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最悪なルーティンと聖女
「――もうヤダ」
思わず泣き言をぼやきたくなるほどの、最低なルーティンだった。
朝からまず、ドSエルフのねちっこいセックス。
そこで散々喘がされグッタリとしたところで、ようやく朝の支度が始まる。
ルナとステラという、美少女メイドたちが専属のお世話係。
身体のすみずみを洗われる。もちろん中出しされ尽くした尻の穴まで。
……男としてはどうなのだろう。
しかし抵抗しようものならステラの『やっぱり足、切断しよ☆』の一言。
わかり易い脅しである。
しかし元最強の勇者だって、両足は惜しいのだ。
その羞恥心だって、日を追う事に薄れていくのがまた悔しい。
さて。
昼間は、ニアのもとで勉強。
だがそれも難関だ。
「……あのクソガキめ」
腰のダルさに顔をしかめながら、悔しげにつぶやく。
最初は距離が近いわセクハラするわ。
そして結局は押し倒される。
ガムシャラな腰振りに、あられもなく泣かされた。
「そこらの売春婦より、僕は日々ひどい扱い受けてるんだぞ」
「あらまぁ」
ギリギリッ、と奥歯を噛み締めるように唸る。
しかし対してのんびりとした声が返ってくるだけ。
ノンキなものだ。
「ふふっ、ご熱心なのねぇ」
「笑い事じゃないぜ――シスター・マリア」
客人の前というのに、アレンはふくれっ面で行儀悪く足を組む。
久しぶりの女性、しかも元仲間であるというのに。
不機嫌を隠さず先ほどから、顔をしかめっぱなしである。
「しかしアレンが女王とは。時代は変わりました」
「時代とかそーゆー問題じゃないから」
ここよりよっぽど文化的で未来的な暮らしだった前世ですら、男が国王と結婚なんてメチャクチャなことはなかったはずだ。
「でもすごい事じゃありませんか。わたくしも、彼女たちも鼻が高いですわ」
「へぇ? そうかよ」
せせら笑っている、の間違いじゃないか。
なんてイヤミを言わないだけ、大人かもしれない。
そりゃあ。すごいには、すごいのだろう。
しかし解せない事だらけだ。
花嫁修業と言いながら、実際は性奴隷さながらの生活を送っているのだから。
「しかし王家の教育とは、それほど過酷なものですのねぇ」
優雅にティーカップをかたむけていたマリアの表情が、気の毒げに曇る。
城の暮らしは、栄養状態は悪くない。それどころか冒険時代より、規則正しくバランスのとれた食事。
睡眠時間はやや短いが、それも野宿などが当たり前の以前に比べたら。
ケガや病気、ステータス異常に悩まされることもない。
なんせこちらには世界きっての優秀な魔法使いが、回復魔法を適度に (シセロ基準) かけているのだ。
しかし精神的なモノは、どうしようもない。
腹も立つし悔しいし、元ノンケ男としては一刻も早くこの生活をなんとかしたかった。
「同情するなら、ここから連れ出してくれ」
「それは無理ですわね」
即答。
にべもなく、断られた。
まさしく聖女の微笑みを浮かべ、細い指を編むように組む。
「せめて。神の加護が貴方に、と祈りましょう」
そう言って目を閉じた。
「あー……」
ダメだこりゃ、とつぶやく。
宗教とかそういうモノに、正直興味はないし信用もしていない。
そもそも神なんてものがいれば、助走をつけて殴りかかっていただろう。
それくらいの八つ当たりは許される、なんてアレンは思っていた。
なんせ世界を魔王の手から救ったのに、結末が花嫁という名の性玩具。
怒りこそすれ、祈る気分には到底ならなかった。
「ていうかさ。君の神様ってヤツは、同性愛OKなワケ?」
「愛の元にはすべて平等であり、尊い子羊なのですわ」
「あ、そ」
ブツブツと祈りだした聖女に、アレンは今度こそあきれかえる。
ため息をついてから、紅茶のカップの中身を覗き込み砂糖を入れた。
飲み物に媚薬や毒物が入ってるのは、よくあることだから。油断もスキもない。
その犯人はステラだ。
あの足をぶった切った一件から妙に懐いてしまったらしい。
同時に彼女の壊滅的なおっちょこちょいで、イタズラ好き。
その餌食になるのは、いつもアレンであった。
「ハァ……転生したい」
出来ればマトモだった前世へ。
そうでなきゃ、今の状態は回避したい。
「てんせー?」
「いや。なんでもない」
何気なくしたつぶやきを、慌てて打ち消す。
異世界転生なんて、荒唐無稽な話として一笑されたことがあった。
『いやいやいや、ファンタジーじゃあるまいし』
と返されて、異世界で言うか!? と憮然とした記憶がある。
「とはいえ。あの冒険の日々は、わたくしにとっても貴重な体験の連続でしたわ」
神への祈りを終えた聖女が、顔をあげて微笑む。
相変わらずその容姿は美しい。
そして、いささか下品な話だが――豊満な胸も、キュッと引き締まったウエストも魅力的である。
そんなうら若き女性が、田舎村の古い教会をたった一人で守っていたのだから驚きだ。
マリアは冒険時代から、自らの過去をあまり話したがらなかった。
しかし孤児で森に捨てられていた赤子だった彼女を、優しい村人達が拾い育ててきたのは聞いている。
信心深く清らか。
以前、アレンは彼女のアッチの具合について言及したが――あれはウソである。
マリアだけは、あの旅の間も性的関係を結ばなかった。
別に二人はそういう雰囲気にならなかった、というのが正しい。
「マリア。君はまた、あのクソ田舎のボロい教会へ?」
「まあ、遠慮のない方ですわね!」
歯に衣着せぬ物言いに、マリアは片眉を上げる。しかしその口元は嬉しげだ。
こんなやり取り、いつぶりだろう。アレンはどこかホッとしていた。
彼女は、童貞……いや童帝の花嫁などというフザケた立場を忘れさせてくれる存在なのだ。
「なぁマリア。やっぱり僕を連れ出してくれよ」
「それは、はやり難しい相談ですわねぇ」
困ったように笑う。
「貴方はいまや、王家の花嫁ですから」
「だからそれがオカシイんだってば」
「名誉なことですわ」
「うー……」
何を言ってもムダらしい。
盛大に不貞腐れて、砂糖入り紅茶にミルクをぶち込む。
「君は僕が、ここでどんな扱いを受けているのか知らないんだ」
「たいそう愛されているのでしょうね」
「ハァ?」
「ほら、ここ。さぞ情熱的な殿方で……」
「!!!」
首筋を示され、ハッと目を見開く。
どっちの男につけられたのか。どちらにせよ、あの二人は競って痕を付けたがる。
まるで所有の印と言わんばかりに、吸い付いてくるものだからたまらない。
「求められて嫁ぐのは、女の幸せですよ」
「なんだその、古き昭和の考え――」
「しょーわ?」
「いや、気にすんな。とにかく、性欲過多のロクでもない男どもだぞ! 人の身体を散々、オモチャにしやがって……」
この前なんて。二輪挿し、などというアブノーマルプレイを強要された。
入口でなく出口であるはずのアナルに、二本のペニスが突っ込まれるなんて。思わず顔面蒼白で、震えた。
今世は尻からの大量出血で命を終えるのかと絶望したが、大量出血は免れたらしい。
しかし普通に痛かった。痛くないワケがない。
あんなの人間がやる性行為じゃねぇよ、と怒鳴りつければ。
『人間じゃないですけど何か?』
なんて返されて絶句したオマケつきだ。
そういうことじゃない、と返すのもやめた。あと、考えるのもやめた。
「その上、ろくに外にも出してもらえないんだぜ。かごの鳥ってやつさ」
逃げ出そうとした前科があるからだろう。
特にシセロはアレンの行動を制限したがった。
外出はもちろん、誰かと話すのもジッと聞き耳をたてようとする。
来客なんてのも、もってのほかだろう。
しかし彼も決してヒマではない、一国の大臣。そのため、メイド達が主に監視役になるのだが。
「……あっ。アレン様! こんな所に~☆」
「シスター・マリア、少しよろしいでしょうか」
相変わらず凶器の刺股をブンブン振り回しながらのステラと、マリアに恭しく話しかけるルナ。
「君たち、どこから湧いたんだ」
「うへへ☆ アレン様、いっけないんだ~! ウワキしてる~☆ シセロ様が知ったら激おこプンプン丸だよぉ?」
「うっせぇ。あの変態が怖くて、女と会ってられるかよ」
ツンツン、と頬をつっついてくるステラの手を払って舌を出す。
こういうやり取りは日常茶飯事。
一応立場的には、アレンの方が上らしいが。
「で、何の用だ」
どうも妙な味のする紅茶を押しのけて、二人をにらみつける。
あの腹黒の事だ。ロクな思惑でないだろう、と疑心暗鬼満々だ。
「ええっとねぇ。シセロ様がシスター・マリアとお話ししたいんだって☆ だから、アタシが案内してあげる!」
「ハァ? なんでまた……」
「いいからっ☆ いこ、マリアたん!」
「おいおい、マリアたんって……」
ぴょこん、頭を下げてステラが笑う。
「あらまぁ。可愛らしいメイドさんですわね。いいでしょう、連れて行ってくださいまし」
「お、おい。マリア!」
「りょーかい☆ んじゃ、ちょっとマリアたん借りるね☆」
アレンが止めるのも聞かず、ステラは彼女の腕を引くように部屋を去って行った。
後に残されたのは、相変わらずしかめっ面のアレンと無表情なルナ。
「アレン様」
「なんだよ」
カチャリ、と茶器を持ち上げる音に見る。
「紅茶が冷めてしまったようなので、お代わりをお持ちします」
「ふん、君はまともなのを入れてくれよ」
「承知しました、アレン様」
深々と頭を下げたメイドは、静かに部屋を出ていった。
「……ま、あいつよりはマシかな」
失敗ばかり。イタズラばかりの彼女よりは、幾分仕事が出来そうだ。
小さく息を吐き、テーブルに肘をつく。
「さっさとこの城を出ないと」
本当に童貞だか童帝だか、の子を孕まされちまう。
――そう小さく呟いた。
思わず泣き言をぼやきたくなるほどの、最低なルーティンだった。
朝からまず、ドSエルフのねちっこいセックス。
そこで散々喘がされグッタリとしたところで、ようやく朝の支度が始まる。
ルナとステラという、美少女メイドたちが専属のお世話係。
身体のすみずみを洗われる。もちろん中出しされ尽くした尻の穴まで。
……男としてはどうなのだろう。
しかし抵抗しようものならステラの『やっぱり足、切断しよ☆』の一言。
わかり易い脅しである。
しかし元最強の勇者だって、両足は惜しいのだ。
その羞恥心だって、日を追う事に薄れていくのがまた悔しい。
さて。
昼間は、ニアのもとで勉強。
だがそれも難関だ。
「……あのクソガキめ」
腰のダルさに顔をしかめながら、悔しげにつぶやく。
最初は距離が近いわセクハラするわ。
そして結局は押し倒される。
ガムシャラな腰振りに、あられもなく泣かされた。
「そこらの売春婦より、僕は日々ひどい扱い受けてるんだぞ」
「あらまぁ」
ギリギリッ、と奥歯を噛み締めるように唸る。
しかし対してのんびりとした声が返ってくるだけ。
ノンキなものだ。
「ふふっ、ご熱心なのねぇ」
「笑い事じゃないぜ――シスター・マリア」
客人の前というのに、アレンはふくれっ面で行儀悪く足を組む。
久しぶりの女性、しかも元仲間であるというのに。
不機嫌を隠さず先ほどから、顔をしかめっぱなしである。
「しかしアレンが女王とは。時代は変わりました」
「時代とかそーゆー問題じゃないから」
ここよりよっぽど文化的で未来的な暮らしだった前世ですら、男が国王と結婚なんてメチャクチャなことはなかったはずだ。
「でもすごい事じゃありませんか。わたくしも、彼女たちも鼻が高いですわ」
「へぇ? そうかよ」
せせら笑っている、の間違いじゃないか。
なんてイヤミを言わないだけ、大人かもしれない。
そりゃあ。すごいには、すごいのだろう。
しかし解せない事だらけだ。
花嫁修業と言いながら、実際は性奴隷さながらの生活を送っているのだから。
「しかし王家の教育とは、それほど過酷なものですのねぇ」
優雅にティーカップをかたむけていたマリアの表情が、気の毒げに曇る。
城の暮らしは、栄養状態は悪くない。それどころか冒険時代より、規則正しくバランスのとれた食事。
睡眠時間はやや短いが、それも野宿などが当たり前の以前に比べたら。
ケガや病気、ステータス異常に悩まされることもない。
なんせこちらには世界きっての優秀な魔法使いが、回復魔法を適度に (シセロ基準) かけているのだ。
しかし精神的なモノは、どうしようもない。
腹も立つし悔しいし、元ノンケ男としては一刻も早くこの生活をなんとかしたかった。
「同情するなら、ここから連れ出してくれ」
「それは無理ですわね」
即答。
にべもなく、断られた。
まさしく聖女の微笑みを浮かべ、細い指を編むように組む。
「せめて。神の加護が貴方に、と祈りましょう」
そう言って目を閉じた。
「あー……」
ダメだこりゃ、とつぶやく。
宗教とかそういうモノに、正直興味はないし信用もしていない。
そもそも神なんてものがいれば、助走をつけて殴りかかっていただろう。
それくらいの八つ当たりは許される、なんてアレンは思っていた。
なんせ世界を魔王の手から救ったのに、結末が花嫁という名の性玩具。
怒りこそすれ、祈る気分には到底ならなかった。
「ていうかさ。君の神様ってヤツは、同性愛OKなワケ?」
「愛の元にはすべて平等であり、尊い子羊なのですわ」
「あ、そ」
ブツブツと祈りだした聖女に、アレンは今度こそあきれかえる。
ため息をついてから、紅茶のカップの中身を覗き込み砂糖を入れた。
飲み物に媚薬や毒物が入ってるのは、よくあることだから。油断もスキもない。
その犯人はステラだ。
あの足をぶった切った一件から妙に懐いてしまったらしい。
同時に彼女の壊滅的なおっちょこちょいで、イタズラ好き。
その餌食になるのは、いつもアレンであった。
「ハァ……転生したい」
出来ればマトモだった前世へ。
そうでなきゃ、今の状態は回避したい。
「てんせー?」
「いや。なんでもない」
何気なくしたつぶやきを、慌てて打ち消す。
異世界転生なんて、荒唐無稽な話として一笑されたことがあった。
『いやいやいや、ファンタジーじゃあるまいし』
と返されて、異世界で言うか!? と憮然とした記憶がある。
「とはいえ。あの冒険の日々は、わたくしにとっても貴重な体験の連続でしたわ」
神への祈りを終えた聖女が、顔をあげて微笑む。
相変わらずその容姿は美しい。
そして、いささか下品な話だが――豊満な胸も、キュッと引き締まったウエストも魅力的である。
そんなうら若き女性が、田舎村の古い教会をたった一人で守っていたのだから驚きだ。
マリアは冒険時代から、自らの過去をあまり話したがらなかった。
しかし孤児で森に捨てられていた赤子だった彼女を、優しい村人達が拾い育ててきたのは聞いている。
信心深く清らか。
以前、アレンは彼女のアッチの具合について言及したが――あれはウソである。
マリアだけは、あの旅の間も性的関係を結ばなかった。
別に二人はそういう雰囲気にならなかった、というのが正しい。
「マリア。君はまた、あのクソ田舎のボロい教会へ?」
「まあ、遠慮のない方ですわね!」
歯に衣着せぬ物言いに、マリアは片眉を上げる。しかしその口元は嬉しげだ。
こんなやり取り、いつぶりだろう。アレンはどこかホッとしていた。
彼女は、童貞……いや童帝の花嫁などというフザケた立場を忘れさせてくれる存在なのだ。
「なぁマリア。やっぱり僕を連れ出してくれよ」
「それは、はやり難しい相談ですわねぇ」
困ったように笑う。
「貴方はいまや、王家の花嫁ですから」
「だからそれがオカシイんだってば」
「名誉なことですわ」
「うー……」
何を言ってもムダらしい。
盛大に不貞腐れて、砂糖入り紅茶にミルクをぶち込む。
「君は僕が、ここでどんな扱いを受けているのか知らないんだ」
「たいそう愛されているのでしょうね」
「ハァ?」
「ほら、ここ。さぞ情熱的な殿方で……」
「!!!」
首筋を示され、ハッと目を見開く。
どっちの男につけられたのか。どちらにせよ、あの二人は競って痕を付けたがる。
まるで所有の印と言わんばかりに、吸い付いてくるものだからたまらない。
「求められて嫁ぐのは、女の幸せですよ」
「なんだその、古き昭和の考え――」
「しょーわ?」
「いや、気にすんな。とにかく、性欲過多のロクでもない男どもだぞ! 人の身体を散々、オモチャにしやがって……」
この前なんて。二輪挿し、などというアブノーマルプレイを強要された。
入口でなく出口であるはずのアナルに、二本のペニスが突っ込まれるなんて。思わず顔面蒼白で、震えた。
今世は尻からの大量出血で命を終えるのかと絶望したが、大量出血は免れたらしい。
しかし普通に痛かった。痛くないワケがない。
あんなの人間がやる性行為じゃねぇよ、と怒鳴りつければ。
『人間じゃないですけど何か?』
なんて返されて絶句したオマケつきだ。
そういうことじゃない、と返すのもやめた。あと、考えるのもやめた。
「その上、ろくに外にも出してもらえないんだぜ。かごの鳥ってやつさ」
逃げ出そうとした前科があるからだろう。
特にシセロはアレンの行動を制限したがった。
外出はもちろん、誰かと話すのもジッと聞き耳をたてようとする。
来客なんてのも、もってのほかだろう。
しかし彼も決してヒマではない、一国の大臣。そのため、メイド達が主に監視役になるのだが。
「……あっ。アレン様! こんな所に~☆」
「シスター・マリア、少しよろしいでしょうか」
相変わらず凶器の刺股をブンブン振り回しながらのステラと、マリアに恭しく話しかけるルナ。
「君たち、どこから湧いたんだ」
「うへへ☆ アレン様、いっけないんだ~! ウワキしてる~☆ シセロ様が知ったら激おこプンプン丸だよぉ?」
「うっせぇ。あの変態が怖くて、女と会ってられるかよ」
ツンツン、と頬をつっついてくるステラの手を払って舌を出す。
こういうやり取りは日常茶飯事。
一応立場的には、アレンの方が上らしいが。
「で、何の用だ」
どうも妙な味のする紅茶を押しのけて、二人をにらみつける。
あの腹黒の事だ。ロクな思惑でないだろう、と疑心暗鬼満々だ。
「ええっとねぇ。シセロ様がシスター・マリアとお話ししたいんだって☆ だから、アタシが案内してあげる!」
「ハァ? なんでまた……」
「いいからっ☆ いこ、マリアたん!」
「おいおい、マリアたんって……」
ぴょこん、頭を下げてステラが笑う。
「あらまぁ。可愛らしいメイドさんですわね。いいでしょう、連れて行ってくださいまし」
「お、おい。マリア!」
「りょーかい☆ んじゃ、ちょっとマリアたん借りるね☆」
アレンが止めるのも聞かず、ステラは彼女の腕を引くように部屋を去って行った。
後に残されたのは、相変わらずしかめっ面のアレンと無表情なルナ。
「アレン様」
「なんだよ」
カチャリ、と茶器を持ち上げる音に見る。
「紅茶が冷めてしまったようなので、お代わりをお持ちします」
「ふん、君はまともなのを入れてくれよ」
「承知しました、アレン様」
深々と頭を下げたメイドは、静かに部屋を出ていった。
「……ま、あいつよりはマシかな」
失敗ばかり。イタズラばかりの彼女よりは、幾分仕事が出来そうだ。
小さく息を吐き、テーブルに肘をつく。
「さっさとこの城を出ないと」
本当に童貞だか童帝だか、の子を孕まされちまう。
――そう小さく呟いた。
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