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田中 乃那加

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9.青少年達よ、そろそろ完結だ

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 初めての部屋。
 緊張しない訳が無い。だってここは。

「あの……先輩?」

 僕が腰掛けているのは、ベッド。
 その隣に座っているのは僕の……ええっと……あの、こ、恋人?

 ―――そう。僕に初めての恋人が出来たわけだ。
 大きな身体を少し丸めるように、何故か頭を抱えているこの人。 
 無口で、無表情で不器用な男。容姿端麗、頭脳明晰と誉高いはずなのに、どこか天然な彼は露核 太郎ろかく たろう
 
 色々と誤解があったみたいだけど、この度なんとか両想いになった。
 
「大丈夫?」
「……じゃねぇ」
「えっ」
「テメェが可愛い過ぎて、ヤバい」
「え゙?」

 可愛い。この僕が!?
 この人、目でも悪いんじゃないのかな。僕は平凡でそう人目を惹くような……。

「そういう所だ」
「?」
「そういう慎ましい所も、素敵だ。愛してる、一生大切にする……結婚前提で付き合え」
「ちょっ、ストップストップ!」

 露核先輩って、こんな人だっけ!?
 ていうか、今日は本当によく喋る気がする。
 いつもの寡黙な彼は、どこ行っちゃったんだろ……。

 ギシッ、という軋みの音が妙に大きく聞こえる。
 あっ、と声を上げる前に。

「一郎ッ……!」
「わっ!? せ、先輩っ」

 勢いよくベッドに押し倒された。
 男二人乗ると、やっぱり大きく弾むスプリングに、現実感が希薄になる。
 
「俺は学んだ」
「え?」
「人間はエスパーには成れねぇ」
「は、はぁ」

 何を突然言い出すかと思いきや。
 でもその表情は、酷く真剣で冗談なんか微塵も混じっていない。
 
 綺麗な顔が至近距離にある。
 その事実が、僕の胸を掻き乱す。
 ……睫毛は長く、ふさふさしてるし。
 高い鼻梁も分厚目の唇、すごく色っぽい。

「だから俺は言葉で伝える……愛してる。俺とずっと一緒にいてくれ」
 
 この人は、馬鹿だ。
 頭良いくせに、馬鹿なんだよ。

 だから、僕みたいな平凡な男に愛してるなんて言っちゃうんだ。
 とっても美人で、頭脳明晰な姉がいるのに。

「先輩……」
「太郎、と呼べ」

 切なげに、もどかしそうに言われる。
 そんな言い方されたら、その通りにしたくなるじゃないか。
 どちらかと言うと怖そうな人……だけど、すごく可愛いと思うのは惚れた欲目?

「太郎」
「あぁ」
「き、キスしても……いいかな」
「!?」
「太郎?」
「チッ……」

 舌打ちされた。
 びっくりした後、泣きそうになった僕に彼は言う。

「あんまり煽るんじゃねぇよ……耐久テストかッ!」

 そんな変なツッコミ入れた後、噛み付くようなキスをされた―――。
 

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感想 1

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みんなの感想(1件)

まぁさ
2023.12.07 まぁさ

もう全力で好きなテイストでたまらんです😭😭😭一冊にまとめて欲しいです!!!!

2023.12.09 田中 乃那加

嬉しいお言葉!感想ありがとうございました!!

解除

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