元童貞社畜が異世界(転生?転移?)したらインキュバスになっただと?!

暖鬼暖

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魔王の城(サタン城)

俺vsサタン

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倒れたままの俺の背中にずしりと重みを感じる。


「ーーーイッ」
背中に鋭い激痛。
サタンの長い足は俺の背中の上に乗せられ、
ギリギリと背中へヒールが食い込んでいく。



激痛でうつ伏せになっていると、
コツコツコツと俺の周りを歩く音が聞こえる。


首にビリリと痛みが走り、目を開ける。
顎に冷たい感触。


うつ伏せの顔を掘り起こし、
無理やり持ち上げられた。
長い黒髪が俺の頬に触れる。

赤いような緑のような不思議な目の色と視線がかち合った。

「き、キレイ…」
照明が暗く、はっきりと顔を認識できなかったが、
無駄な肉がついていないシュッとした輪郭
血の気のない白く透き通った薄い皮膚の上に
筋の通った鼻、血の気の良い赤い唇、
切れ長の目に長いまつげが縁取っている。


サラサラとした黒髪が、色っぽさをさらに引き出している。




ゴクリと唾を飲み込むと、
サタンと思わしき人物の顔が近づいてくる。

瞬きをすれば風でも感じそうなくらいの長いまつげ。
目を閉じた表情が人形ではないかと疑うほどに美しかった。



赤い唇が、俺の唇へ触れる。
温かい柔らかさが俺の不安を解いていく。





優しい唇にうっとりしていると、
レザーに混じったスパイシーな香り(多分、カルダモンとゼラニウム?)と甘ったるいムスクの香りで頭がくらくらした。
サタンからは甘くスパイシーな香りがふわんふわんと香り、極めつけにはバイオレットリーフが鼻腔をくすぐる。


血の通ったサタンの唇が、なんの前置きもなしに離れていく。

ーーーええ、やだ…さたんさま…触ふれていたい

追いつかない思考の中で、切なさと金木犀の香りを感じた。

ーーーーって、なんだこのきもち?

「私の部下だから仕方がない」
「え!」
「私はお前の考えていることがわかる」
「え!透視できるってこと?」
「そうだ」


切れ長の目に長いまつげ。
赤緑の瞳にじっと見つめられると、力が抜けてしまう。


「ん?なんだ、もうチャームの使い方も覚えたのか?」
「チャーム?」
「インキュバスに備わっている初期装備の技だ。
目が合ったモノを虜にして魅了させ、自分へ発情させることができる」
「ま…じ」
もしかして、ゴブリン相手にも俺、チャーム使ってた?



サタンが俺を見つめる。

ーーーーーーーな、なんかサタン様の前に来ると…




俺の意思とは関係なく(いや、そんなことはない)今度は俺からサタンの唇へ触れた。
サタンも応えるように押し付けられた唇へ唇を重ねる。

俺の胸の中で暑い思いがこみ上げる。
名前をつけることのできない想いで泣きそうになった。






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