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初めての魔物
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続いてルーチェは、武器と防具をアイテムボックスから取り出す。出てきた武器はナイフだ。それも二振り。
ルーチェは前世でもナイフを両手に持ち、素早さを生かした戦闘スタイルだったのだ。ナイフのデザインも嬉しいことに、前世の物と同じだった。これは父親からの、初めて仕事が成功した時にもらった大事なものだった為に、ルーチェには思ってもみなかったプレゼントだ。
「……教会に行けばブラフマ様に会えると聞きました。これはたくさん感謝を伝えなければ」
『そうしてくれ。ブラフマ様も喜ぶ。少し振ってみたらどうだ?』
「そうですね。では少し離れていてください」
ルーチェはまずナイフを両手に、純手で持つと軽く振ってみる。途中で逆手に持ち直したり、はたまた順手に戻したりと好きに振るった。
『気に入ったか?』
「はい! とても!」
ロゴスの問いに満面の笑みでルーチェは答えた。
武器を試しに振って、これほど喜ぶ女性というのも珍しいだろう。しかし、すぐに表情はいつもの微笑みに戻る。
『お前はもう暗殺者ではない。そう己を縛ることもないのではないか?』
「そうは仰いますが、これは癖のようなもの。そう簡単には……いえ、確かにわたくしは冒険者になるのであり、暗殺者では……んーですが……」
『そう悩むことはない。ゆっくりでいいのだ。前にも言ったがお前は聖獣。先は長いのだから』
「ふふ、それもそうですね。ゆっくり、ゆっくりでいいんですよね」
昨日と今日で色々と詰め込みすぎたとのことで、ロゴスからあとはゆっくりして過ごそうと言われた。
明日は魔物を討伐するとのことだ。
『あれがゴブリンだ。冒険者にとっては定番の魔物だ』
「あれが、ですか」
二人の視線の先にはギョロリとした目にギザギザと尖った歯を持つ、小鬼のような魔物が二十体ほどいた。腰には端切れのような物を巻いているが、そこからとてつもない悪臭がしている。
『初めての魔物の討伐だ。やりたいようにやってみろ』
「はい、行きます」
両手にナイフを構え、「“加速”」を紡ぎ、目にも止まらぬ速さでゴブリンの相中を駆け抜けた。ルーチェの持つナイフの刃には血のりがついており、それを振って落とすと同時に七体のゴブリンの首からプシュッとおびただしい量の血が溢れ出た。
「さぁ、わたしと殺し合いを始めようか」
いきなり口調が変わったルーチェを見て、ロゴスは口をあんぐりと開けた。
ゴブリンに背を向けていたルーチェが振り返る。その口元は弧を描いていた――……。
ルーチェは前世でもナイフを両手に持ち、素早さを生かした戦闘スタイルだったのだ。ナイフのデザインも嬉しいことに、前世の物と同じだった。これは父親からの、初めて仕事が成功した時にもらった大事なものだった為に、ルーチェには思ってもみなかったプレゼントだ。
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『そうしてくれ。ブラフマ様も喜ぶ。少し振ってみたらどうだ?』
「そうですね。では少し離れていてください」
ルーチェはまずナイフを両手に、純手で持つと軽く振ってみる。途中で逆手に持ち直したり、はたまた順手に戻したりと好きに振るった。
『気に入ったか?』
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ロゴスの問いに満面の笑みでルーチェは答えた。
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「そうは仰いますが、これは癖のようなもの。そう簡単には……いえ、確かにわたくしは冒険者になるのであり、暗殺者では……んーですが……」
『そう悩むことはない。ゆっくりでいいのだ。前にも言ったがお前は聖獣。先は長いのだから』
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明日は魔物を討伐するとのことだ。
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二人の視線の先にはギョロリとした目にギザギザと尖った歯を持つ、小鬼のような魔物が二十体ほどいた。腰には端切れのような物を巻いているが、そこからとてつもない悪臭がしている。
『初めての魔物の討伐だ。やりたいようにやってみろ』
「はい、行きます」
両手にナイフを構え、「“加速”」を紡ぎ、目にも止まらぬ速さでゴブリンの相中を駆け抜けた。ルーチェの持つナイフの刃には血のりがついており、それを振って落とすと同時に七体のゴブリンの首からプシュッとおびただしい量の血が溢れ出た。
「さぁ、わたしと殺し合いを始めようか」
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