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第一章
ep-19 やり過ぎて怒られるのも良いよね
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「馬鹿ですの⁉︎」
「で、でもね、ミーニャちゃん?お、お母さん心配で心配で…」
「何処の世界に娘を孕ませて連れ帰るやべー女が居るんですの⁉︎」
「で、でも、その子、ミーニャちゃん孕ませそうだし」
「お、ん、な‼︎ですのよ⁉︎お母様はお父様が女だとでも」
「あの人は単に変態だからどうでも良いわ」
「「それはそう」」
「ヴィート?サミュ?泣くよ?」
「ロリコンはそこで体育座りで動かない‼︎」
「僕、父親なんだけどなぁ…」
体育座りのままシクシクと泣くブルムンドと、現在正座しているヴィートとサミュがいるのは玄関大広間だ。ヴィートとサミュは綺麗に2人座り、壁際でシクシク泣きながらブルムンドも座っている。本当に領主がこいつ…
そして、先まで殺し合いをしていたはずの2人もボロボロの服のままシュンとしている。なぜか垂れ込んだ犬耳としんなりした尻尾が幻覚で見える。可愛い。
「で?売り言葉に買い言葉で?」
「反省はしてないし後悔もしてないわ‼︎お母さん悪く無いもん‼︎悪いのはこの雌猫よ‼︎」
「誰が雌猫だ、雌ゴリラ」
「何ですって⁉︎」
「娘の前だからって綺麗な言葉遣いしちゃってさ、薄気味悪い」
プチっと何か切れる音がした。ん?と2人がいがみ合う顔を正面に向けると、頭頂部に衝撃が。
「んみゅ⁉︎」
「へぅっ⁉︎」
「お二人ともぉ?私怒ってるんですの?分かる?なぁ?ん?」
「「は、はい…っ」」
「人が叱ってる最中に遊んでんじゃねーぞコラァッ‼︎」
「「は、はいごめんなさい‼︎」」
「まずは迷惑かけた使用人たちに謝罪だろーが⁉︎私に謝ってどーすんだよ⁉︎アァ⁉︎」
「「はいごめんなさい‼︎」」
力では勝てる。だが、何か怒らせてはいけない何かを感じた2人は素直に謝る。暫しのち…
「み、ミーニャ?お父さん腰とお尻が痺れてきたんだけど?」
「…あ、忘れてましたわ‼︎」
「ミーニャ⁉︎」
思い出されたブルムンドがフラフラと立ちあがろうとして顔から転けていた。南無。
「あ、お母様のお食事はいつも通りなのはともかく…ヴィート?」
「は、はい‼︎」
「貴女も罰として食事はお母様と同じものとします」
「…え?」
「ヴィート用の食事は私とメイドで頂きます」
「……え?」
「では、汚れたお二人はお風呂へ行くのですわ」
凛とした顔で言われ、サミュはクエスチョンマークを。ヴィートは絶望感漂う顔をしている。
「ミーニャ…き、今日の本当の夜ご飯は…?」
「せっかく久しぶり家に招けたという事で…皆でカレーライスにでもしようかと」
「おああああああっ⁉︎ごめんなさい‼︎反省してます‼︎もうしません‼︎」
スライディング土下座。ブルムンドもサミュも目を見開く。戦ったサミュだからこそ、そしてその戦いを2度も見ているブルムンドだからこそ…分かる。このロリ、完全に胃袋掴まれてやがる、と。
「本当に?」
「しません‼︎」
「何でも?」
「します‼︎…ん?」
「今何でもするって言いましたわね⁉︎」
「あ、や」
「じゃあ早速お風呂出たら私の作ったコスプレをたくさん着ましょうね⁉︎(ねっとり早口)」
「ひ、ひぃ…」
「大丈夫ですわ‼︎際どいのは…9割ですけど…ほとんど大丈夫ですわ‼︎着てくれるならカレーはアリですわ‼︎」
「う…んぬぅ…き、着ます…」
哀れヴィート。ドナドナである。シワシワァッと顔をクチャっとさせ項垂れる。
「み、ミーニャちゃん?なら、お、お母さんとお風呂…入ってくれる(上目遣い)?」
「駄目です」
ここぞとばかりに自身の要求を始める厚かましいロリ。だが、バッサリと打ち切られ愕然とする。昔であれば「お母様と入るのーっ‼︎」とトテトテ走ってきていたのに、時間の流れは残酷である。
「え?だ、駄目?な、ならその女狐は⁉︎」
「ヴィートも駄目です…と言うかお2人で入ってくださいな♪」
「「はぁあああああああっ⁉︎このチビと⁉︎」」
「…何か文句でも?」
「「な、無いです、わ、私達仲良しぃー、ぴ、ぴぃーす」」
スッとハイライトの消えた目を見て慌てて2人抱き合い、握手からのピースサイン。それを見て頷くとミーニャはキッチン方面へと歩いて行った。
「…ちっ…何で可愛い娘ではなくてお前の様なちんちくりんの女狐と…」
「…距離取って入れよ」
「どう言う意味だこら」
「いや、だってあのロリコンの嫁だろ…絶対やばいやつじゃん」
「一緒にすんな、あと旦那は普通だ」
そうこう言って風呂場に着くと、サミュは石像の如く固まっていた。
「何してんだよ、入るぞ」
「いや…え?ウチにこんなの…え?」
「面倒クセェなぁ…ほらほら」
「ちょっまっ⁉︎えぇっ⁉︎」
中を見てびっくり。この時間は丁度休みの使用人が入る時間、慣れた手つきでメイドたちが着替えていた。
「お、奥様⁉︎すいません…って、ヴィート様?何故奥様と?」
「入り方、知らないんだってさ。入れて上げれば?」
ギラリとメイド達の目が光る。目の前には40過ぎても10代と変わらないとんでも女主人。明らかに髪や肌は傷んでいる…もしも、今この浴場にあるモノで彼女を磨き上げれば…
「ひ、ひぃっ⁉︎何々⁉︎皆目が怖いよぉ⁉︎」
「奥様…ゆっっっくりと、入りましょう?」
「お、おい‼︎めぎつ…ヴィート‼︎助けてくれ‼︎頼む‼︎」
「頑張れー」
ヒラヒラと手を振りながら全裸になったヴィートはタオルを肩にかけて浴室へ…
「ヴィート様?」
「ん?」
「女性がその様な入り方はよろしく無いと思うのです」
「…んぇ?」
「一緒に、入りましょう?」
「…あ」
「「あ、あ、あっ───────‼︎‼︎」」
少しして、浴室からツヤツヤとしたメイド達が出てきた。満足げな彼女達がさったあと、浴室の中では2人の少女がグデリと死に体でいた。
「…ロリババア」
「何だクソガキ…」
「お前んとこのメイド…なんか強くねぇか」
「知らねぇよ…」
髪や体はピカピカにされているが、どこかげっそりした2人。ふとヴィートが指を鳴らす。途端に浴槽にいるヴィートの掌の上に木製のお盆と酒の入った徳利、猪口が出てくる。入っているのは…鰭酒だ。
「すんすん…なんかそれ良い匂いすんな」
「やんねーよ馬鹿」
「んだと、この家の女主人ぞ」
「五月蝿え、なら僕ぁこの家に招かれた客だぞ」
そう言いながらヴィートは徳利からトクトクッと酒を猪口に入れる。それを器用に摘み上げて、溢さないように飲み干す。
「あぁーっ‼︎美味い‼︎」
「な、なぁなぁ、私にもくれよ‼︎」
「やだね、これぁ僕んだ」
「ケチ、ちょっとくらい良いだろう?な?な?」
やがて酔いが回ったヴィートから酒を受け取り、2人して酔いはじめると翌日は地獄の様な会話が始まった。
「だーかーらーっ‼︎あのクソ豚貴族マジありえねーんだよ‼︎私を見て「ぶひひっ、騎士団長殿は今日も可愛らしい…どうですかお食事でも?」って…私ゃ人妻子持ちだっつってんだろ豚ぁぁぁっ‼︎」
「そーだそーだ‼︎僕なんて見ての通りゴブリンだからさ‼︎会う人会う人「性処理に使えそうなゴブリンだな」って…ふざけんなロリコン共がぁぁぁ‼僕ぁ別に抱かれたくてゴブリンしてんじゃねーぞバーカ‼︎︎」
「そーだそーだぁー‼︎男なんて馬鹿だぁー‼︎」
「あははは、サミュお前良いやつだなぁ‼︎」
「何を‼︎ヴィーもゴブリンなのに話のわかるやつじゃねーか‼︎」
元の姿に戻ったヴィートと、真っ赤に酔ったサミュが猪口…ではなくビールジョッキで乾杯している。いや、飲み過ぎだこの馬鹿ども。
「大体さー?私、毎回旦那がいるって言うとさー「俺が満足させてやるー」って、興味ねーんだよ粗末やろー‼︎」
「分かる分かる、大体そう言う奴って自信満々にくるけどさーこっちはそう言うために着飾ってんじゃねーっての」
「そーそー、私も騎士団の休みの日に着替えて出かけたらナンパされてさとっ捕まえたら「そんな誘う格好してるお前が悪い」って知るかよ‼︎勝手に欲情してキレてんじゃねーよ‼︎」
「うっわ、分かるそれ‼︎僕もギルドに入ったばっかの時めっちゃ声かけられてさー「可愛いお嬢さん、僕と一緒に永遠の旅に」って…さみーよ‼︎サムイボもんだよ‼︎気持ち悪っ‼︎」
止まらない愚痴。そりゃそうだ。かたや趣味が食べ歩きとコスプレ。かたや人妻。どちらも着飾る理由なんて男漁りな訳がない。なのにその顔と服を見て寄ってくれば鬱陶しいことこの上ない。
「そう言えばヴィー」
「ん?」
ジョッキを傾けて飲み干していると、不意にサミュがヴィートを呼ぶ。首を傾げながら顔を向けると肩をバシバシ叩かれる。めっちゃ痛そう。だって見た目これでも中身はゲフンゲフン。
「ウチのミーニャ、良い子だろー?」
「めっちゃ良い子、僕いつもお世話してもらってて…気にしなくて良いのに食事やら何やらの為に学科を変えたって聞いてびっくりしたよ」
「私もさ。まさか騎士団に入る為に騎士科に入りますわーって言ってたジャジャ馬娘が突然今後の為に使用人科に行きますわーって」
「フットワーク軽いなぁ」
「そーさ、とっても良い娘なんだ…だからその辺の馬の骨の様な男にはやらん」
「て言うか手を出したら殺す」
「分かってるじゃないか」
「「ミーニャは天使‼︎可愛いの権化‼︎イェーイ‼︎」」
ヒートアップする声、当然外にも聞こえる訳で。
「何してるんですの?ヴィート、お母様?」
「「…あっ…いやぁ…?」」
「何でヴィートは元の姿になってて、お母様と肩を組んで酒盛りしてるんですの?」
「「あ、あははー…」」
「…今日抱き枕で」
「はい…」
ミーニャの抱き枕役。パッと聞けばご褒美に感じる読者の方もいるだろう。だが想像して欲しい。自分よりでかい身長のでかい胸部に顔面を埋め込まされて抱き締められると。え?そんなふかふかお胸に顔入れられるなんて幸せだって?…呼吸が止まるレベルでも?
そう、窒息するのだ。勿論、サミュも知っている。何度か添い寝した際にここ数年はその影響で瀕死にまで持ってかれているから。
「ヴィー、頑張れ?」
「ヴィー?何でお母様はヴィートをそんな風に呼んでいるのですの?」
「えっ」
「お母様も久しぶりに寝ましょう」
「あっ、いや、流石に狭くないかなぁ…と」
「寝ます」
「はい…」
2die確定したところで2人は引き摺り出される。勿論、ミーニャに。猫の如く掴まれて脱衣所でメイド達に拭き上げられる。しかし、何故かバスローブ。
「み、ミーニャちゃん?お母さんの服は?」
「お母様の服もこちらにありますわ」
「え?」
「あっ……サミュ」
「?」
「が、頑張れ…色々と」
「??」
メイド達に逃げられない様に囲われながらミーニャの部屋に着く。するとその広い部屋の中には普段よりも多めにメイドが立っていた。察するサミュ。
「み、ミーニャ…ちゃん?何か…メイド多くないかしら?」
「皆さん、やっておしまい‼︎ですわ‼︎」
「「「「喜んでーっ‼︎」」」」
「「うにゃぁぁーっ⁉︎」」
「で、でもね、ミーニャちゃん?お、お母さん心配で心配で…」
「何処の世界に娘を孕ませて連れ帰るやべー女が居るんですの⁉︎」
「で、でも、その子、ミーニャちゃん孕ませそうだし」
「お、ん、な‼︎ですのよ⁉︎お母様はお父様が女だとでも」
「あの人は単に変態だからどうでも良いわ」
「「それはそう」」
「ヴィート?サミュ?泣くよ?」
「ロリコンはそこで体育座りで動かない‼︎」
「僕、父親なんだけどなぁ…」
体育座りのままシクシクと泣くブルムンドと、現在正座しているヴィートとサミュがいるのは玄関大広間だ。ヴィートとサミュは綺麗に2人座り、壁際でシクシク泣きながらブルムンドも座っている。本当に領主がこいつ…
そして、先まで殺し合いをしていたはずの2人もボロボロの服のままシュンとしている。なぜか垂れ込んだ犬耳としんなりした尻尾が幻覚で見える。可愛い。
「で?売り言葉に買い言葉で?」
「反省はしてないし後悔もしてないわ‼︎お母さん悪く無いもん‼︎悪いのはこの雌猫よ‼︎」
「誰が雌猫だ、雌ゴリラ」
「何ですって⁉︎」
「娘の前だからって綺麗な言葉遣いしちゃってさ、薄気味悪い」
プチっと何か切れる音がした。ん?と2人がいがみ合う顔を正面に向けると、頭頂部に衝撃が。
「んみゅ⁉︎」
「へぅっ⁉︎」
「お二人ともぉ?私怒ってるんですの?分かる?なぁ?ん?」
「「は、はい…っ」」
「人が叱ってる最中に遊んでんじゃねーぞコラァッ‼︎」
「「は、はいごめんなさい‼︎」」
「まずは迷惑かけた使用人たちに謝罪だろーが⁉︎私に謝ってどーすんだよ⁉︎アァ⁉︎」
「「はいごめんなさい‼︎」」
力では勝てる。だが、何か怒らせてはいけない何かを感じた2人は素直に謝る。暫しのち…
「み、ミーニャ?お父さん腰とお尻が痺れてきたんだけど?」
「…あ、忘れてましたわ‼︎」
「ミーニャ⁉︎」
思い出されたブルムンドがフラフラと立ちあがろうとして顔から転けていた。南無。
「あ、お母様のお食事はいつも通りなのはともかく…ヴィート?」
「は、はい‼︎」
「貴女も罰として食事はお母様と同じものとします」
「…え?」
「ヴィート用の食事は私とメイドで頂きます」
「……え?」
「では、汚れたお二人はお風呂へ行くのですわ」
凛とした顔で言われ、サミュはクエスチョンマークを。ヴィートは絶望感漂う顔をしている。
「ミーニャ…き、今日の本当の夜ご飯は…?」
「せっかく久しぶり家に招けたという事で…皆でカレーライスにでもしようかと」
「おああああああっ⁉︎ごめんなさい‼︎反省してます‼︎もうしません‼︎」
スライディング土下座。ブルムンドもサミュも目を見開く。戦ったサミュだからこそ、そしてその戦いを2度も見ているブルムンドだからこそ…分かる。このロリ、完全に胃袋掴まれてやがる、と。
「本当に?」
「しません‼︎」
「何でも?」
「します‼︎…ん?」
「今何でもするって言いましたわね⁉︎」
「あ、や」
「じゃあ早速お風呂出たら私の作ったコスプレをたくさん着ましょうね⁉︎(ねっとり早口)」
「ひ、ひぃ…」
「大丈夫ですわ‼︎際どいのは…9割ですけど…ほとんど大丈夫ですわ‼︎着てくれるならカレーはアリですわ‼︎」
「う…んぬぅ…き、着ます…」
哀れヴィート。ドナドナである。シワシワァッと顔をクチャっとさせ項垂れる。
「み、ミーニャちゃん?なら、お、お母さんとお風呂…入ってくれる(上目遣い)?」
「駄目です」
ここぞとばかりに自身の要求を始める厚かましいロリ。だが、バッサリと打ち切られ愕然とする。昔であれば「お母様と入るのーっ‼︎」とトテトテ走ってきていたのに、時間の流れは残酷である。
「え?だ、駄目?な、ならその女狐は⁉︎」
「ヴィートも駄目です…と言うかお2人で入ってくださいな♪」
「「はぁあああああああっ⁉︎このチビと⁉︎」」
「…何か文句でも?」
「「な、無いです、わ、私達仲良しぃー、ぴ、ぴぃーす」」
スッとハイライトの消えた目を見て慌てて2人抱き合い、握手からのピースサイン。それを見て頷くとミーニャはキッチン方面へと歩いて行った。
「…ちっ…何で可愛い娘ではなくてお前の様なちんちくりんの女狐と…」
「…距離取って入れよ」
「どう言う意味だこら」
「いや、だってあのロリコンの嫁だろ…絶対やばいやつじゃん」
「一緒にすんな、あと旦那は普通だ」
そうこう言って風呂場に着くと、サミュは石像の如く固まっていた。
「何してんだよ、入るぞ」
「いや…え?ウチにこんなの…え?」
「面倒クセェなぁ…ほらほら」
「ちょっまっ⁉︎えぇっ⁉︎」
中を見てびっくり。この時間は丁度休みの使用人が入る時間、慣れた手つきでメイドたちが着替えていた。
「お、奥様⁉︎すいません…って、ヴィート様?何故奥様と?」
「入り方、知らないんだってさ。入れて上げれば?」
ギラリとメイド達の目が光る。目の前には40過ぎても10代と変わらないとんでも女主人。明らかに髪や肌は傷んでいる…もしも、今この浴場にあるモノで彼女を磨き上げれば…
「ひ、ひぃっ⁉︎何々⁉︎皆目が怖いよぉ⁉︎」
「奥様…ゆっっっくりと、入りましょう?」
「お、おい‼︎めぎつ…ヴィート‼︎助けてくれ‼︎頼む‼︎」
「頑張れー」
ヒラヒラと手を振りながら全裸になったヴィートはタオルを肩にかけて浴室へ…
「ヴィート様?」
「ん?」
「女性がその様な入り方はよろしく無いと思うのです」
「…んぇ?」
「一緒に、入りましょう?」
「…あ」
「「あ、あ、あっ───────‼︎‼︎」」
少しして、浴室からツヤツヤとしたメイド達が出てきた。満足げな彼女達がさったあと、浴室の中では2人の少女がグデリと死に体でいた。
「…ロリババア」
「何だクソガキ…」
「お前んとこのメイド…なんか強くねぇか」
「知らねぇよ…」
髪や体はピカピカにされているが、どこかげっそりした2人。ふとヴィートが指を鳴らす。途端に浴槽にいるヴィートの掌の上に木製のお盆と酒の入った徳利、猪口が出てくる。入っているのは…鰭酒だ。
「すんすん…なんかそれ良い匂いすんな」
「やんねーよ馬鹿」
「んだと、この家の女主人ぞ」
「五月蝿え、なら僕ぁこの家に招かれた客だぞ」
そう言いながらヴィートは徳利からトクトクッと酒を猪口に入れる。それを器用に摘み上げて、溢さないように飲み干す。
「あぁーっ‼︎美味い‼︎」
「な、なぁなぁ、私にもくれよ‼︎」
「やだね、これぁ僕んだ」
「ケチ、ちょっとくらい良いだろう?な?な?」
やがて酔いが回ったヴィートから酒を受け取り、2人して酔いはじめると翌日は地獄の様な会話が始まった。
「だーかーらーっ‼︎あのクソ豚貴族マジありえねーんだよ‼︎私を見て「ぶひひっ、騎士団長殿は今日も可愛らしい…どうですかお食事でも?」って…私ゃ人妻子持ちだっつってんだろ豚ぁぁぁっ‼︎」
「そーだそーだ‼︎僕なんて見ての通りゴブリンだからさ‼︎会う人会う人「性処理に使えそうなゴブリンだな」って…ふざけんなロリコン共がぁぁぁ‼僕ぁ別に抱かれたくてゴブリンしてんじゃねーぞバーカ‼︎︎」
「そーだそーだぁー‼︎男なんて馬鹿だぁー‼︎」
「あははは、サミュお前良いやつだなぁ‼︎」
「何を‼︎ヴィーもゴブリンなのに話のわかるやつじゃねーか‼︎」
元の姿に戻ったヴィートと、真っ赤に酔ったサミュが猪口…ではなくビールジョッキで乾杯している。いや、飲み過ぎだこの馬鹿ども。
「大体さー?私、毎回旦那がいるって言うとさー「俺が満足させてやるー」って、興味ねーんだよ粗末やろー‼︎」
「分かる分かる、大体そう言う奴って自信満々にくるけどさーこっちはそう言うために着飾ってんじゃねーっての」
「そーそー、私も騎士団の休みの日に着替えて出かけたらナンパされてさとっ捕まえたら「そんな誘う格好してるお前が悪い」って知るかよ‼︎勝手に欲情してキレてんじゃねーよ‼︎」
「うっわ、分かるそれ‼︎僕もギルドに入ったばっかの時めっちゃ声かけられてさー「可愛いお嬢さん、僕と一緒に永遠の旅に」って…さみーよ‼︎サムイボもんだよ‼︎気持ち悪っ‼︎」
止まらない愚痴。そりゃそうだ。かたや趣味が食べ歩きとコスプレ。かたや人妻。どちらも着飾る理由なんて男漁りな訳がない。なのにその顔と服を見て寄ってくれば鬱陶しいことこの上ない。
「そう言えばヴィー」
「ん?」
ジョッキを傾けて飲み干していると、不意にサミュがヴィートを呼ぶ。首を傾げながら顔を向けると肩をバシバシ叩かれる。めっちゃ痛そう。だって見た目これでも中身はゲフンゲフン。
「ウチのミーニャ、良い子だろー?」
「めっちゃ良い子、僕いつもお世話してもらってて…気にしなくて良いのに食事やら何やらの為に学科を変えたって聞いてびっくりしたよ」
「私もさ。まさか騎士団に入る為に騎士科に入りますわーって言ってたジャジャ馬娘が突然今後の為に使用人科に行きますわーって」
「フットワーク軽いなぁ」
「そーさ、とっても良い娘なんだ…だからその辺の馬の骨の様な男にはやらん」
「て言うか手を出したら殺す」
「分かってるじゃないか」
「「ミーニャは天使‼︎可愛いの権化‼︎イェーイ‼︎」」
ヒートアップする声、当然外にも聞こえる訳で。
「何してるんですの?ヴィート、お母様?」
「「…あっ…いやぁ…?」」
「何でヴィートは元の姿になってて、お母様と肩を組んで酒盛りしてるんですの?」
「「あ、あははー…」」
「…今日抱き枕で」
「はい…」
ミーニャの抱き枕役。パッと聞けばご褒美に感じる読者の方もいるだろう。だが想像して欲しい。自分よりでかい身長のでかい胸部に顔面を埋め込まされて抱き締められると。え?そんなふかふかお胸に顔入れられるなんて幸せだって?…呼吸が止まるレベルでも?
そう、窒息するのだ。勿論、サミュも知っている。何度か添い寝した際にここ数年はその影響で瀕死にまで持ってかれているから。
「ヴィー、頑張れ?」
「ヴィー?何でお母様はヴィートをそんな風に呼んでいるのですの?」
「えっ」
「お母様も久しぶりに寝ましょう」
「あっ、いや、流石に狭くないかなぁ…と」
「寝ます」
「はい…」
2die確定したところで2人は引き摺り出される。勿論、ミーニャに。猫の如く掴まれて脱衣所でメイド達に拭き上げられる。しかし、何故かバスローブ。
「み、ミーニャちゃん?お母さんの服は?」
「お母様の服もこちらにありますわ」
「え?」
「あっ……サミュ」
「?」
「が、頑張れ…色々と」
「??」
メイド達に逃げられない様に囲われながらミーニャの部屋に着く。するとその広い部屋の中には普段よりも多めにメイドが立っていた。察するサミュ。
「み、ミーニャ…ちゃん?何か…メイド多くないかしら?」
「皆さん、やっておしまい‼︎ですわ‼︎」
「「「「喜んでーっ‼︎」」」」
「「うにゃぁぁーっ⁉︎」」
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彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。
公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。
しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。
だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。
二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。
彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。
※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。
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