上 下
6 / 23
学園生活の始まり

宝剣

しおりを挟む
 少し寝坊した俺は、急いで走って学校に登校した。いつも少し寝坊したぐらいでは、朝礼に間に合わないことはないのだが、今日は学校から自分だけの剣がもらえる日だ。早く行ったほうがいいだろう。

 学校に着くと、ミナミは先に職員室の前に立っていた。
 「どうしたんだ、入らないのか?」
 すると、ミナミは恥ずかしそうにこちらを見る。
 「…や、やっぱりミナト君と一緒にもらいたいなあ、みたいな。うん。あ、ははは…」
 まあ、いいか。ミナミにも何か思うところがあるのだろう。
 「じゃあ、入ろうか。」

 「おっ、来たか。じゃあお前たちにそれぞれ剣を与える。ミナミ、お前のは『宝剣』【バルムンク】だ。この剣は、竜殺しとも言われている。念じれば、炎を纏う剣だ。そして、ミナト、お前のは、『宝剣』【膝丸】だ。
どんなものでも切り裂いてくれるはずだ。ただし、宝剣や幻剣は、切れないから、一応剣術は学んでおかないといけない。だが、俺を倒したぐらいだからな。剣術など自分だけの技術で十分か。」
 「いや、そんなことないですよ。」
 「ははは、謙遜も大概にしとけよ。
嫌味にとられても知らんからな。」
 横からミナミが話しかけてきた。
 「ねえ、ミナト君、廊下の学年順位表見に行かない?ちょっと気になるんだよね。ミナト君より上がいるのかどうか。私も君の戦い方を見たけれど、ものすごい技術だと感じたよ。とってもかっこよかった。でもね、この学校には、ミナト君より強い人がいっぱいいると思う。」
 すると、教師が口を開く。
 「まあ、確かにな。今期の生徒たちは、将来有望なやつが多い。ミナト、お前は油断しないよう気をつけるんだな。」

 教師の言葉を心の隅に留めておこうと、思いながら、二人で順位表の前にやってきた。

 学年順位表
    序列1位 スバル
    序列2位 アリア
    序列3位 ミナト
    序列4位 コウ
    序列5位 アリス
       :
       :
    序列11位 ミナミ
    序列12位 エミリア

 おっ、俺の上に二人もいるのか。一度スバルってやつとやり合ってみたいもんだな。アリアってのも強そうだ。それぞれの剣の能力、調べといて損はないだろう。だが、あのチートスキルさえ使えれば、絶対1位になれる自信あるのに。
 「すっごーい!ミナト君、3位だって!私なんか11位かー、ギリギリで入ったって感じだね。もっと頑張って次のテストのときには、絶対5位以内に入るんだー。」
 ちょっと待て。エミリアってミナミより順位下だったよな。はっ、あいつあんな態度でいたくせに、エリートクラスじゃ最下位かよ。いや、そんなことよりも、ミナミを応援しなければ。
 「はは、頑張れよ。バルムンクさえ上手く使えれば、いけると思うぞ。」
 「絶対大事にするよ、バルムンク。私の剣だもん!」
 俺の剣は【膝丸】か。どんなものでも切れるってのは、いい能力だ。しかし、宝剣や幻剣には無効、かー。普通だな。俺も大事にしないとな。

 そして、正規の授業が始まりを迎えようとしていた。

 俺たち二人が席についたのは、ギリギリのタイミングだった。危ねえ、危ねえ。初回で遅れるのは、なんとなくマズい気がした。
 すると、すぐにケアンズが入ってくる。
 「では、授業を始める。」

 座学ってとんでもなく眠くなるな。少し寝てしまったが、大丈夫だろう。そう、俺にはチート能力があるからな!

 授業が一通り終わり、休み時間一人でボーッとしていると、横から知らない声で話しかけられた。
 「お前が3位のミナトってのか?俺の名前は、コウだ。普通にコウって呼んでくれ。」
 こいつが4位のやつか。随分明るい感じでうるさそうなやつだな。見た目は、青髪でピアスをしている。だが、退屈はしなさそうだ。ちなみに、今ミナミは、おそらく銀髪碧眼のアリアとかいうやつと話している。結構楽しそうだ。美人同士での会話はとても絵になるなあ、と思いながら
 「わかった、コウ。早速聞きたいことがあるんだが、お前の剣は何て名前だ?」
 「聞きたいなら教えてやる。宝剣【デュランダル】だ。かっこいいぜ。みたいか?みたいか?」
 ものすごい勢いで言ってくるので、能力を聞くのが、憚られた。
 「いや、いい。それより、一緒に昼飯でもどうだ?」
 「いいね。一緒に食おうぜ。」

 その後、俺は散々どうでもいいようなことをコウから聞かされながら、飯を食べていた。
 
しおりを挟む

処理中です...