鍵をかけて 

たからかた

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鍵をかけて 第一話

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 小さい頃から言われていた。ちゃんと鍵をかけなさい。
怖い人が入ってこないように。知らない人に連れて行かれないように。
開けてと言われても、決して開けてはダメだと。
その日もちゃんと鍵をかけたはずだった。

 ここは、モナが住んでいる古いアパートの一室。モナは11歳。とても、小柄な女の子。今日は一人でお留守番をすることになっている。
両親はすぐに帰ってくるから、玄関の鍵をしっかりかけなさいとモナに言うと、母親が大きな見慣れぬ鍵をモナの首にかけてこう言った。
「鍵はかけるのよ。いいわね。」

 モナが頷くと両親は出かけて行った。モナはしっかり玄関の鍵を回して、部屋でゲームをし始めた。
このゲーム機は、父親が海外の友人から試作機だと言って預かったものだった。
専用のソフトは、面白いものから恐ろしいものまで揃っていて、モナは今恐ろしい話のソフトに挑戦中だ。
一人になると静かで、時計の音が大きく感じる。
少し怖かったが、それでもゲームに集中して、気にしないようにしていた。
 一通りゲームを終えたので、明るい気分になれるゲームに替えようと、ゲーム機を置いて、別のソフトを探し始めた。
 その時、玄関のチャイムが鳴った。

 モナはびっくりした。
すぐにチャイムが再び鳴り響き、ドアを叩く音がする。
モナは、両親から知らない人がきた時は、出なくていいと言われている。
ゲーム機の音を消して、息を潜め、しんとした部屋の中から、ドアを見つめた。
しばらくすると、ドアの前から足音が遠ざかり、モナはほっとした。

 モナが気を取り直してゲームソフトを探し始めると、消したはずのゲーム機から音が聞こえ始めた。驚いて、ゲーム機を確認していると、また、チャイムが鳴った。 
 さっきと同じように玄関の方を覗く。今度は玄関のドアのノブがガチャガチャ動き始めた。
モナは怖くなったが、鍵をかけたのだから入ってこれないことはわかっていた。そのまま静観していると、静かになった。

 モナがホッとして、ゲーム機のソフトを交換しようとした時、ガチャリと音が鳴った。
これまでと違い、ドアの鍵が開いた音だった。モナはハッとなってドアを見る。ノブが動いてドアが開きかけたのを見て、慌てて玄関にかけよると扉に取り付き、背伸びしてさっとチェーンロックをかけた。

 チェーンロックをかけた扉は、途中まで開き、それ以上開かなかった。ピンと引っ張られたチェーンロックが、強く引かれてミシミシと音を立てている。モナは怯えながら、ドアを見つめていた。
やがてドアが閉まり、モナはすぐに玄関に戻ると鍵をかけた。
ガチャリと言う音が響いた

「やっぱり、そこにいるんだな。」
低い風が囁くような声がして、モナは縮み上がった。怖くて堪らず身体がうまく動かない。
再びドアノブがガチャガチャ言い始めた。
モナは怯えながらキッズ携帯電話を取り出し、母親に電話をかけた。
応答メッセージが流れる。
「おかけになった電話番号は、現在使われておりません。」

 
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