元童貞社畜が異世界(転生?転移?)したらインキュバスになっただと?!

暖鬼暖

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魔王の城(サタン城)

あぁ、サタン様

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「つ…ついにきたか」


そして、"サタンのお部屋"にも簡単にたどり着いてしまった。


「異世界での俺の…上司の部屋ってわけか」


ごくりと唾を飲み込み。
魔王(サタン)の部屋は、禍々しいオーラを放っていた。

緊張感が漂う、誰も寄せ付けない恐ろしさが扉越しに伝わってくる。

「簡単に入っちゃって食べられちゃったりしたらどうしよ…」


俺の記憶では魔王に会ったことは無いが、
ステータスの中に
"サタンの部屋へ"があった。

と、いうことはだ。
俺は一度サタンの部屋に行ったことがあり、サタンの部屋でサタンの部屋を直ぐに行けるように登録したということになる。

あくまで、異世界へ来る前の現代でプレイしたことのあるゲーム経験上の話だと。

一度は入ったことのある部屋だとすればーーー
「大丈夫…だよな?」

魔王の部屋をノックしてみる。
応答はない。


「こ、こっえーーーー」


ノックして返事があったほうがいいような、ないほうがいいような。
緊張の脱力感で体の力が抜ける。



「うっわ!」

安心していたのも束の間、
扉のオブジェの一部となっていた二体の龍の文様がうねうねと扉の中で蠢き、扉から上半身を突き出して俺を拘束した。
拘束された両手脚に首。

驚きで声も出ない。
扉の中に引きずり込まれる。
「ーーーやっ」

声を出しても意味をなさないことはわかっているが、恐怖で声が漏れる。

龍ニ体の力は凄まじく、全く動くことができない。

関節が痛い。
体がねじれる。皮膚が軋む。


ーーーそうだ。ここは異世界だ。
何が起きてもおかしくない。
自分が体験したことのないことが急に降り掛かってくる世界だ。舐めていた。完全に。


扉の中へ吸収されるように俺の下半身は龍達によって引き釣りこまれていく。



ーーーもう終わりだ



と、目を瞑ると。
「来たか」という偉そうな低い声。




「イッタ!」
龍に勢いよく投げ込まれ、赤いカーペット上に倒れ込む。



黒い尖ったブーツ(正しくは龍のオブジェが足先の先端に付いていて、黒の中に金箔のような黄金の輝きがキラキラしていた)が目の前に。

咄嗟に、人と会うのにこんな格好じゃ恥ずかしい
と羞恥心が湧く。



上を向くと、二本の大きな角が生えた男が足を組んで座っていた。
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