明智光秀の歴史 『明智光秀の乱:天の逆鱗』

あかいとまと

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第八章 最後の忠臣、最後の反逆

第八章 最後の忠臣、最後の反逆

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 天正十年(1582年)五月。
 信長は、甲州征伐で武田氏を滅ぼし、天下統一に王手をかけた。
 彼は、安土城に凱旋し、六月には京都の本能寺に滞在することを決めた。

 光秀は、このとき、丹波の領地から、信長の元へ呼び出された。
 彼は、中国征伐の援軍として、中国路へ向かうよう命じられた。

 しかし、その命令には、違和感があった。

「なぜ、わざわざ丹波から動かねばならぬ?  秀吉が既に前線にいるではないか」

 さらに、信長は、光秀の領地である丹波と近江の一部を、秀吉に与えると言い出した。
 これは、光秀の権力を削ぐ意図が見え隠れしていた。

 光秀は、家臣たちと密かに語り合った。

「信長公は、もはや天下を治める者ではなく、天下を蹂躙する者となった。比叡山の焼き討ち、将軍・義昭の追放、盟友の裏切り⋯⋯彼は、天の理に背いている」

「では、どうするのですか?」

「⋯⋯天の逆鱗に触れるしかない」

 ――六月一日、光秀は、近江・坂本城を出発。
 二万の兵を率い、京都へ向かった。
 しかし、その行軍路は、中国路ではなく、本能寺へと向かっていた。

 六月二日未明。
 京都・本能寺。
 信長は、わずか百余名の小姓と僧侶たちと滞在していた。
 光秀の軍が、突然、寺を包囲した。

「敵は、おのれの家来なり!」

 信長は、最初、信じられなかった。
 しかし、光秀の声が、夜気に響いた。

「敵は、本能寺にあり!」

 戦いは短かった。
 信長は、火炎の中に自害した。
 その最期の姿は、謎に包まれているが、光秀は、後にこう語ったという。

「彼は、天守の上で、能を舞っていた。まるで、世の終わりを知っていたかのように」


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