短編置き場

うめつきおちゃ

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微ホラー 部活 侵略者

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 部活終わり、部室にて帰り支度をしていると、誰かが『星を見に行こう』と抜かした。
 なんのアニメのセリフだったか忘れたが、一日中この暑さの中で運動をしたあととは思えない発言だ。
 当然のように大半の奴がが断ったと記憶している。
 

 そして次の日、あの時部室にいた半分が欠席した。

「三年生が引退して、俺たちが引っ張っていかなきゃならない大事な時に、あいつら何考えてんだ!」
 つい先日キャプテンに就任したばかりのAが憤る。

「とにかく、後輩たちに示しがつかないから今日はいつも以上に声出していくぞ!」
 熱血漢のBは、そう言いながら鏡の前で自らの筋肉を撫でている。

 こうして、いつもよりキツイ状態で部活の時間を過ごした。
 三年生が引退し、我々の代が半分も休んだため、顧問の目が届く届く。
 一瞬のサボりも許されなかったくらいだ。
 
 
 帰りしな、キャプテンがスマホを弄りながら、『部員たちの家に行ってみる』と言っていた。
 暑苦しさに拍車のかかったBも、喜んでそれに着いていく。
 
 

 そして、さらに次の日、キャプテンたちまで欠席した。
 怒りの形相を浮かべる顧問の怒鳴り声が、唯一顔を出した俺の耳元で爆発する。

「いや。……本当に連絡すらつかないんですよ。……こうなったらもう部活がどうとかじゃなくて警察に――」
「バッカモーン!!すぐに警察に頼るな!まずはやれる事からやるんだよおお!」

 平成すら終わったと言うのに、いまだに昭和から抜け出すことのできない根性論で染まり切った顧問の一括で、今日の活動は中止となった。
 
「全員で探してこい。って言われてもなぁ……」
 どこをどう探せばいいのか見当もつかない。

 後輩たちは駅前だの、近くに住んでるヤツの家に直接向かうだの言っていたが、どうなんだろう。
 そんなわかりやすい場所でサボるか?
 そもそもキャプテンのAや、ウザいほどやる気のあるBがサボるとは……、――ああ、そういえば『星』がどうとかって言ってたな。

「山……、……この辺りで山って言ったら、学校の裏山か?」

 一度家に帰り、シャワーを浴びたあとで、気づいてしまった。
「……はぁ、行かないってワケにもいかないか」

 俺は汗ばむような熱気がまだ残る夕方の住宅街を、自転車に乗って走り抜ける。
 さっき流したはずの汗が、すでに舞い戻るように湧き出て頬を伝う。


 学校の裏山の麓につき、駐輪場に自転車を停めると、そこには見知った自転車が何台かあった。
「……アイツら、まさか怪我でもしたのか」

 嫌な想像をしてしまい、心臓がグッと掴まれたような感覚に陥る。
 今度の汗は、冷や汗だ。

「……滑落、するほどの高低差はないはずだ。……熊、も聞いたことない」
 あとは……、事件?

「警察に連絡……」
 したらどうなる?
 騒ぎになったら大会の出場が危ぶまれる?
 いや、今はそんなこと言ってる場合じゃない。

 俺がポケットに入れたスマホを取り出そうとすると、不意に声をかけられた。

「……え?」

 顔を挙げると、そこには見知った顔がいくつも並んでいる。
「お、お前ら!なにしてたんだよ!お前らが部活来ないせいで……、つーかなんだよ!まさか一昨日からずっとここに――」

 苦楽を共にしたはずの部活仲間たちは、何も言わずに俺の周りを取り囲む。
「……おいおい。勘弁してくれよ……。なんの冗談……」



 
 今更だけど、俺、部活辞めたかったんだよな。
 受験とか、恋愛とか、バイトとか、そういうのも経験したかったから。
 辞めとけば良かった。
 言い出していれば、こうして『同級生の姿をした化け物に喰われる』なんて経験、しなくてすんだのにな。

 蚊みたいに、こいつらの唾液にも麻酔効果があるのかもしれない。
 生きたまま体を喰われているにも関わらず、なんの感触もない。

「……なぁ、お前らってなんなんだ?……エイリアン?プレデター?それとも他の名前があるのか?」

 聞いても返事はない。
 一心不乱に俺の身体を貪っている。

「……キャプテン。アンタらの目的ってなんだ?」

 『…………?セイフク?』

 セイフク?……制服?なわけないよな。
 …………ああ、征服かな?
「……ですよねぇ」

 

  
 もし俺も、コイツらみたいになったら誰を食べに行こうか。……嫌いだった顧問?担任?……いや、どうせなら、中学の時ずっと片思いしていたあの子にしようかな。

 そんなことを考えながら、俺は次第に意識を失っていった。 

 
 
 

 

 
  

 
 
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