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鍵をかけて 第二話
しおりを挟むモナは携帯に流れるその音声メッセージに、ひどく驚いた。
もう一度かけてみるが同じ音声が流れる。
モナは父親にかけてみることにした。やはり同じ音声が流れる。
ドアノブは、相変わらず激しく動き、ズシンズシンとドアを叩く音がする。
モナは涙を流して怯えた。
ドアが砕けそうに叩かれ、今にも壊れそうだ。
次の瞬間、チェーンロックがもげて下に落ちた。
かけていた鍵も勝手に開き、ドアがゆっくり開き始めた。
モナは慌てて部屋に入ると中から鍵をかけた。
息を殺して気配を悟られないようにする。
ミシリ、ミシリと音がして何かが家に入ってきたことが、わかった。
家の中に入ってきたそれは、床をきしませながらあちこちの部屋を回っていた。
モナを探しているらしく、物をひっくり返している音が聞こえる。
モナは震えながらベランダに続く窓を開け、そっと出ると窓を閉めた。
ベランダに出たモナは、誰かに助けてもらえないか見回した。
するとちょうど隣に住むおじさんがビールを片手にベランダに出てきており、モナはおじさんに助けてもらおうと、手を振った。
その時、部屋の鍵がガチャリと回り、ドアノブが動くところが見えた。
モナは慌ててベランダに干された洗濯物をよけながら、いつも使う箱に駆け寄る。
その箱は、父親と隠れんぼするときに使う大きな箱で、その中に飛び込むように隠れた。
モナは外を覗くために開けている箱の穴から様子を伺う。侵入してきた何かは、部屋の中に入ってきたらしく、部屋中引っ掻き回される音がしていた。
そして、その音がどんどん近づいてくるのがわかった。
こんな大きな音がしているのに、誰も何も言ってこない。
まるで、ここには自分しかいないかのようだった。
ついにベランダの窓が開く音がして、モナは目を閉じた。
どのくらいたっただろうか。モナが隠れる箱の上に、何か物が落ちてくる音がした。
それは、箱の上で跳ねて、ベランダの床に落ちる。
カーンという音の後にコロコロと、
床に転がるその音が、ビールの缶だとわかるのに時間がかかった。
そのあと、何かパラパラと降ってくるので箱の穴から外を覗く。
雨かと思ったが赤黒いそれは、鉄くさい匂いを放ち、人の血であることがわかった。
続いて、どさりどさりと音がして噛みちぎられた人の体が落ちてきた。
モナは両手で口を塞ぐと、声にならない声をあげて、箱の中でブルブル震えた。
それの姿はまったく見えないが、隣のおじさんが殺されたことは理解できた。
このままでは、ここも必ず見つかる。
しかし、ここから出るのも恐ろしかった。
今できることは、体を小さく丸めて息を潜めるだけだった。
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