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35 洞窟でコウモリ捕獲

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崖の上で朝を迎え、早速コウモリ捕獲に向かう。

身体強化3を発動して裸になって、崖から5メートル下に張り出した松の木に向かって、尻をかざした。

「蜘蛛の糸!」

しゅるるる。松の木に巻き付けた。

「人も船もいない。よし」

慎重に崖を降り、松の木に着地。大丈夫だと分かっていても怖いから、ゆっくり松から降りて、尻から出てる蜘蛛の糸でぶら下がった。

岩壁に体の前面で張り付き、尻からの糸をゆっくり伸ばしながらカサカサと下降。

本当は糸を利用して3秒くらいで降りられるんだろうけど、一気に落ちるのは怖い。10分くらいかけて洞窟の入口に到達した。

「ま、崖上から洞窟まで10分でもすごいと思うけどね」

洞窟の入口に立つと、一番奥は見えない。
高さ4メートルくらいで筒状になっている。

入口には何もいない。
ちっと怖いけど、いざとなれば隠れられる。

カプセルホテルに昨日MPを支払ったし、あと15時間分くらいは手続きなしで飛び込める。

ギリギリ見える悪い足場の上を200メートルくらい奥に進むと、天井に何か密集して張り付いている。それに臭い。

「ぎぃぎぃ」

「うわ、あれが全部コウモリか」

ギルド情報では、コウモリとコウモリ型魔物は外見では分からないけどそうだ。

獣の豚と魔獣のオークみたいに明らかに違うやつもいれば、猪みたいに区別がつきにくいのもいる。

コウモリは、外見で分からない方の典型だそうだ。

「けど、見分け方も習ったんだよね。ホタルノピカリ」

ピカーッ。お尻が丸く膨らんでいる。

「ギイギイ」
「ギイギイギイギイ!」

いきなり光を浴びて、逃げ惑うコウモリ軍団の中で、大口を開けて襲ってくるやつがいる。

「本気スライム酸」

魔方陣が構築された口が伸びて、とにかく酸を撒きまくった。

「ギイイ!」
「ギッ」

「落ちてバタバタしてるのもいるけど、30匹くらい捕獲だね、ん?」

ホタルノピカリで照らされたコウモリは、全部が同種ではない感じだ。

「おおっ。これは期待できそうだね」

捕まえたコウモリは32匹で、4匹は巻き添えを食った普通のコウモリだった。

今、ホタルノピカリを消し、カプセルホテルに入って28個のコウモリ魔獣の魔石を持っている。

「いっただきま~す」

乱食いしたから、色んな魔方陣が浮かんだ。で、得たスキルに「魔力ソナー」があり、ガッツポーズ。

念願の探知系スキルが手に入った。

プラス「破壊音波」「吸血」「夜目」と使えそうなスキル。

洞窟中に再び出て、魔力ソナーを発動した。

「おお、見えないのに洞窟の形が目に浮かぶ。反対を向いても、コウモリがいるのが分かる」

「ソナー」ではなく、「魔力ソナー」。入り組んだ石や岩の反対側の形まで、私に伝えてくれる。

洞窟の出口を探知すると、海面近くを魚が泳いでいるのが分かった。

有効範囲は距離にして300メートルか。

「海に出て、何か探そうかな。その前に洞窟の奥がどのくらいあるのか探知」

ソナーを使うと、奥行きはさらに200メートルもあった。

「いるのはコウモリばかり。おおっ、下には自然死したコウモリ魔獣の魔石だ」

けど、今いる場所の足ともの感じからすると、コウモリの糞まみれかな・・

口に入れたくない。

肝腎のソナーが手に入ったから、洞窟を出ることにした。

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