Hero's accessories 〜勇者に付いてきた付属品〜

優陽 yûhi

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第1話 やっぱりここは地球じゃ無いのか

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 (……あれ?俺……寝てた?いや……気を失っていたのか?
 此処は……どこだ?確か……学校が終わって、校門に向かって……
 何だ?ここは?随分深い森?山?だな……
 何で俺はこんな所で寝てたんだろ?)

 起き上がると頭に激痛が走った。
「つぅ~~頭痛え……それにしてもどこだ?
 郊外とは言え東京……大都会に、こんな所ある訳ないぞ?」


 クオーターで髪も瞳もグレーアッシュ。
 この目の色からか、少し冷たく見られがちな日本の高校1年生。
 名は那岐颯斗なぎりくと16歳。
(休んでいたら、頭痛もだいぶ治ったな……
 こうしていても、仕方ない……少し歩いてみるか……
 あそこに小川が流れているから……
 確かこんな時は、下流に向かってみるんだったな……)
 30分程下ると、鬱蒼としていた木々が途絶え、開けた場所に出た。
 遠くに海が見えた。
(まだ中腹くらいかな?街並みどころか道一つ見えないって……)


 〝キシャ~キシャ~キシャ~~!〟
 遠くから、空気を切り裂く様な鳴き声が聞こえてくる。
「え?……な、何だあの声は?あんな泣き声聞いたことがない……」
 その方向に目を向ける颯斗。空に黒い影が見える。
「あの影……あの姿は……まさかドラゴン?
 嘘だろ?何であんなのがいるんだ?」
 アニメ等でよく見るような怪物は、颯斗に気付くと急降下してきた。
「やばっ!何だよ!一体どうなってやがる……」
 開けた場所に出たばかりに、身を隠す場所が無かった。
「俺は、あいつのエサってか?
 ふざけんなよ!そう簡単にやられてたまるかよ!
 いいよ。相手してやるよ……て言っても、俺、竹刀しか持ってないか……
 どのみち刀持ってても、俺には分が悪そうだけどな」
 背中に背負っていた剣道の竹刀袋から竹刀を取り出す。
 上段に構えて、気を練る。 
 〝っ~~やぁ~~!!〟
 タイミングを合わせ、渾身の面を打つも、逆に後ろに吹き飛ばされてしまった。
 相手は、体長5m程ある怪物だ。
「いっ~~いてててて……竹刀じゃまるで歯が立たない……
 鱗か?身体がめちゃくちゃ、かて~!」
 颯斗は飛ばされ少し頭を打ってしまう。その拍子に何かを思い出す。
(あれ?……何だ?俺、さっきまで夢を見ていたような……何だっけな?)
 だが、そんな事を考えてる暇はない。怪物は容赦なく襲ってくる。
 瞬時に体勢を整え低く構える颯斗。下から喉元への突を狙うが、結果は同じ。
 怪物は、颯斗から自分が傷付けられる心配のない事を悟ると、
 余裕すら見せ始める。

 
 急降下してきた怪物の、鋭い爪を避けながらカウンター。
 上段霞の構えで目を狙う。颯斗の動きは極めて早い。
 〝ズシャッ!〟
 流石の怪物も、目を突かれ、一瞬たじろぐが、
 それはむしろ怒りを買っただけで、逆に狂気の目をして攻撃してきた。
 防戦一方になる颯斗。次第に竹刀がささくれ、遂には折れてしまう。
 勢いに押され、倒れ込んだ所に鋭い爪が襲いかかる。
 もう駄目だ……そう思ったその時、どこからか影が飛び出してきて、
 颯斗と怪物の間に割って入った。
 〝ゴトン……〟
 その次の瞬間、怪物の頭が音を立てて落ちた。
 その影に首が一刀両断された様だ。


「こいつはドラゴンじゃないぞ少年。ドラゴンはこいつよりずっとでかい。
 こいつはワイバーンだ」
 身長は2m近く、筋骨隆々、凛々しくも鼻筋の通った、
 美形の男が、笑顔で颯斗を見て言った。
 年齢は30歳前半くらいだろうか……
 颯斗より20 cmほど大きな身体の頭には、モフモフの耳が立っている。

「ワイバーン?……何でそんな奴が居るんだ?
 ドラゴンもだけど、ワイバーンって架空の生き物じゃない?」
「ん?何言ってんだ?ワイバーン位、そこらじゅうに居るだろ?」
「うそ……物語の中の怪物でしょ?
 ……あっ……そうだ……そんな事より、お礼が遅くなりました……
 お助けくださりありがとうございます」
「おおよ。何でもない、別に大したことはしてねえさ。
 ちょうど狩りにでも行こうかと思ってた所だ。
 こいつこんななりしてるけど結構美味いいけるんだぜ?
 それより、お前よ~そんな棒切れでワイバーンと戦うなんて、無謀すぎだぞ?
 ま、だがよ、逃げずに堂々と戦う、その勇気だけは認めてやる」
「棒切れ?ハハハ……で・す・よ・ね~すみません。武器はこれしか持ってなかったもので……」
「そいつは竹で作った剣か?子供のお遊び用か?
 着てる物も見た事ない変わった服だな。お前どこから来た?」
「どこから来たかって……あれ……ちょっと待って下さい……
 さっき頭を打って、少し思い出したんですけど……
 俺、もしかしてですけど……この世界の人間じゃ無いかもしれません……
 何で言葉が、通じるのか分かりませんが……
 確か……王冠を被っていた人が〝勇者召喚〟とか言ってたような……
 それに失礼ですが、貴方も普通の人じゃないですよね?……その耳……」
「ん?俺か?俺は獣人だぞ?獣人なんて珍しくもねえだろ?」
「……獣人?やっぱりここは地球じゃ無いのか……何でこんな事に……」
「地球?初めて聞くな?それよりなんだ?お前が、召喚された勇者だと?」
「いえ、俺じゃなくて……俺は……多分ですけど……
 勇者召喚に巻き込まれたんじゃないかな?」
「巻き込まれた?だがよ、勇者が召喚されたのは、もう3年も前の事だぞ?」
「3年前?まさか3年も気を失って?いや、そんな訳ないよな……」
「勇者が、ああなっちまって、また召喚し直したってのか?
 ……な訳ないか?勇者召喚は100年に一度しか出来ないと言われてたな」
「100年に1度だけしか異世界召喚はできないのですか?」
「ああ、召喚には宝魔石と言う、何でも七色に輝き、
 解析不能な文字の刻まれた魔石が必要なんだと。
 それは、1度使うと、銀が塩化して黒ずんだ様な色になっちまうらしい。
 それが元の様に七色に輝くまで復活するのに、100年を要するって事だな。
 しかも、異世界召喚が出来るのは、ここハイメル王国だけらしいぞ」
「この国だけ?」
「ああ、宝魔石……世界で1つだけといわれている、
 その魔石を、復活させるには、
 ここの近くにある聖なる泉に100年漬ける必要があるらしい。
 そこは、厳重な結界と警備で守られている」
「………………」
「良かったら何があったか詳しく話してみろよ?」
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