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変わらない日々からの変化
4話
しおりを挟む数刻がたち食事の時間になった。
コンコン
「旦那様がお呼びです」
私を呼びにきたのはメイド長だった。
「今、行きます」
返事をして、少し身なりを整えて食堂に向かった。
食堂に着くともうすでにヒステリ様たちは席に着いていた。
「遅れて申し訳ありません」
私がそういうと、ヒステリ様は笑顔で迎えてくれた。
「そんなことはないよ。さぁ、私の隣に座りなさい」
「はい」
嬉しい言葉を聞きヒステリ様が手招きした場所に座った。しかし、私が座ったところは普通は夫人が座る場所で息子である私は向かい側の方に座るのが正解だ。でも、私はそのことを言い出すことができなかった。
「さて、食事を始めよう」
ヒステリ様がそういうと食事が運ばれてきた。その食事は今まで私が見たことも食べたこともないものばかりだった。
「ユリアス、たくさん食べなさい」
「はい、ありがとうございます」
そう言って、私は食事を口にする。この世のものとは思えないほど美味しかった。久しぶりに感じられる嬉しい温かい感情を感じることができた。
「そうだ、みんなに知らせたいことがある」
「なんですか、あなた」
ついに私の願いが叶うのだろうか。
「もうすぐ城で国王陛下が主催のパーティーがあるらしい。ある程度の財産があるもので今の第一王子と年齢に合う息子や娘がいるものに招待状がきた。そして、この家にも」
「え!なら、私が王子様のお嫁さんになれるかもしれないのね!」
嬉しそうにミナリー様が言った。
「ああ、うちは貴族ではないがかわりに有り余るほどのお金と人脈があるからな。貴族になることも不可能ではない」
「まぁ!うちがついに貴族になるんでのね!それに私たちの娘が第一王子の嫁になれば未来は王妃ですわね!」
今度はアリア様が声おあげて嬉しそうだ。
「そうだ、だから今度は気合を入れて準備してくれ、もちろんユリアスの分もお願いするよ」
そうヒステリ様が言った瞬間、気分が舞い上がった二人が暗い顔をした。
「お父様、そいつも連れて行くのですか?留守を任せていればいいではないですか」
「そうです。そんな奴を連れて行って陛下や他の貴族に無礼を働いたらどうするのです?」
反対の意見がミナリー様とアリア様から出る。私にお金をかけたく
ないのだろう。
「そういうな、ユリアスも私の家族として知られているから連れて行かない方が失礼になってしまう」
そうヒステリ様に言われても二人は不満そうだがこの家の主人の意見を否定できない。
「では、ユリアスも連れて行く。開催は三ヶ月後なので急いで準備するように」
「「わかりました」」
お二人も承諾して私の社交デビューが決まった。
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