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女装でなく変装である1
王都であり、いわゆるその城下町であるエアリクルムは人が多く行き交い賑わう町だ。
旅人、商人、住人。
華やかで常に声と足音が絶えない。
「久しぶりに来たが、すごいな」
何日、いや何週間ぶりかの外出。特に賑やかな市場の様子を眺める。
その姿は珍しいモノを見て目を輝かせている子どものようだった。
「おっ、あそこで売ってる防具――いや、なんでもない」
村や町に立ち寄ったら、まず宿屋と武器屋はチェックする。
これが冒険者であった彼の習慣であった。
「いいのか」
「今の僕には必要のないものだ」
魔王は倒されても、魔物達はそこらかしこにいる。
それは人と共存するだけでは無く、今でも種族の誇りと人に対する恨みを抱き戦う者達。さらには単純に賊として奪略を繰り返す者達――とにかく世界はあまり変わらないのだ。
「あれから剣一つ握らないもんでさ。すっかり腕、なまっちまっただろうなァ」
そう言ってため息をつく。
花嫁と呼ばれ、城に軟禁状態だったのだから仕方ない。つまり次期女王には、そういった事は不要なのだ。
「……これからは必要かもしれねぇだろ」
「え?」
アレックスの言葉に、顔を上げる。
「この国を出で、新しい人生ってやつだ。嫌でも一緒に戦ってもらうぜ」
「!」
不覚にも胸が高なった。
その表情は赤面するほどに優しく、朗らかだったからだ。
とても覗き行為にいそしむムッツリスケベとは思えない。
「君こそ、戦いは嫌いなんじゃないのか?」
「アレンが一緒なら、それも楽しかろうよ」
「き、君は見た目と違ってキザな事を言うんだな」
今だってピチピチの半袖Tシャツに、半ズボンという。どこか浮いた格好で、その筋骨隆々な身体を晒している。
まさにThe脳筋キャラといった風体だ。
「ん? オレは思ったことしか言わねぇ。特にアレン、お前に対してはな」
「そういうとこだぞ、この残念なイケメンが!」
「?」
とてつもなく悔しく、そして恥ずかしくなってそっぽを向く。
そしてその反応を不思議がるアレックスをよそに、ぶっきらぼうに『で、目的地は』とたずねる。
「おぅ。そうだな。まずは少し馴染みの店に顔を出すか」
「ふーん」
「こっちだ」
「っ、お、おい! なにすんだよッ」
「ん?」
突然、なんのためらいもなく手を取って歩きだそうとする。だから思わず声をあげれば、キョトンと首を傾げる始末だ。
「手!」
「うむ。オレの足は速いらしい。手をつなげ、とよく女友達に言われる。そうでないと置いていかれる、ってな」
「……それ。そーゆー意味じゃないと思うぞ」
向けられる愛情にはとことん鈍いらしい。
その女友達とやらも、本当に追いつけないから手をつなげと言ったワケではあるまい。
それを額面通りに受け取るのが、この男らしいのだろう。
「?」
「あぁっもう、そのキョトン顔やめろ! あざと過ぎてムカつく」
「あざとい……?」
美形だがゴツイ男。
そのくせ、まるで犬のように可愛らしく見える時がある。
きっとさぞかし女にもモテるだろう、と考えたアレンの眉間に深いシワが刻まれた。
「意味は分からんが、この顔はどうしようもねぇぜ」
「チッ……もういい!」
つかまれた手を振り払うことも忘れ、アレンは猛然と歩き出す。
「おい、どうした。怒ってんのか」
「怒ってないっ、呆れてるだけだ」
後ろで聞こえる声なんて無視。
それでも、つないだ手を離す気にならなかったのは何故か。
大きな手はとても温かく、アレンの心を今までになかった感情で包み込んだからだろう。
※※※
「いらっしゃイ。また来たノカ」
客に向かってあんまりな言葉で迎えられたのは、ある一軒の店。
ここが馴染みの店、というやつらしい。
あまり広くない店内。奥のカウンターには一人の娘が座っていて、彼らに顔を向けている。
「レナナ」
褐色の肌と、訛りとカタコト混じりの言葉で異国の者だとわかった。
「気安ク呼ぶな。筋肉バカ」
「相変わらずクソ生意気だな」
これには渋面のアレックスだが、娘はお構い無しである。
マッシュルームヘアの毛先をもてあそびながら、ふと隣にたたずむアレンに気がついた。
「アレックス、その子」
「おぅ、こいつは――」
「……死ネ!!!」
「!?」
突然、なにかが飛んできた。
ギラリと陰鬱に光ったそれは、ナイフ。
まっすぐ風を切って、彼らの頭の後ろ。ドアに、ストンッと小気味の良い音を立てて突き刺さった。
「おい、お前なにしてんだ」
「アレックス、見損なっタヨ!」
「?」
アレンは固まり、アレックスはドスを効かせて怒鳴りつける。
しかし娘は負けじと叫んだ。
「確かにアレックスはアホだしナルシストだし、頭も悪イヨ? だからモテないって分かってル。でも――」
「ちょっと待て、突然なんだ。悪口にしても酷すぎるだろう」
ヒートアップした彼女は、思い切りカウンターを殴る。
「だからっテ、人さらイは良くナイヨ!!!」
「……人さらい?」
「無理矢理、ダメ、ゼッタイ! レイプ、しちゃダメヨ!」
「れ、れれれレイプ!?」
これはアレンだ。
どうやら彼女は、アレックスがアレンをさらって強引にモノにした。誘拐犯の強姦魔だと言いたいらしい。
「ワタシが制裁加えるネ! 男装マデさせて誤魔化せると思ったか。この女の敵メ!!!」
――スチャッ。
どこから出したのか。
今度は魔法銃を構えてきた。
「お嬢サン、今のうちに逃ゲテ! コイツは責任持って射殺するネ」
「おいおい待ちやがれ。このバカ女」
「ウルサイッ。黙レ! %#@〈→↓#〉@&$\$!!!」
最後の方はなんだか意味不明な言語をわめきながら、照準を合わせてくる。
「ちょっ、アレックス! これヤバイんじゃあ……」
「やれやれ。困ったヤツだぜ」
慌てふためくアレンに対し、彼は肩をすくめただけだった。
そして右手を大きく広げ、突きつける銃口に向ける。
「オレの手に触れたものは、全て壊す」
「は? 壊す前に、貫通させるネ。この馬鹿力」
「やってみろ。その頭蓋骨、粉々に壊してやる」
「フンッ。そのセリフ、お返しするヨ」
殺気立つ異様な空気。
両者は一歩も引かない。
「お、おい。レナナ、さん? 別に僕は……」
「アタシがいるからには、もう大丈夫ネ。お嬢サンこそ、早ク逃げるト良いヨ」
「だから僕は……っ」
「平気ヨ。アタシ、銃の腕は一級品ヨ」
「そういう事じゃなくってぇぇ」
だいたいお嬢さんですらない。
どうやらこの娘、本気で彼を被害者 (しかも女)だと思い込んでいるようだ。
あと隣にいるアレックスだけを、撃ち抜く自信を持っている。
さらに弁明しようと口を開けば。
「アレン、下がってな。オレが守るぜ」
逞しい腕が肩に回る。
「あ、アレックス」
「それにしても、お前が女に見えるとは――今度、ドレス着てみてくれねぇか」
「……」
「言っておくが、これは純粋な好奇心だ。オレは気になることがあると、夜も寝られねぇ」
「……」
「色は白を基調にした物はどうだろうか。マーメイドラインかプリンセスラインで迷うところだが。この際、ミニ丈っていうのも捨てがたいが」
「君、それ……」
「勘違いするんじゃねぇぜ。これは別にスケベ心とか、下心とかそういうんじゃなくてな。非常に重要な調査というかなんというか。ああ、とりあえず今日のところは手続きだけ進めておくか」
「この色ボケ野郎がァァッ!!!」
結局はウェディングドレスを着せようとする脳筋男に、肘鉄が炸裂した。
6LDKのバキバキな腹筋にはダメージ皆無だったらしく、アレンは舌打ちして何度も打ち込む。
「クソッ、心配して損した! このアホゴリラ!!!」
「おぅ。心配してくれたのか」
「うっさい! この変態ッ、大人しく撃たれて死ね!」
「照れているのか。可愛い奴だな」
「このクソッタレめぇぇぇぇっ!!!」
緊迫した空気はどこへやら。
途端、くだらない夫婦漫才みたくなった二人をポカン顔で見つめるレナナ。
「ど、どーゆーことネ……」
その時だった。
「ちょっと何騒いでんのっ!!! 外まで聞こえてるわよ!」
大きな音を立てて、ドアが開く。
そしてそれより大きく怒鳴りつける声と、飛び込んできた人物――。
「ぼ、ボス!」
そこに立っていたのは全身火柱……のような女であった。
旅人、商人、住人。
華やかで常に声と足音が絶えない。
「久しぶりに来たが、すごいな」
何日、いや何週間ぶりかの外出。特に賑やかな市場の様子を眺める。
その姿は珍しいモノを見て目を輝かせている子どものようだった。
「おっ、あそこで売ってる防具――いや、なんでもない」
村や町に立ち寄ったら、まず宿屋と武器屋はチェックする。
これが冒険者であった彼の習慣であった。
「いいのか」
「今の僕には必要のないものだ」
魔王は倒されても、魔物達はそこらかしこにいる。
それは人と共存するだけでは無く、今でも種族の誇りと人に対する恨みを抱き戦う者達。さらには単純に賊として奪略を繰り返す者達――とにかく世界はあまり変わらないのだ。
「あれから剣一つ握らないもんでさ。すっかり腕、なまっちまっただろうなァ」
そう言ってため息をつく。
花嫁と呼ばれ、城に軟禁状態だったのだから仕方ない。つまり次期女王には、そういった事は不要なのだ。
「……これからは必要かもしれねぇだろ」
「え?」
アレックスの言葉に、顔を上げる。
「この国を出で、新しい人生ってやつだ。嫌でも一緒に戦ってもらうぜ」
「!」
不覚にも胸が高なった。
その表情は赤面するほどに優しく、朗らかだったからだ。
とても覗き行為にいそしむムッツリスケベとは思えない。
「君こそ、戦いは嫌いなんじゃないのか?」
「アレンが一緒なら、それも楽しかろうよ」
「き、君は見た目と違ってキザな事を言うんだな」
今だってピチピチの半袖Tシャツに、半ズボンという。どこか浮いた格好で、その筋骨隆々な身体を晒している。
まさにThe脳筋キャラといった風体だ。
「ん? オレは思ったことしか言わねぇ。特にアレン、お前に対してはな」
「そういうとこだぞ、この残念なイケメンが!」
「?」
とてつもなく悔しく、そして恥ずかしくなってそっぽを向く。
そしてその反応を不思議がるアレックスをよそに、ぶっきらぼうに『で、目的地は』とたずねる。
「おぅ。そうだな。まずは少し馴染みの店に顔を出すか」
「ふーん」
「こっちだ」
「っ、お、おい! なにすんだよッ」
「ん?」
突然、なんのためらいもなく手を取って歩きだそうとする。だから思わず声をあげれば、キョトンと首を傾げる始末だ。
「手!」
「うむ。オレの足は速いらしい。手をつなげ、とよく女友達に言われる。そうでないと置いていかれる、ってな」
「……それ。そーゆー意味じゃないと思うぞ」
向けられる愛情にはとことん鈍いらしい。
その女友達とやらも、本当に追いつけないから手をつなげと言ったワケではあるまい。
それを額面通りに受け取るのが、この男らしいのだろう。
「?」
「あぁっもう、そのキョトン顔やめろ! あざと過ぎてムカつく」
「あざとい……?」
美形だがゴツイ男。
そのくせ、まるで犬のように可愛らしく見える時がある。
きっとさぞかし女にもモテるだろう、と考えたアレンの眉間に深いシワが刻まれた。
「意味は分からんが、この顔はどうしようもねぇぜ」
「チッ……もういい!」
つかまれた手を振り払うことも忘れ、アレンは猛然と歩き出す。
「おい、どうした。怒ってんのか」
「怒ってないっ、呆れてるだけだ」
後ろで聞こえる声なんて無視。
それでも、つないだ手を離す気にならなかったのは何故か。
大きな手はとても温かく、アレンの心を今までになかった感情で包み込んだからだろう。
※※※
「いらっしゃイ。また来たノカ」
客に向かってあんまりな言葉で迎えられたのは、ある一軒の店。
ここが馴染みの店、というやつらしい。
あまり広くない店内。奥のカウンターには一人の娘が座っていて、彼らに顔を向けている。
「レナナ」
褐色の肌と、訛りとカタコト混じりの言葉で異国の者だとわかった。
「気安ク呼ぶな。筋肉バカ」
「相変わらずクソ生意気だな」
これには渋面のアレックスだが、娘はお構い無しである。
マッシュルームヘアの毛先をもてあそびながら、ふと隣にたたずむアレンに気がついた。
「アレックス、その子」
「おぅ、こいつは――」
「……死ネ!!!」
「!?」
突然、なにかが飛んできた。
ギラリと陰鬱に光ったそれは、ナイフ。
まっすぐ風を切って、彼らの頭の後ろ。ドアに、ストンッと小気味の良い音を立てて突き刺さった。
「おい、お前なにしてんだ」
「アレックス、見損なっタヨ!」
「?」
アレンは固まり、アレックスはドスを効かせて怒鳴りつける。
しかし娘は負けじと叫んだ。
「確かにアレックスはアホだしナルシストだし、頭も悪イヨ? だからモテないって分かってル。でも――」
「ちょっと待て、突然なんだ。悪口にしても酷すぎるだろう」
ヒートアップした彼女は、思い切りカウンターを殴る。
「だからっテ、人さらイは良くナイヨ!!!」
「……人さらい?」
「無理矢理、ダメ、ゼッタイ! レイプ、しちゃダメヨ!」
「れ、れれれレイプ!?」
これはアレンだ。
どうやら彼女は、アレックスがアレンをさらって強引にモノにした。誘拐犯の強姦魔だと言いたいらしい。
「ワタシが制裁加えるネ! 男装マデさせて誤魔化せると思ったか。この女の敵メ!!!」
――スチャッ。
どこから出したのか。
今度は魔法銃を構えてきた。
「お嬢サン、今のうちに逃ゲテ! コイツは責任持って射殺するネ」
「おいおい待ちやがれ。このバカ女」
「ウルサイッ。黙レ! %#@〈→↓#〉@&$\$!!!」
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「ちょっ、アレックス! これヤバイんじゃあ……」
「やれやれ。困ったヤツだぜ」
慌てふためくアレンに対し、彼は肩をすくめただけだった。
そして右手を大きく広げ、突きつける銃口に向ける。
「オレの手に触れたものは、全て壊す」
「は? 壊す前に、貫通させるネ。この馬鹿力」
「やってみろ。その頭蓋骨、粉々に壊してやる」
「フンッ。そのセリフ、お返しするヨ」
殺気立つ異様な空気。
両者は一歩も引かない。
「お、おい。レナナ、さん? 別に僕は……」
「アタシがいるからには、もう大丈夫ネ。お嬢サンこそ、早ク逃げるト良いヨ」
「だから僕は……っ」
「平気ヨ。アタシ、銃の腕は一級品ヨ」
「そういう事じゃなくってぇぇ」
だいたいお嬢さんですらない。
どうやらこの娘、本気で彼を被害者 (しかも女)だと思い込んでいるようだ。
あと隣にいるアレックスだけを、撃ち抜く自信を持っている。
さらに弁明しようと口を開けば。
「アレン、下がってな。オレが守るぜ」
逞しい腕が肩に回る。
「あ、アレックス」
「それにしても、お前が女に見えるとは――今度、ドレス着てみてくれねぇか」
「……」
「言っておくが、これは純粋な好奇心だ。オレは気になることがあると、夜も寝られねぇ」
「……」
「色は白を基調にした物はどうだろうか。マーメイドラインかプリンセスラインで迷うところだが。この際、ミニ丈っていうのも捨てがたいが」
「君、それ……」
「勘違いするんじゃねぇぜ。これは別にスケベ心とか、下心とかそういうんじゃなくてな。非常に重要な調査というかなんというか。ああ、とりあえず今日のところは手続きだけ進めておくか」
「この色ボケ野郎がァァッ!!!」
結局はウェディングドレスを着せようとする脳筋男に、肘鉄が炸裂した。
6LDKのバキバキな腹筋にはダメージ皆無だったらしく、アレンは舌打ちして何度も打ち込む。
「クソッ、心配して損した! このアホゴリラ!!!」
「おぅ。心配してくれたのか」
「うっさい! この変態ッ、大人しく撃たれて死ね!」
「照れているのか。可愛い奴だな」
「このクソッタレめぇぇぇぇっ!!!」
緊迫した空気はどこへやら。
途端、くだらない夫婦漫才みたくなった二人をポカン顔で見つめるレナナ。
「ど、どーゆーことネ……」
その時だった。
「ちょっと何騒いでんのっ!!! 外まで聞こえてるわよ!」
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「ぼ、ボス!」
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