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■本編

LEVEL.13 化け物カボチャ

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「話は聞いてるぜ、アンタらの泊まる宿も用意してある」

「それは、サンキュー!んで、困っている案件ってのは?」

「それについても、話をしたいから“調所棟”に来てくれ」

「おう!フランくんは、ロゼッタちゃんと街の中を見てくるといい」

「あ、はーい!行こう、ロゼッタさん!」


フランは満面な笑みを浮かべては、ロゼッタの手を掴んでは街の中へと走っていく。
それをレイヴンは優しい笑みを浮かべてから、アレックスの方を見る。


「アイツが、シキが言ってた女か?」

「あー、そうっすよ」

「ふーん……」

「なんだ、気に食わなそうな顔じゃん?アレックス」

「……ヴェテルさんの娘さんじゃなければ、俺は受け入れたりしてねぇーよ」

「へえ?それ、カルマくんの目の前で言わないようにーな」

「は?」


レイヴンはシキから煙草を受け取っては口に咥えながらも、ライターで火をつけてから口から煙草を離しては煙を吐く。


「どうやら、すげぇー懐いているって話だ」

「……面倒くせぇーな、ソレは」

「カルマに勝てるのは、“No.1”であるアイツしか勝てないだろ?」

「………アンタなら、“アレ”使えば勝てるんじゃないのか?」

「ははっ、有り得るけど……“アレ”で働きたくないんでね」

「……」

「それより、情報だ」


レイヴンがアレックスとシキから最近の南の都市に起きている異変などについて話を聞いている間、フランはロゼッタと共に都市の中に入り商店街区を見て周っていた。


「ロゼッタちゃんは、この街初めてだったりする?」

「あー、一度だけなら」

「そうなんだ?」

「お母さんと共に、父さんの忘れ物だったかな?ソレを届けに行ったのは、3年前だったと思うよ」

「じゃあ、久々に南の都市にきたって感じだね!此処の人達、凄く優しいでしょ?」

「そういえば……」


“ギルド国家”の住民は優しいしお人好しなのは知っている事だが、この“南の都市”も同じような感じな事には今まで気にしたりしてなかった。


「6年前に此処では、大規模な飢餓があったんだよ」

「え!?」

「だけどねー、レヴァンさんとレイヴンさんの提案を受けて此処は大規模な飢餓から逃れたんだよ!あの二人、本当に凄いなぁーって思ってる!」

「レヴァンさん達が……」


活気が溢れている街並みと人々の声を聞いていると、本当に此処の南の都市の人々は幸せそうにしているんだってわかる程である。


「よしっ、ちょっとした出店で食料確保しようっか!レイヴンさんの分もっ」

「あ、はいっ」

(フランさん、レイヴンさんの事を尊敬しているし大好きなんだろうなー)


ロゼッタはフランの後ろを歩きながらも、フランの横顔を見てみればフランは凄く嬉しそうにしており目を輝かせていた。


「特にレイヴンさんには、色々とすくわれたんだよねー……」

「レイヴンさんに?」

「……妹の一件も、あの村の事も……全部、レイヴンさんが居たから我を忘れるという事はなかったから」


フランか少しだけ悲しそうにしていると雪だるまくんは浮遊しては、フランの頬に優しく触れては擦り寄っている。

その時、ロゼッタだけは雪だるまくんに重なって見えた“フランに似た少女”の姿が見えていた。


(何かが起きて、妹さんを失ったんだ……)

(そして、妹さんの“魂”は雪だるまくんに宿ってフランさんを見守っているんだね)

「大丈夫ですよ、フランさん」

「ん??」

「“妹さん”は、いつもフランさんの側に居て守っているから」

「…………そっか」


ロゼッタの言葉を聞いたフランは、少しだけ驚いた表情をしてから少しだけ照れた表情を浮かべていた。

雪だるまくんはロゼッタの方を見ては、少しだけ嬉しそうな表情をしてからロゼッタの頭に乗っては機嫌が良さそうにしている。


「よしっ、食料を買って」


フランが気合いを入れると同時に、商店街側の近くにある門側で騒がしい声と共に悲鳴のような声が聞こえてくる。


「だ、誰か来てくれっ!」

「“自警団”を呼んでっ……!」


逃げてきた人々の中から助けを求める声がして、ロゼッタとフランは互いに見てから騒ぎが起きている方の門へと走って向かう。

明らかに門の方から逃げている業者や街の人々が居て、その先へと急いで向かえば砂煙が起きていて微かに見えづらい状態となっていた。


「一体、何がっ……」

「ロゼッタさんっ、後ろに下がっていて!どうやら、カボチャが届かないのも騒ぎも“コイツ”が起こしているみたいだっ!」

「え………」


砂煙が晴れてくると高い壁ぐらいの大きさを誇っていて、青色の炎を纏った巨大な“化け物カボチャ”がユラユラと揺れながらも嗤っては此方を見ていた。


【クケケケケケケッ……!!】

【逃ゲタ、逃ゲタッ!!】


ロゼッタは“化け物カボチャ”を見つめていれば、明らかに自分に憑依していた“悪い霊”の気配を感じていた。


「フランさん、アレは……っ」

「どうやら、“悪い精霊”が憑いたみたいだ」

「え、“悪い精霊”??」

「この時期って、こういう悪さをする“悪い精霊”が彷徨いているんだ」

「悪い、精霊……」

(でも、何処となく似ているような気がする……あの時の“悪い霊”と)







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