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鍵をかけて 第五話
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モナはトイレの窓から這い出ると、怖い思いをしながら、アパートの共同廊下に降りた。
横を見ると玄関が見える。モナは必死に走って首にかけた鍵を外すと、鍵穴を見た。
鍵穴がうっすら光り、いつもより大きな鍵穴に変化した。すぐに鍵を挿そうとしたが、震えてなかなか鍵が入らない。そこに声がした。
「そこは外じゃないか。本当にいいのか?」
低い、風の音に似た声だった。
モナは鍵を挿しかけた手を止めた。確かにここは玄関の外だ。本当にこれでいいのだろうか。
玄関の内側からカチカチと歯を鳴らす音が聞こえる。
その時、モナは前に玄関の掃除の手伝いをしていた時に、隣のおばさんに叱られたことを思い出した。
「玄関の掃除をしたとき、ゴミを箒でここに掃わき出したままで、片付けなかったら、隣に住んでるおばさんに、怒られたことがあるの。
ここは、共用廊下だって。
アパートの入り口が玄関で、アパートのお部屋までのこの道は外じゃなくて、家の中と同じだと思いなさい、て。」
モナは自分に言い聞かせるように、喋り続けた。
モナの言葉を聞いて、カチカチ鳴っていた歯がぴたりと止まった。
そして、
「食わせろ!」
と、大きくて恐ろしい声がして、玄関のドアノブが動く。モナは今度こそ迷いなく鍵穴に鍵を挿し込んだ。
「嫌!絶対嫌だ!!」
モナは思い切り鍵を回して鍵をかけた。
突然モナは目の前が真っ暗になった。
まさか、間違えたのだろうか?
その時モナは揺さぶられていることに気づいた。
「モナ?モナ?」
母親の声だった。モナが目を開けると、両親が心配そうに見ていた。
「よかった!目を覚ました!」
そう言うと、両親は泣きそうな顔でモナを強く抱きしめた。
モナは何が起こったのかわからなかったが、家の中はいつも通りだった。
ただ、玄関の外が騒がしかった。
「何があったの?」
モナがそう聞いた時、父親の後ろから知らないおじさんがモナを覗き込んだ。
モナが驚いていると、父親がそのおじさんと話し始めた。
「娘は眠っていただけのようです。」
そんな父親の言葉に、その知らないおじさんは、ホッとした様子で応えた。
「いや、運がよかったですな。この近所に連続殺人犯が逃げ込んでいて、自分を見た人間を皆殺しにしてましたから。」
父親は立ち上がると、声を潜めて話し始めた。
「その、、隣の方は、、。」
知らないおじさんはため息をついて、
「ベランダに出たところで下を歩く犯人と目があったようですな。滅多刺しでしたよ。よく、お嬢さんが見つからなかったものだ。子供でも容赦しない奴ですから。」
と、言った。
「黒沢刑事!おっしゃっていた通り、この家のドアにも血痕がありました。何度か開けようとしたようです。」
そう声がして、黒沢刑事と呼ばれたおじさんは、振り向いた。
モナが怯えた顔をしたので母親が強く抱きしめる。
父親も顔が真っ青になっていた。
「何故、娘がいると?」
と、父親は尋ねた。
その時、ゲーム機から大きな音がした。
モナは、ハッとなってゲーム機を見る。画面には、ゲームクリアのエンディングが流れていた。
「この音かもしれませんな。」
黒沢刑事が顔を顰めた。
ゲームの画面は製作会社とそのロゴが最後に出てきて、消えたと思ったら次の文字が浮かんできた。
モナは母親にしがみつきながらその文字を読んだ。
『プレイヤー名 モナ
クリアおめでとうございます。
次回のご参加お待ち致しております。
さあ、鍵をあけて。』
文字を読み終えると、モナは母親から離れ迷うことなくゲーム機の電源を落とし、ソフトを取り出すと、ゴミ箱に投げ捨てた。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
読んでくださってありがとうございました。
お気に召したら、ブックマーク登録してくださるとうれしいです♫ とても励みになります。
※この物語はフィクションです。表現や人物、団体、学説などは作者の創作によるものです。
横を見ると玄関が見える。モナは必死に走って首にかけた鍵を外すと、鍵穴を見た。
鍵穴がうっすら光り、いつもより大きな鍵穴に変化した。すぐに鍵を挿そうとしたが、震えてなかなか鍵が入らない。そこに声がした。
「そこは外じゃないか。本当にいいのか?」
低い、風の音に似た声だった。
モナは鍵を挿しかけた手を止めた。確かにここは玄関の外だ。本当にこれでいいのだろうか。
玄関の内側からカチカチと歯を鳴らす音が聞こえる。
その時、モナは前に玄関の掃除の手伝いをしていた時に、隣のおばさんに叱られたことを思い出した。
「玄関の掃除をしたとき、ゴミを箒でここに掃わき出したままで、片付けなかったら、隣に住んでるおばさんに、怒られたことがあるの。
ここは、共用廊下だって。
アパートの入り口が玄関で、アパートのお部屋までのこの道は外じゃなくて、家の中と同じだと思いなさい、て。」
モナは自分に言い聞かせるように、喋り続けた。
モナの言葉を聞いて、カチカチ鳴っていた歯がぴたりと止まった。
そして、
「食わせろ!」
と、大きくて恐ろしい声がして、玄関のドアノブが動く。モナは今度こそ迷いなく鍵穴に鍵を挿し込んだ。
「嫌!絶対嫌だ!!」
モナは思い切り鍵を回して鍵をかけた。
突然モナは目の前が真っ暗になった。
まさか、間違えたのだろうか?
その時モナは揺さぶられていることに気づいた。
「モナ?モナ?」
母親の声だった。モナが目を開けると、両親が心配そうに見ていた。
「よかった!目を覚ました!」
そう言うと、両親は泣きそうな顔でモナを強く抱きしめた。
モナは何が起こったのかわからなかったが、家の中はいつも通りだった。
ただ、玄関の外が騒がしかった。
「何があったの?」
モナがそう聞いた時、父親の後ろから知らないおじさんがモナを覗き込んだ。
モナが驚いていると、父親がそのおじさんと話し始めた。
「娘は眠っていただけのようです。」
そんな父親の言葉に、その知らないおじさんは、ホッとした様子で応えた。
「いや、運がよかったですな。この近所に連続殺人犯が逃げ込んでいて、自分を見た人間を皆殺しにしてましたから。」
父親は立ち上がると、声を潜めて話し始めた。
「その、、隣の方は、、。」
知らないおじさんはため息をついて、
「ベランダに出たところで下を歩く犯人と目があったようですな。滅多刺しでしたよ。よく、お嬢さんが見つからなかったものだ。子供でも容赦しない奴ですから。」
と、言った。
「黒沢刑事!おっしゃっていた通り、この家のドアにも血痕がありました。何度か開けようとしたようです。」
そう声がして、黒沢刑事と呼ばれたおじさんは、振り向いた。
モナが怯えた顔をしたので母親が強く抱きしめる。
父親も顔が真っ青になっていた。
「何故、娘がいると?」
と、父親は尋ねた。
その時、ゲーム機から大きな音がした。
モナは、ハッとなってゲーム機を見る。画面には、ゲームクリアのエンディングが流れていた。
「この音かもしれませんな。」
黒沢刑事が顔を顰めた。
ゲームの画面は製作会社とそのロゴが最後に出てきて、消えたと思ったら次の文字が浮かんできた。
モナは母親にしがみつきながらその文字を読んだ。
『プレイヤー名 モナ
クリアおめでとうございます。
次回のご参加お待ち致しております。
さあ、鍵をあけて。』
文字を読み終えると、モナは母親から離れ迷うことなくゲーム機の電源を落とし、ソフトを取り出すと、ゴミ箱に投げ捨てた。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
読んでくださってありがとうございました。
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※この物語はフィクションです。表現や人物、団体、学説などは作者の創作によるものです。
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