21 / 23
決意の結果
刑務所の頂点
しおりを挟む
車で二日はなかなかのものだった。休憩を少しははさんだものの、疲れが完全にとれた、とは言えない。やはり今からの作戦に皆緊張しているのだろう。
刑務所まであと十時間。
「ねえー、ミーナートーくーん、まーだーかーなー?」
ミナミが退屈極まりない声で聞いてくる。
「ダクタルさん、あとどれくらいですかね?」
「そうですね、あと十時間ほどでしょうか。」
「おい、ミナミ!あと十時間だそうだ。」
「そんなの聞こえてるよー。いちいち説明しなくていい!」
「そうか、そうか。あと少しだ。というものの十時間か…なかなか待つのも辛いな。」
確かに車の中は広いとはとてもいえない。
「すいませんね、この車がボロボロなせいで…」
ダクタルが本当に申し訳なさそうな声で応じた。
「いえいえ、ついてきてくださるだけで俺たちはとても満足ですから。そんな風に思わないでください。」
と、こんな感じの会話がさっきからずっと続いている。
だが、エミリアの方はミナミよりずっと大人しく待っている。精神統一でもしているのだろうか。
「とりあえず皆さん、四分の三は過ぎたんですよ。頑張ってください。着いたら着いたで大変かもしれませんが。」
ダクタルが激励する。待つだけで激励されてしまう、というのもここにいるメンバー(特にミナミ)の精神が脆めであることを示しているようにしか思えない。
刑務所まで500メートルといったところか。そこに到着したとき、真っ先に口を開いたのはミナミだった。
「こ、怖いねー。」
「確かに。これは逃げられないよね。さすが警備システム1位っていわれるだけあるわね。」
彼女たちがそういうのも無理はない。確かにシューダッツ刑務所の姿はものすごいものだった。優に30メートルを超える巨大な壁に加えて、その厚みはコンクリート1メートルである。また、監視カメラの量が尋常でない。遠目で見ても分かってしまう。どこへ行っても監視カメラに引っかかるであろう。まさしく要塞のような建物であった。
すると、ダクタルが口を開いた。
「小2時間程待ってもらえるでしょうか、ここの警備システムをハックするので。」
「あ、そうですね。お願いします。あと少しで暴れられるぞ、ミナミ、エミリア。」
「べ、別に暴れたい、とかぜんっぜん思ってないしー。」
絶対思っているな、こいつ。まあ、士気がないっていうのもダメだしこのままの状態で戦闘を迎えることができるのなら、十分戦果を挙げられるだろう。
それにしても、シューダッツ刑務所の警備システムをハックしようとするダクタルの技術には感服した。どう考えても『辺境の病院でただの医者』のレベルではない。天才ハッカー兼医者っておかしいよな。
と、そんなことを考えているうちにすぐに2時間は過ぎ去った。
「さて、いよいよ皆さん出陣です。申しあげにくいのですが、監視カメラの制御がおそらく数分で切れてしまうと思います。その間にできるだけ奥のほうに進んでおいてください。看守に出会ってしまったら、即座に意識を刈りとるようにしてください。刑務所の廊下での長期戦は不利ですから。」
「十分です。ここまでありがとうございます。感謝してもしきれないです。」
「いえいえ、どうせ私はただの医者ですから。できることなんて高が知れています。こうやって皆さんに役割を与えられた時点で私は皆さんのために頑張ろう、と決意したのです。できることは全てやったつもりです。後の皆さんの活躍期待しています。必ずや目的を達成してきてくださいね。」
「はい!」
「まっかせーてくーださーい!」
「分かりました。あなたの期待に応えられるよう全力を尽くします。」
ここで俺、ミナミそしてエミリア三人のとんでもなく大きな作戦が始まる。たとえそれが国の意向に逆らうものであっても。
刑務所まであと十時間。
「ねえー、ミーナートーくーん、まーだーかーなー?」
ミナミが退屈極まりない声で聞いてくる。
「ダクタルさん、あとどれくらいですかね?」
「そうですね、あと十時間ほどでしょうか。」
「おい、ミナミ!あと十時間だそうだ。」
「そんなの聞こえてるよー。いちいち説明しなくていい!」
「そうか、そうか。あと少しだ。というものの十時間か…なかなか待つのも辛いな。」
確かに車の中は広いとはとてもいえない。
「すいませんね、この車がボロボロなせいで…」
ダクタルが本当に申し訳なさそうな声で応じた。
「いえいえ、ついてきてくださるだけで俺たちはとても満足ですから。そんな風に思わないでください。」
と、こんな感じの会話がさっきからずっと続いている。
だが、エミリアの方はミナミよりずっと大人しく待っている。精神統一でもしているのだろうか。
「とりあえず皆さん、四分の三は過ぎたんですよ。頑張ってください。着いたら着いたで大変かもしれませんが。」
ダクタルが激励する。待つだけで激励されてしまう、というのもここにいるメンバー(特にミナミ)の精神が脆めであることを示しているようにしか思えない。
刑務所まで500メートルといったところか。そこに到着したとき、真っ先に口を開いたのはミナミだった。
「こ、怖いねー。」
「確かに。これは逃げられないよね。さすが警備システム1位っていわれるだけあるわね。」
彼女たちがそういうのも無理はない。確かにシューダッツ刑務所の姿はものすごいものだった。優に30メートルを超える巨大な壁に加えて、その厚みはコンクリート1メートルである。また、監視カメラの量が尋常でない。遠目で見ても分かってしまう。どこへ行っても監視カメラに引っかかるであろう。まさしく要塞のような建物であった。
すると、ダクタルが口を開いた。
「小2時間程待ってもらえるでしょうか、ここの警備システムをハックするので。」
「あ、そうですね。お願いします。あと少しで暴れられるぞ、ミナミ、エミリア。」
「べ、別に暴れたい、とかぜんっぜん思ってないしー。」
絶対思っているな、こいつ。まあ、士気がないっていうのもダメだしこのままの状態で戦闘を迎えることができるのなら、十分戦果を挙げられるだろう。
それにしても、シューダッツ刑務所の警備システムをハックしようとするダクタルの技術には感服した。どう考えても『辺境の病院でただの医者』のレベルではない。天才ハッカー兼医者っておかしいよな。
と、そんなことを考えているうちにすぐに2時間は過ぎ去った。
「さて、いよいよ皆さん出陣です。申しあげにくいのですが、監視カメラの制御がおそらく数分で切れてしまうと思います。その間にできるだけ奥のほうに進んでおいてください。看守に出会ってしまったら、即座に意識を刈りとるようにしてください。刑務所の廊下での長期戦は不利ですから。」
「十分です。ここまでありがとうございます。感謝してもしきれないです。」
「いえいえ、どうせ私はただの医者ですから。できることなんて高が知れています。こうやって皆さんに役割を与えられた時点で私は皆さんのために頑張ろう、と決意したのです。できることは全てやったつもりです。後の皆さんの活躍期待しています。必ずや目的を達成してきてくださいね。」
「はい!」
「まっかせーてくーださーい!」
「分かりました。あなたの期待に応えられるよう全力を尽くします。」
ここで俺、ミナミそしてエミリア三人のとんでもなく大きな作戦が始まる。たとえそれが国の意向に逆らうものであっても。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
48
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる