ヒロインよ、ヤンデレに愛されよ

A.M.

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 しんしんと降る雪が温かい。

  ちらちら落ちてくる様子をぼんやり見つめている間、白い息は空に吸い込まれていった。そこではじめて、自分が仰向けに倒れていることに気付いた。

 わたし、何してたんだっけ? 

「…リ……ァ…」 

 誰かが近くで呻いている。リア?なにそれ?

「ァ……リディア…」

 リディア?

「死んだ…はずだろ……おまえぇ…」

 泣き崩れた語尾に、わたしは薄く笑った。わたしと相討ちとなった襲撃者は、そう言い残して死んだようだった。

 あ、 そうだ、リディアって、大国の英雄の名前だよ。美しい金の髪の、輝くエメラルドの宝石眼の、夢のように綺麗な騎士様だ。

「リリアン!リリアン!」

 誰かが遠くで呼んでる。

「ああ、リリアン!」

 ほとんど見えない白い視界が陰った。

 遠くで呼んでいたはずの誰かがいま、わたしの肩を強く揺すっているようだった。だれなの?

「リリアン!死ぬな、起きろ、起きてくれ!」 

 ちょっと、うるさいよ!

「___リリアン!」

 ぱちっ。
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