千景くんは魔法使い!?

笠原零

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千景くんのほんね

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 それから千景くんは、私と距離を置くようになった。前みたいに話せない日々が続き、学校は冬休みに入ってしまった。

 千景くんはなにをしてるだろう。 会いたい。話したい。声が聞きたい。 千景くんのことを想えば想うほど、好きという気持ちが自分の中で大きくなっていく。 

【ゆづ~、なにしてる?】

 リビングのソファで寝転んでいたら、桃ちゃんからメッセージが届いた。

【なにもしてないよ。ゴロゴロしてる】
【じゃあ、温水プール行かない?】
【え、プール?】
【ほら、隣街に室内型のでっかいレジャー施設できたでしょ。年末で部活も休みだし、運動不足解消のために泳ぎたいんだよね~!】
【いいよ。行こう!】

 温水プールかー。行ったことないし楽しそう!

 桃ちゃんから待ち合わせ場所の連絡が来たところで、大事なことに気づいた。

 プールってことは水着だよね?

 私、学校の授業で使うラッシュガードしか持ってないんだけど……。


 *

 桃ちゃんと駅に集合して、電車でレジャー施設まで向かった。オープンしたばかりで混んでいるのはわかっていたけど、想像以上の人の多さだ。

「わあ、桃ちゃんの水着かわいい!」

 女子更衣室で着替えた桃ちゃんの水着は、上下で分かれている大人っぽいデザインだった。

「ゆづのラッシュガードもスポーティーで私は好きだよ」
「でも、なんか普通だよね」
「言ってくれたら水着貸したのに」
「え、桃ちゃんの水着は桃ちゃんだから似合うんだよ。私はお腹なんて出せないし」
「なに言ってんの、私より細いくせに」
「うぎゃっ」

 桃ちゃんにお腹を叩かれて、思わず変な声が出た。

 温水プールは南国リゾートを思わせるような雰囲気があって、気温は30℃前後に保たれているらしい。プールサイドには木目調のデッキチェアがずらりと並び、足元には滑りにくいラバータイルが敷かれている。

 プールの種類は数えきれないほどあり、スライダーやさざ波。定番の流れるプールの他に、ジャグジーエリアやサウナエリアもあった。

「あ、言い忘れてたけど、今日は他のメンバーもいるからね」
「え、誰?」
「あ、ちょうど来た! おーい、こっちこっち!」

 桃ちゃんが手招きしている先にいたのは、職場体験で一緒だった男子たちだった。

「ちゃんと連れてきてくれた?」 
「連れてきたよ。本当に大変だったから、昼めしおごって」 
「フランクフルト一本ね」

 なにやら桃ちゃんと男子たちが、こそこそ話している。すると、少しだけ遅れてもうひとりの男の子がやって来た。

 え、ち、千景くん!?

「今日は職場体験メンバーで遊ぼうと思ってね。間宮はプールとか嫌いそうだから、男子に頼んで連れてきてもらったんだ」

 桃ちゃんは私たちがぎくしゃくしてることは知っているから、気を利かせてくれたんだろう。

 千景くんと、目が合った。彼も私がいることを聞かされてなかったみたいで、男子に説明を求めている。

 千景くんは私に会いたくなかったかもしれないけど、私は会えて嬉しい……。

「男子たちのことは私はなんとかするから、ゆづは間宮と遊びなよ」
「え、で、でも……」
「今日話さないと、冬休みが明けても気まずいままだよ。それでもいいの?」

 私は首を横に振った。千景くんの気持ちが知りたい。そして、私の気持ちも知ってほしい。

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