20 / 35
久々の顔
しおりを挟む
「寒いいいい!」
「文句言うなよ!元々はお前のせいだろ?!」
今年は珍しく雪が降った。
毎年少しは降るのだがこんなにも積もったのは久しぶりな気がする。
そして僕らは雪かきをさせられているのだ。
(北海道とかもっと田舎の人からしたら
こんなの大した事ではないだろう。でも、僕らにはキツイ!)
事の始まりは…こいつ。
中尾のせいだ。うん.絶対。
「なあ亮介ッ
次の講義サボッテ雪合戦しね?!」
「はあ?
お前なぁ…小学生じゃねーんだから。
サボッテまでして雪遊びすんなよー」
「いいじゃねーか!
久しぶりに見たよーこんなん!
スキーとかボードの時の雪とは違うからな」
「お一人でお好きにぃ」
僕が笑いながら手を振ると中尾はブツブツ言いながら
他のやつらを誘いに行ったが全敗のようだ。
結局僕に
「馬鹿デッケー雪だるま作ってお前を中に入れてやるからな!」
と、子供じみたことを言い残すと外へ出て行った。
そもそも僕は寒いのが好きではないので
暖かい教室内にいたいわけだ。
中尾は本当に講義を休んで雪だるまを作っているみたいだ。
二時間続きの講義の間の休憩時間。
残りわずか一分というところで奴の携帯がなった。
「…持っていけよな」
そう言いつつ電話のようなので相手を見た。
女とか友達だったら流しすかな、と思ったのだが
『かーさん』と表示されていたので中尾がいる所まで
全速力で往復一分。
少し遅刻だが仕方が無いだろうと思い走った。
「おーい」
中尾はこっちを振り返るととても嬉しそうな顔をした。
次に出てくる言葉が予想されたので先に言ってみる。
「りょ…」
「雪遊びはしないぞ!
ほれ、おばさんから電話だって。
さっき鳴り止んだから掛け直してみな」
僕は携帯を手渡すと教室へ戻ろうと反対を向く。
すると中尾が僕の背中を掴んだ。
「な、何すんだよ!
僕は講義さぼらないよ?」
「ちょ…っとだけ待ってて」
「なんでだよ」
「昨日…俺…家帰ってなくて・・・
あ、やらしい意味じゃないぞ?
男同士で飲んでてさー連絡…忘れてたんよ
で、きっと怒ってるなぁ…早く子離れしてくれー…」
僕は嘆く中尾を振りほどく。
「自業自得」
しかし中尾は諦めない。
そうやって言い合いをしているとそこから数メートル先にある
焼き物などをする釜がある小屋から鬼が…
「おまーら!
静かにせんか!!!
ん…水彩科のガキか。
ほーサボリか」
鬼…と呼ばれる鈴村教授。
もう相当な歳なのだろうがずっとここの教授をしている。
もう40年以上はいると聞いた。
怒ると何をしてくるか…わからないから鬼だ。
「今の講義終わったらワシのとこに来い。
三分以内だ。遅れたら…」
ニヤリと笑った顔に恐怖を感じる。
ぼくらは大きな声で返事した後教室へとダッシュした…。
「ああああああ
あの時雪だるまなんか…」
「僕なんか巻き添えじゃないか」
と、いうわけで
教授はサボリを自分のせいにしてやるからと言い
そのかわり一番雪が積もってしまった釜小屋の周りの雪かきをさせられている。
「こんなに・・降ってたか?!」
「…教授はこのこと未来予知してたんだよ!」
それはありえなさすぎると笑おうとしたのだが
「それはありえないでしょー」
と、違う声が割り込んできた。
振り返るとこの間の女性が立っていた。
「あ、吉田さん」
…だっけな。
「亜由美でいいよ」
吉田さんはそう言ってニッコリと笑った。
「今日教授がぼやいてたのって田村君たちのことだったんだね」
「ぼやいてたんだ」
「んー。まぁ最後にはいい具合に使えるって喜んでたよ」
またニッコリと笑う。
あんまり嬉しくないような…うん。ないな。
「あ、初めまして。
私陶芸科の吉田亜由美です」
中尾を見て挨拶をする。
「あ、中尾です。コイツと一緒の水彩画科の。
中尾拓馬です。よろしくねー」
吉田さんはまたニッコリと笑い握手をした。
この間も思ったけれど落ち着いた人だなあ…。
「手伝ってあげるよ」
そう言って手にスコップを持っているのを見せる。
「私地元が岡山でね、結構降るんよ」
確かになれた手つきだった。
吉田さんのおかげで作業は着々と進み
そんなに時間がかからなかった。
吉田さんはその後、
「教授が見たら怒るだろうしね
私は退散するよ」
「本当にありがとう」
「ありがとねー」
「いえいえ。
もう講義さぼったらだめだよ」
今度は悪戯そうに笑い荷物を持って正門へと向っていった。
「瀬戸さんも大変だよなー…
さ、俺らも帰ろうぜ」
「何が、大変なん…ブヘ」
雪球が顔に命中する・・・・・
「お前・・・・」
その後子供のように雪だまをぶつけ合った。
そして雪が溶けだしていてベチョベチョ道に差し掛かったとき
笑いながら雪合戦は終了した。
「あれ、今日バイトじゃ…」
「へへ。
いやー…鈴木教授につかまりました
全部…中尾のせいですけどね…まったく」
「実は雪が降って喜んで遊んでたら講義サボッタとかはなーい?」
彼女がニヤリと笑う。
「それをしてたのはアイツだけです。
巻き添えです、巻き添え!」
「で、何させられた?」
「雪かき…
釜小屋のまわりすごかったんでねー。
あ、でも吉田さんがきてくれて終わったんですよ。
僕らだけだと未だにしてました」
僕は苦笑いすると
彼女が少し沈んだ顔をした。
「…?」
「あ、ご、ごめんね。
でも来てくれて嬉しい」
「ほら、最近二人の時間が減ったでしょう?
この間…の見られてから瀬戸さんの監視が…」
「亮ちゃんお父さんのことそう呼ぶようになったのなんで?
最初はお父さんって言ってたのに。
お母さんのことはお母さんなのにね。」
「んー…
なんとなく『お父さん』のままだとぶっ飛ばされそう」
苦笑いすると
彼女はおなかを抱えて笑い出す。
そ、そんなに笑うなー!!
「なーるほど。
亮ちゃんのビビリー」
「…それは言い返せないぞ・・・
そ、それよりクリスマスですよもうすぐ!」
僕は話題を必死に変えた。
この話をするときっと彼女が喜んでくれると思ったからだ。
クリスマスは僕らの八ヶ月記念日より少し後なわけだが…
「どうしましょっか。
記念日と一緒にします?」
「…ねえ亮ちゃん。
どうやるの?無理じゃ…ない?」
「え?」
「私、出かけられないと思うの。
最近…副作用がきてるみたい…
そうお医者さんが言ってた。
よくね、頭がぼーっとなってふらふらするんだ。
それを話したら薬の副作用だって。
でもね、前までは大丈夫だったけど一昨日から立ってられないの…」
泣きそうになる彼女の頭を撫でた。
彼女が使っている薬で現れる副作用のうち、
こんなのはまだマシな方だ。
だから少し安心した僕は落ち着いていることが出来た。
「無理なわけないです。
ここですればいいんですよ。
食事制限とかあります?
ないなら僕はケーキを買って、チキンを買って
それでもってプレゼントを買ってここにきます」
「で、でも私、プレゼントも自分で…」
「いりませんよ。
だから泣かないで下さい。
なんとだってできるんです」
そう言って笑って見せると彼女は泣きながらしがみつき
「ありがとう」と言っていた。
感謝されるようなことは決してしていないと思う。
けれど、彼女にとって僕の一言が支えになったという証拠なのだろうか?
「よし、こうとなったら
記念日+クリスマスということで
盛大にしないとなー。
何が食べたいです?」
「え、えっと。
チキンと、ケーキ…ケーキはチーズケーキかな。
でー…あとーカツどん?」
思わず吹き出してしまう。
「どうしてクリスマスにカツどん(笑)」
「あ、変だよねッッ」
「んーこうなったら出前でとっちゃいましょう。
特盛りいっときますか!」
彼女はすごく嬉しそうな顔で喜んでくれた。
僕らは久々に面会時間ギリギリまで話、
以前はあたりまえだった別れのキスをして僕は病室を出る。
「亮ちゃん・・!」
ドア越しにだが彼女の声が聞こえたのでもう一度開ける。
「あ、れ・・なんでもないの・・・」
「どうしたんです?
いまさら遠慮とかなしでお願いしますよー?」
「うん…なんかわかんないけど…今呼んじゃった…?」
ポカンとした顔をする彼女。
僕はそれがおかしくて笑った。
久しぶりに彼女が顔を真っ赤にする。
「も、もう、亮ちゃん嫌いー!!」
そう言って怒る彼女にゆっくりと忍び寄った。
そして膨らましている頬をそっと潰し、
口から空気が飛び出そうとしたのを僕は自分の口の中で受け止めた。
そして彼女から唇を離してその空気を顔にかけてやった。
「な、な、な?!」
「おやすみなさい」
そう言って頭をグシャグシャの撫で、
僕は病室を出た。
久しぶりに見れた彼女の真っ赤な顔と嬉しそうな笑顔に
僕の心は久しぶりに彼女でいっぱいになってくれた。
「文句言うなよ!元々はお前のせいだろ?!」
今年は珍しく雪が降った。
毎年少しは降るのだがこんなにも積もったのは久しぶりな気がする。
そして僕らは雪かきをさせられているのだ。
(北海道とかもっと田舎の人からしたら
こんなの大した事ではないだろう。でも、僕らにはキツイ!)
事の始まりは…こいつ。
中尾のせいだ。うん.絶対。
「なあ亮介ッ
次の講義サボッテ雪合戦しね?!」
「はあ?
お前なぁ…小学生じゃねーんだから。
サボッテまでして雪遊びすんなよー」
「いいじゃねーか!
久しぶりに見たよーこんなん!
スキーとかボードの時の雪とは違うからな」
「お一人でお好きにぃ」
僕が笑いながら手を振ると中尾はブツブツ言いながら
他のやつらを誘いに行ったが全敗のようだ。
結局僕に
「馬鹿デッケー雪だるま作ってお前を中に入れてやるからな!」
と、子供じみたことを言い残すと外へ出て行った。
そもそも僕は寒いのが好きではないので
暖かい教室内にいたいわけだ。
中尾は本当に講義を休んで雪だるまを作っているみたいだ。
二時間続きの講義の間の休憩時間。
残りわずか一分というところで奴の携帯がなった。
「…持っていけよな」
そう言いつつ電話のようなので相手を見た。
女とか友達だったら流しすかな、と思ったのだが
『かーさん』と表示されていたので中尾がいる所まで
全速力で往復一分。
少し遅刻だが仕方が無いだろうと思い走った。
「おーい」
中尾はこっちを振り返るととても嬉しそうな顔をした。
次に出てくる言葉が予想されたので先に言ってみる。
「りょ…」
「雪遊びはしないぞ!
ほれ、おばさんから電話だって。
さっき鳴り止んだから掛け直してみな」
僕は携帯を手渡すと教室へ戻ろうと反対を向く。
すると中尾が僕の背中を掴んだ。
「な、何すんだよ!
僕は講義さぼらないよ?」
「ちょ…っとだけ待ってて」
「なんでだよ」
「昨日…俺…家帰ってなくて・・・
あ、やらしい意味じゃないぞ?
男同士で飲んでてさー連絡…忘れてたんよ
で、きっと怒ってるなぁ…早く子離れしてくれー…」
僕は嘆く中尾を振りほどく。
「自業自得」
しかし中尾は諦めない。
そうやって言い合いをしているとそこから数メートル先にある
焼き物などをする釜がある小屋から鬼が…
「おまーら!
静かにせんか!!!
ん…水彩科のガキか。
ほーサボリか」
鬼…と呼ばれる鈴村教授。
もう相当な歳なのだろうがずっとここの教授をしている。
もう40年以上はいると聞いた。
怒ると何をしてくるか…わからないから鬼だ。
「今の講義終わったらワシのとこに来い。
三分以内だ。遅れたら…」
ニヤリと笑った顔に恐怖を感じる。
ぼくらは大きな声で返事した後教室へとダッシュした…。
「ああああああ
あの時雪だるまなんか…」
「僕なんか巻き添えじゃないか」
と、いうわけで
教授はサボリを自分のせいにしてやるからと言い
そのかわり一番雪が積もってしまった釜小屋の周りの雪かきをさせられている。
「こんなに・・降ってたか?!」
「…教授はこのこと未来予知してたんだよ!」
それはありえなさすぎると笑おうとしたのだが
「それはありえないでしょー」
と、違う声が割り込んできた。
振り返るとこの間の女性が立っていた。
「あ、吉田さん」
…だっけな。
「亜由美でいいよ」
吉田さんはそう言ってニッコリと笑った。
「今日教授がぼやいてたのって田村君たちのことだったんだね」
「ぼやいてたんだ」
「んー。まぁ最後にはいい具合に使えるって喜んでたよ」
またニッコリと笑う。
あんまり嬉しくないような…うん。ないな。
「あ、初めまして。
私陶芸科の吉田亜由美です」
中尾を見て挨拶をする。
「あ、中尾です。コイツと一緒の水彩画科の。
中尾拓馬です。よろしくねー」
吉田さんはまたニッコリと笑い握手をした。
この間も思ったけれど落ち着いた人だなあ…。
「手伝ってあげるよ」
そう言って手にスコップを持っているのを見せる。
「私地元が岡山でね、結構降るんよ」
確かになれた手つきだった。
吉田さんのおかげで作業は着々と進み
そんなに時間がかからなかった。
吉田さんはその後、
「教授が見たら怒るだろうしね
私は退散するよ」
「本当にありがとう」
「ありがとねー」
「いえいえ。
もう講義さぼったらだめだよ」
今度は悪戯そうに笑い荷物を持って正門へと向っていった。
「瀬戸さんも大変だよなー…
さ、俺らも帰ろうぜ」
「何が、大変なん…ブヘ」
雪球が顔に命中する・・・・・
「お前・・・・」
その後子供のように雪だまをぶつけ合った。
そして雪が溶けだしていてベチョベチョ道に差し掛かったとき
笑いながら雪合戦は終了した。
「あれ、今日バイトじゃ…」
「へへ。
いやー…鈴木教授につかまりました
全部…中尾のせいですけどね…まったく」
「実は雪が降って喜んで遊んでたら講義サボッタとかはなーい?」
彼女がニヤリと笑う。
「それをしてたのはアイツだけです。
巻き添えです、巻き添え!」
「で、何させられた?」
「雪かき…
釜小屋のまわりすごかったんでねー。
あ、でも吉田さんがきてくれて終わったんですよ。
僕らだけだと未だにしてました」
僕は苦笑いすると
彼女が少し沈んだ顔をした。
「…?」
「あ、ご、ごめんね。
でも来てくれて嬉しい」
「ほら、最近二人の時間が減ったでしょう?
この間…の見られてから瀬戸さんの監視が…」
「亮ちゃんお父さんのことそう呼ぶようになったのなんで?
最初はお父さんって言ってたのに。
お母さんのことはお母さんなのにね。」
「んー…
なんとなく『お父さん』のままだとぶっ飛ばされそう」
苦笑いすると
彼女はおなかを抱えて笑い出す。
そ、そんなに笑うなー!!
「なーるほど。
亮ちゃんのビビリー」
「…それは言い返せないぞ・・・
そ、それよりクリスマスですよもうすぐ!」
僕は話題を必死に変えた。
この話をするときっと彼女が喜んでくれると思ったからだ。
クリスマスは僕らの八ヶ月記念日より少し後なわけだが…
「どうしましょっか。
記念日と一緒にします?」
「…ねえ亮ちゃん。
どうやるの?無理じゃ…ない?」
「え?」
「私、出かけられないと思うの。
最近…副作用がきてるみたい…
そうお医者さんが言ってた。
よくね、頭がぼーっとなってふらふらするんだ。
それを話したら薬の副作用だって。
でもね、前までは大丈夫だったけど一昨日から立ってられないの…」
泣きそうになる彼女の頭を撫でた。
彼女が使っている薬で現れる副作用のうち、
こんなのはまだマシな方だ。
だから少し安心した僕は落ち着いていることが出来た。
「無理なわけないです。
ここですればいいんですよ。
食事制限とかあります?
ないなら僕はケーキを買って、チキンを買って
それでもってプレゼントを買ってここにきます」
「で、でも私、プレゼントも自分で…」
「いりませんよ。
だから泣かないで下さい。
なんとだってできるんです」
そう言って笑って見せると彼女は泣きながらしがみつき
「ありがとう」と言っていた。
感謝されるようなことは決してしていないと思う。
けれど、彼女にとって僕の一言が支えになったという証拠なのだろうか?
「よし、こうとなったら
記念日+クリスマスということで
盛大にしないとなー。
何が食べたいです?」
「え、えっと。
チキンと、ケーキ…ケーキはチーズケーキかな。
でー…あとーカツどん?」
思わず吹き出してしまう。
「どうしてクリスマスにカツどん(笑)」
「あ、変だよねッッ」
「んーこうなったら出前でとっちゃいましょう。
特盛りいっときますか!」
彼女はすごく嬉しそうな顔で喜んでくれた。
僕らは久々に面会時間ギリギリまで話、
以前はあたりまえだった別れのキスをして僕は病室を出る。
「亮ちゃん・・!」
ドア越しにだが彼女の声が聞こえたのでもう一度開ける。
「あ、れ・・なんでもないの・・・」
「どうしたんです?
いまさら遠慮とかなしでお願いしますよー?」
「うん…なんかわかんないけど…今呼んじゃった…?」
ポカンとした顔をする彼女。
僕はそれがおかしくて笑った。
久しぶりに彼女が顔を真っ赤にする。
「も、もう、亮ちゃん嫌いー!!」
そう言って怒る彼女にゆっくりと忍び寄った。
そして膨らましている頬をそっと潰し、
口から空気が飛び出そうとしたのを僕は自分の口の中で受け止めた。
そして彼女から唇を離してその空気を顔にかけてやった。
「な、な、な?!」
「おやすみなさい」
そう言って頭をグシャグシャの撫で、
僕は病室を出た。
久しぶりに見れた彼女の真っ赤な顔と嬉しそうな笑顔に
僕の心は久しぶりに彼女でいっぱいになってくれた。
0
あなたにおすすめの小説
あなたの片想いを聞いてしまった夜
柴田はつみ
恋愛
「『好きな人がいる』——その一言で、私の世界は音を失った。」
公爵令嬢リリアーヌの初恋は、隣家の若き公爵アレクシスだった。
政務や領地行事で顔を合わせるたび、言葉少なな彼の沈黙さえ、彼女には優しさに聞こえた。——毎日会える。それだけで十分幸せだと信じていた。
しかしある日、回廊の陰で聞いてしまう。
「好きな人がいる。……片想いなんだ」
名前は出ない。だから、リリアーヌの胸は残酷に結論を作る。自分ではないのだ、と。
#秒恋9 初めてのキスは、甘い別れと、確かな希望
ReN
恋愛
春休みが明け、それぞれに、新しい生活に足を踏み入れた悠里と剛士。
学校に向かう悠里の目の前に、1つ年下の幼なじみ アキラが現れる。
小学校時代に引っ越した彼だったが、高校受験をし、近隣の北高校に入学したのだ。
戻ってきたアキラの目的はもちろん、悠里と再会することだった。
悠里とアキラが再会し、仲良く話している
とき、運悪く、剛士と拓真が鉢合わせ。
「俺には関係ない」
緊張感漂う空気の中、剛士の言い放った冷たい言葉。
絶望感に包まれる悠里に対し、拓真は剛士に激怒。
拗れていく友情をよそに、アキラは剛士をライバルと認識し、暴走していく――
悠里から離れていく、剛士の本心は?
アキラから猛烈なアピールを受ける悠里は、何を思う?
いまは、傍にいられない。
でも本当は、気持ちは、変わらない。
いつか――迎えに来てくれる?
約束は、お互いを縛りつけてしまうから、口にはできない。
それでも、好きでいたい。
いつか、を信じて。
マチ恋 ―君に捧げるLove song― 一夜の相手はスーパースター。誰にも言えない秘密の恋。【完結】
remo
恋愛
あなたにとっては遊びでも、私にとっては、…奇跡の夜だった。
地味で平凡で取り柄のない私に起きた一夜のキセキ。
水村ゆい、23歳、シングルマザー。
誰にも言えないけど、愛息子の父親は、
今人気絶頂バンドのボーカルなんです。
初めての恋。奇跡の恋。離れ離れの恋。不倫の恋。一途な恋。最後の恋。
待っている…
人生で、一度だけの恋。
【完結】ありがとうございました‼︎
氷の宰相補佐と押しつけられた厄災の花嫁
瑞原唯子
恋愛
王命により、アイザックはまだ十歳の少女を妻として娶ることになった。
彼女は生後まもなく始末されたはずの『厄災の姫』である。最近になって生存が判明したが、いまさら王家に迎え入れることも始末することもできない——悩んだ末、国王は序列一位のシェフィールド公爵家に押しつけたのだ。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
罪悪と愛情
暦海
恋愛
地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。
だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――
俺と結婚してくれ〜若き御曹司の真実の愛
ラヴ KAZU
恋愛
村藤潤一郎
潤一郎は村藤コーポレーションの社長を就任したばかりの二十五歳。
大学卒業後、海外に留学した。
過去の恋愛にトラウマを抱えていた。
そんな時、気になる女性社員と巡り会う。
八神あやか
村藤コーポレーション社員の四十歳。
過去の恋愛にトラウマを抱えて、男性の言葉を信じられない。
恋人に騙されて借金を払う生活を送っていた。
そんな時、バッグを取られ、怪我をして潤一郎のマンションでお世話になる羽目に......
八神あやかは元恋人に騙されて借金を払う生活を送っていた。そんな矢先あやかの勤める村藤コーポレーション社長村藤潤一郎と巡り会う。ある日あやかはバッグを取られ、怪我をする。あやかを放っておけない潤一郎は自分のマンションへ誘った。あやかは優しい潤一郎に惹かれて行くが、会社が倒産の危機にあり、合併先のお嬢さんと婚約すると知る。潤一郎はあやかへの愛を貫こうとするが、あやかは潤一郎の前から姿を消すのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる