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しおりを挟むエレアという悪役令嬢はゲームの中でもそこまで悪役ではなかったと思う。
誰であれ子供の頃から決められている婚約者が聖女ライラと突然恋に落ちて目の前でイチャイチャされては腹が立つだろう。
エレアを含む数人のモブ聖女は結局ライラの聖なる力には及ばずに、圧倒的な力を持つライラと比べられ
「こんなショボい奴等が聖女だって?」
的な扱いにやがてなっていくのだ。
その過程で元聖女達が魔物になり聖女ライラの聖なる力で打ち倒す度にライラがパワーアップしていくし、そのパワーアップした聖女の力で魔属領を奪っていくしで魔族が散々な目に遭わされることになるので、要はライラに元聖女達が倒されない(殺されない)ことが大事なのだろう。
一度死んでしまったという体験なのか、エレアの記憶に足された前世の記憶のせいなのか冷静に自分の置かれている立場を考えることが出来た。
魔族領で保護されたエレアはとてもか弱い生き物として気まぐれに魔王様に衣食住を与えられ、王太子の婚約者という立場から修道院コースで魔族領にと怒涛の勢いで人生が変わっていったエレアにとってはここでの暮らしが生きていた中で最も穏やかだったのだ。
将来国の為に国母として立つための努力をするわけでもなく、毎日魔王様のペット達と日向ぼっこをして空に浮かぶ雲を眺めて何もしなかった・・・
(ええ、本当に何もしなかったわ)
もちろん前世の記憶がなかったエレアなので今後の展開を予想出来るわけでもないので何も出来ないのだ。
その後にライラがエレアの聖魔力を奪う為に討伐隊を率いて魔族領にやってくる未来など知らなかったのだから。
エレアの聖魔力を奪うだけならサムル王国の中でサラっと奪うことが出来るはずだがわざわざエレアを魔族領に追いやって悪役の最期に相応しいような舞台を作ったのだ。
過去に大聖女と呼ばれた者が全て大きな偉業を成し遂げたわけではなく、圧倒的な聖女としての力があれば自然と大聖女として相応しいと認められるが、聖女ライラは誰の目から見ても納得するような偉業を作るためにエレアを魔族領に送り込んだのだろう。
ゲームのシナリオを知るものならここで魔族領でエレアが簡単に朽ち果てるのではなく生きて現れる事を知っている。
ゲーム内ではヒーロー戦隊モノの悪役が身に付けるような服装で討伐に訪れた聖女ライラの前に現れてあっけなく倒されるのだが、思えば聖女ライラに殺された時のエレアの服装はあの過激な漆黒のビキニアーマーではなかった。
漆黒のビキニアーマーは過去にそんな服装を好んで着ていた魔族の者がいたらしく、禍々しい物だが捨てる事が出来ないからと倉庫に放り投げられている物があり、見た目は防御力が弱そうな装備だが恐ろしく防御力アップするらしいそれらはエレアが身に付けても構わないとされていた。
聖女ライラが討伐に来る時にそのビキニアーマーを身に付けるべきか悩んでいたのだが、魔王のペットの魔亀が倉庫の扉の前で寝ていて扉を開けることが出来なかったのだ。
魔亀の大きさは甲羅にエレアを乗せて進める位大きなサイズでエレア1人の力ではどうにも動かす事が出来ず、元々ビキニアーマーを堂々と身に付けられる度胸もなかったので少しホッとしながら防御力が上がるローブを身に付けて聖女ライラの魔族領侵攻を止める為に聖女ライラの元へと向かったのだ。
あの時に魔王城に隠れていれば死なずに済んだかもしれないがそれが出来なかったのがゲームの強制力だったのだろう。
まるでそれが正しいとばかりに聖女ライラの元へと向かったのだから。
これからもゲームの強制力が度々あるだろうが、その選択肢の後に何があるか前世の知識を頼りに考えることが出来るのだから聖女ライラの魔族領侵攻まであと2ヶ月の間に色々準備出来るだろう。
エレアは魔王の配下のアランに聖女ライラの思惑とライラが聖女の聖魔力を奪う事が出来る事を説明した。
魔王城で静かに暮らしていたエレアが突然この先に起きる魔族領の被害について語りだすのだから驚いた様子だったが、魔王がわざわざ時間を引き戻す事の意味としてエレアの言葉を受け入れてくれた。
「エレア様の話が本当ならば魔族領に押し入って来る者達がその後に魔王討伐やらで落ち着いて暮らしている魔族領を滅茶苦茶に荒らすわけだな。人の国とは関わりたくはないがこちら側でもなんとかしておこう」
本来なら使い方は違うけれど夢魔の力を使ってサムル王国内に暮らしている聖女候補達の夢の中に予知夢として夢を送り続けてくれると約束してくれてエレアは少しほっとした。
聖女ライラのほんわかスローライフをどうにか歪めておかないと。
貴族令嬢の中にもエレアのように聖魔力を持つ者もいたけれど、聖女ライラと大聖女の地位を争えばエレアのようになってしまうという事を実際に見ているから今の時期に聖女として名乗り出ることはないだろう。
そう願いエレアは夢魔に依頼したのだ。
ざっと説明してから夢魔は
「承知しました!」
と承諾してくれて毎晩聖女候補達に悪夢を流しているそうで、その内容は夢魔のチョイスで送ってくれているらしい。
出来れば絶対に聖女には絶対にならないって思えるような悲壮感溢れる夢を送ってもらいたい。
これから去って行く聖女候補達よりも明らかに能力の低い人達は今がチャンスとばかり聖女候補に名乗りをあげる事はないとは思いたいが、ライラが他の聖女や聖女候補をどうするかだ。
ゲームの中ではエレアの聖魔力は高かったけれど、ゲームの設定上主人公ライラと同等な訳がない。
聖女ライラはゲームの中の物語を進める為にはエレアを倒して更にパワーアップしなければ魔王を倒す事は出来ない。
なので魔属領攻略の為にはエレアというキャラクターが聖女候補から魔族側に転じてライラが倒すというクエストを攻略しなければ魔属領を奪い取る力を得られない。
聖魔力を奪う口実として魔族になったエレアを倒す事が必要なのだろう。
「ね。エレア今日は何しようか?」
このまだ幼い姿の魔王はゲームの中では魔族のボスキャラで、真の魔王の姿は艶やかな漆黒の髪に全身黒づくめの豪華な衣装を着ていて、キラキラ光り輝く金髪の王太子とは対極の存在になっている。
陰のある美形の魔王だったがライラの攻略ルートには魔王は入っていないので、魔属領でのライラのするべきことは恋愛ではなく、魔物になったエレアを倒しその後ひたすらに魔属領を奪っていくことだけ。
実際は人が魔物にはなれないのでその辺はゲームの補正力でもどうすることも出来なかったのだろう。
それでも聖女ライラが討伐という名目でエレアを殺せば聖魔力を奪うことが出来るのだ。
「じゃあ魔王様のオヤツを作らせてくださいね、それからお庭でお花を育てましょうか?」
魔王城で生活するエレアは食べる物に苦労した末に魔王城の中庭に畑を作ってしまった。
短い期間だが入っていた修道院で畑の世話を命じられていたこともあり、自給自足で自分達が消費する野菜を育てていた修道女の姿を覚えていたからだとその当時は思っていたが、恐らく前世でスローライフのゲームをやり込んでいたのもが無意識に出てしまったのだと今なら思い当たる。
ライラのゲームの中ではサムル王国の王宮の中庭を大きな畑にしていたのだ。
あの畑に比べればエレアの作った畑は規模の小さなものだったが、魔属領では食べれない味の料理を魔王様は珍しそうにしていた。
魔属領にない素材は砂糖を作り出す植物で、それらはどう育てても魔属領では育たないので人の土地から砂糖を調達せねばならなかったが、魔族には不思議と甘党な者がいないので砂糖を輸入する必要性もあまりなかった様子だった。
大人になり人の世界に潜り込んだ魔族の中には甘党になる者もいるので、実は甘党の魔族もいるのかもしれないが、幼い頃からその味覚に触れていないので気付いていない者もいるのだろう。
エレアの畑は聖魔力を使い魔属領の土地に滲み込んでいる魔素を含む土を浄化する事から始める。
魔素を強く含む土からは魔族領特有の植物しか育たず、魔素を取り除いた土は人の世界と同じ味の野菜などを収穫することが出来た。
じゃあその土地に滲む魔素はどこから来たのか?
それを考えると魔属領の空気の中に魔素が含まれているからだろう。
なのでエレアは浄化した土の上に小さな結界を作った。
そうすれば傘の役割をしてエレアの畑に魔素を含む雨や空気が入り込まないからだ。
手間のかかる畑を維持しながらエレアは魔王城で暮らしていたがその頃のことを思い出しても不思議と苦労とは思えなかった。
自分の必要な分だけの食物の世話をしてあとはのんびりと暮らせるのだ。
人も魔力を持つ者であれば魔属領の食べ物を食べられないことはないが、魔素が強過ぎて気分が悪くなったりお腹を壊したりする。
更に自分の中の魔力を溜める核の許容量を超えてしまうと死亡してしまう者もいるために、魔属領の食材は毒だと決めつけている者も居るが、少しずつ接種すればそこまで体に害のあるような反応が出るわけではなく、少しずつ摂取しながら自分の中の魔力の核に耐性を付けて魔力量を増やしていけばいいのだ。
ただしその期間を魔属領で過ごす事自体からだに害があるので、今までにそんな暮らしを実践した者もいないのだろう。
エレアはライラのような規格外の存在ではないがサムル王国の王太子妃候補に選ばれた理由が高位貴族出身の中で一番魔力量が多いという理由だったので、魔王城での生活も何とかなっていたのだ。
今頃サムル王国では自分達の時を歪められ巻き戻されている事に気付かずに討伐準備が進められている事だろう。
時間を引き戻された事を魔王から知らされた魔族達はたかだか2ヶ月程度かと気にせずいつも通り暮らし始めているが、魔属領周辺の結界が強化されたので聖女ライラ達が前回のように魔族領に入ることが難しくなったはず。
魔王の作り出した結界によりサムル王国側からは誰も入れないようにしているのだ。
もし他国から魔属領に入るのであれば武器を持った兵士達を引き連れた聖女ライラが隣国なりを訪れ魔属領に攻め入る理由をきちんと説明しなければならない。
サムル領と魔属領の間の魔素の強い土地に公爵家を除籍されたとしても元侯爵令嬢を連れて行き、魔物に攫われたなどという話を聞いて納得するような国はないだろう。
サムル王国に潜入している魔族からの情報では結界はゆるゆるで簡単に魔族が侵入出来るレベルらしい。
魔族側はサムル王国に対して警戒態勢だが、サムル側はそもそも時間を戻された事に気付いていないわけなので魔族領へ討伐隊を向かわせる準備に忙し様子だそうだ。
(聖女ライラは何をしているのかしら?)
聖女の中から最も優れた者が高い能力を使って結界を強化することが建国以来のサムル王国の護りの要だが若干不快な光のカーテンを潜り抜ける程度でしたと報告を受けエレアは驚いてしまった。
「ラ・・・ライラはどうしてるのかしら?」
「最近サムル王国で選ばれた大聖女候補は王都の整備には意欲を見せていますが、それ以外には興味がない様子ですね」
王都を見てきた魔族の話だった
大聖女を名乗るには少し時期が早い気がする。
今のライラの聖魔力では確かに群を抜いて強い聖魔力を持ってはいるが大聖女を名乗るまでの力はないはずだ。
ライラが大聖女の位を与えられるのは他のキャラの聖魔力を自身の体内に入れ込んで以降のことで、その身から溢れる聖魔力の力を放出し国の隅々まで光の結界を行き届かせるという派手なパフォーマンスがあるのだ。
大聖女候補と呼ばれるのであれば後の大聖女確定の存在という事で、前回は討伐に訪れた時にはライラはただの聖女だったはず。
「王都の一等地に聖女が作るスイーツ店なる店を構えるそうで、白いお洒落な建物を瞬く間に建てたまではいいのですが、傷みやすいスイーツに添える果実などを冷やしておく氷の魔石が大量に必要になったと騒いでおりました」
「氷の魔石ね・・・」
冷蔵庫といった便利家電のないこの世界では氷の魔石を大きな箱の中に置いてその上から傷みやすい食材を並べておくのだ。
魔石の中の魔力が無くなるまでその箱は冷蔵庫として使うことが出来て、空になった魔石にまた魔力を注ぎ込めば魔石として使うことが出来る。
そういった便利な魔石が魔属領には産出している場所が豊富にある。
その魔石を狙ってライラが魔属領に攻め入る口実を作らさないように気を付けないといけない。
「そういえばエレア様が魔人になったのではないかという噂を流している者が幾人かおりましたが・・・」
「私が魔人なのね・・・」
その噂は知っている。
その噂の結果、サムル王国を恨み王太子の命を狙いに来るはずのエレアへの討伐隊が魔属領に送り込まれた。
噂はもちろんエレアが悪でなければならない者達が流した真実ではない都合の良い噂である。
エレアはライラがそのように言い続けてライラに妄信している者達が信じたのだろうと予測している。
「ええ、ですがエレア様が行方不明になっているだけで魔人としてサムル王国に現れているわけではないので信じている者はほとんどいませんね」
前回は行方不明になっているエレアを捜索するとか言って魔属領に入り込み、何人もの人間が魔族となった禍々しいエレアを見たと言い張ったのだ。
今回はサムル王国側から魔属領には一歩たりとも入ることが出来ない状態に結界を張っているので誰も魔属領に入ることが出来ない。
強い結界が人の行く手を阻んでいるのを魔属領に出入りしていた猟師や冒険者達も知っているので魔属領に入れた等という嘘を付くことが出来ないのだ。
エレアの聖魔力を取り入れることが出来ればライラは更にパワーアップすることになるので、魔属領の存続の為にもそうならないようにエレアは逃げ続けるつもりだ。
前回はサムル王国側がどうなっているのか調べる事もしなかったけれど、魔属領に攻め入る大きな理由はスイーツを冷やす為の氷の魔石だったのか。
魔素を強く含む土からは魔族領特有の植物しか育たず、魔素を取り除いた土は人の世界と同じ味の野菜などを収穫することが出来た。
じゃあその土地に滲む魔素はどこから来たのか?
それを考えると魔属領の空気の中に魔素が含まれているからだろう。
なのでエレアは浄化した土の上に小さな結界を作った。
そうすれば傘の役割をしてエレアの畑に魔素を含む雨や空気が入り込まないからだ。
手間のかかる畑を維持しながらエレアは魔王城で暮らしていたがその頃のことを思い出しても不思議と苦労とは思えなかった。
自分の必要な分だけの食物の世話をしてあとはのんびりと暮らせるのだ。
人も魔力を持つ者であれば魔属領の食べ物を食べられないことはないが、魔素が強過ぎて気分が悪くなったりお腹を壊したりする。
更に自分の中の魔力を溜める核の許容量を超えてしまうと死亡してしまう者もいるために、魔属領の食材は毒だと決めつけている者も居るが、少しずつ接種すればそこまで体に害のあるような反応が出るわけではなく、少しずつ摂取しながら自分の中の魔力の核に耐性を付けて魔力量を増やしていけばいいのだ。
ただしその期間を魔属領で過ごす事自体からだに害があるので、今までにそんな暮らしを実践した者もいないのだろう。
エレアはライラのような規格外の存在ではないがサムル王国の王太子妃候補に選ばれた理由が高位貴族出身の中で一番魔力量が多いという理由だったので、魔王城での生活も何とかなっていたのだ。
今頃サムル王国では自分達の時を歪められ巻き戻されている事に気付かずに討伐準備が進められている事だろう。
時間を引き戻された事を魔王から知らされた魔族達はたかだか2ヶ月程度かと気にせずいつも通り暮らし始めているが、魔属領周辺の結界が強化されたので聖女ライラ達が前回のように魔族領に入ることが難しくなったはず。
魔王の作り出した結界によりサムル王国側からは誰も入れないようにしているのだ。
もし他国から魔属領に入るのであれば武器を持った兵士達を引き連れた聖女ライラが隣国なりを訪れ魔属領に攻め入る理由をきちんと説明しなければならない。
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魔族側はサムル王国に対して警戒態勢だが、サムル側はそもそも時間を戻された事に気付いていないわけなので魔族領へ討伐隊を向かわせる準備に忙し様子だそうだ。
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「ラ・・・ライラはどうしてるのかしら?」
「最近サムル王国で選ばれた大聖女候補は王都の整備には意欲を見せていますが、それ以外には興味がない様子ですね」
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今のライラの聖魔力では確かに群を抜いて強い聖魔力を持ってはいるが大聖女を名乗るまでの力はないはずだ。
ライラが大聖女の位を与えられるのは他のキャラの聖魔力を自身の体内に入れ込んで以降のことで、その身から溢れる聖魔力の力を放出し国の隅々まで光の結界を行き届かせるという派手なパフォーマンスがあるのだ。
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「氷の魔石ね・・・」
冷蔵庫といった便利家電のないこの世界では氷の魔石を大きな箱の中に置いてその上から傷みやすい食材を並べておくのだ。
魔石の中の魔力が無くなるまでその箱は冷蔵庫として使うことが出来て、空になった魔石にまた魔力を注ぎ込めば魔石として使うことが出来る。
そういった便利な魔石が魔属領には産出している場所が豊富にある。
その魔石を狙ってライラが魔属領に攻め入る口実を作らさないように気を付けないといけない。
「そういえばエレア様が魔人になったのではないかという噂を流している者が幾人かおりましたが・・・」
「私が魔人なのね・・・」
その噂は知っている。
その噂の結果、サムル王国を恨み王太子の命を狙いに来るはずのエレアへの討伐隊が魔属領に送り込まれた。
噂はもちろんエレアが悪でなければならない者達が流した真実ではない都合の良い噂である。
エレアはライラがそのように言い続けてライラに妄信している者達が信じたのだろうと予測している。
「ええ、ですがエレア様が行方不明になっているだけで魔人としてサムル王国に現れているわけではないので信じている者はほとんどいませんね」
前回は行方不明になっているエレアを捜索するとか言って魔属領に入り込み、何人もの人間が魔族となった禍々しいエレアを見たと言い張ったのだ。
今回はサムル王国側から魔属領には一歩たりとも入ることが出来ない状態に結界を張っているので誰も魔属領に入ることが出来ない。
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エレアの聖魔力を取り入れることが出来ればライラは更にパワーアップすることになるので、魔属領の存続の為にもそうならないようにエレアは逃げ続けるつもりだ。
前回はサムル王国側がどうなっているのか調べる事もしなかったけれど、魔属領に攻め入る大きな理由はスイーツを冷やす為の氷の魔石だったのか。
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