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「近々聖女ライラが神殿に祈りを捧げに来るらしいぞ」
そんな噂が王都内に一瞬で広まった。
神殿が大々的に宣伝していることもあり、本当に聖女ライラが神殿を訪問するのだろう話に人々は沸いていた。
「ずっと王宮に篭っていたライラが出てくるなんてやっぱり目的があってのことよね」
エレアはその真意を理解している
「気に入らない事が幾つも王都内で起きてるんだからそりゃ出てくるしかないでしょう」
予想通りにライラが動き出して上機嫌のマダム・リリーはスーラの髪を梳かしている。
マダム・リリーの秘密の薬箱という名の治療院も人の流れのない本格的な冬季には縮小する考えが初めからあったのと、ライラが聖魔力を持つ女性を狙うのであれば治療院付近だと絞り、5人のうちの3人はライラも知らぬ別の場所へと移動させたのだ。
マダム・リリーの根城ともいえる娼館の最上階にあるマダム・リリーの居住区である。
エレアは今日はマダム・リリーに呼ばれてこの娼館の最上階に来ているのだが、調度品はシンプルだが趣味の良い物が置かれている。
広過ぎる部屋の中にわずかな調度品のみ置かれていて、贅を尽くせるはずのマダム・リリーは意外と欲がないように見えた。
「今日からユリアと急遽用意した屋敷で暮らして欲しいの、場所はあの治療院の隣にある建物よ」
「あの建物は住んでいる方がいませんでした?」
「お金を払って建物を売ってもらったわ。治療院の後ろの家も反対側の家も買い取ってるのだけど、ほらライラの捕獲時に迷惑をかけちゃいけないでしょ。ついでに治療院の隣が居住スペースだってことにしたらライラは治療院を狙ってくるはずよ。昼間は治療院を警戒して夜は住居側を警戒すればいいだけじゃない」
「スコーン店のほうはどうされるんですか?」
「スコーン店の店員は私の配下の者達だけになるけどこちらも問題ないわ。攻撃力高めの者達を準備しているし、ユリアが店に毎日顔を出していたわけじゃないから客足も減るわけもないわ。まぁライラも1度は覗きに来ると思うけれど、昼間の人通りの多い店の前でいきなりライラが人を襲うはずもないから、こちらは警戒しなくて大丈夫よ。だからエレアがスコーン店でスコーンを売って頂戴」
「えっ!私がですか?」
「そうよ、治療院よりもスコーン店の店員達のほうが戦闘能力が高いから安全な場所がそこになるの。ユリアは治療院の宣伝を兼ねて聖騎士マーカスと何度かデートの予定だから忙しいのよ。ライラもさすがに聖騎士の前で聖魔力を持つ女性を襲う何て暴挙に出ないだろうから、神殿に祈りを捧げに来るっていう口実の前に挑発してやろうと思ってるの」
「挑発し過ぎなんじゃないでしょうか?ライラは絶対に聖騎士マーカスを狙ってきますよ。だって彼を手に入れればライラの攻撃力や防御力がマーカスによって補えますし、すでにサムル王国の王太子妃に内定していてもサムル王国に帝国の聖騎士を連れ帰るなんて箔付け出来ますしね」
「ふふふっそうね!絶対に聖騎士が欲しくなっちゃうはずよね!ふふふっ」
マダム・リリーが笑いを堪えられなくなり体を折り曲げ笑い続けている
「何かあったのですか?」
マダム・リリーがこれほど笑うのであれば他に何か隠している事があるのだろう
「ふふふっエレアちゃんってばユリアの事をもう一度振り返ってみて頂戴、あの子の中は空洞があるだけで実際には聖魔力がないわけでしょ。なのに何故聖騎士マーカスがユリアに跪いてるのかしら?」
「えっ?それはその空洞の量があまりにも大きいから本来あるべき聖魔力の量を・・・あれ?」
「あははっ実はエレアから聞いたライラをおびき出せそうな方法の中に聖騎士マーカスの話があったでしょう、今この世界の何処に居るかわからない帝国の聖騎士マーカス。何処にいるかわからないのなら私が用意すればバレないと考えて偽者を用意してみたの。エレアから聞いた外見に合う男性を準備するのに時間がかかったけれど、私の知り合いの伝手で手配できたってわけ。だからライラが苦労して聖騎士マーカスを手に入れても目の前の聖騎士は偽者だから魔王討伐?できっこないわ!あははっ」
あまりにも楽しいのか、いつもの上品なマダム・リリーの笑いかたではなくなっている。
「えっ!でもバレたら大変じゃないですか!!」
「そうね、バレたらね。でも外部から遮断されたこの王都の中では少なくとも春までバレないんじゃないかしら?」
「転移門を使って本物の聖騎士マーカスがこの国を訪れた場合はどうなるんですか!?」
「神殿の人達もこの国にまさかの帝国の聖騎士が来るとは思わなくて、どうしても神殿に滞在して後世に語り継ぎたかったみたいよ。急な転移門のメンテナンスで転移門に取り付けている魔石を外したものだから再び魔石が作動して使えるまでに1ヶ月程度はかかるかしら。だからリザルドの王都に本物の聖騎士がここに来ることは出来ないのよ」
「どうして転移門のメンテナンスなんて・・・」
「私の知り合いの転移門に常駐する兵士が何となく呟いたら急いでメンテナンスに入ったって」
それはきっとマダム・リリーがそう仕向けるように指示していたのだろう。
あの聖騎士マーカスとしか思えない人物がまさかの偽者だったとは驚きしかない。
「凄いです、まるで本物にしか見えませんでした。鎧も・・・実際に帝国の聖騎士を見たことはありませんが、14人って数も決まってるんですよね」
帝国の聖騎士候補呼ばれている者も含めると帝国教会は多くの騎士を有しているが、聖騎士に選ばれるのは貴族階級の者が多く、鎧以外のブーツやグローブ鎧の下に着用する衣服についても高価な物を身に着けている。
聖騎士が14人なのは聖騎士が着用出来る遥か昔に聖石の中から見つかった鎧の素材となる物質が15体分しか作れなかったことにある。
現在は聖騎士の数が14名なのは、いつの頃の時代かに活躍していた聖騎士が所在不明となり、その身に着けていた聖騎士の鎧が行方不明になったためである。
鎧を作った聖石も見つからず、鎧の素材を得ることが出来なかったために聖騎士の数を15人から14人としたのだ。
「私がたまたま聖騎士の鎧を保管していてよかったわ」
「マダム・リリーが持っていたんですね・・・帝国がずっとずっと探している鎧だったんですが・・・」
「ほら、私の聖女好きって有名じゃない。聖女に聖騎士って昔から寄り添うものだし、勇者が聖騎士の鎧を着てもいいかもって準備してたんだけど、一度勇者の血筋に身に着けさせても何にも変化もないただの鎧だったわ。聖騎士の鎧は修行をした者が身に着けてこそ使える鎧になるみたいで、それ以外の人が着用してもただの無駄に光る鎧みたいよ。でも皆が本物の聖騎士だって思ってて面白いわね」
「じゃあユリアは知ってたんですか?」
「もちろんよ。だって本物の聖騎士だとユリアを選ばないでしょ。ほら、ほらエレアったら落ち込まないで、今日もユリアとマーカスの王都デートが始まるんだから。今日はね、先日マーカスに沢山持たせた紙袋の中身を商業ギルドに持って行ってもらうのよ。
「何でですか?」
「二人で薬草を売るんでしょ?そして売れたお金で屋台で焼き串を買ってはしゃいだりするんでしょう」
あくまでもエレアの話した聖騎士マーカスルートを忠実に再現しようとしている。
「ユリアのご贔屓様達は嫌がるんじゃないですか?ユリアが他の男と歩いているなんて、会長の息子も不快に思うのでは?」
「あら、大丈夫よ。皆さすがはユリアだって言って喜んでるわよ。だってあの帝国教会の聖騎士がユリアを素晴らしい聖魔力を持つ女性だって褒め称えてるんだもの。嬉し過ぎて聖騎士マーカスに選ばれた聖女ユリアって絵を画家に依頼したって会長もいるし、彫刻を発注するんだって言ってた会長もいたわ。あの二人なら美男美女で絵になるわ」
全員を騙しているのだがマダム・リリーは全く気にしている様子もない。
「ユリア凄いですね!もしかしてリザルド王国一番の聖女になるかもですね」
サイドを綺麗に結い上げられたスーラはミルクティー色の髪色に戻っている。
治療院の中で一番年若いスーラは体も小さく愛らしい容姿の為に、マダム・リリーから与えられた繊細なフリルを使ったドレスがよく似合っている
「ユリアの価値が更に上がったわねスーラ、でも貴女は心配しないでいいのよ。貴女は私の大事な娘だもの」
聖女を収集することが趣味のマダム・リリーにとっては治療院の聖魔力を持つ女性達は全て大切なコレクションであり、不自由なく暮らす女性達を愛でるのが良いのだそうだ。
「それとエレアに付きまとっている男だけど、おそらくスコーン店にも顔を出すと思うわ。うちの子達は強いけどエレアも気を付けてね。ライラのようにエレアの命を狙うわけでもないし、治療院から遠ざけておきたいからそっちで昼間は引きつけといて頂戴」
「破魔の剣を持っているので魔族には危険な存在だってレシーが教えてくれてたんですが」
「冒険者だと思い調べたんだけど、冒険者ではなかったのよね。あちらがエレアに興味があるのなら丁度いいからエレアが注意を引きつけてくれているほうが助かるわ。何せ今は私達がライラに集中してるから、あれがチョロチョロしてると邪魔なのよ」
「私がですか・・・」
子供を助けてる姿から悪い人ではなさそうなのだが、マダム・リリーの計画に邪魔にならないように引き留めるというわけだ。
もちろんユリアが店頭に立つのはライラが神殿に祈りを捧げに来るまでということだ。
いよいよライラが動く日が近づくと思うと少し緊張するが、ライラと対峙することに関しては以前よりは不安がなくなっている。
そんな噂が王都内に一瞬で広まった。
神殿が大々的に宣伝していることもあり、本当に聖女ライラが神殿を訪問するのだろう話に人々は沸いていた。
「ずっと王宮に篭っていたライラが出てくるなんてやっぱり目的があってのことよね」
エレアはその真意を理解している
「気に入らない事が幾つも王都内で起きてるんだからそりゃ出てくるしかないでしょう」
予想通りにライラが動き出して上機嫌のマダム・リリーはスーラの髪を梳かしている。
マダム・リリーの秘密の薬箱という名の治療院も人の流れのない本格的な冬季には縮小する考えが初めからあったのと、ライラが聖魔力を持つ女性を狙うのであれば治療院付近だと絞り、5人のうちの3人はライラも知らぬ別の場所へと移動させたのだ。
マダム・リリーの根城ともいえる娼館の最上階にあるマダム・リリーの居住区である。
エレアは今日はマダム・リリーに呼ばれてこの娼館の最上階に来ているのだが、調度品はシンプルだが趣味の良い物が置かれている。
広過ぎる部屋の中にわずかな調度品のみ置かれていて、贅を尽くせるはずのマダム・リリーは意外と欲がないように見えた。
「今日からユリアと急遽用意した屋敷で暮らして欲しいの、場所はあの治療院の隣にある建物よ」
「あの建物は住んでいる方がいませんでした?」
「お金を払って建物を売ってもらったわ。治療院の後ろの家も反対側の家も買い取ってるのだけど、ほらライラの捕獲時に迷惑をかけちゃいけないでしょ。ついでに治療院の隣が居住スペースだってことにしたらライラは治療院を狙ってくるはずよ。昼間は治療院を警戒して夜は住居側を警戒すればいいだけじゃない」
「スコーン店のほうはどうされるんですか?」
「スコーン店の店員は私の配下の者達だけになるけどこちらも問題ないわ。攻撃力高めの者達を準備しているし、ユリアが店に毎日顔を出していたわけじゃないから客足も減るわけもないわ。まぁライラも1度は覗きに来ると思うけれど、昼間の人通りの多い店の前でいきなりライラが人を襲うはずもないから、こちらは警戒しなくて大丈夫よ。だからエレアがスコーン店でスコーンを売って頂戴」
「えっ!私がですか?」
「そうよ、治療院よりもスコーン店の店員達のほうが戦闘能力が高いから安全な場所がそこになるの。ユリアは治療院の宣伝を兼ねて聖騎士マーカスと何度かデートの予定だから忙しいのよ。ライラもさすがに聖騎士の前で聖魔力を持つ女性を襲う何て暴挙に出ないだろうから、神殿に祈りを捧げに来るっていう口実の前に挑発してやろうと思ってるの」
「挑発し過ぎなんじゃないでしょうか?ライラは絶対に聖騎士マーカスを狙ってきますよ。だって彼を手に入れればライラの攻撃力や防御力がマーカスによって補えますし、すでにサムル王国の王太子妃に内定していてもサムル王国に帝国の聖騎士を連れ帰るなんて箔付け出来ますしね」
「ふふふっそうね!絶対に聖騎士が欲しくなっちゃうはずよね!ふふふっ」
マダム・リリーが笑いを堪えられなくなり体を折り曲げ笑い続けている
「何かあったのですか?」
マダム・リリーがこれほど笑うのであれば他に何か隠している事があるのだろう
「ふふふっエレアちゃんってばユリアの事をもう一度振り返ってみて頂戴、あの子の中は空洞があるだけで実際には聖魔力がないわけでしょ。なのに何故聖騎士マーカスがユリアに跪いてるのかしら?」
「えっ?それはその空洞の量があまりにも大きいから本来あるべき聖魔力の量を・・・あれ?」
「あははっ実はエレアから聞いたライラをおびき出せそうな方法の中に聖騎士マーカスの話があったでしょう、今この世界の何処に居るかわからない帝国の聖騎士マーカス。何処にいるかわからないのなら私が用意すればバレないと考えて偽者を用意してみたの。エレアから聞いた外見に合う男性を準備するのに時間がかかったけれど、私の知り合いの伝手で手配できたってわけ。だからライラが苦労して聖騎士マーカスを手に入れても目の前の聖騎士は偽者だから魔王討伐?できっこないわ!あははっ」
あまりにも楽しいのか、いつもの上品なマダム・リリーの笑いかたではなくなっている。
「えっ!でもバレたら大変じゃないですか!!」
「そうね、バレたらね。でも外部から遮断されたこの王都の中では少なくとも春までバレないんじゃないかしら?」
「転移門を使って本物の聖騎士マーカスがこの国を訪れた場合はどうなるんですか!?」
「神殿の人達もこの国にまさかの帝国の聖騎士が来るとは思わなくて、どうしても神殿に滞在して後世に語り継ぎたかったみたいよ。急な転移門のメンテナンスで転移門に取り付けている魔石を外したものだから再び魔石が作動して使えるまでに1ヶ月程度はかかるかしら。だからリザルドの王都に本物の聖騎士がここに来ることは出来ないのよ」
「どうして転移門のメンテナンスなんて・・・」
「私の知り合いの転移門に常駐する兵士が何となく呟いたら急いでメンテナンスに入ったって」
それはきっとマダム・リリーがそう仕向けるように指示していたのだろう。
あの聖騎士マーカスとしか思えない人物がまさかの偽者だったとは驚きしかない。
「凄いです、まるで本物にしか見えませんでした。鎧も・・・実際に帝国の聖騎士を見たことはありませんが、14人って数も決まってるんですよね」
帝国の聖騎士候補呼ばれている者も含めると帝国教会は多くの騎士を有しているが、聖騎士に選ばれるのは貴族階級の者が多く、鎧以外のブーツやグローブ鎧の下に着用する衣服についても高価な物を身に着けている。
聖騎士が14人なのは聖騎士が着用出来る遥か昔に聖石の中から見つかった鎧の素材となる物質が15体分しか作れなかったことにある。
現在は聖騎士の数が14名なのは、いつの頃の時代かに活躍していた聖騎士が所在不明となり、その身に着けていた聖騎士の鎧が行方不明になったためである。
鎧を作った聖石も見つからず、鎧の素材を得ることが出来なかったために聖騎士の数を15人から14人としたのだ。
「私がたまたま聖騎士の鎧を保管していてよかったわ」
「マダム・リリーが持っていたんですね・・・帝国がずっとずっと探している鎧だったんですが・・・」
「ほら、私の聖女好きって有名じゃない。聖女に聖騎士って昔から寄り添うものだし、勇者が聖騎士の鎧を着てもいいかもって準備してたんだけど、一度勇者の血筋に身に着けさせても何にも変化もないただの鎧だったわ。聖騎士の鎧は修行をした者が身に着けてこそ使える鎧になるみたいで、それ以外の人が着用してもただの無駄に光る鎧みたいよ。でも皆が本物の聖騎士だって思ってて面白いわね」
「じゃあユリアは知ってたんですか?」
「もちろんよ。だって本物の聖騎士だとユリアを選ばないでしょ。ほら、ほらエレアったら落ち込まないで、今日もユリアとマーカスの王都デートが始まるんだから。今日はね、先日マーカスに沢山持たせた紙袋の中身を商業ギルドに持って行ってもらうのよ。
「何でですか?」
「二人で薬草を売るんでしょ?そして売れたお金で屋台で焼き串を買ってはしゃいだりするんでしょう」
あくまでもエレアの話した聖騎士マーカスルートを忠実に再現しようとしている。
「ユリアのご贔屓様達は嫌がるんじゃないですか?ユリアが他の男と歩いているなんて、会長の息子も不快に思うのでは?」
「あら、大丈夫よ。皆さすがはユリアだって言って喜んでるわよ。だってあの帝国教会の聖騎士がユリアを素晴らしい聖魔力を持つ女性だって褒め称えてるんだもの。嬉し過ぎて聖騎士マーカスに選ばれた聖女ユリアって絵を画家に依頼したって会長もいるし、彫刻を発注するんだって言ってた会長もいたわ。あの二人なら美男美女で絵になるわ」
全員を騙しているのだがマダム・リリーは全く気にしている様子もない。
「ユリア凄いですね!もしかしてリザルド王国一番の聖女になるかもですね」
サイドを綺麗に結い上げられたスーラはミルクティー色の髪色に戻っている。
治療院の中で一番年若いスーラは体も小さく愛らしい容姿の為に、マダム・リリーから与えられた繊細なフリルを使ったドレスがよく似合っている
「ユリアの価値が更に上がったわねスーラ、でも貴女は心配しないでいいのよ。貴女は私の大事な娘だもの」
聖女を収集することが趣味のマダム・リリーにとっては治療院の聖魔力を持つ女性達は全て大切なコレクションであり、不自由なく暮らす女性達を愛でるのが良いのだそうだ。
「それとエレアに付きまとっている男だけど、おそらくスコーン店にも顔を出すと思うわ。うちの子達は強いけどエレアも気を付けてね。ライラのようにエレアの命を狙うわけでもないし、治療院から遠ざけておきたいからそっちで昼間は引きつけといて頂戴」
「破魔の剣を持っているので魔族には危険な存在だってレシーが教えてくれてたんですが」
「冒険者だと思い調べたんだけど、冒険者ではなかったのよね。あちらがエレアに興味があるのなら丁度いいからエレアが注意を引きつけてくれているほうが助かるわ。何せ今は私達がライラに集中してるから、あれがチョロチョロしてると邪魔なのよ」
「私がですか・・・」
子供を助けてる姿から悪い人ではなさそうなのだが、マダム・リリーの計画に邪魔にならないように引き留めるというわけだ。
もちろんユリアが店頭に立つのはライラが神殿に祈りを捧げに来るまでということだ。
いよいよライラが動く日が近づくと思うと少し緊張するが、ライラと対峙することに関しては以前よりは不安がなくなっている。
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