闇堕ちの魔女は案外人気があるようです

里音ひよす

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 「シオンが下働きって?」
 魔術師の役でアリス姫の討伐パーティメンバーに入っていたシオンは、リザルド王国から出発した当初の騎士達が混じっていたパーティの時から、誰が食事などの雑用をするかという役割で身分的にレイルと共に食事係も兼任していた。
 生まれ育った家で使用人扱いされていた事もあり、食事を作る事は苦でなく元来手元は器用なほうなので、魔族領での生活で食事係を受け持つこともわけなかった。
 それに野営での食事となるとそこまで美味しさを求められない場所なのでシオンでもなんとかなったのだ。
 レイルに関しては村育ちなのでその辺から食材を探して来るという能力には長けていたが、調味料を使い味付けを行うことなどは大雑把なもので、調理でもその辺りはシオンが受け持っていたのだ。

 働かない者には食事を与えないというマダム・リリーのルールでは、シオンも何らかの仕事を与えられることになり、調理場の下働きという仕事と魔道具の調整や改造をマダム・リリーから命ぜられていた。
 魔道具もシオンの生家には沢山あったが、高価な魔道具は触らせてはもらえなく、使用済みで動かない魔道具やレザリン家お抱えの魔道具師が制作途中で失敗だと捨ててしまった破棄する魔道具をこっそり集めて自分なりに便利な物に作り替えるという趣味があったので、マダム・リリーから他に何か取り柄や好きな事はないのかと訊ねられた時に、魔道具の簡単な修理が出来る事を伝えたのだ。

 修理に関してはシオンは誰かについて教えられたことはないが、ラサリン家には魔術や魔道具の本は大量にあり、最近の流行の魔道具の本もあればすでに時代遅れで誰でも知っている魔道具の構造を記した古い時代の魔道具の本もあり、誰でも知っている魔道具の本等は、シオンが自室に数冊程度忍び込ませても気付く者などいないため、シオンが繰り返し本を見ながら独学で学ぶ事が出来たのだ。
 魔道具を自分なりに改良することは出来ても、それを動かす力がないシオンはその魔道具の性能を知ることが出来ないが、ある日古い納屋を掃除していた時に出てきた失敗作のマジックバックを見つけてその中に全て隠すことにした。
 マジックバッグ自体大変貴重で高価な物なのだが、ラサリン家でも大容量のマジックバッグを作ろうと研究していた時期があり、すぐに今の自分達の能力ではマジックバッグを作ることが出来ないと研究自体を取りやめた記録がある。
 その時に1つのマジックバッグを構造を知るためにと裁断し研究しようとしてダメにしたのだ。
 裁断した中身を研究しようにもバッグはただの布切れへと変化し、再び縫い合わせてもマジックバッグとしての機能は戻らずで、捨て置いた布切れを誰かがガラクタ庫に入れていたのだ。一見すると薄汚れた小さな袋で貴重な物には見えず、シオンもただの袋だと思い小さな屑魔石を集めた時に入れようとして気付いたのだ。
 再び縫い合わされたマジックバッグはどういうわけか少しだけ収納機能が回復していたようで、以前の容量を収納することは出来ないがリンゴ箱1箱程度は収納できるし、シオンが集めていた古い魔道具なら幾つも入れることが出来た。
 念のために屋敷の中に植えられている薬草を乾燥させた物も入れておけば、何かしら怪我をした時に使用する薬草袋にしていると言い訳が出来るかと思っていたが、誰もシオンに感心がないのでその汚い袋も気にされることもなかった。

 魔族領でアリス姫やレイル以外の騎士達が側に居た時には警戒して袋の中身を出す事もなかったが、半分自由の身になったような今だと、袋の中の修理した古い魔道具は自分の物として利用出来るのだ。
 多少は防御力が上がるのではないかと幾つかの魔道具をアリス姫とレイルに渡してきたのは3人で魔族領で生き延びてきたことに対する連帯感であったが、それでもまだシオンのマジックバッグの中には魔道具が幾つも入っていた。
 それをマダム・リリーに見せた所、マダム・リリーの所見からしてもその魔道具は古い物だが、古くても今も使える物なので大切にするように言われ、マダム・リリーが所有する魔道具の幾つかを修理してみるよう正式に依頼を受けた。
 報酬は月末にまとめて貰えるらしく、シオンは無一文な状態なので、食と住を与えられる代わりに厨房で下働きをしているが今までよりも快適な環境にシオンは満足していた。
 家族にも魔道具の修理が出来る事を告げたことがなかったシオンだが、マダム・リリーの見立てでは魔道具を修理出来るのなら魔力があるのだろうと。
 ただ、それがラサリン家の人々が求めるような魔力ではなく、まだ見出せない形でシオンの体の中にあるのではないかと。
 その言葉にシオンは驚きながら、確かに全く魔力が無いものが魔道具を修理等出来ないだろうと納得する部分もあった。
 修理出来てもシオンの魔力は攻撃を主とするような魔道具には反応しないために、やはり外に見て取れる魔力というのではないのだろう。
 防御系の魔道具であれば不思議と身に着けていて効果がある気がするので、シオンの奥深くに眠る魔力が反応しているのかもしれない。

 「エレア様、今日の鶏肉の香草焼きは最高に美味しいですよ」
 魔族領で捕らえられていた時とは違いシオンは生き生きとした表情をしていた。
 魔術師としての能力がないだけで無能扱いされていたシオンにとっては今の職場は数段働きやすいのだろう。
 髪色を赤毛に変えているために顔の周りも華やかに映り雰囲気がすっかり変わっている。

 同じマダム・リリーの職場でエレアやレシーも働いているが、裏方として働いているシオンとはほとんど顔を合わせる事がなかったのでこれほど雰囲気が変わっている事に気付かなかった。
 
 「シオンは料理も出来るのね。生活能力が高いってことは何処でも生きていける強みの1つだわ」
 「僕が実家でしていた事なので・・・それに平民だと大多数が子供の頃からしている事なのでそれほどの強みではないですよ」
 「そう言えばそうね、平民だと物心つく頃にはお手伝いを通して自然と覚えていくものね。私は生きていくために修道院で料理は覚えたけれどそれ以外で掃除とか洗濯とかは全然ダメだもの」
 「エレア様は高位貴族出身で、生まれた時から王太子の婚約者候補として育てられたのですし、貴族の中でも特別に大切に育てられた方だから尚更ですよ」
 エレアが出来なくても当たり前だとシオンは言ってくれているが、与えられていたモノが当たり前のモノだと思っていた頃は自分の生きてきた道がこのように変わるなどと思ってもみなかったのだ。
 「シオンが作った魔道具が評判だって聞いたのだけど、魔道具を作る時間はマダム・リリーからもらえてるの?」
 「魔物が近くに来ると警報音がなる道具を持っていたのですが、それを少し改造して魔物に対して警戒しなければならない道具を持っていたり魔物の持つ波長の魔力ではない強い魔力を持つ者が近づくと警報音がなるようにしたんです。それだとこの治療院に出入りする魔族の存在を隠せるかと思いまして、でも誰かが作った魔道具をただ改造しただけなのでマダム・リリーが興味を持ってくれるほどの物ではないんです」
 「ううん、そんなことはないわ!だって作り替えるにしても全く違うモノを対象とてるじゃない。だとしたら土台はあるとしてもそれはシオンが作った道具だと思うの」
 エレアの言葉に、シオンは自分が誰かから認められるという事の嬉しさはあったが、それでもその魔道具の発動システムの殆どが誰かが作った物を少し変えたに過ぎないから自分の実力ではないと考えてしまう。
 「1つの魔道具を作るのには1から材料を集める必要があるので、マダム・リリーがそれに費やす時間を与えてくれても実験やら材料集めやらで膨大な時間を費やす事になるんです。僕は今の下働きの仕事で十分満足なんです」
 そう告げると少し微笑んだ。
 「今発動している魔道具のおかげでこの王都が戦いの場にならなくて済んでいるのだし、もしシオンが作ってみたい魔道具があれば遠慮なく言ってね、私もここで働くにあたり実は給金を貰ってるの。働いているんだから当然の権利だってマダム・リリーが歩合制で出してくれるって。自分が働いてお金を貰えるって初めての事で、でも今はまだ外を出歩いちゃダメだから貯めてるのよ」
 嬉しそうにエレアが告げた。
 「いえ、僕も食い扶持を越えた働きに対してはマダム・リリーが給金として出してくれるそうなので、ここで少しずつお金を貯めてるんです。僕は自分のお金を所持したことがなかったので今は少しずつ働いて将来の為に貯金しておこうと思ってるんです。幸いあの改造した魔道具はマダム・リリーが買い取ってくれるそうなので」
 「そうなのね、よかったわ。ふふっ何だか私達マダム・リリーのおかげでこの先働いて生きていく術を教えてもらってるわね」
 修道院で生活していた頃は世俗から離れた場所での神への奉仕的な活動が多かったが、今の暮らしは平民であれば普通の暮らしといったところだろう。
 生きる時間の違う魔族と共にこの先も魔族領で保護される生き方以外に選択肢があればよいだろうと魔王の配慮も今の生活に滲んでいる。
 そのためにも今後の憂いを取り除くためにもライラというエレアにとっての脅威を取り除かなければならない。
 もしライラに聖魔力の力を奪われたとすれば魔王はまた時を戻すだろうが、一度の時戻しですら魔王の魔力をかなり削ぐ行為だ。
 次となると魔王の魔力がどうなるかわからない。
 それにエレアはもう二度とライラに何であろうと奪われたくないのだ。
 
 「レイルは魔族領で勇者としての訓練を課せられているって聞いたのですが、何度も逃げ出そうとしては捕まってるみたいですよ」
 魔王城にいるレイルを勇者として育ててるなんて人の国の者達が聞いたら驚くような話だが、むやみやたらに勇者を名乗る者が魔族領に押し寄せるよりも、魔族の息のかかった者達が魔王を倒したことにして自分の国に帰還したほうが魔族領側にとっても面倒臭い相手をしなくていいというメリットがあるらしい。

 今回勇者の血筋のレイルが魔族領の中で捕獲されたので初めての試みらしいが、これが上手くいけがマダム・リリーを経由して勇者の村から厳選された若者を魔族領でそれなりに見栄えがするように鍛え直して適当な国の身分を調達して産地偽装で勇者を立て続けるということも視野に入れているらしい。
 「全員あの村出身って事だとまた国の思惑が入り乱れてあの村がいろんな国から狙われても嫌なのよ。出身地なんてなんとでも偽装出来るし、勇者の国を変えればその都度その国から勇者に褒賞も貰えるしいいでしょ」
 とシオンに話していたそうなので抜かりはないようだった。

 「レイルは例の勇者の村に生まれた時点でマダム・リリーにどうにかされる運命だったのよ。ある程度仕事を通じて魔族領で生きれる基礎の体作りは出来ていたみたいだし、本人は魔族領で走り回れる健康な体についても何の疑問もないようだったけど、逃げようとするほど元気なのね、それともアリス姫が聖魔力でレイルの身体について補助をしてあげてるのかしら?」
 「アリス姫の事はイムさんは話してませんでしたけれど、厄介なお姫さんだとだけ言っていました」
 「そう・・・」
 「アリス姫はすっかり魔族領に馴染んで暮らしていますが、レイルは魔族領でお嫁さんを探しているとかで、魔族の女性を片っ端から口説くので魔族の女性からは鬱陶しがられているそうです。勇者となる前に一人前の大人になる必要があるとかで鍛錬に身が入らない様子です。レイルは勇者の血筋に受け継がれる覇気が魔族領で嫌々鍛えられるうちに上がってしまい、その覇気が魔族からは嫌われるものなので余計に避けられてるんですが、本人は気付かないものなんですね」
 それぞれに魔族に保護してもらいながら生活しているけれど、今現在困っているのはレイルだけで討伐パーティのメンバーはそれなりに暮らせていることにエレアは安心した。
 ライラがリザルド王国に来るというイベントの裏で、3人は無理矢理魔族領へと行かされたのだからライラが欲を出して魔族領を狙わなければこのような事にはならなかったのだ。
 その結果が元の生活よりも格段に良い暮らしをしているのだが、エレアを含めて全員が生きている事を知られるとまずいので、今は身分を偽らなければならない。

 「ライラが魔族領を狙わない事を確認出来れば私達も何処か離れた国で平穏に暮らせると思うの。それまでは少し大変かもしれないけれど生活能力を高める事に集中しましょう」
 「エレア様も何処かの国で暮らすのですか?」
 「ええそうよ。一時的に保護してもらっているけれど、魔族領がライラから脅かされなければ何処かで平民として暮らしていくつもりよ。今はどの国も魔王討伐を掲げているライラのせいで魔王を討伐しなきゃいけないって風潮になってしまっているし、何処かの国に潜んでもそれが悪い方向に転がるきっかけになるかもしれないから魔王様の庇護下が一番安全かなって思ってるけど、いつかは自分の足で生き方を決めていきたいの」

 (悪役ですぐに亡くなるキャラのエレアがこの先どうなるかは未知数だけど・・・)

 詳しい胸の内をこの世界の人達に話す事は出来ないし、この世界で生きているシオン達と同様に自分も生きるしかないと思っている。

 「エレア様が平民として生きるのはあまり想像出来ませんが、でも未来はどうかわかりませんよね」
 「だから今のうちに沢山学んでおきたいの」
 
 初めは自己主張のあまりない様子のシオンだったが、それはラサリン家でのシオンの立ち位置から抑圧されていたものだったのだろう。
 使えない人間としてラサリン家でのシオンは常に出来損ないとして見られていた。
 実際は手先が器用で物覚えの早いシオンはラサリン家から何処に奉公にでも出されれば奉公先では別の評価を得ていたのかもしれない。
 親の期待に応えられないというだけで出来損ないと言われていただけなのだろう。
 
 シオンと話ながらエレアも自身のことを振り返った。
 ラサリン家もリザルド王国では名の知れた貴族だと聞いたが、サムル王国の貴族だった自分も結局はシオンと似たように使えないと決まれば疎まれる存在となった。
 子供は家を繫栄させる道具として生まれてくるのだから自分の親の態度を今はそこまで恨んでもいない。
 一度目の生の時は絶望に胸が潰され自分を捨てた親を恨んだが、二度目の生は幾つもの差し伸べる手がエレアを絶望へと追いやる事はなく、むしろ未来の自分の生き方を考えれるほど前向きになれたのだ。
 きっとシオンも同じように私ねと魔族領へと送られた後に未来への希望を見出せるものを与えられたのだろう。


 「この世界はライラのためのような世界だったけれど、誰か1人の為の世界って結局多くの人達にしわ寄せが来るって事なのね・・・」
 「えっ?あの聖女の世界だというんですか?」
 ゲームを知らないシオンは不思議そうに訊ねてきた。
 「私は今この世界で生きているライラの事をそれほど知らないのだけど、たまに怖いと思うことがあるの。ライラが私の前に現れたらどうしようって・・・きっとサムル王国で誰もがライラの言葉を信じてしまって私が悪いからだって言われ続けてきたからだろうけれど、そうじゃないって言われても中々今まで言われた事って頭から消えないのよね」
 「僕もそのライラって人の事は知りませんし、ライラのしわ寄せで僕も被害を被ったかもしれませんが、サムルでもリザルドでもいろいろな理由で被害を被った人がいると思います。人って実際に自分が困ると気付く事もありますし、その被害にあった人達の幾人かはエレア様の気持ちを今なら気付いてくれているかもしれませんよ」
 「そうね、被害にあえば初めてわかるかもね」
 「こちらで僕が下働きで働いてるうちに親しくなった穀物の卸業者がボヤいてましたよ、リザルドの王宮に大量の小麦や砂糖を優先的に寄越すようにって言われて迷惑だって話です」
 「あら、じゃあもうリザルドでもライラが好き勝手に動いているってことね」
 「はい、冬のリザルドの食料事情を何も考えずに王宮に滞在しているので、いずれ何らかのトラブルを引き起こすのではないでしょうか」
 王宮の中のことはいくらマダム・リリーに情報を流してくれる人物がちらほらいたとしても、リアルタイムで伝えてくれる者の存在ではないので、たまに伝え聞く程度だった。
 ライラが王宮の中から出ないのは、攻略対象者が王宮の中にいるからだ。
 聖魔力を持つ女性の治療院の話題は当然耳に入っているだろうが、直ぐに動かないところを見るとユリアという女性をまだ脅威に感じる相手とは思えていないのだろう。
 リザルドの王太子を攻略すれば、次に魔王を討伐する必要性を説いてリザルド王国から魔族領に討伐パーティとして共に力を合わせようと誘うだろう。
 魔王討伐により魔族領を得る事と、魔族領に隠れていると思い込んでいるエレアの力を奪うためにだ。
 どちらにしよ今のライラでは、討伐パーティのような少人数で高い能力を求められるようなポジションで魔族領に入ることが出来ないので、少しでも聖魔力を高めるためなら聖女認定されていない女性から力を奪うことを考え、聖魔力を持つ女性を物色するだろう。
 その中でライラが選ぶとすればユリアだ。

 下働きとして次の仕事を与えれれているシオンが他の使用人に呼ばれその声のする方へと顔を向けるとエレアにお辞儀し慌てて厨房へと戻って行った。
 エレアは聖魔力での治療だけを課せられているので仕事が終わればゆっくり休むことが出来る。

 この世界のライラがどういう少女だったのか知るためにももう一度ライラという少女と会わないといけない。
 治療院のブースを片付けながらエレアはライラの事を考えていた。
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