《幸運》値が限界突破した俺(たち)の挑む異世界サバイバルデスゲーム

天海 愁榎

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一章 異世界へようこそ

第三幕 パーティ結成!

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 ▲▼▲▼▲▼

「まずは班を分けよう」
 そう言い出したのは、クラス委員長の神鳴だ。
 彼は、一クラスで集まって動くよりはいくつかの班を作って、ばらばらに行動させようと提案したのだ。

「……こういうのは、グループを分けても良いのか?」
 そう呼ばれて、神──オネイロスが返事をする。

「別に、問題ないよー。元々、名のある勇者とかはパーティに所属している人の方が多いし」
「その、パーティっていうのは、人数制限はあるのか?」
「まあ、普通は四人とか五人じゃない?」
「……なるほど」
「質問はそれだけ? それじゃ、僕はそろそろ行くよ」
「ああ。問題ない。わざわざすまなかったな」

 そして、再び辺りが静まりだす。
「……皆!」

 すると突然、神鳴が俺たちに向かって語りだした。
 たなびく金色の髪が揺れる。赤い瞳が見開く。

「これが勝負である以上、どんなに馬鹿げていても全力で勝ちに行こうと思う。そのためには皆の力が必要だ。皆、今こそクラス全員が協力してこのゲームに勝つんだ!」
「「おぉー!」」

 神鳴の掛け声に、クラスの奴らが声を合わせて賛同する。

「いやー、やっぱ神鳴がいれば心強いな!」
「まあ、これがカリスマ性の塊だよな! さすが、うちが誇る神鳴昌裏だな!」
「やめろよ、茶化してるつもりか?」

 そう言い合いながら、何人かが神鳴を取り囲み、なごやかな雰囲気を作り出していた。

「それじゃあ、班決めといこう。なるべく皆の意見を尊重したいから、まずは各自、気の合う人と『五人』組んでくれ」

 なんだか、学校行事の決め方みたいになってる。
 ちなみに、うちのクラスの人数は41人だから、8×5か5×8の班ができる訳だ。
 ん? それじゃあ一人余るって?
 安心してくれよ。その余る人物は……、

「あれー? どうしよう、一人余っちゃった」

 …………俺だから。
 さすがに、こいつらと四ヶ月も一緒にいれば、もうこんなの慣れっこだ。
 いつもはどこかの班に入れてもらうのだが……、

「やだよ、私あいつと一緒になりたくない」
「なに我儘わがまま言ってんだよ。お前が入れろよ」
「ならあんたの所にすれば良いじゃない! なんで私なの!?」

 まあ、こいつらを仕切るのが神鳴だけじゃ、このクラスはまとめられないよな。
 当事者である俺をほったらかしにして、勝手に話を進めるクラスメイト達。
 いや、あのさ。別に喧嘩するのは勝手だけど、これ、俺が一番傷つくからやめて。

「なら、もう一度決め直せば良いじゃない。今度は、くじ引きか何かで」
「はあ!? 仲良くもない奴と同じグループになったら、どこかで衝突するだろ!」

 もうしとるわ。
 だが、それは名案だな。
 既に喧嘩してるこいつらに、これ以上の決め方はない。
 くじ引きをしてもしなくても変わらないが、どうか…………やっぱダメだ。事態が落ち着く気がしない。

「……おい神鳴」
「……なに?」
 俺に呼ばれ、なぜか不機嫌そうな顔でこちらを振り向く。
「もういい。俺はひとりで大丈夫だ。だから早くゲームに参加するぞ」

 こうするしか無いよな。
 何をしてもいざこざが起こるなら、その原因である俺をどうにかすれば良いんだ。
 まあ、俺はこいつらよりはいくらかこの手の知識はあるし(《智能》は低いが)、ひとりでもやっていける自信はある。
 なら、いち早くここから抜け出して街に繰り出したいのだが……、

「…………なにを言ってるんだ?」

 しかし神鳴は、俺をここから逃がすつもりは無いようだ。
「君がこの問題の元なんだ。だったらその元凶・・がなんとかするのが筋だろう? 自分だけ逃げようとするな」
「い、今はそういうこと言ってる場合じゃ無いんだよ。こうしてる間にも他のクラスは勝つために準備を進めてる。だったら、俺たちも出遅れないようにいますぐ……」
「 ふざけるな 」
「…………!」

 しかしそんな俺の意見など、神鳴に届くはずもなく。

「他のチームが始めてるから、僕達も早く行こうだって? でないと勝てないからだと? そういう問題じゃあ無いだろ!」
「そういう問題だろ! これで街に着いた時には食糧も何も無かったら、それこそ問題だ!」

 分かってくれよ神鳴! てめえ、なんのためのクラス委員長だ……、

「そんな君のエゴで、皆の絆を壊すのか!」


「…………は?」


「食糧不足や力不足なんてどうだっていい! 僕は、このままクラスが団結しないで終わる方がよっぽど嫌なんだ! 君に分かるか、僕の気持ちが! 分かるわけが無いだろう!」
「…………」
「……皆はどうだ。こんなばらばらな状態で、下手したら死ぬんだぞ? こんなので終わって良いのか?」
「う……」
「そ、それは嫌だけどさ」
「だろう? だったら今こそ協力すべきだ! 喧嘩なんてしてないで、もう一回、きちんと話し合って決めよう!」
「そ、そうだよな。もう一回、もう一回だ」
「分かったわよ……」

 あんなに取り乱していた状態から、少し立て直したようだ。

「で? 君はどうなんだ? 鍠磨貫太くん」
「…………」

 そうかよ。

「……分かった」

 だったら、俺は必要ないな。
「おい鍠磨、お前どこいくんだ?」
「……どうやら、俺なんかここには必要ないらしい」
「あ? 何言ってんだお前?」
「つまり━━」
 こういう事だ。

「……皆さん、俺はこのチームから、別れて行動します」

「なっ……」
「なんだって?」
「…………ふん」
「だろ? 神鳴。そっちはそっちで平和的に仲良く滅びてけよ・・・・・
「お前、どういう意味だ!」
 鮫蛇が俺の胸ぐらを勢いよく掴む。
 どうやら、俺の胸部には男を惹き付ける魅力があるらしい()。

「……言った通りだ。どうせ、俺がいても足を引っ張るだけだろうし」
「ふぅん? 理解してるんだ?」

 悪い笑みを浮かべ、神鳴が俺の前に顔を覗かせる。

「確かに、君がいると皆の足を引っ張るだろうね。そんな足枷あしかせには消えてもらった方がいいだろう」
「……はぁ? ナニ言っちゃってんの?」
「……何だと?」
「誰が自分で足を引っ張りますっつったよ。足枷はテメェ・・・だよ。神鳴昌裏」
「…………っ!」
 とうとう我慢の限界を迎えた神鳴が、怒りに任せ俺の頬を殴る。

「……ぐっ」
 いつつ……。
 どうして俺の周りの人間はこうも短気な奴らばかりなんだよ……。

「いいだろう」
「は? えと、何が……?」
 俺の問いに、冷めきった目で神鳴は告げた。
「鍠磨貫太」

「……ただちに僕達の前から、消えろ・・・

「はいはい。分かりましたよ」
 そう言って、およそ仲間とは言い難いクラスメイトたちに背を向け。
「じゃーなお前ら。全滅したら顔見せくらいしてやるよ」
 独りで、歩き出した。

「……なんなんだあいつ」
「さあな。知るかよ。あいつの考えることなんて」
 やがて、クラスの全員がその件を耳にした頃。

「ははははは! ざまあねえな鍠磨!」
 一人の男子生徒の笑い声が、静かな平野に響き渡った。



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