鍵をかけて 

たからかた

文字の大きさ
2 / 5

鍵をかけて 第二話

しおりを挟む

 モナは携帯に流れるその音声メッセージに、ひどく驚いた。
もう一度かけてみるが同じ音声が流れる。
モナは父親にかけてみることにした。やはり同じ音声が流れる。
 ドアノブは、相変わらず激しく動き、ズシンズシンとドアを叩く音がする。
モナは涙を流して怯えた。
ドアが砕けそうに叩かれ、今にも壊れそうだ。

 次の瞬間、チェーンロックがもげて下に落ちた。
かけていた鍵も勝手に開き、ドアがゆっくり開き始めた。
モナは慌てて部屋に入ると中から鍵をかけた。
息を殺して気配を悟られないようにする。
ミシリ、ミシリと音がして何かが家に入ってきたことが、わかった。

 家の中に入ってきたそれは、床をきしませながらあちこちの部屋を回っていた。
モナを探しているらしく、物をひっくり返している音が聞こえる。
モナは震えながらベランダに続く窓を開け、そっと出ると窓を閉めた。

 ベランダに出たモナは、誰かに助けてもらえないか見回した。
するとちょうど隣に住むおじさんがビールを片手にベランダに出てきており、モナはおじさんに助けてもらおうと、手を振った。
その時、部屋の鍵がガチャリと回り、ドアノブが動くところが見えた。

モナは慌ててベランダに干された洗濯物をよけながら、いつも使う箱に駆け寄る。
その箱は、父親と隠れんぼするときに使う大きな箱で、その中に飛び込むように隠れた。

 モナは外を覗くために開けている箱の穴から様子を伺う。侵入してきた何かは、部屋の中に入ってきたらしく、部屋中引っ掻き回される音がしていた。
そして、その音がどんどん近づいてくるのがわかった。
こんな大きな音がしているのに、誰も何も言ってこない。
まるで、ここには自分しかいないかのようだった。
ついにベランダの窓が開く音がして、モナは目を閉じた。

 どのくらいたっただろうか。モナが隠れる箱の上に、何か物が落ちてくる音がした。
それは、箱の上で跳ねて、ベランダの床に落ちる。
カーンという音の後にコロコロと、
床に転がるその音が、ビールの缶だとわかるのに時間がかかった。
そのあと、何かパラパラと降ってくるので箱の穴から外を覗く。
雨かと思ったが赤黒いそれは、鉄くさい匂いを放ち、人の血であることがわかった。
続いて、どさりどさりと音がして噛みちぎられた人の体が落ちてきた。

 モナは両手で口を塞ぐと、声にならない声をあげて、箱の中でブルブル震えた。
それの姿はまったく見えないが、隣のおじさんが殺されたことは理解できた。
このままでは、ここも必ず見つかる。
しかし、ここから出るのも恐ろしかった。
今できることは、体を小さく丸めて息を潜めるだけだった。

 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

処理中です...