」捕まって慌てていたリリィが、だんだんと顔を赤くさせて大人しくなった。
「可愛いリリィの顔も見たし帰ろうかぁ~」と、リリィのぷにぷにの頬を触って言った。
「むぅ……。わたしで、遊ばないでください……」逃げるように顔を赤くさせて影に戻っていった。「もう、だまされませんから……」と、影から聞こえてきた。
「そりゃ~ね、アサシンとしてのセンスが良いし。良く話をしてくれるしね」ニコニコしながら言った。
「……それって、シャドウアサシンとして失格だと思います。そう……話をしている時点で失格ですよ」落ち込んだ表情になってしまった。
「いやいや。俺は、闇の王なんだろ? 全員の場所の特定くらい出来るってばっ! リリィは優秀だって」落ち込むリリィの頭を撫でて言った。すると、にっこりと笑い嬉しそうにしていた。
そういえば……明日の護衛を任せたんだけど、俺の専属だって言っちゃったしなぁ。別の者を探さないとか?他の者も優秀だから大丈夫か。
翌日は、森の奥深くの探索に出かけた。気分転換と久しぶりの剣の練習も兼ねて。森の奥に一人で進むと、薄暗い木々の間に潜むオオカミの魔物が、鋭い目でこちらを睨みつけていた。この森に棲むオオカミの魔物の体は通常のオオカミよりもはるかに大きく、筋肉質な体躯が恐ろしい力を示している。毛皮は黒く光り、まるで闇そのものが形を成したかのようだ。
突然、オオカミの魔物が低く唸り声を上げ、鋭い牙をむき出しにして飛びかかってきた。反射的に帯剣をしていた剣を構え、攻撃を受け止める。金属と牙がぶつかり合う音が響き、火花が散る。オオカミの魔物の力は凄まじく、押し返すのに結構な力を要する。
一瞬の隙をついて、魔物の側面に回り込み、剣を振り下ろす。しかし、オオカミの魔物は素早く反応し、鋭い爪で攻撃を防ぐ。爪が空を切り裂き、風を巻き起こす。再び距離を取り、次の攻撃の機会を伺う。
オオカミの魔物は再び飛びかかり、今度はその巨体を使って押し倒そうとする。地面に叩きつけられそうになるが、素早く身を翻して回避する。
その時、影から声が聞こえてきた。「加勢が必要ならば……わたしが」わぁ……剣の練習を隠れてしてるのにぃ……見られてたの?恥ずかしいじゃん……。最近魔法ばっかり使っていたからなぁ。
「大丈夫……練習だからさぁ……他のヤツには内緒だからねっ! リリィ」ムスッした表情をして自分の影に向かって話した。
「……は、はい……わかりました。控えています」少し落ち込んだ声で返事を返してきた。
再びオオカミの攻撃を回避し跳躍し、地面に着地した瞬間、魔物の背後に回り込み、全力で剣を突き立てる。剣が肉を貫き、魔物の咆哮が森中に響き渡る。
しかし、オオカミの魔物はまだ倒れない。傷口から黒い血が流れ出し、その目には怒りと憎しみが宿っている。再び立ち上がり、最後の力を振り絞って襲いかかってくる。こちらも全力で迎え撃ち、剣を振り下ろす。
最後の一撃が決まり、オオカミの魔物はついに力尽きて倒れ込む。息を切らしながらも、勝利の実感が胸に広がる。森の静寂が戻り、戦いの終わりを告げた。
「リリィ、どうだった?なぁ~見てたんでしょ?」と、その場に座り自分の影に話しかけた。
「……オミゴトデシタ。」うわ、絶対にお世辞だよね……だって、棒読みで言ってるし。はぁ……スキルも魔法もなしだと……こんなものか。
「リリィは、分かりやすくて良いね。もっと修行をして頑張るかぁ……」その場に寝転がり、空を見上げて呟いた。
「……むぅ……お見事と言いましたけど……」不満そうな声が影から聞こえてきた。棒読みで言ってるのに? 素直に喜べないってば。
「あぁ……うん。すぐに倒せるようにならないとかなーと思ってさ」
「主様は、魔法が得意じゃないですか……」と、俺の耳元の影から顔を出して言ってきた。それ、怖いんですけど……リリィさん。……まるで、おばけじゃん……
ゾッとしたので、リリィから距離を取ろうと移動するとついてくる……「リリィ、ついてこないでよぉ……こわいてばぁ」
「え? わ、そんなぁ……わたし、こわいですか?」ショックを受けた表情をして影に潜った。
「だ、だって……影から顔だけ出してるって……おばけみたいじゃんっ」涙目になり、自分の影に言った。
「ううぅ……どうすれば……?」動揺した声が影から返ってきた。
「リリィが怖いってことじゃなくて……顔だけ出すと怖いってことだから! リリィは、可愛いくて好きだよ?」怖いと言われて落ち込んでいるリリィに言い訳をした。
「……え? ……えっと……その、あ、ありがと、ございます。はぅ……えっと……気をつけます……」さらに動揺をした声で返事が返ってきたが、うれしそう? いや、恥ずかしそうだった。
恥ずかしがっているリリィも可愛いだろうなぁ……いつも隠れてるからなぁ……。ニイィー♪
「あっ! リリィ……」と、名前を呼ぶと慌てたリリィが姿を現した。
「主様っっ!?」姿を表したリリィを抱きしめた。「捕まえたぁ~♪ うん。これで怖くない」ニコッと微笑んだ。
「きゃ、わ、わぁぁ……つ、捕まっちゃいましたっ……。むぅ……。……は、はうぅ……」捕まって慌てていたリリィが、だんだんと顔を赤くさせて大人しくなった。
「可愛いリリィの顔も見たし帰ろうかぁ~」と、リリィのぷにぷにの頬を触って言った。
「むぅ……。わたしで、遊ばないでください……」逃げるように顔を赤くさせて影に戻っていった。「もう、だまされませんから……」と、影から聞こえてきた。
27
あなたにおすすめの小説
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
1つだけ何でも望んで良いと言われたので、即答で答えました
竹桜
ファンタジー
誰にでもある憧れを抱いていた男は最後にただ見捨てられないというだけで人助けをした。
その結果、男は神らしき存在に何でも1つだけ望んでから異世界に転生することになったのだ。
男は即答で答え、異世界で竜騎兵となる。
自らの憧れを叶える為に。
小さな貴族は色々最強!?
谷 優
ファンタジー
神様の手違いによって、別の世界の人間として生まれた清水 尊。
本来存在しない世界の異物を排除しようと見えざる者の手が働き、不運にも9歳という若さで息を引き取った。
神様はお詫びとして、記憶を持ったままの転生、そして加護を授けることを約束した。
その結果、異世界の貴族、侯爵家ウィリアム・ヴェスターとして生まれ変ることに。
転生先は優しい両親と、ちょっぴり愛の強い兄のいるとっても幸せな家庭であった。
魔法属性検査の日、ウィリアムは自分の属性に驚愕して__。
ウィリアムは、もふもふな友達と共に神様から貰った加護で皆を癒していく。
封印されていたおじさん、500年後の世界で無双する
鶴井こう
ファンタジー
「魔王を押さえつけている今のうちに、俺ごとやれ!」と自ら犠牲になり、自分ごと魔王を封印した英雄ゼノン・ウェンライト。
突然目が覚めたと思ったら五百年後の世界だった。
しかもそこには弱体化して少女になっていた魔王もいた。
魔王を監視しつつ、とりあえず生活の金を稼ごうと、冒険者協会の門を叩くゼノン。
英雄ゼノンこと冒険者トントンは、おじさんだと馬鹿にされても気にせず、時代が変わってもその強さで無双し伝説を次々と作っていく。
異世界で至った男は帰還したがファンタジーに巻き込まれていく
竹桜
ファンタジー
神社のお参り帰りに異世界召喚に巻き込まれた主人公。
巻き込まれただけなのに、狂った姿を見たい為に何も無い真っ白な空間で閉じ込められる。
千年間も。
それなのに主人公は鍛錬をする。
1つのことだけを。
やがて、真っ白な空間から異世界に戻るが、その時に至っていたのだ。
これは異世界で至った男が帰還した現実世界でファンタジーに巻き込まれていく物語だ。
そして、主人公は至った力を存分に振るう。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる