好きになるんじゃなかった

だいたい石田

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1か月後

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美香は勝家を呼び出した。
「はい、これハンカチ。」
誰もいない社会科準備室。図書室とは違って吹奏楽が近くで練習していたりすることもないので静かだ。
「お、おう、ありがとう。」
「で、こないだのことだけど。」
「おう。」
「……タイミングはかって?」
「……」
顔中にクエスチョンマークが浮かび上がったのがわかって、美香は思わず苦笑した。
「タイミングって大事よね、ってこと。」
美香に呼び出されたときから意識しまくりだったのに、なんで分からなかったのだろう。
勝家はのどから声をしぼりだした。
「お、俺はお前のこと好きだから……付き合ってくれませんか?」
「……その前に、授業中とかに私のことみるのやめてくれないかな。」
突然投下された爆弾の大きさに慄く(おののく)。誰にも気づかれていないと思っていたのに、まさか本人に気付かれているなんて。
「ご、ごめん。つい。」
「いいよ、私も、三宅くんのことみてたし。」
さりげなく過去形で発せられた言葉。過去形ということは。そして、美香から勝家を呼び出したということは。
「勝家くんって、優しすぎるんだよ。……私でよければお願いします。」
ぺこりと頭を下げられて、勝家はひどく動揺してしまった。
「こ、こちらこそ……」
ぎこちなく始まった2人の関係はまず、お互いを名前で呼ぶことから始まるのだった。
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