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ティータイムの狂気と罠
穏やかな午後のティータイム。
女友達との華やかなお喋りも良いけれど、一番落ち着くのは彼との時間。
「アレッサ、庭の花も見頃ねえ」
窓の外から見えるのは鮮やかに咲き乱れる花や、整えられた庭木。
庭師が丹精を込めて手入れしたそこは、季節の移り変わりを美しく魅せてくれる。
たとえ雨が降り注いだとて、それすら瑞々しく艶やかになるのだから不思議なものだ。
「ええ。本当に綺麗……」
エミリアが紅茶をついでくれる音を聞きながら、微笑みうなずく。
すると目の前の少年のひかえめな視線に気が付き、そちらに意識を向けた。
「どうしました、坊っちゃん」
「え……っと」
頬を薄く色づかせた彼は、一瞬だけためらう。
「あ、アレッサの方が――」
「?」
途切れた言葉を急かすことなく、見守って待つ。
恥ずかしがり屋で内気な。それでいて実はとてもロマンチストな少年のことだ。
きっとこの景色を褒めたたえる、詩のごとき美しい言葉を紡ぐだろうと思った。
彼は言語能力に優れ、特に魔物種族の言葉を多く知っている。
なにせエルフ種の古代語も話せると知り、舌を巻いたこともあったのだ。
「な、なんでもない」
「坊ちゃん?」
耳まで真っ赤。なんて可愛らしいんだろう。
幼い好意に気が付かないほど、鈍くはない。それに彼の気持ち自体は、とても好ましく思っていた。
しかし同時に、彼らは家庭教師と生徒。しかも貴族の子息と、没落した元貴族の娘の自分。
年齢も離れすぎている。
とうてい釣り合いの取れるものではない。
「坊ちゃん――」
しかしなんと愛らしく美しいのだろう。
紅頬の少年。一途なその瞳は、いつも敬愛と幼い情愛にまみれている。
思わず、手を伸ばしてしまいそうになるほどに。
「明日は雨が降る、と庭師が言っておりましたわねえ」
ふと割り込んだエミリアの声に、引き戻された。
ああいけない、と己を戒める。ここで働かせて頂くだけで、神と運命に感謝しなければいけないのに。これ以上何を望むのか。
憂いを帯びた彼の肩を、ふくよかな手がそっと触れる。
この優しいメイドも分かっているのだろうか。
しかし苦言どころか、何も言わない所に彼女の優しさが現れている。
「ねえ、お二人とも。先ほどアイラとエアリーが初めてスコーンを焼きましたのよ。二人ともとてもスジがよくてね。初めてにしちゃあ、上出来でしたの」
「へえ、あの彼女たちが!」
十三歳にもなって、お転婆で男勝りだったアイラ。そんな彼女が報われぬ恋に心を引き裂かれそう、とよく涙に濡れ部屋に訪れていた。そして彼のことを、姉様と呼び甘えるのだ。
最近、反抗期を迎えた妹のアリスとはえらい違い。
「今度ぜひ、いただいてみたいね」
そう言って微笑むと、今度はルイの表情が曇った。
「エミリア。ぼくにも何か教えて。そうだ、裁縫とか――」
「まあ坊ちゃん、そんな使用人の真似事などするもんじゃありませんよ!」
さすがに窘めるも、彼はゆずらない。
珍しい頑なさで首を横に降った。
「ぼくだって何か出来るでしょう? してみたいんだ! なんでもいいよ。もしエミリアが教えてくれないのなら、トーマスに頼むから」
「……それはいけません」
固い声が室内に響く。
繊細な装飾品のあふれた部屋。
ここは亡くなった夫人、つまりルイの母親がアトリエとして使っていた場所だ。
夫人は絵描きであり、そう多くはないが幾枚か絵が売れたこともあった。
――大きくきっちり磨かれた大窓は、庭に面している。
豊かな光彩を取り込むだけでなく、先述した美しい季節の風景を絵画のように映し出してくれるのだ。
「旦那様や奥様が聞いたら、お嘆きになりますよ」
「父さんや母さんは関係ない。ぼくもアレッサに何か贈りたいんだ。初めてのを。それに――」
少年は一瞬、キュッと唇を噛む。
それから。
「アイラ達には負けたくない」
そうつぶやいた。
「坊ちゃん」
「ねえアレッサは、ずっとここにいてくれるんでしょ?」
「えっ」
(ずっと、ここに?)
抱く違和感。
しかしそんな思考も、エミリアの言葉で途切れた。
「当たり前でしょう。彼女はもう、わたくしの娘同然。ねえ、アレッサ?」
「え、ええ……」
確かに何度も言われた事がある。
若い頃に子と夫を失って以来、ずっと独り身でいたエミリアの彼に対する愛着は傍目から見ても明らか。
その気持ちはとてもありがたかったし、彼女の事はメイドとしても人としても尊敬していた。
しかしこの空気はおかしい。
まるで無理矢理、引き止めるような言い草。時折感じる、モヤのかかった記憶。
本当に自分は自分なのか。
他にとても大事なコトを忘れてしまっている気がする。忘れてはいけない、人やモノや過去を――。
「ねえ、アレッサ」
次に思考の海から引き上げたのは、ルイだった。
まだ声変わりのない、甘く優しい声。乞うように自分の名を呼んでいる。
顔をあげてすぐ、アレンは目を見開く。
「坊ちゃん……」
「こっちを見て。アレッサ」
真摯な瞳。
その容姿は見れば見るほど似ている。
(でもだれに?)
思い出せない。
なのに胸に広がる、苦々しさ。
同時に引き金のように、ドクリと心臓が跳ねた。
「うっ!?」
じわじわ広がる熱。
すぐに息があがり、汗が額からあごを伝う。
それでも必死で笑み作る様子に気付いているのかいないのか、エミリアのふくよかな手が肩にかかる。
「アレッサ、愛してる。ぼくと結婚して」
「ぼ、坊ちゃん……そんなこと……」
いつのまにか、幼い身体は目の前にひざまずいている。
うやうやしくも愛しくも見上げた瞳は、翠色。光の加減だろうか、いつもなら少し茶色ががった色なのに。
(ああ、彼と一緒)
彼、とは誰か。
また欠け落ちた記憶。ひどく優しく激しく執拗に抱いた男たちの腕の体温が、影のようにまとわりつくのを感じた。
知らない、何一つ知らないのに――と潤む視線の先。
「アレッサ。ぼくのお姫様」
「いけません……そんな……『僕』は……」
柔らかくとられた手。
左手の薬指に触れる。
「え、エミリア」
「幸せなことですわ、アレッサ」
さすがに止めてくれるだろうと振り返るが、穏やかにうなずくメイド長に軽く絶望感を覚えた。
「でも……」
「大丈夫ですわ。怖がらないで」
椅子から立ち上がろうとするアレンを押しとどめる力は、思いのほか強い。
安心させるような言葉も、戦慄を助長するだけだった。
「困ります」
「よく聞くのよ、アレッサ」
「は、離して……」
「ダメ。受け入れておしまいなさい。ルイ様も受け入れてくださるわ」
耳元に口を寄せて、囁かれる。
「――どんな貴方でも。ねえ、アレン」
「!!!」
(あれん……アレン? だれ……いや。僕だ……じゃあ私は……誰?)
まるで退行してしまったようだった。
自分が何者で、どこにいるのか。それすら分からない。
迷子になってしまった幼子のような心細さが、胸を締め付ける。
「泣かないで、アレッサ」
ルイにそう言われ、初めて自分の頬が濡れている事を知った。
「そうよ。幸せな花嫁さん」
「……違うッ!!!」
けたたましい音と共に、テーブルのカップが飛び散る欠片となる。
可憐で繊細な花模様だったティーカップは無惨にも、大理石の床に咲いた。
「まあ危ないわ」
抑揚のない声。
エミリアが人形のように、笑う。
「ケガをしてはいけない。すぐに片付けさせるわね」
「は……花嫁じゃ……な……いっ」
ガチガチと歯が鳴った。
怖くて仕方ないのだ。なにがそんなに怖いのか分からないままに、怯えて震える。
自分が自分でなくなる。そもそも自分とはなんだったのか。
それは自己同一性を根本から崩壊させる、破滅の意思。
「いいえ、貴方は花嫁」
「ちがう……僕は……」
「アレッサ・イエーガー。いいえ、名前なんてどうでも良いわ」
優しかったはずの眼差しが蛇のように光る。
後ろから椅子ごと抱きしめられたら、もう逃げ出せない。
いくら体格が良くても女性。なのに、彼はその拘束を解くことが出来ずにいた。
「……ルイ様の子を、孕みなさい」
目の前が黒く塗りつぶされる。
「っ!?」
しゅるり、と衣擦れを立てて眼窩を覆った布に気が付いた時にはもう遅かった――。
女友達との華やかなお喋りも良いけれど、一番落ち着くのは彼との時間。
「アレッサ、庭の花も見頃ねえ」
窓の外から見えるのは鮮やかに咲き乱れる花や、整えられた庭木。
庭師が丹精を込めて手入れしたそこは、季節の移り変わりを美しく魅せてくれる。
たとえ雨が降り注いだとて、それすら瑞々しく艶やかになるのだから不思議なものだ。
「ええ。本当に綺麗……」
エミリアが紅茶をついでくれる音を聞きながら、微笑みうなずく。
すると目の前の少年のひかえめな視線に気が付き、そちらに意識を向けた。
「どうしました、坊っちゃん」
「え……っと」
頬を薄く色づかせた彼は、一瞬だけためらう。
「あ、アレッサの方が――」
「?」
途切れた言葉を急かすことなく、見守って待つ。
恥ずかしがり屋で内気な。それでいて実はとてもロマンチストな少年のことだ。
きっとこの景色を褒めたたえる、詩のごとき美しい言葉を紡ぐだろうと思った。
彼は言語能力に優れ、特に魔物種族の言葉を多く知っている。
なにせエルフ種の古代語も話せると知り、舌を巻いたこともあったのだ。
「な、なんでもない」
「坊ちゃん?」
耳まで真っ赤。なんて可愛らしいんだろう。
幼い好意に気が付かないほど、鈍くはない。それに彼の気持ち自体は、とても好ましく思っていた。
しかし同時に、彼らは家庭教師と生徒。しかも貴族の子息と、没落した元貴族の娘の自分。
年齢も離れすぎている。
とうてい釣り合いの取れるものではない。
「坊ちゃん――」
しかしなんと愛らしく美しいのだろう。
紅頬の少年。一途なその瞳は、いつも敬愛と幼い情愛にまみれている。
思わず、手を伸ばしてしまいそうになるほどに。
「明日は雨が降る、と庭師が言っておりましたわねえ」
ふと割り込んだエミリアの声に、引き戻された。
ああいけない、と己を戒める。ここで働かせて頂くだけで、神と運命に感謝しなければいけないのに。これ以上何を望むのか。
憂いを帯びた彼の肩を、ふくよかな手がそっと触れる。
この優しいメイドも分かっているのだろうか。
しかし苦言どころか、何も言わない所に彼女の優しさが現れている。
「ねえ、お二人とも。先ほどアイラとエアリーが初めてスコーンを焼きましたのよ。二人ともとてもスジがよくてね。初めてにしちゃあ、上出来でしたの」
「へえ、あの彼女たちが!」
十三歳にもなって、お転婆で男勝りだったアイラ。そんな彼女が報われぬ恋に心を引き裂かれそう、とよく涙に濡れ部屋に訪れていた。そして彼のことを、姉様と呼び甘えるのだ。
最近、反抗期を迎えた妹のアリスとはえらい違い。
「今度ぜひ、いただいてみたいね」
そう言って微笑むと、今度はルイの表情が曇った。
「エミリア。ぼくにも何か教えて。そうだ、裁縫とか――」
「まあ坊ちゃん、そんな使用人の真似事などするもんじゃありませんよ!」
さすがに窘めるも、彼はゆずらない。
珍しい頑なさで首を横に降った。
「ぼくだって何か出来るでしょう? してみたいんだ! なんでもいいよ。もしエミリアが教えてくれないのなら、トーマスに頼むから」
「……それはいけません」
固い声が室内に響く。
繊細な装飾品のあふれた部屋。
ここは亡くなった夫人、つまりルイの母親がアトリエとして使っていた場所だ。
夫人は絵描きであり、そう多くはないが幾枚か絵が売れたこともあった。
――大きくきっちり磨かれた大窓は、庭に面している。
豊かな光彩を取り込むだけでなく、先述した美しい季節の風景を絵画のように映し出してくれるのだ。
「旦那様や奥様が聞いたら、お嘆きになりますよ」
「父さんや母さんは関係ない。ぼくもアレッサに何か贈りたいんだ。初めてのを。それに――」
少年は一瞬、キュッと唇を噛む。
それから。
「アイラ達には負けたくない」
そうつぶやいた。
「坊ちゃん」
「ねえアレッサは、ずっとここにいてくれるんでしょ?」
「えっ」
(ずっと、ここに?)
抱く違和感。
しかしそんな思考も、エミリアの言葉で途切れた。
「当たり前でしょう。彼女はもう、わたくしの娘同然。ねえ、アレッサ?」
「え、ええ……」
確かに何度も言われた事がある。
若い頃に子と夫を失って以来、ずっと独り身でいたエミリアの彼に対する愛着は傍目から見ても明らか。
その気持ちはとてもありがたかったし、彼女の事はメイドとしても人としても尊敬していた。
しかしこの空気はおかしい。
まるで無理矢理、引き止めるような言い草。時折感じる、モヤのかかった記憶。
本当に自分は自分なのか。
他にとても大事なコトを忘れてしまっている気がする。忘れてはいけない、人やモノや過去を――。
「ねえ、アレッサ」
次に思考の海から引き上げたのは、ルイだった。
まだ声変わりのない、甘く優しい声。乞うように自分の名を呼んでいる。
顔をあげてすぐ、アレンは目を見開く。
「坊ちゃん……」
「こっちを見て。アレッサ」
真摯な瞳。
その容姿は見れば見るほど似ている。
(でもだれに?)
思い出せない。
なのに胸に広がる、苦々しさ。
同時に引き金のように、ドクリと心臓が跳ねた。
「うっ!?」
じわじわ広がる熱。
すぐに息があがり、汗が額からあごを伝う。
それでも必死で笑み作る様子に気付いているのかいないのか、エミリアのふくよかな手が肩にかかる。
「アレッサ、愛してる。ぼくと結婚して」
「ぼ、坊ちゃん……そんなこと……」
いつのまにか、幼い身体は目の前にひざまずいている。
うやうやしくも愛しくも見上げた瞳は、翠色。光の加減だろうか、いつもなら少し茶色ががった色なのに。
(ああ、彼と一緒)
彼、とは誰か。
また欠け落ちた記憶。ひどく優しく激しく執拗に抱いた男たちの腕の体温が、影のようにまとわりつくのを感じた。
知らない、何一つ知らないのに――と潤む視線の先。
「アレッサ。ぼくのお姫様」
「いけません……そんな……『僕』は……」
柔らかくとられた手。
左手の薬指に触れる。
「え、エミリア」
「幸せなことですわ、アレッサ」
さすがに止めてくれるだろうと振り返るが、穏やかにうなずくメイド長に軽く絶望感を覚えた。
「でも……」
「大丈夫ですわ。怖がらないで」
椅子から立ち上がろうとするアレンを押しとどめる力は、思いのほか強い。
安心させるような言葉も、戦慄を助長するだけだった。
「困ります」
「よく聞くのよ、アレッサ」
「は、離して……」
「ダメ。受け入れておしまいなさい。ルイ様も受け入れてくださるわ」
耳元に口を寄せて、囁かれる。
「――どんな貴方でも。ねえ、アレン」
「!!!」
(あれん……アレン? だれ……いや。僕だ……じゃあ私は……誰?)
まるで退行してしまったようだった。
自分が何者で、どこにいるのか。それすら分からない。
迷子になってしまった幼子のような心細さが、胸を締め付ける。
「泣かないで、アレッサ」
ルイにそう言われ、初めて自分の頬が濡れている事を知った。
「そうよ。幸せな花嫁さん」
「……違うッ!!!」
けたたましい音と共に、テーブルのカップが飛び散る欠片となる。
可憐で繊細な花模様だったティーカップは無惨にも、大理石の床に咲いた。
「まあ危ないわ」
抑揚のない声。
エミリアが人形のように、笑う。
「ケガをしてはいけない。すぐに片付けさせるわね」
「は……花嫁じゃ……な……いっ」
ガチガチと歯が鳴った。
怖くて仕方ないのだ。なにがそんなに怖いのか分からないままに、怯えて震える。
自分が自分でなくなる。そもそも自分とはなんだったのか。
それは自己同一性を根本から崩壊させる、破滅の意思。
「いいえ、貴方は花嫁」
「ちがう……僕は……」
「アレッサ・イエーガー。いいえ、名前なんてどうでも良いわ」
優しかったはずの眼差しが蛇のように光る。
後ろから椅子ごと抱きしめられたら、もう逃げ出せない。
いくら体格が良くても女性。なのに、彼はその拘束を解くことが出来ずにいた。
「……ルイ様の子を、孕みなさい」
目の前が黒く塗りつぶされる。
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