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□第2楽章

2-2 計画阻止へ…②

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 カナンが不敵な笑みを浮かべれば、エルザが瞬時に騎士の背後に立っては騎士に対して剣を首に宛がう。


「その持っているモノ、テーブルに起きなさい」

「っ……」


 騎士の男はエルザに言われて手に持っていた“スティック型の魔爆弾”をテーブルに静かに置く振りをして折ると光が部屋を充満させると、爆発を起こさせた騎士の男は跡形も無く消え去っていた。

 ガルボが察知して部屋の外に出ていたが、ラゼットは寸前でカナンとエルザを廊下へと“転移”で避難させていた。


「残念だったね、ガルボ大臣」

「なっ!?」

「こうやって“軍事国家”との仲を壊しては、第一皇女に責任を押し付けて第二皇女に政権を持たせようとしたって所だな?」


 ガルボ大臣の後ろにはアイリスとアイリスの少し前に立っていたのは、黒い髪色をしている少し長めのショートで前髪を少し長くしてあり、ややキツめのツリ目をした紺色の瞳をしていて、軽装な貴族の服装をしている青年だった。


 ー“琥珀の国”の大臣であり“異端者”、“ヒバリ・アカツキ”。


「こ、小僧っ」

「元々、状況は分かっていたんだけど……“軍事国家”が動いてくれて、余計に明確に分かったよ」


 ヒバリは冷めた表情をしながらガルボへと近寄ろうとしたが、ラゼットは異変に気付いてはヒバリの目の前に来ては刀剣で何かを防ぐ。

 先程の騎士とは違う騎士が、どうやら“人狼化”してヒバリへと向かってきていたようだ。


「エルザさん、カナンさんとアイリスさん達を頼みます!コイツは、ボクが相手しますので!」

「わかったっ」


 エルザが三人を避難誘導するために動きだしたのと同時に、“人狼化”した数人の騎士が次々と出てくる。

 だが、その“人狼化”した数人の騎士達はガルボへと襲い始めていた。


「ひぃいいいっ!!?は、話が、違う、ではないかっ!!“魔女”めっ!!」

 (“魔女”?紅の国を消滅させた“魔女”と同じ、と考えるべき?)


 “人狼化”した数人の騎士はガルボを襲った後にエルザ達の所に行こうと動きだしたが、ラゼットは見逃す事をせずに刀剣で“人狼”の首を切り落としていく。


「……やっぱり、この事件とかは主に“魔女”が関わっており“紫の国”が主犯って所ですかね?」

「まぁ、その“紫の国”も踊らされているんでしょうけど」


 1時間ぐらい、だろうか。

 それぐらいだと思われるが、ラゼットは数体の人狼を倒し終わってからカナン達の所へと急いで向かった。


 (少しだけ、嫌な予感がするんですよね)

 (それに、とんでもない“気配”がカナンさん達に迫っている)


 ラゼットは中庭が見えてきて見れば、其処にはカナン達が居たのだが血塗れになっているエルザと、焔の鬣を持った“魔人狼”と焦げ茶色の髪色をした背中ぐらいの長さでフワッとさせており、ややツリ目をしたパッチリ目をさせた緑色の瞳をしていて、少し露出したパステルピンクのドレスを着ている少女が居た。


 ー“琥珀の国”の“第二皇女”または“呪われた皇女”、“エステル・ウル・コルクスト”。


「姉様を失脚させるためにも、その“騎士”を殺しなさい!!」

【ガァアアアアッ!!!】

「エルザっ!!?」


 焔の鬣が燃え盛ると“魔人狼”は、焔を纏った爪でエルザへと狙い定めるが“魔人狼”の目の前へと“転移”してきたラゼットが回し蹴りで“魔人狼”を吹っ飛ばす。


「ラゼット!?」

「カナンさん、コレをエルザさんに飲ませておいて下さい」


 ラゼットは鞄から一つの小瓶“霊薬エリクシル”を取り出してカナンに手渡してから、目の前で立ち上がる焔のような鬣を持った“魔人狼”へと身構える。


 (こんなのを用意しているって事は、やっぱり“変わってきている”って事だよね?)

「なら、此処で倒れるわけにはいかないって事ですね」


 ラゼットは刀剣を取り出して軽く上へと投げて回転させてから逆手で持つと、“転移”を利用して焔の鬣を持った“魔人狼”の真後ろへと来ては背中を深く切りつける。

 だが、流石“人狼”なのだろう。

 深く切りつけたというのに、“再生”という能力で直ぐに傷は完治させてしまう。


【オ前、匂イスル】

「っ!?へぇ、知性もあるって結構調教されているようで?」

【オ前ハ、ターゲット、ジャナイ】

「はい、そうですか!って、此所を退くとか馬鹿がする事です」

【邪魔ヲ、スルナァアアアア!!!!】


 焔の鬣が勢いを増すと“魔人狼”のスピードが先程よりも上がり、いつの間にかカナンとエルザの方へと向かっていた。


「っ!?」


 ラゼットは“何故か”、あの“処刑”の映像が過ってしまっていた。



 ーまた、喪う。


 ーそれだけは。


 ーそれだけはっ………!!



「そんなの、させるわけがないだろっ!!!なんのために、此処まで来たと思ってんのさ!!」


 ラゼットは“怒り”に任せて自身の首を暗殺用のダガーで切りつけると、“黒い”ネモフィラの花びらが沢山舞ってラゼットの髪が真っ白な髪色で長くなり狼の垂れ耳のような髪型となっていて、その瞳は真っ赤へと変化して腕には黒い荊の蔦が絡まっていた。


「……ラゼ……っ?」





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