転生したら王族だった

みみっく

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第三章 ‐ 戦争の影

140話 きっかけ_8

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 俺がジロジロと見ていると「うぅぅ~~~ばかぁ……やっぱり男だと思ってたんだなっ、その反応……。おれなんか、かわいくねーけど、これでも一応……女の子なんだぞっ! あんま、ジロジロと見んなよー! 恥ずかしーだろー!」顔を真っ赤にしたリオンが目を逸らして恥ずかしそうに言ってきた。

 リオンが女の子だと分かると、急に恥ずかしくなり目を逸らすと、リオンがニヤリと笑い「えっ? んふ……っ♪ なーにー?」と、いたずらっ子のような表情をして聞いてきた。

「お兄ちゃんって言っても否定しなかったし、どっちがウソつきなんだよぉ……」ムスッとした顔をして、顔をそらしたまま呟くように答え、チラッと気になる胸を見てしまう。

「それは、隠してたから仕方ないだろぉー。女の子ってバレると行動しづらいし、危険だしなー! 秘密で頼む! な?」もちろん、余計なことを言うつもりはない。が、リオンのニヤニヤした顔が腹立たしい。

 視線をリオンに戻すと、まだ回復魔法を掛けていないので胸を隠すことも出来ずに恥ずかしそうにしていた。

「……ちゃんと、傷を見せてくれないとな……」と少し意地悪を言ってみた。ニヤニヤしたお返しだしー♪

「はぁ!? ば、ばかぁ……見せれるわけないだろー! おれ、胸はちっちゃいし……自信ねーんだよぉ。どうせ見て笑うだけだろ?」顔を真っ赤にしたリオンが慌てた様子で言ってきた。

「だれが、胸を見せてって言った~?」俺もニヤニヤして言い返した。これでチャラだな~♪

「わ、分かった……ほら……これで良いのか?」リオンが恥ずかしそうに目をそらし、服を捲り傷を見せてきた。確かに少し小さめだが、女の子の胸の膨らみがあるなぁ……。もちろん傷の箇所が見える程度に捲っているので、胸全体は見せていない……それが、逆にエロいんですけど。

 顔は健康的な小麦色に日に焼けていて、露出していない体は色白の肌がキレイで……女の子の体だった。女の子のリオンが自分から服を捲って見せている状況が……ドキドキするんですけどー!

「傷は……深くなくて良かったなぁ。これなら、すぐに治るよ」深い腕の傷もすぐに治せたのに、意味の分からないことを言ってしまった。動揺してる……のね、俺。

「そ、そっかー! 良かった。なー、お礼に昼飯を作ってやるよ! でも……現地調達な! どっちが獲物を捕まえられるか勝負だっ!」急に動き出して、言ったので腕をかざしていた手に、直接胸に触れてしまった。

「わっ! ……さ、触んなよー。たくぅ……どさくさに紛れて……えっちぃー! 男は、これだから危険なんだよなー。小さくて可愛い顔をしてても……危険なやつだなー」顔を逸らして文句を言ってきたが、服は捲られたままだった。

「はぁ……? 勝手に動くからでしょー。俺は、動いてないしぃー」勝手に動いて触っちゃっただけだし……柔らかくて、温かかったなぁ……

「……もう、いいだろ……? 痛みも消えたし……ありがとな!」かざした手を下ろすと、リオンも恥ずかしそうに捲っていた服を下ろした。

 服の替えもなさそうだし……裂かれた服じゃ町にも入れないんじゃ? 女の子だと隠したいんだよね……

「とりあえず……これ着て、裂かれた服より良いでしょ」アシュテリアの普段着として買っておいた服を渡した。当然、少し女の子っぽいけど……胸が見えちゃうより良いでしょ。

「そ、そうだな。見えちゃうよりマシかー。でも……少し女の子っぽすぎないかー? うぅ……これじゃ、バレバレになっちゃうな。」リオンは服を広げながら恥ずかしそうに言った。その仕草がどことなく可愛らしくて、思わず微笑んでしまう。

「じゃ、俺は……後ろを向いてるから。」俺はリオンの気持ちを汲んで、後ろを向き着替え終わるのを待つことにした。

「み、見んなよなー!?」リオンが慌てて言いながら着替えを始めた。その声には少し焦りが混じっていて、なんとも微笑ましい。

「終わったー?」と軽く声をかけると、即座に返ってきた。「ば、ばかぁ……そんな早く着替えれねーよー! 脱いだばっかりだしっ。」慌てているリオンの声が、どことなく女の子っぽくて、思わずクスッと笑ってしまう。

「冗談、冗談♪」俺は軽く返してみせた。

「冗談に聞こえねーって……えっちぃぃぃー!」リオンが少し拗ねたように言い返してきた。その反応に、だんだんと素のリオンが見えてきたような気がして、なんだか嬉しくなった。

「よしっ、終わったー!」リオンが元気な声で言ってきたので振り返ると……完全に可愛い女の子じゃん! その姿に一瞬驚きつつも、自然と微笑みがこぼれる。

「ちょっと、動かないでね。」俺はリオンに近づき、髪の毛にそっと触れて髪飾りを付けてみた。

「わ、わわぁっ。なに? なにしたの……?」リオンは慌てて触られた髪の毛に手を伸ばし、髪飾りの存在に気付いたようだ。

「え……なにこれ? 髪飾り? く、くれるの?」リオンの反応は素直で、表情も口調も完全に女の子そのものだ。

「うん。似合うからあげるよ。」俺は笑顔で答えた。
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