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女装でなく変装である3
「どーせこんなことだろうと思った!」
アレンは腹立たしげにわめいた。
「スゴく似合ってるネ!」
「あら本当に。なかなか悪くないわねェ」
いつの間に立ち直ったのか、メイク道具片手に荒ぶる鷹のポーズをとるミナナ。そして優雅に紅茶をすすって眺めるヘラがいる。
――変装の手伝いを、と店の奥に連れ込まれてから一時間ほど。
気がつけば目の前の姿見鏡には、一人の美少女が映り込んでいた。
「もともと、かわい子ちゃんだもの。その服も素敵だわ」
「……」
ゆるく巻いたブラウンの髪に、露出ひかえめなブラウスにロングスカートの出で立ち。
いわゆる良家のお嬢様風、といったところだろうか。
メイクも派手でなく。あくまでナチュラルに。
悲しいかな、それは女顔のアレンには非常にさまになってた。
まるで本物の女性、いやそれ以上に清楚で可憐で愛らしい姿である。
「か、可愛い」
思わず自分のことながら、鏡の中につぶやく。
「当たり前ネ。アタシの腕、最高ヨ!」
「ふふ、まったく。どこからどう見ても、女の子にしか見えないわねェ。アレックス、どうかしら」
「うむ。綺麗だ。が……」
褒める割に浮かない顔の男。
首をかしげながら近づき、やおらにペタペタと腕やら肩やらに触り出す。
「お、おい。なんだよ」
「なんかな……おっ」
「!!!」
無遠慮な手が腰をさすり、尻を揉み始めて飛び上がる。
「おう、アレンだな」
「どこで確認してんだっ、このスケベ!」
「ぐおっ」
怒りのあまりか顔を赤らめ、彼の股間目掛けて蹴りをお見舞いする。
さすがの大男も、金蹴りは低いうめきをあげてうずくまった。
「だけど、本当にこんなことまでしてもらって……」
そう。服やメイク、すべてこの店の奥で用意されたものだ。
「うちは『何でも屋』だからねェ」
この店は一見、なんの看板も掲げていない。店内には簡単な魔法薬や小物が、ファンシーショップよろしく飾られているだけだ。
しかしその実態は、何でも屋や便利屋である。
モンスター狩りから密偵人探し、さらには (ワケありの)配達でも請け負う。
とは言っても。ここで直接依頼を受けるのは少なく、大抵はヘラの息がかかった他の店からの下請けが多い。
彼女は裏社会とも通じており、その手の事情もくんだ場所なのである。
「でもボス、最近仕事少ないネ」
「アンタ達に回せるものが、ね。大体はケチでツマラナイものよ」
「うーっ、アタシ働きたいヨ。この前みたいに、モンスターばったばった倒したいネ!」
「あら。あれは採集しろって言ったんだけど? あんなミンチ肉にしたら、ダメでしょうが」
「だってぇ面白くて、つい」
「ちょっとは力加減なさい」
「ぅむー」
口を尖らせるミナナと笑って諭す女主人を眺めながら、なんだか頼りになるのだかならないのだか分からなくなる。
「でも無料ってワケにはいかないわよ」
「うぐっ、分かっているよ……いくらだ」
どう足掻いても、今も身体をさわさわと触りまくるこの男に頼らざるを得ない。
そうすれば借りが出来て、より一層自由になる足枷になるだろう。
別に知らん顔して逃げればいいだろうが、アレンだって別に悪人でも悪女でもない。罪悪感やらなんやらだって当然あるし、この男だって簡単に逃がしてはくれないだろう。
それを思うと、苛立ちもつのる。
「そうねェ。この服だって、ウチの従業員の技術料も安くはないし」
「ええいっ、まどろっこしいな。早く言えよ」
業を煮やし声をあげれば、ニヤリと笑みを返された。
「ウチの従業員となって、いくつか仕事してもらうわ。二人で」
「……は、はぁぁぁっ!?」
「ふむ」
これにはアレックスと顔を見合わせるしかない。
そしてこれでまた国外逃亡が遠のいた、とうなだれるのであった。
※※※
最初に与えられた仕事は、単なる配達だとヘラは言っていた。
「君も普段、こんなことしてるのかよ」
何が入っているのか分からない真っ黒な箱を手に、アレンはアレックスを睨みつける。
「いや。オレはインストラクターの仕事があるからな。しかし最初のうちは、よく彼女の元でバイトしてたっけな」
「ふぅん」
彼もヘラに対しては大人しく言うことを聞いていたし、やはり付き合いも長そうだ。
いわゆる、下積み時代にしていたバイト先に恩を感じているというところか。そう考えれば、やはりこのまま踏み倒して逃げるには難しい。
ヘラもその危険性も考えて、二人で行ってこいと言ったのだろう。
「なんだ。もしかして妬いてくれたか」
「ンなわけないだろ。自惚れんなよ」
人間皆、この外見だけ良い男に騙されると思うな。そう釘をさす。
町に出れば、たちまち女や男に声をかけられるのがアレックスだ。
親しげな、中には尊敬や思慕に満ちた瞳に囲まれた彼をぼんやりと眺めていた。
「オレにはアレンだけだぞ」
「……バカじゃないの」
真剣な眼差しと言葉が降り注ぐ。
自分より高い位置にある顔を、無駄 (!)に整った瞳を見上げることもなく歩きだす。
「そういうのは、さっきの可愛いお嬢さんにでも言ってやればいい」
「お前じゃないヤツに言ってどうすんだ。オレは、アレンが――」
「ったく、うるさいなァ! 僕と君は、まだ出会ったばかりだろうが」
いい加減に面倒になってくる。
アレンだって好意を向けられるのも慣れているし、ここの所は実力行使で組み伏せられてきたワケだが。
この無骨そうな男は、どれだけの美少女や美女に話しかけられていてもずっと彼の方にばかり熱い視線をむけているのだ。
「確かにオレとお前、お互い知らないことは多いな」
「ほらみろ。君は僕のどこを気に入ったのか知らないが、僕は君みたいな男は嫌いだ」
「……そうなのか」
「そうさ。だから諦めろよな。君なら他に沢山いるだろ。五分ほど前に道を聞いてきた露出度高い服装の娘さんとか。まぁ、僕はもうあのタイプは避けたいな。だいたい身体同様、頭もユルい」
「……」
スン、と黙り込んだアレックスを振り返る。
「おい、なにしてんだ」
「ん」
どこから取り出したのか、ペンと小さなノートを取り出して熱心に何やら書いていた。
「お前の事を知りたくてな……好きなタイプは清楚、と」
「違う。そーゆー事じゃない」
「オレは今まで恋なんてモノをしたことが無い。しようとも思ってなかった。だがアレンを一目見たときから、恋の奴隷ってヤツになっちまったらしい」
「は、ハァ?」
えらくキザなセリフが、飛び出してきたものだ。
生真面目な顔の大男の言葉に、吹き出してやろうかと思ったがそれもタイミングを外した。
そして気がつけば、あの大きな手が伸びてくる。
「大切にする……生涯をかけて」
「お、おい」
手が包み込まれた。
温かくて大きな掌に、捕まえられたのだと気がつく。
「アレン」
エメラルドグリーンの瞳が、真っ直ぐこちらを覗いている。
恐ろしいほど美しく雄々しい男が、緊張の汗さえ滲ませて言葉をつむぐ。
「愛している。生涯をかけて、お前を幸せに――いや、お前と幸せになりたい」
「えっ、あっ、ええっ!?」
ここは町中である。
しかも繁華街ど真ん中。そんな所で、突然美青年が美少女 (本当は青年であるが)に限りなくプロポーズな愛の言葉を告げたのだ。
どんな感動的な舞台劇のワンシーンか、というばかりに人々はどよめき感嘆した。
「あ、アレックス! ちょ、待て。こんな、所で……」
「オレの気持ちを受け取ってくれ」
真っ赤になって逃げ出そうにも、手を握られていては叶わない。
みるみるうちに、そのまま逞しい胸筋に閉じ込められるように抱きしめられていた。
「好きだ、アレン」
「時と場所を考えろっ、このケダモノめ!」
「確かにお前の前だと紳士では居られないのかもしれねぇな」
「紳士じゃなくて良いからっ、まず離せっ!」
「照れてるのか」
「確かに羞恥心は感じてるけど、なにもこんなところで……っ、ドコ触ってんだ!!」
まるで鯖折りみたく締め上げたまま、腰をさすられて声をあげる。
しかし返ってきた言葉は、ノンキなもので。
「子どもは何人にしようか」
「知るかッ、公然わいせつだぞ!」
「きっとアレンに似て、可愛い子だろうな」
「君は、人の話を聞け!!」
「最初は女の子がいいな。男だと、オレが嫉妬しちまう……うむ、やはりしばらく夫婦二人の生活を楽しみたい気もする」
「だから話を聞けってぇぇぇぇッ!!!」
じたばた暴れながら必死に叫ぶ美少女 (女装済み)と、ウットリとした顔で妄想垂れ流しの美丈夫を人々は面白げに眺めていた――。
アレンは腹立たしげにわめいた。
「スゴく似合ってるネ!」
「あら本当に。なかなか悪くないわねェ」
いつの間に立ち直ったのか、メイク道具片手に荒ぶる鷹のポーズをとるミナナ。そして優雅に紅茶をすすって眺めるヘラがいる。
――変装の手伝いを、と店の奥に連れ込まれてから一時間ほど。
気がつけば目の前の姿見鏡には、一人の美少女が映り込んでいた。
「もともと、かわい子ちゃんだもの。その服も素敵だわ」
「……」
ゆるく巻いたブラウンの髪に、露出ひかえめなブラウスにロングスカートの出で立ち。
いわゆる良家のお嬢様風、といったところだろうか。
メイクも派手でなく。あくまでナチュラルに。
悲しいかな、それは女顔のアレンには非常にさまになってた。
まるで本物の女性、いやそれ以上に清楚で可憐で愛らしい姿である。
「か、可愛い」
思わず自分のことながら、鏡の中につぶやく。
「当たり前ネ。アタシの腕、最高ヨ!」
「ふふ、まったく。どこからどう見ても、女の子にしか見えないわねェ。アレックス、どうかしら」
「うむ。綺麗だ。が……」
褒める割に浮かない顔の男。
首をかしげながら近づき、やおらにペタペタと腕やら肩やらに触り出す。
「お、おい。なんだよ」
「なんかな……おっ」
「!!!」
無遠慮な手が腰をさすり、尻を揉み始めて飛び上がる。
「おう、アレンだな」
「どこで確認してんだっ、このスケベ!」
「ぐおっ」
怒りのあまりか顔を赤らめ、彼の股間目掛けて蹴りをお見舞いする。
さすがの大男も、金蹴りは低いうめきをあげてうずくまった。
「だけど、本当にこんなことまでしてもらって……」
そう。服やメイク、すべてこの店の奥で用意されたものだ。
「うちは『何でも屋』だからねェ」
この店は一見、なんの看板も掲げていない。店内には簡単な魔法薬や小物が、ファンシーショップよろしく飾られているだけだ。
しかしその実態は、何でも屋や便利屋である。
モンスター狩りから密偵人探し、さらには (ワケありの)配達でも請け負う。
とは言っても。ここで直接依頼を受けるのは少なく、大抵はヘラの息がかかった他の店からの下請けが多い。
彼女は裏社会とも通じており、その手の事情もくんだ場所なのである。
「でもボス、最近仕事少ないネ」
「アンタ達に回せるものが、ね。大体はケチでツマラナイものよ」
「うーっ、アタシ働きたいヨ。この前みたいに、モンスターばったばった倒したいネ!」
「あら。あれは採集しろって言ったんだけど? あんなミンチ肉にしたら、ダメでしょうが」
「だってぇ面白くて、つい」
「ちょっとは力加減なさい」
「ぅむー」
口を尖らせるミナナと笑って諭す女主人を眺めながら、なんだか頼りになるのだかならないのだか分からなくなる。
「でも無料ってワケにはいかないわよ」
「うぐっ、分かっているよ……いくらだ」
どう足掻いても、今も身体をさわさわと触りまくるこの男に頼らざるを得ない。
そうすれば借りが出来て、より一層自由になる足枷になるだろう。
別に知らん顔して逃げればいいだろうが、アレンだって別に悪人でも悪女でもない。罪悪感やらなんやらだって当然あるし、この男だって簡単に逃がしてはくれないだろう。
それを思うと、苛立ちもつのる。
「そうねェ。この服だって、ウチの従業員の技術料も安くはないし」
「ええいっ、まどろっこしいな。早く言えよ」
業を煮やし声をあげれば、ニヤリと笑みを返された。
「ウチの従業員となって、いくつか仕事してもらうわ。二人で」
「……は、はぁぁぁっ!?」
「ふむ」
これにはアレックスと顔を見合わせるしかない。
そしてこれでまた国外逃亡が遠のいた、とうなだれるのであった。
※※※
最初に与えられた仕事は、単なる配達だとヘラは言っていた。
「君も普段、こんなことしてるのかよ」
何が入っているのか分からない真っ黒な箱を手に、アレンはアレックスを睨みつける。
「いや。オレはインストラクターの仕事があるからな。しかし最初のうちは、よく彼女の元でバイトしてたっけな」
「ふぅん」
彼もヘラに対しては大人しく言うことを聞いていたし、やはり付き合いも長そうだ。
いわゆる、下積み時代にしていたバイト先に恩を感じているというところか。そう考えれば、やはりこのまま踏み倒して逃げるには難しい。
ヘラもその危険性も考えて、二人で行ってこいと言ったのだろう。
「なんだ。もしかして妬いてくれたか」
「ンなわけないだろ。自惚れんなよ」
人間皆、この外見だけ良い男に騙されると思うな。そう釘をさす。
町に出れば、たちまち女や男に声をかけられるのがアレックスだ。
親しげな、中には尊敬や思慕に満ちた瞳に囲まれた彼をぼんやりと眺めていた。
「オレにはアレンだけだぞ」
「……バカじゃないの」
真剣な眼差しと言葉が降り注ぐ。
自分より高い位置にある顔を、無駄 (!)に整った瞳を見上げることもなく歩きだす。
「そういうのは、さっきの可愛いお嬢さんにでも言ってやればいい」
「お前じゃないヤツに言ってどうすんだ。オレは、アレンが――」
「ったく、うるさいなァ! 僕と君は、まだ出会ったばかりだろうが」
いい加減に面倒になってくる。
アレンだって好意を向けられるのも慣れているし、ここの所は実力行使で組み伏せられてきたワケだが。
この無骨そうな男は、どれだけの美少女や美女に話しかけられていてもずっと彼の方にばかり熱い視線をむけているのだ。
「確かにオレとお前、お互い知らないことは多いな」
「ほらみろ。君は僕のどこを気に入ったのか知らないが、僕は君みたいな男は嫌いだ」
「……そうなのか」
「そうさ。だから諦めろよな。君なら他に沢山いるだろ。五分ほど前に道を聞いてきた露出度高い服装の娘さんとか。まぁ、僕はもうあのタイプは避けたいな。だいたい身体同様、頭もユルい」
「……」
スン、と黙り込んだアレックスを振り返る。
「おい、なにしてんだ」
「ん」
どこから取り出したのか、ペンと小さなノートを取り出して熱心に何やら書いていた。
「お前の事を知りたくてな……好きなタイプは清楚、と」
「違う。そーゆー事じゃない」
「オレは今まで恋なんてモノをしたことが無い。しようとも思ってなかった。だがアレンを一目見たときから、恋の奴隷ってヤツになっちまったらしい」
「は、ハァ?」
えらくキザなセリフが、飛び出してきたものだ。
生真面目な顔の大男の言葉に、吹き出してやろうかと思ったがそれもタイミングを外した。
そして気がつけば、あの大きな手が伸びてくる。
「大切にする……生涯をかけて」
「お、おい」
手が包み込まれた。
温かくて大きな掌に、捕まえられたのだと気がつく。
「アレン」
エメラルドグリーンの瞳が、真っ直ぐこちらを覗いている。
恐ろしいほど美しく雄々しい男が、緊張の汗さえ滲ませて言葉をつむぐ。
「愛している。生涯をかけて、お前を幸せに――いや、お前と幸せになりたい」
「えっ、あっ、ええっ!?」
ここは町中である。
しかも繁華街ど真ん中。そんな所で、突然美青年が美少女 (本当は青年であるが)に限りなくプロポーズな愛の言葉を告げたのだ。
どんな感動的な舞台劇のワンシーンか、というばかりに人々はどよめき感嘆した。
「あ、アレックス! ちょ、待て。こんな、所で……」
「オレの気持ちを受け取ってくれ」
真っ赤になって逃げ出そうにも、手を握られていては叶わない。
みるみるうちに、そのまま逞しい胸筋に閉じ込められるように抱きしめられていた。
「好きだ、アレン」
「時と場所を考えろっ、このケダモノめ!」
「確かにお前の前だと紳士では居られないのかもしれねぇな」
「紳士じゃなくて良いからっ、まず離せっ!」
「照れてるのか」
「確かに羞恥心は感じてるけど、なにもこんなところで……っ、ドコ触ってんだ!!」
まるで鯖折りみたく締め上げたまま、腰をさすられて声をあげる。
しかし返ってきた言葉は、ノンキなもので。
「子どもは何人にしようか」
「知るかッ、公然わいせつだぞ!」
「きっとアレンに似て、可愛い子だろうな」
「君は、人の話を聞け!!」
「最初は女の子がいいな。男だと、オレが嫉妬しちまう……うむ、やはりしばらく夫婦二人の生活を楽しみたい気もする」
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