あなたへ

深崎香菜

文字の大きさ
6 / 35

入院

しおりを挟む
「うーん・・・・」
「どうかしましたか?」
「頭が・・痛い」
「あー!また昨日夜更かししたんじゃないですか?」

彼女は夜更かしをした次の日には必ず頭痛を起こす。
そして熱を出すことが多いのだ。
「昨日は10時には寝てたもん!寝るって言ったでしょぉ?」
「んー、そしたら風邪か何かでしょうかね。保健室、いきますか?」
「ん。おんぶ」
「・・・・行きましょうか」
僕は彼女の手を引いた。
そういえば以前もこんなことがあったよなぁ・・・
そんなことを考えながら僕は彼女を保健室へと連れて行く。
でも今回で3回目だ。こういうのは。


「ひゃ・・・ッ」
彼女は保健室の前でフラついた。
転びそうになったところを僕が受け止めたわけだが、
様子がおかしすぎる・・・
「明日香さん、大丈夫ですか?
 そんなに具合悪かったんですか…」
「何言ってるのよ。いつものことでしょう。からかってんの?!」
「いえ…顔色悪いですし…」
「え、うそ」
彼女は鏡を取り出した。
唇が少し青っぽくなっているのだ。
「ヤダ…本当。亮ちゃん、私少し休んで病院行こうかなぁ?」
「ん。そうしますか?僕も一緒に行きますよ」
「んーん。大丈夫だよ。
 お昼は普通の講義だったよね。亮ちゃんは私の分も聞くこと!」
「・・・はいはい。
 そしたら、気をつけて行って来てくださいね?
 帰ったら必ずメールか電話をすること。わかりましたか?」
「はぁ~い」
彼女はそう返事すると手を振って保健室の中へと入った。
扉越しにフミさんの声が聞こえる。
薄っぺらい扉だもんなぁー・・・・

「明日香ちゃん、頭いたいの?」
「・・・うん。最近ずっと続いててねー」
「お薬飲んでる?」
「ん。最近頭が痛いとき飲んでるよ」
「そう。とりあえず病院行ったらどう?」
「えー。また検査とかされるんじゃないの?たかが頭痛・・・」
「まぁ、まぁ。少し休んだら行ってきなさい。」
「はぁい」
それから彼女が布団へ入ったのか会話が聞こえなくなった。
何を盗み聞きしてるんだ、僕。
僕はそのまま講義がある教室へと向かい、明日香さんのいない暇な午後を過ごした。



夜の7時になっても連絡がなく、心配になってメールをいれておいた。

―病院、行きましたか?
 ただの頭痛だといいのですが、これからひどい風邪や熱に繋がらないといいです。
 早く元気な姿を見せてくださいね―

その後お風呂に入り、テレビを見ていたのだが返事はこなく、
そのままベッドに転がっていた。










ヴヴ・・・ヴヴヴヴヴ・・・


いつの間にか眠っていたのだろう。
手の中で震える携帯のせいで目を覚ました。
―明日香さん―
彼女からメールが入ったみたいだ。
時間は夜中の1時・・・・また夜更かししたな。
メールの内容は信じられない内容だった。

―なんか、入院することになっちゃった(*><;*)
 お昼過ぎに行ったらお母さんたち呼ばれて
 検査入院らしくってぇ(;;)
 たかが頭痛らしいけど一応ってどれだけ心配なのよー!
 てか、こんな変な入院させられると逆に怖いね((苦笑
 てかー!夜中にごめんね><
 病院の中からメールちぅ( ̄ω ̄v)
 もう電源切っちゃうねー!亮ちゃんおやすみ☆
 
 PsvVちなみに病院は○△総合病院の302号室だったり(*U艸U*)
   おやすみなさぁ~ぃ♪Chu(´ε`*)― 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

冷徹公爵の誤解された花嫁

柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。 冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。 一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

お飾り王妃の死後~王の後悔~

ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。 王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。 ウィルベルト王国では周知の事実だった。 しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。 最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。 小説家になろう様にも投稿しています。

君の声を、もう一度

たまごころ
恋愛
東京で働く高瀬悠真は、ある春の日、出張先の海辺の町でかつての恋人・宮川結衣と再会する。 だが結衣は、悠真のことを覚えていなかった。 五年前の事故で過去の記憶を失った彼女と、再び「初めまして」から始まる関係。 忘れられた恋を、もう一度育てていく――そんな男女の再生の物語。 静かでまっすぐな愛が胸を打つ、記憶と時間の恋愛ドラマ。

【完】まさかの婚約破棄はあなたの心の声が聞こえたから

えとう蜜夏
恋愛
伯爵令嬢のマーシャはある日不思議なネックレスを手に入れた。それは相手の心が聞こえるという品で、そんなことを信じるつもりは無かった。それに相手とは家同士の婚約だけどお互いに仲も良く、上手くいっていると思っていたつもりだったのに……。よくある婚約破棄のお話です。 ※他サイトに自立も掲載しております 21.5.25ホットランキング入りありがとうございました( ´ ▽ ` )ノ  Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.  ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)

冷たい王妃の生活

柴田はつみ
恋愛
大国セイラン王国と公爵領ファルネーゼ家の同盟のため、21歳の令嬢リディアは冷徹と噂される若き国王アレクシスと政略結婚する。 三年間、王妃として宮廷に仕えるも、愛されている実感は一度もなかった。 王の傍らには、いつも美貌の女魔導師ミレーネの姿があり、宮廷中では「王の愛妾」と囁かれていた。 孤独と誤解に耐え切れなくなったリディアは、ついに離縁を願い出る。 「わかった」――王は一言だけ告げ、三年の婚姻生活はあっけなく幕を閉じた。 自由の身となったリディアは、旅先で騎士や魔導師と交流し、少しずつ自分の世界を広げていくが、心の奥底で忘れられないのは初恋の相手であるアレクシス。 やがて王都で再会した二人は、宮廷の陰謀と誤解に再び翻弄される。 嫉妬、すれ違い、噂――三年越しの愛は果たして誓いとなるのか。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...