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悲劇の始まり
一回戦の悲劇
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第一回模擬大会概要
1.大会は二日間行われる。
2.各々3度試合が行われる。
3.一日目に2度行われ、二日目に3度目が行われる。
4.成績は大会での戦い方(剣術の型や作戦考案の有無)及び勝ち負けによるものとする。
5.相手を殺してしまった場合、失格となり、何らかの処分が下される。
6.使用可能剣ランク:宝剣、皇剣、帝剣、輝剣
大会当日、俺は急いでいた。剣を宿に置いてきてしまったのだ。我ながら馬鹿だと感じながら、とりあえず急ぐ。一回戦目には間に合うはずだ。こういう時に小さなミスをする癖はなおしたいものだ。召喚される前と同じだ。
とにかく、急いだ結果間に合ったが、一回戦まであと5分しかない。早く準備しないと。すると、横から声がかかる。こんな時に何なんだ、と思いながら、声のする方を向いてみる。
「よぉ、ミナト。一応言っておくが、油断するなよ。そして、勝ってこい!」
まるで決勝戦に出る前に言われる言葉だな、と思いながら
「ああ、行ってくるよ。応援頼んだぞ。」
「任せとけ!」
遂にフィールドの上に立つ。程よく当たる風に気持ちを落ち着けながら、冷静に相手を見る。相手は確か、序列30位ぐらいだったかな。しかも、持っている剣は多分、帝剣だ。まず、負ける試合ではない。そんなことを考えているうちに審判の声が会場上に響く。
「始めっ!」
まず相手が宝剣使いでないのをいいことに、いきなり宝剣の『技』を使うことにする。
「『全斬一閃』!!」
ちなみに『全斬一閃』は膝丸で使える最低ランクの技である。まだ、他に4つ俺は使えるが、取っておくことにした。つまり、本気でヤバいときにしか使わないということだ。
ズザザザザと強烈な音が鳴り響く。抵抗しようにもできない。相手を斬っていく音だ。
『全斬一閃』をまともに食らった相手は、あっという間に刀傷だらけになる。何せ音速に近いのだ。軽傷では済まないだろう。もちろん、これは見せつけるためである。エミリアのようなやつに見下されるのはゴメンだからな。
しかし、相手は倒れなかった。剣は途中できれいに膝丸に斬られて、柄の部分しか残っていない。
すると、突然咆哮する。
俺に突っかかってきたのだ。もちろんそれを優しく止める俺ではない。二つ目の技を使った。
「『静寂斬』」
ヒュッと風を切る音が聞こえる。
すでに相手は倒れていた。
『静寂斬』は『全斬一閃』とは逆に言葉通り音を最小限にとどめて放つ技である。無茶苦茶に振り回すように見える『全斬一閃』とは違い、静かにかつ確実に相手を仕留めるのだ。しかし、欠点として力がそれほど入らないので宝剣使いと戦うときは、タイミングを誤ると、一瞬の隙を突かれかねない。しかし、宝剣使いでなければ、最強の一言で事足りる。
会場の観客(生徒や教師たち)から歓声が上がった。
「おお、ミナト。すごかったな。まさか二つ目の『技』まで使えるとは知らなかったぜ。」
「お前もすぐに使えるようになるさ。」
もうすでに5つすべて使えるのだが、ここでは言わない方が賢明だろう。
「ミナミはどうだったんだ?」
「あいつも余裕で勝ってたみたいだぜ。まあ相手が序列97位なんだから当然だな。」
「練習の成果だろう。ところで、二回戦目まで俺は時間があるんだが、なんか食わないか?」
「よく食うな、お前。一緒に行きたいところだが、俺の試合が間近でな。応援をよろしく頼む。」
「そうだったのか。わかった。お前の応援にいくことにするよ。」
しばらくして、コウの二回戦目が始まった。相手は確か序列13位だったかな。あと、少しでエリートクラスのメンバーになれたやつだ。きっと面白い試合になるだろう。
フィールドにコウが上がる。すると、審判の声が響き渡った。
「始めっ!」
コウは『技』を使わないらしい。上段に剣を構え、すぐに攻撃体勢に移行する。相手は、コウの気迫に押され、後ずさったが、気を取り直して迎撃した。
「ふっ!」
コウが剣を振った。火花が飛び散る。相手は、押されているものの一応対応できている。さすが、序列13位といったところか。
「はあ!」
相手が押し返す。少し体勢を崩したコウの脇腹を目掛けて、剣を振る。コウはギリギリのところで、剣でパリィし、ダメージを流す。だが、相手の攻撃は止まらない。
キンッ、キンッ
と、剣と剣がぶつかる音が響く。なかなか決定打が両者ともにでない。しばらく、拮抗した状態が続き、スタミナの有無が勝負を分ける戦いに思えてきた。
すると、突如相手の様子が変わった。おそらく次の一撃で決めるつもりらしい。
「あぁ、ああああ!!」
真っ直ぐに剣の切っ先がコウの胸に突き出された。
だが、それほど簡単に負けるコウではない。躱そうとして、脇腹に傷を負うが、それを物ともせず、大技を繰り出した後で、体勢を崩した相手にとどめの一撃を食らわす。
ザクッ。
肉が切れるような音がした後、コウの相手は血を流して倒れていた…
1.大会は二日間行われる。
2.各々3度試合が行われる。
3.一日目に2度行われ、二日目に3度目が行われる。
4.成績は大会での戦い方(剣術の型や作戦考案の有無)及び勝ち負けによるものとする。
5.相手を殺してしまった場合、失格となり、何らかの処分が下される。
6.使用可能剣ランク:宝剣、皇剣、帝剣、輝剣
大会当日、俺は急いでいた。剣を宿に置いてきてしまったのだ。我ながら馬鹿だと感じながら、とりあえず急ぐ。一回戦目には間に合うはずだ。こういう時に小さなミスをする癖はなおしたいものだ。召喚される前と同じだ。
とにかく、急いだ結果間に合ったが、一回戦まであと5分しかない。早く準備しないと。すると、横から声がかかる。こんな時に何なんだ、と思いながら、声のする方を向いてみる。
「よぉ、ミナト。一応言っておくが、油断するなよ。そして、勝ってこい!」
まるで決勝戦に出る前に言われる言葉だな、と思いながら
「ああ、行ってくるよ。応援頼んだぞ。」
「任せとけ!」
遂にフィールドの上に立つ。程よく当たる風に気持ちを落ち着けながら、冷静に相手を見る。相手は確か、序列30位ぐらいだったかな。しかも、持っている剣は多分、帝剣だ。まず、負ける試合ではない。そんなことを考えているうちに審判の声が会場上に響く。
「始めっ!」
まず相手が宝剣使いでないのをいいことに、いきなり宝剣の『技』を使うことにする。
「『全斬一閃』!!」
ちなみに『全斬一閃』は膝丸で使える最低ランクの技である。まだ、他に4つ俺は使えるが、取っておくことにした。つまり、本気でヤバいときにしか使わないということだ。
ズザザザザと強烈な音が鳴り響く。抵抗しようにもできない。相手を斬っていく音だ。
『全斬一閃』をまともに食らった相手は、あっという間に刀傷だらけになる。何せ音速に近いのだ。軽傷では済まないだろう。もちろん、これは見せつけるためである。エミリアのようなやつに見下されるのはゴメンだからな。
しかし、相手は倒れなかった。剣は途中できれいに膝丸に斬られて、柄の部分しか残っていない。
すると、突然咆哮する。
俺に突っかかってきたのだ。もちろんそれを優しく止める俺ではない。二つ目の技を使った。
「『静寂斬』」
ヒュッと風を切る音が聞こえる。
すでに相手は倒れていた。
『静寂斬』は『全斬一閃』とは逆に言葉通り音を最小限にとどめて放つ技である。無茶苦茶に振り回すように見える『全斬一閃』とは違い、静かにかつ確実に相手を仕留めるのだ。しかし、欠点として力がそれほど入らないので宝剣使いと戦うときは、タイミングを誤ると、一瞬の隙を突かれかねない。しかし、宝剣使いでなければ、最強の一言で事足りる。
会場の観客(生徒や教師たち)から歓声が上がった。
「おお、ミナト。すごかったな。まさか二つ目の『技』まで使えるとは知らなかったぜ。」
「お前もすぐに使えるようになるさ。」
もうすでに5つすべて使えるのだが、ここでは言わない方が賢明だろう。
「ミナミはどうだったんだ?」
「あいつも余裕で勝ってたみたいだぜ。まあ相手が序列97位なんだから当然だな。」
「練習の成果だろう。ところで、二回戦目まで俺は時間があるんだが、なんか食わないか?」
「よく食うな、お前。一緒に行きたいところだが、俺の試合が間近でな。応援をよろしく頼む。」
「そうだったのか。わかった。お前の応援にいくことにするよ。」
しばらくして、コウの二回戦目が始まった。相手は確か序列13位だったかな。あと、少しでエリートクラスのメンバーになれたやつだ。きっと面白い試合になるだろう。
フィールドにコウが上がる。すると、審判の声が響き渡った。
「始めっ!」
コウは『技』を使わないらしい。上段に剣を構え、すぐに攻撃体勢に移行する。相手は、コウの気迫に押され、後ずさったが、気を取り直して迎撃した。
「ふっ!」
コウが剣を振った。火花が飛び散る。相手は、押されているものの一応対応できている。さすが、序列13位といったところか。
「はあ!」
相手が押し返す。少し体勢を崩したコウの脇腹を目掛けて、剣を振る。コウはギリギリのところで、剣でパリィし、ダメージを流す。だが、相手の攻撃は止まらない。
キンッ、キンッ
と、剣と剣がぶつかる音が響く。なかなか決定打が両者ともにでない。しばらく、拮抗した状態が続き、スタミナの有無が勝負を分ける戦いに思えてきた。
すると、突如相手の様子が変わった。おそらく次の一撃で決めるつもりらしい。
「あぁ、ああああ!!」
真っ直ぐに剣の切っ先がコウの胸に突き出された。
だが、それほど簡単に負けるコウではない。躱そうとして、脇腹に傷を負うが、それを物ともせず、大技を繰り出した後で、体勢を崩した相手にとどめの一撃を食らわす。
ザクッ。
肉が切れるような音がした後、コウの相手は血を流して倒れていた…
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