Hero's accessories 〜勇者に付いてきた付属品〜

優陽 yûhi

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第27話 更なる旅立ち

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「それはさておき、リック君……君にお願いがあるんだが」
「何ですか?改まって……お願いですか?俺に出来ることなら……で、何でしょう?」
「エレーナの事なんだが……もう2人とも19歳。
 結婚してもいい歳だ。どうだろう……
 エレーナを、嫁にもらってやってくれないか?」
「えっ?そう言ってもらえるのはすごく嬉しいのですが……
 俺はただの平民ですよ?
 エレーナの事は大好きですし、誰もが納得するような功績をあげて……
 そう思っていたのですが……本当に俺でいいんですか?」
「今のリック君で全く問題ない。反対する者はおらんよ?
 崩れた城から皆を救い出してくれたり、
 迷宮の事、龍神様の事……
 もう君は、召喚された真の勇者だと皆がそう思っている。
 疑う者は、誰1人いない……」
「俺は勇者の付属品アクセサリーなんですけど……
 エレーナも?本当に俺で良いのかな?」
「貴方で良いんじゃないの……貴方が良いの……
 私、他の人の事はもう、考えられない……」
「エレーナ……分かりました陛下。その話、喜んで受けさせていただきます。
 ただ……今すぐと言うわけには、いきません」
「何故だね?結婚に問題ない歳だと言ったはずだよ?」
「魔王城。どうしてもそこに行かなければなりません」
「そんなに、勇者のことが気になるのかい?」
「それもですが……あの悪魔。放っておくわけにはいかないでしょう。
 安心してエレーナと暮らせない……
 いつか生まれて来る、子供達の為にも……
 結婚して、いきなり旅に出るわけにもいかないでしょう?」
「だったら私、貴方に付いていきます」
「だめだよ?エレーナ……
 君が、強いのは知っている……単独でも魔族領に行く事が出来るレベルだとは思うけど」
「だったら……」
「あそこに居るのは、上位悪魔……
 俺が、一歩も動けなかった奴だよ?危険過ぎる……
 待たせるのは申し訳ないと思うけど、それでも待っていてくれ」



「リックよ。済まぬが頼みがある」
「ん?ジェブ?何だ?改まって」
「我に少し時間をくれぬか?」
「ん?全然構わないぞ?お前を縛る気はさらさらないからな。
 どこか行きたい所でもあるのか?」
「この前、アーネスト王が、勇者エリシオン の古い伝説本を見せただろ?
 そこに、我の故郷が載っていたんだ。
 我は生まれてすぐに、
 あの迷宮に転送され迷宮ボスになったのだが……
 あれを見たら一度戻って家族に会ってみたくなった」
「へ~ドラゴンの里か~?構わないよ?ゆっくりして来たら良い」
「魔族領に着くまでには戻る。それ迄はお前1人でも問題ないだろう」


「もう行くのかね?」
「はい、1週間休んだら、すっかり疲れも取れました。
 さっさと済ませて帰ってきます。
 いつまでも、エレーナを待たせるわけにはいきませんから」
「そうか……では、くれぐれも……無事帰って来る様に。
 エレーナを悲しませたら許さないよ」
「はい、ありがとうございます。で、そのエレーナは……?」
「ん……あ~あれだ……お別れを言うのが辛いのだろう……」
 歯切れの悪いアーネスト王。
「?……そうですか……でしたら言っておいてください。
 あの魔道具の指輪は、肌身離さず持っている様にと。
 何かあれば、どこに居ても必ず駆けつけるからと……
 それから……これを渡しておいてください」
「これは?」
「約束していた、パライバマリンの指輪です。
 1年前に、迷宮に潜る前に、加工を依頼していました。
 とても綺麗に仕上がっていますよ?
 婚約指輪として渡しておいて下さい」
「いや、婚約指輪だと言うなら、なおさら自分で渡す方が良い。
 その方が、エレーナも、喜ぶはずだよ?」
「そうかもしれませんね……帰ったら自分で渡します。
 では行ってまいります」


 カステルークの街か……案外近かったな?
 まあ、俺の走るスピードも半端なくなったしな。
 それにしても、随分賑わってるな。人でごった返してる」
「何だ?にいちゃん。知らないのか?
 今日は、カステルークの雪まつり……
 あっちこっちから人が集まって来てるからな。
 にいちゃん、その様子だと、宿も予約できてねえだろ?
 今からじゃ、どこにも泊まれる所はねえぜ?」
「マジか?この真冬に野宿は厳しいな……」
「お兄さん。泊まるところがないんですか?
 良かったら、私の所に……」
「えっ、空きがあるんですか?助かり……?エ……エレーナ?
 何でお前、こんな所に……付いてこない様に言ったはず……」
 颯斗に、がっつりと抱きつき、離す気配が無いエレーナ。
「もう嫌なの……貴方を心配しながら待つのは……」
「……エレーナ……だけど……お前を、危険な目にあわすのは……」
「危険だからよ……危険だからなおさら……」
「エレーナ。1人で来たのか?」
「貴方が出発する前日に馬車を用意してもらってね……」
「……心配しながら待つのは辛い……それは分かったよ……
 だったらこうしよう……魔族領に近づいたら、
 その一つ前の街で、待っててくれるか?」
「そこまでは、ついていって良いって事?」
「ああ……本音を言えば、俺だって、
 エレーナが一緒だったら嬉しいからね。
 陛下何にも言ってなかったけど、もちろん承知しているんだよね?」
「うん、ここには王家の別荘があるの。使いなさいって……」
「ハハハ……だからあの時歯切れが悪かったのか……
 この寒空……どうしようかと思ったよ?
 そうと決まれば、雪まつり楽しまなきゃな?」
「うん!そうしよ」
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