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番外編
ドリホCB前日譚(リクエスト)
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よく知った言葉であっても、突拍子もない場面で飛び出してくるとまるで意味の分からない異国の言葉のように感じてしまう事がある。この現象に何か特別な名称が与えられているかは不明だが、とにかく今回それが起きた単語は、「カフェ」と「バー」であった。
「かふぇあんどばあ?」
素っ頓狂な声で耳にした言葉をオウム返しするシーフに、オーナーは得意満面で胸を張って頷いて見せる。サロン内で銘銘ソファや床に座っているドリームホテルの宿泊客達は、珍獣でも見るような目でオーナーを見上げていた。珍しく突然集合をかけられたと思ったら、彼は「カフェ&バー」をやると言い出したのである。
「ええと、それはつまり」遠慮がちに小首をかしげ、ウサギが問うた。「このホテルで、そういう……パーティをやるって事ですか?」
「全然違う!」
演技かかった仕草で広げた腕を振り回し、オーナーはウサギの台詞を否定した。
「だから何度も言うように、私が向こうに出向くんだ、ゲストとして! 簡単に言うと出張です。出稼ぎです、友情出演です!」
まあ、このオーナーがボランティアなんぞする訳がないのはホテル内の共通認識であるが、他の部分が引っかかる。
”向こう”と言うのはつまり……向こうだ。なんと表現したら良いか、あちら側、表、普通の世界、元の場所、ホテルの外……呼び名はどうあれつまりはそう言った意味である。そしてその”向こう”へは、おいそれと行けない。
——……はずなのだ。
「どういうこと? オーナー、ホテルから出れるの?」
目を丸くしたシーフが身を乗り出して聞く。オーナーはますます優越感に浸った顔で微笑み、勿体ぶった様子で歩き出した。
通路を挟んだサロンの向かいの壁にはスタッフオンリーと書かれたドアがある。そこから掃除用具を引っ張り出してホテル内の清掃に奔走するオーナーをいつも見ているので、そこが掃除用具入れである事は周知の事実だ。
ドアの前まで来たオーナーは、さあご覧あれとばかりに意味深な一瞥をくれた後、ぱっとドアを開いて見せた。
目に飛び込んできたのは白い塊だった。つるりとして奇妙なフォルムのそれが、洋式便器の背中だと気が付くのに五秒ほど必要だった。そっぽを向いた便器。横の壁にはトイレットペーパーも設置されている。掃除用具の類は見当たらない。
「あれ? そこ、掃除用具入れじゃなかったでしたっけ?」
ウサギの言葉を受け、オーナーはニヤニヤしたままトイレの奥を手で示した。そこで気が付いたのだが、便器の正面が向いている奥の壁にもう一つドアがついていた。
つまり、このトイレは前と後ろに一つずつドアが設けられているのだ。一体何をどうしてそんなとんちきな構造になったのだろう。
「あの扉の向こうに、私がお邪魔する店があるんです!」
意気揚々と宣言するオーナー。住人達は一瞬不思議そうに顔を見合わせ、すぐにその意味を理解した。
「それって……」
掠れた声でママが呟いたと同時、ぱっとソファから飛び降りたシーフがオーナーに突っ込んでいった。
「向こうに繋がってるの!?」
敵から逃げる小鹿のような俊敏さでトイレの中に飛び込もうとし、間髪入れずにラリアットの要領でオーナーに乱暴に侵入を阻止されてしまったのだがそれで諦めるシーフではない。少年はすぐ体勢を立て直すと閉められてしまった扉のドアノブに飛びつきガバっとそれを開いた。
扉の向こうには、掃除用具入れが広がっていた。
暗く狭い室内にバケツやモップなどが身を寄せ合っている。便器はない。奥の壁にドアもない。天井からぶら下がる裸電球が申し訳なさそうに揺れている。
「あれ……?」
立ち尽くすシーフを見下ろし、オーナーはふふんと鼻を鳴らした。
「呼ばれたのは私だ、お前じゃない。だからお前は行かれない。残念だったな!」
「はあ!? なにそれずるいよ!」
どうやらいつでも向こうに繋がっている訳ではないし、誰でも行けるという訳でもないらしい。考えれば当たり前の事ではあるのだが、選ばれたオーナーと選ばれなかった自分の差を目の前でまざまざ見せつけられるとシーフは妬ましさで頭が噴火しそうだった。
「なるほど」ママの横でティーカップをソーサーの上に置きながら、ほとんど独り言のように伯爵が言った。「誰かの夢に組み込まれたわけだな」
驚いた皆の視線が一気にオーナーに注がれた。シーフでさえ怒りを忘れていてる。だがオーナーは涼しい顔で笑ったまま「はい」とだけ頷いた。
「え、じゃあオーナーに、その……カフェ&バー? をやってもらうのが夢だったお客さんが居るって事ですか?」
ウサギがひっくり返った声で言うと
「うぇー、何それ! 今までで最悪の夢じゃん!」
シーフが舌を出してそう叫び
「危ないんじゃないの、それ……」
ステーキが唸るように呟いた。
ステーキの言葉は最もであった。誰かの夢に組み込まれてしまうのは決して良い事ではない。なにせ相手の欲望の渦の中に裸で放り込まれるのだ。監督は夢の主、それがどれだけ馬鹿げたショーであろうと監督の望む舞台で望む役を演じなければならない。極端な話をすれば、自分を殺す事が夢という人物が現れた場合、強制的に被害者の役を引き受けさせられる羽目になるのだ。
——けれど、相手の夢より自分の夢が強ければ話は別だ。
「金さえもらえれば誰の夢にでもなりますよ」
事も無げに言ってのけるオーナーに全員が呆れたような目を向ける。その言葉は間違いなくオーナーの本心であるし、そう言った場面が訪れたら実際そのようになるのだろう。自分に報酬が与えられるのなら、背景の木その1にでも、悲惨に殺される狩りの獲物にでもなってやるのだ。今みたいに。
「まったく、そのプライドのなさには恐れ入るな」
皮肉で哀れみを包んで伯爵が言葉を投げても、オーナーは堪えた様子もなく微笑みを崩さない。
「プライドなんか持ってたところでお金になりませんからね。……ん? だけどプライドの高い伯爵はお金持ち。となると、もしかしてプライドは金になる……?」
「向こうに行ったとして、オーナーは具体的に何をするんですか?」妙な思考の沼にはまりそうになっているオーナーにウサギが急いで声をかけた——オーナーの強欲っぷりにこれ以上の傲慢まで追加されたらもう手に負えない。「カフェとバーなんでしょう、料理出来るんですか?」
「失礼な奴だな。追加料金を払ってくれるなら料理くらいするが、私は接客と酒の提供で忙しい。だからシェフ見習いを連れて行く事にした」オーナーは渋い顔になって腕を組んだ。「本当はシェフを連れて行きたかったんだが、やはりどうしても暗くないと嫌だと言う事でな。シェフ見習いならまだ明るい場所でも大丈夫なはずだ。そうだろう、見習い!」
なんともタイミング良く……あるいは悪く、食材の入った段ボール箱を抱えてサロンの前を通りかかったシェフ見習いは、いきなり話しかけられてびくりと肩を弾ませた。
シェフ見習いは紙袋を被って顔を隠し、紙袋の表に「見習い」とへたくそな字で書いてあるからすぐ分かる。真っ暗な厨房からてこでも出ないシェフに代わって、材料を取りに行ったりゴミを捨てに行ったりするのは見習いの仕事なのだ。
見習いはオドオドと逃げ道を探すように辺りを見回し、最後にオーナーを恐々見やって何事か小さく唸ると、それを返事として置いて逃げて行ってしまった。ああ、あまりにも見習いらしい。
「……本気であれ連れてくの?」
またもステーキは正論を述べたが、シェフが真っ暗な厨房から出てこない事が確定している以上どうしようもない。オーナーは肩をすくめた。後は、当日の客達の運の良さに任せるだけだ。
「……酒の提供って」ぼんやりとママが口を開いた。「オーナー、お酒作れるの……?」
「こう見えてバーテンも出来るんですよ」気を取り直したオーナーは誇らしげに答えた。「バーカウンターでカクテルを作りながらお客様のお悩みを聞いた経験は数知れず。私のお出ししたマティーニで涙を流し、悩みと真っ向から向き合う事を決めたお客様の晴れ晴れとした顔つきときたら!」
「で、真っ向から向きあって死ぬわけね」
「シャラップ! お客様の死と私のアドバイスの因果関係はこれっぽっちも御座いません!」
シーフの言葉にオーナーは勢いよく反論したが、その言い分を飲むものは誰一人としていなかった。
とにかく、オーナーはそれなりにバーテン業務をこなせることは確かなようだ。だからと言って、では彼に酒を作ってもらおうなどと思う者は、長く宿泊している者の中には居ないだろう。いくらぼったくられるか分かったものではない。
「しかし、やって来る客と言うのは、少なくともここの噂か何かを聞いた事がある者なのだろう? 奇特な人間も居たものだな」
「まあ否定はしませんけど、今後ホテルのお客様になってくださるかもしれない方々なんですから、仲良くしてくださいね。クーポンだって配るんですから」
懐から取り出したのはオーナーに名刺だったが、時折彼はこれを新規の客に「売店で10%引きのクーポンになります」と言って渡している。だがお土産を買っている客は見た事がない。そもそも売店を見た事がない。本気でお土産が欲しいと願う変わり者でも来ない限り、クーポンとしての責務を全うする事はないだろう。
「後は、何かこう、ホテルのアピールになるようなものをいくつか持っていきますのであしからず」
その台詞を聞いた一同は、全く同時にそんな物は存在しないと思った。魅力的な宣伝に繋がるようなものは、このホテルに限ってあるわけがない。どうにかこうにか良い点を捻りだすとすれば、それなりの味の料理が待ち時間ゼロで提供されるという事くらいか。食材についての保証はないけれど。
「そこで伯爵、何かゴージャスでエレガントで、ワァこんな素敵なものがあるホテルなのネ行きたいワア! みたいに思える超高級な物を貸していただけませんか?」
「断る。下賤な連中の目に触れただけで価値が下がる」
「そもそも抽象的すぎるわよ……なにそれ……」
彼らの後ろでソファに座り直したシーフが床に座っているステーキに身を乗り出して囁いた。
「オーナーがつけてる業務ノート、こっそり荷物に紛れ込ませて持ってかせちゃおうか」
「ああ……読んだら誰も来なくなるね……」
「聞こえてるぞイタズラドブネズミども!」
夢が叶う素敵なホテルのイメージから最もかけ離れた業務ノートはホテルでの出来事を簡易ながら克明に綴っている、いわば爆弾だ。そんなもの見られたが最後、このドリームホテルに来たいと思う者など絶滅してしまうに違いない。
小競り合いが勃発しようとしている横で、ふとウサギが机の上にあるものを拾い上げた。それは一冊の冊子で、表紙には「ドリームホテルのカフェ&バー」と印字されている。どうやら今回のイベントの資料のようだ。
パラパラとめくってみればオーナーへの諸注意などと一緒に当日提供される予定のメニュー表も載っており、それを目にした途端ウサギはおかしそうに声をあげて笑った。
「なんですかこれ、私のメニューがあるんですけど! みんなのもありますよ!」
ウサギが叫んだおかげで、ステーキはオーナーの蹴りから逃れることが出来、皆の興味はウサギの持っている資料へと注がれる事となった。一目散にシーフが飛んできて、見せろ見せろと背伸びをする。ウサギは冊子を見やすい位置に下ろしてやって、笑いながら内容を読み上げた。
「ウサギのぶっかけいちごみるくって、なんですかこのメニュー! オーナー、これ私、お手伝いしなきゃいけない感じですか?」
「そんなわけあるか、気色悪い! 普通のイチゴミルクだ」
「僕メロンソーダだ!」
「ステーキはココアですって。伯爵はロイヤルミルクティ……」全員が無言で伯爵の手の中にあるティーカップを一瞥した。「ママはざくろ酢ソーダ。あー、ぽいー」
「ちょっとオーナー。私達、何もしなくて良いのよね……?」
オーナーだけの話かと思っていたのに、よもや他の宿泊客までイベントに組み込まれていようとは。一抹の不安がよぎりママがオーナーを軽く睨みつけると、彼はひらひらと手を振って見せた。
「いえいえ、ただ名前を借りてるだけなのでご心配なく。何かしなきゃいけないのは私だけです」
「なら良いんだけど……面倒なことにしないでね……」
「フードメニューもアルコールもあるんですね、思ったより大がかりじゃありませんかこれ」
「どうでも良い。私には関係のない話だ」
アミューズメントと記されたコーナーに何やらオーナーのチェキがどうのと書いてあった所までは確認できたが、よく見る前にオーナーがさっと資料を奪ってしまったので、毒舌を吐く機会が失われたシーフは不服そうにオーナーを睨みつけた。
恐らくこの資料に書かれた事柄を理解出来ない宿泊客も居るかもしれない。メイド喫茶ならまだしも、コンセプトカフェと言う類が流行り出す前にホテルに来た者にとっては珍妙な催しの類だと思っているのだろう。オーナーが今回依頼を受け入れたのだって、ただただ金が絡むからという一点だけである。
「まあ、とにかく」資料を筒状に丸めて片手の平に打ち付けながら、オーナーはよく通る声で言った。「2/17は一日私はホテルに居ませんので、トラブルなく過ごしてくださいね。特にお前達に言ってるんだぞ、人に迷惑かけないと死ぬトリオ」
勿論オーナーがいつも口汚く罵る対象は、シーフ、ウサギ、ステーキの三人と決まっており、本人達はすかさずそこまで言われる筋合いはないと反論するのだが、それは彼らが原因で起こった様々な事件(そのうちいくつかはこのドリームホテル史に残る大事件)を棚に上げたうえでの反論であるのもいつもの事だった。
「もしお客さん来たらどうするの……」
オーナー不在で最も危惧していることはこれだ。なんの説明もなくこのホテルに放り込まれるのは、いくらなんでも可哀そうというものである。かといってオーナー以外の宿泊者が懇切丁寧にこのホテルはかくかくしかじかと教えてくれるわけもないだろうし、何人かは二人きりにすれば新しい客に実害が出るのは火を見るよりも明らかだ……これも、”人に迷惑かけないと死ぬトリオ”の事であるが。
「そんなピンポイントで来ないだろう、多分」
「そんな、大阪の知らんけどみたいなノリで言って良いんですか?」
「来るよ」
不意に新しい声が聞こえ、一同は通路の方に目をやった。額の第三の目をぎょろぎょろさせながら、厄介な超能力者の宿泊客ユーリがそこに立っている。ピリリとした緊張が走った。また妙な予言が始まってしまっては困る。なにせ彼の予言は百発百中だ。
「オーナーが居ない間に、新しい客が来る」
彼がそう言うからには来るのだろう。オーナーは眉根を寄せた。
「来るなら来るで待たせておけばいい。日付が変わる前には帰ってくるんだ」
「詳細は省くがあんたが帰ってくる前に死ぬぜ」
彼がそう言うからには死ぬのだろう。
「それじゃあ……」オーナーは一同をぐるりと見回した。「私には無関係という事ですね! 誰かがなんとかしてください」
「えーっ、オーナーのくせにそんな投げやりで良いの!?」
「ああ、居ないんだから仕方ないだろう。お前が何を盗もうが、ウサギが死体を犯そうが、ステーキが死体を食おうが、私は知ったこっちゃない。あー、楽ー!」
晴れ晴れと笑うオーナーの憎らしさときたらない。いくら文句を浴びせかけても知らぬ存ぜぬ関係ないとばかりな態度で悠々と立っていたオーナーだが、次のユーリの言葉でさっと顔色を変えた。
「あっ。あんたが行くそのカフェ&バーとやら……」
「やめろ!」悲鳴のような声をあげてオーナーはユーリに走り寄った。「絶対何も言うな、お前の予言で全部台無しになる!」
「そうは言っても勝手に見えちまうからなあ」
「口は自分の意志で閉じられるだろう! 無理ならステーキみたいに鎖で口をぐるぐる巻きにしてや……」
「ああっ!」
三つの目玉を丸くひん剥いてユーリが叫び、廊下の奥を指さした。
「一分後に向こうで爆発が起こるぞ!」
「は、爆発!?」
「一昨日来た、戦争したいとか言う馬鹿な客だ。地雷の上に立ってるのがもう限界みたいだ」
「そんな! 爆発なんて片付けが面倒すぎる、急いで励ましに行かないと!」
血相を変えて走り出したオーナーの後ろ姿を見送った後、一同は顔を見合わせた。もう解散でも良いだろう。何か忙しい用事があるわけではないが、宿泊客同士仲良しこよしと言う訳でもないのだから一緒に居るのは居心地が良くない。
立ち上がり出した五人を一瞥したユーリは、ニヤリと笑って顎で掃除用具入れを示した。
「なあ。当日はあんたらも面白い事になりそうだぜ」
「え?」すぐさま食いついたのはシーフだ。「どういう事、僕らも向こうに行ける?」
「いや、行くのは無理だがちょっかいくらいは出せるだろうさ。まあ、新参者の俺にゃ関係ない話だけどな。せいぜい楽しめよ、オリジナルメンバー諸君」
半分嫌味のように言って、ユーリは自分の部屋へと戻って行ってしまった。
少し考えた後、ふらっとシーフが掃除用具入れまで小走りに向かい扉を開け放った。やはり掃除用具が置かれているばかりで、いつもと変わらない様子である。
だが目を凝らすと奥の壁に何かあった。
電球の紐を引いて明かりをつけ、奥の壁に近づいて目を凝らす。壁に筋のようなものが走っているのが見える。大きく、長方形で、そうだ、この形はまるで——扉。
視線を下ろす。うっすらとドアノブのような影が見えた。
シーフがノブを掴んで押すと、まさに扉が開くような音と手ごたえがあった。目の前には変わらず壁があるから進めないが、しかしその向こうに亡霊のような何かがうっすらと見える。真っ黒な濃い霧の向こうにぼんやりと……あれは机か、椅子もある、そしてバーカウンターのような影……。
——店だ。
壁があるから行く事は叶わない。けれど”向こう”が見える。きっと声も聞こえるだろう。こちらとあちらが混じりあい、この掃除用具入れで酷く曖昧なはざまを作り出している。
向こうに干渉が出来る。
「……ねえ!」
四人を呼んだシーフの顔には、悪意を孕んだ深い笑みが浮かんでいる。
カフェ&バーイベント当日に何が起こるか分かっているのは、ユーリただ一人であった。
「かふぇあんどばあ?」
素っ頓狂な声で耳にした言葉をオウム返しするシーフに、オーナーは得意満面で胸を張って頷いて見せる。サロン内で銘銘ソファや床に座っているドリームホテルの宿泊客達は、珍獣でも見るような目でオーナーを見上げていた。珍しく突然集合をかけられたと思ったら、彼は「カフェ&バー」をやると言い出したのである。
「ええと、それはつまり」遠慮がちに小首をかしげ、ウサギが問うた。「このホテルで、そういう……パーティをやるって事ですか?」
「全然違う!」
演技かかった仕草で広げた腕を振り回し、オーナーはウサギの台詞を否定した。
「だから何度も言うように、私が向こうに出向くんだ、ゲストとして! 簡単に言うと出張です。出稼ぎです、友情出演です!」
まあ、このオーナーがボランティアなんぞする訳がないのはホテル内の共通認識であるが、他の部分が引っかかる。
”向こう”と言うのはつまり……向こうだ。なんと表現したら良いか、あちら側、表、普通の世界、元の場所、ホテルの外……呼び名はどうあれつまりはそう言った意味である。そしてその”向こう”へは、おいそれと行けない。
——……はずなのだ。
「どういうこと? オーナー、ホテルから出れるの?」
目を丸くしたシーフが身を乗り出して聞く。オーナーはますます優越感に浸った顔で微笑み、勿体ぶった様子で歩き出した。
通路を挟んだサロンの向かいの壁にはスタッフオンリーと書かれたドアがある。そこから掃除用具を引っ張り出してホテル内の清掃に奔走するオーナーをいつも見ているので、そこが掃除用具入れである事は周知の事実だ。
ドアの前まで来たオーナーは、さあご覧あれとばかりに意味深な一瞥をくれた後、ぱっとドアを開いて見せた。
目に飛び込んできたのは白い塊だった。つるりとして奇妙なフォルムのそれが、洋式便器の背中だと気が付くのに五秒ほど必要だった。そっぽを向いた便器。横の壁にはトイレットペーパーも設置されている。掃除用具の類は見当たらない。
「あれ? そこ、掃除用具入れじゃなかったでしたっけ?」
ウサギの言葉を受け、オーナーはニヤニヤしたままトイレの奥を手で示した。そこで気が付いたのだが、便器の正面が向いている奥の壁にもう一つドアがついていた。
つまり、このトイレは前と後ろに一つずつドアが設けられているのだ。一体何をどうしてそんなとんちきな構造になったのだろう。
「あの扉の向こうに、私がお邪魔する店があるんです!」
意気揚々と宣言するオーナー。住人達は一瞬不思議そうに顔を見合わせ、すぐにその意味を理解した。
「それって……」
掠れた声でママが呟いたと同時、ぱっとソファから飛び降りたシーフがオーナーに突っ込んでいった。
「向こうに繋がってるの!?」
敵から逃げる小鹿のような俊敏さでトイレの中に飛び込もうとし、間髪入れずにラリアットの要領でオーナーに乱暴に侵入を阻止されてしまったのだがそれで諦めるシーフではない。少年はすぐ体勢を立て直すと閉められてしまった扉のドアノブに飛びつきガバっとそれを開いた。
扉の向こうには、掃除用具入れが広がっていた。
暗く狭い室内にバケツやモップなどが身を寄せ合っている。便器はない。奥の壁にドアもない。天井からぶら下がる裸電球が申し訳なさそうに揺れている。
「あれ……?」
立ち尽くすシーフを見下ろし、オーナーはふふんと鼻を鳴らした。
「呼ばれたのは私だ、お前じゃない。だからお前は行かれない。残念だったな!」
「はあ!? なにそれずるいよ!」
どうやらいつでも向こうに繋がっている訳ではないし、誰でも行けるという訳でもないらしい。考えれば当たり前の事ではあるのだが、選ばれたオーナーと選ばれなかった自分の差を目の前でまざまざ見せつけられるとシーフは妬ましさで頭が噴火しそうだった。
「なるほど」ママの横でティーカップをソーサーの上に置きながら、ほとんど独り言のように伯爵が言った。「誰かの夢に組み込まれたわけだな」
驚いた皆の視線が一気にオーナーに注がれた。シーフでさえ怒りを忘れていてる。だがオーナーは涼しい顔で笑ったまま「はい」とだけ頷いた。
「え、じゃあオーナーに、その……カフェ&バー? をやってもらうのが夢だったお客さんが居るって事ですか?」
ウサギがひっくり返った声で言うと
「うぇー、何それ! 今までで最悪の夢じゃん!」
シーフが舌を出してそう叫び
「危ないんじゃないの、それ……」
ステーキが唸るように呟いた。
ステーキの言葉は最もであった。誰かの夢に組み込まれてしまうのは決して良い事ではない。なにせ相手の欲望の渦の中に裸で放り込まれるのだ。監督は夢の主、それがどれだけ馬鹿げたショーであろうと監督の望む舞台で望む役を演じなければならない。極端な話をすれば、自分を殺す事が夢という人物が現れた場合、強制的に被害者の役を引き受けさせられる羽目になるのだ。
——けれど、相手の夢より自分の夢が強ければ話は別だ。
「金さえもらえれば誰の夢にでもなりますよ」
事も無げに言ってのけるオーナーに全員が呆れたような目を向ける。その言葉は間違いなくオーナーの本心であるし、そう言った場面が訪れたら実際そのようになるのだろう。自分に報酬が与えられるのなら、背景の木その1にでも、悲惨に殺される狩りの獲物にでもなってやるのだ。今みたいに。
「まったく、そのプライドのなさには恐れ入るな」
皮肉で哀れみを包んで伯爵が言葉を投げても、オーナーは堪えた様子もなく微笑みを崩さない。
「プライドなんか持ってたところでお金になりませんからね。……ん? だけどプライドの高い伯爵はお金持ち。となると、もしかしてプライドは金になる……?」
「向こうに行ったとして、オーナーは具体的に何をするんですか?」妙な思考の沼にはまりそうになっているオーナーにウサギが急いで声をかけた——オーナーの強欲っぷりにこれ以上の傲慢まで追加されたらもう手に負えない。「カフェとバーなんでしょう、料理出来るんですか?」
「失礼な奴だな。追加料金を払ってくれるなら料理くらいするが、私は接客と酒の提供で忙しい。だからシェフ見習いを連れて行く事にした」オーナーは渋い顔になって腕を組んだ。「本当はシェフを連れて行きたかったんだが、やはりどうしても暗くないと嫌だと言う事でな。シェフ見習いならまだ明るい場所でも大丈夫なはずだ。そうだろう、見習い!」
なんともタイミング良く……あるいは悪く、食材の入った段ボール箱を抱えてサロンの前を通りかかったシェフ見習いは、いきなり話しかけられてびくりと肩を弾ませた。
シェフ見習いは紙袋を被って顔を隠し、紙袋の表に「見習い」とへたくそな字で書いてあるからすぐ分かる。真っ暗な厨房からてこでも出ないシェフに代わって、材料を取りに行ったりゴミを捨てに行ったりするのは見習いの仕事なのだ。
見習いはオドオドと逃げ道を探すように辺りを見回し、最後にオーナーを恐々見やって何事か小さく唸ると、それを返事として置いて逃げて行ってしまった。ああ、あまりにも見習いらしい。
「……本気であれ連れてくの?」
またもステーキは正論を述べたが、シェフが真っ暗な厨房から出てこない事が確定している以上どうしようもない。オーナーは肩をすくめた。後は、当日の客達の運の良さに任せるだけだ。
「……酒の提供って」ぼんやりとママが口を開いた。「オーナー、お酒作れるの……?」
「こう見えてバーテンも出来るんですよ」気を取り直したオーナーは誇らしげに答えた。「バーカウンターでカクテルを作りながらお客様のお悩みを聞いた経験は数知れず。私のお出ししたマティーニで涙を流し、悩みと真っ向から向き合う事を決めたお客様の晴れ晴れとした顔つきときたら!」
「で、真っ向から向きあって死ぬわけね」
「シャラップ! お客様の死と私のアドバイスの因果関係はこれっぽっちも御座いません!」
シーフの言葉にオーナーは勢いよく反論したが、その言い分を飲むものは誰一人としていなかった。
とにかく、オーナーはそれなりにバーテン業務をこなせることは確かなようだ。だからと言って、では彼に酒を作ってもらおうなどと思う者は、長く宿泊している者の中には居ないだろう。いくらぼったくられるか分かったものではない。
「しかし、やって来る客と言うのは、少なくともここの噂か何かを聞いた事がある者なのだろう? 奇特な人間も居たものだな」
「まあ否定はしませんけど、今後ホテルのお客様になってくださるかもしれない方々なんですから、仲良くしてくださいね。クーポンだって配るんですから」
懐から取り出したのはオーナーに名刺だったが、時折彼はこれを新規の客に「売店で10%引きのクーポンになります」と言って渡している。だがお土産を買っている客は見た事がない。そもそも売店を見た事がない。本気でお土産が欲しいと願う変わり者でも来ない限り、クーポンとしての責務を全うする事はないだろう。
「後は、何かこう、ホテルのアピールになるようなものをいくつか持っていきますのであしからず」
その台詞を聞いた一同は、全く同時にそんな物は存在しないと思った。魅力的な宣伝に繋がるようなものは、このホテルに限ってあるわけがない。どうにかこうにか良い点を捻りだすとすれば、それなりの味の料理が待ち時間ゼロで提供されるという事くらいか。食材についての保証はないけれど。
「そこで伯爵、何かゴージャスでエレガントで、ワァこんな素敵なものがあるホテルなのネ行きたいワア! みたいに思える超高級な物を貸していただけませんか?」
「断る。下賤な連中の目に触れただけで価値が下がる」
「そもそも抽象的すぎるわよ……なにそれ……」
彼らの後ろでソファに座り直したシーフが床に座っているステーキに身を乗り出して囁いた。
「オーナーがつけてる業務ノート、こっそり荷物に紛れ込ませて持ってかせちゃおうか」
「ああ……読んだら誰も来なくなるね……」
「聞こえてるぞイタズラドブネズミども!」
夢が叶う素敵なホテルのイメージから最もかけ離れた業務ノートはホテルでの出来事を簡易ながら克明に綴っている、いわば爆弾だ。そんなもの見られたが最後、このドリームホテルに来たいと思う者など絶滅してしまうに違いない。
小競り合いが勃発しようとしている横で、ふとウサギが机の上にあるものを拾い上げた。それは一冊の冊子で、表紙には「ドリームホテルのカフェ&バー」と印字されている。どうやら今回のイベントの資料のようだ。
パラパラとめくってみればオーナーへの諸注意などと一緒に当日提供される予定のメニュー表も載っており、それを目にした途端ウサギはおかしそうに声をあげて笑った。
「なんですかこれ、私のメニューがあるんですけど! みんなのもありますよ!」
ウサギが叫んだおかげで、ステーキはオーナーの蹴りから逃れることが出来、皆の興味はウサギの持っている資料へと注がれる事となった。一目散にシーフが飛んできて、見せろ見せろと背伸びをする。ウサギは冊子を見やすい位置に下ろしてやって、笑いながら内容を読み上げた。
「ウサギのぶっかけいちごみるくって、なんですかこのメニュー! オーナー、これ私、お手伝いしなきゃいけない感じですか?」
「そんなわけあるか、気色悪い! 普通のイチゴミルクだ」
「僕メロンソーダだ!」
「ステーキはココアですって。伯爵はロイヤルミルクティ……」全員が無言で伯爵の手の中にあるティーカップを一瞥した。「ママはざくろ酢ソーダ。あー、ぽいー」
「ちょっとオーナー。私達、何もしなくて良いのよね……?」
オーナーだけの話かと思っていたのに、よもや他の宿泊客までイベントに組み込まれていようとは。一抹の不安がよぎりママがオーナーを軽く睨みつけると、彼はひらひらと手を振って見せた。
「いえいえ、ただ名前を借りてるだけなのでご心配なく。何かしなきゃいけないのは私だけです」
「なら良いんだけど……面倒なことにしないでね……」
「フードメニューもアルコールもあるんですね、思ったより大がかりじゃありませんかこれ」
「どうでも良い。私には関係のない話だ」
アミューズメントと記されたコーナーに何やらオーナーのチェキがどうのと書いてあった所までは確認できたが、よく見る前にオーナーがさっと資料を奪ってしまったので、毒舌を吐く機会が失われたシーフは不服そうにオーナーを睨みつけた。
恐らくこの資料に書かれた事柄を理解出来ない宿泊客も居るかもしれない。メイド喫茶ならまだしも、コンセプトカフェと言う類が流行り出す前にホテルに来た者にとっては珍妙な催しの類だと思っているのだろう。オーナーが今回依頼を受け入れたのだって、ただただ金が絡むからという一点だけである。
「まあ、とにかく」資料を筒状に丸めて片手の平に打ち付けながら、オーナーはよく通る声で言った。「2/17は一日私はホテルに居ませんので、トラブルなく過ごしてくださいね。特にお前達に言ってるんだぞ、人に迷惑かけないと死ぬトリオ」
勿論オーナーがいつも口汚く罵る対象は、シーフ、ウサギ、ステーキの三人と決まっており、本人達はすかさずそこまで言われる筋合いはないと反論するのだが、それは彼らが原因で起こった様々な事件(そのうちいくつかはこのドリームホテル史に残る大事件)を棚に上げたうえでの反論であるのもいつもの事だった。
「もしお客さん来たらどうするの……」
オーナー不在で最も危惧していることはこれだ。なんの説明もなくこのホテルに放り込まれるのは、いくらなんでも可哀そうというものである。かといってオーナー以外の宿泊者が懇切丁寧にこのホテルはかくかくしかじかと教えてくれるわけもないだろうし、何人かは二人きりにすれば新しい客に実害が出るのは火を見るよりも明らかだ……これも、”人に迷惑かけないと死ぬトリオ”の事であるが。
「そんなピンポイントで来ないだろう、多分」
「そんな、大阪の知らんけどみたいなノリで言って良いんですか?」
「来るよ」
不意に新しい声が聞こえ、一同は通路の方に目をやった。額の第三の目をぎょろぎょろさせながら、厄介な超能力者の宿泊客ユーリがそこに立っている。ピリリとした緊張が走った。また妙な予言が始まってしまっては困る。なにせ彼の予言は百発百中だ。
「オーナーが居ない間に、新しい客が来る」
彼がそう言うからには来るのだろう。オーナーは眉根を寄せた。
「来るなら来るで待たせておけばいい。日付が変わる前には帰ってくるんだ」
「詳細は省くがあんたが帰ってくる前に死ぬぜ」
彼がそう言うからには死ぬのだろう。
「それじゃあ……」オーナーは一同をぐるりと見回した。「私には無関係という事ですね! 誰かがなんとかしてください」
「えーっ、オーナーのくせにそんな投げやりで良いの!?」
「ああ、居ないんだから仕方ないだろう。お前が何を盗もうが、ウサギが死体を犯そうが、ステーキが死体を食おうが、私は知ったこっちゃない。あー、楽ー!」
晴れ晴れと笑うオーナーの憎らしさときたらない。いくら文句を浴びせかけても知らぬ存ぜぬ関係ないとばかりな態度で悠々と立っていたオーナーだが、次のユーリの言葉でさっと顔色を変えた。
「あっ。あんたが行くそのカフェ&バーとやら……」
「やめろ!」悲鳴のような声をあげてオーナーはユーリに走り寄った。「絶対何も言うな、お前の予言で全部台無しになる!」
「そうは言っても勝手に見えちまうからなあ」
「口は自分の意志で閉じられるだろう! 無理ならステーキみたいに鎖で口をぐるぐる巻きにしてや……」
「ああっ!」
三つの目玉を丸くひん剥いてユーリが叫び、廊下の奥を指さした。
「一分後に向こうで爆発が起こるぞ!」
「は、爆発!?」
「一昨日来た、戦争したいとか言う馬鹿な客だ。地雷の上に立ってるのがもう限界みたいだ」
「そんな! 爆発なんて片付けが面倒すぎる、急いで励ましに行かないと!」
血相を変えて走り出したオーナーの後ろ姿を見送った後、一同は顔を見合わせた。もう解散でも良いだろう。何か忙しい用事があるわけではないが、宿泊客同士仲良しこよしと言う訳でもないのだから一緒に居るのは居心地が良くない。
立ち上がり出した五人を一瞥したユーリは、ニヤリと笑って顎で掃除用具入れを示した。
「なあ。当日はあんたらも面白い事になりそうだぜ」
「え?」すぐさま食いついたのはシーフだ。「どういう事、僕らも向こうに行ける?」
「いや、行くのは無理だがちょっかいくらいは出せるだろうさ。まあ、新参者の俺にゃ関係ない話だけどな。せいぜい楽しめよ、オリジナルメンバー諸君」
半分嫌味のように言って、ユーリは自分の部屋へと戻って行ってしまった。
少し考えた後、ふらっとシーフが掃除用具入れまで小走りに向かい扉を開け放った。やはり掃除用具が置かれているばかりで、いつもと変わらない様子である。
だが目を凝らすと奥の壁に何かあった。
電球の紐を引いて明かりをつけ、奥の壁に近づいて目を凝らす。壁に筋のようなものが走っているのが見える。大きく、長方形で、そうだ、この形はまるで——扉。
視線を下ろす。うっすらとドアノブのような影が見えた。
シーフがノブを掴んで押すと、まさに扉が開くような音と手ごたえがあった。目の前には変わらず壁があるから進めないが、しかしその向こうに亡霊のような何かがうっすらと見える。真っ黒な濃い霧の向こうにぼんやりと……あれは机か、椅子もある、そしてバーカウンターのような影……。
——店だ。
壁があるから行く事は叶わない。けれど”向こう”が見える。きっと声も聞こえるだろう。こちらとあちらが混じりあい、この掃除用具入れで酷く曖昧なはざまを作り出している。
向こうに干渉が出来る。
「……ねえ!」
四人を呼んだシーフの顔には、悪意を孕んだ深い笑みが浮かんでいる。
カフェ&バーイベント当日に何が起こるか分かっているのは、ユーリただ一人であった。
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