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散々な勇者のラスボス戦
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RPGには、レアアイテムというものがある。
手に入れるには、手順や戦闘、謎解き、倒さなくてはいけない敵など、場合によっては自分一人では入手方法がわからず、ネット検索したり、解説本を開いたりして初めてわかるものもある。
そして、苦労の甲斐あってそう言ったものは、威力や効能が桁違いに高い。
ゲーム中の戦闘も、驚くほどスムーズにしてくれる。
そして一度失えば、武器屋や道具屋にも売ってない。
そんなものを・・・もし、間違えて売ってしまったとしたら?
ラスボスとの対決を控え、最後の街に来た勇者の一団がいた。
買い物ができる最後の場所。
ここまでの戦いで、回復薬が不足していた。
補充したいが、少し懐が寂しい。
街の外に出ればモンスターと戦闘があり、勝利すればお金は手に入る。
でも・・・いらない装備や武器を売ればわざわざそんなことをしなくても、まとまったお金が手に入る。
勇者フィーは、みんなを引き連れて道具屋に行った。
「はい、いらっしゃいませ。」
フィーは、道具屋の主人に不要な装備や武器、アイテムを売っていく。
「間違って大事な武器とか売らないでよ。」
と、白魔道士のケイが心配そうな顔をする。
「装備もレアなやつはもう身につけておけ。」
と、竜騎士のティルは、慎重に見守る。
「レアね。やっぱりこの杖はもう装備しておくよ。」
と、黒魔道士のシュンは最強の杖を大事に抱える。
フィーは一人楽天的に、不要と思うものを売っていく。
「心配すんなって。
俺は勇者だぜ?
直接攻撃の弱い魔道士のお前の指図は受けねぇよ。」
「そんな言い方!
何でそんなに偉そうなの?」
ケイの言葉をフィーは無視する。
「うるせぇな。
勇者は花形のジョブなんだよ!
魔導士は、所詮脇役なの!!
体力低いし、呪文の詠唱に時間かかるしさ。」
フィーに怒鳴られて、ケイは俯く。
「ついていく勇者を間違えたわ。」
「たく・・・。
さーて?
回復薬は限界数まで持っておきたいな。
状態異常を治すものもいるし。
特に効果が全体に及ぶものとか、ラスボスには必須だな。
そういうものを全て揃えるには・・・、雑魚の敵から奪った武器とかバンバン売ってと・・・。」
「毎度、ありがとうございます!
こんなにたくさん、いい武器や装備もいいんですか?」
目の前に積まれた品々に、道具屋の主人は感嘆の声をあげた。
「いいのいいの。
俺たちレアアイテムをもってるから、通常の武器や装備は不要なんだよ。
そのかわり回復薬をたっぷり買うさ。」
フィーはそう言って、換金したお金で回復薬を買う。
「えらくお金が余ったな。
こんなに余ったなら他の回復薬も、しっかり買おう。」
と、フィーが言うので、ケイがフィーに確認する。
「大丈夫?」
「大丈夫だって!
しっかり買えばお前やシュンの魔力が温存できるだろ。」
「そりゃそうだけど。」
「よし、さあ、これで準備完了!
ラスボスのところへ行こう!」
フィーは意気揚々と、ラスボスの元へ向かった。
ラスボスの戦闘が始まる直前、最後のセーブポイントで、フィーは初めて気づいた。
「え?
レア装備と武器がない。」
「なに!?」
一同その言葉に固まる。
「ま、まさか・・・。」
「なくした?とられた?」
みんな心配してフィーを覗き込む。
「いや、敵に盗まれてもないし、落としてもいない。」
フィーがいうと、白魔道士のケイが目を細めて、
「道具屋に売ったのね。」
と、言った。
「え?まさか。
いらない武器とか装備しか売らなかったぜ?」
「いいえ、あなた面倒そうにぽいぽい売ってたもの。
紛れてたんだ・・・。」
ケイがため息をつき、フィーは顔が真っ青になる。
「いやーーーーー!!!
あの時間!
あの手間!
返せーーーーー!!!」
フィーが叫び声を上げるが、他のメンバーはどうすることもできない。
「ラスボスは、行動も早く、二回連続攻撃することもある。
おまけに、状態異常や即死技をバンバン使ってくるぞ。
そう言うのを全部回避してくれるレア装備や、
ダメージを与えにくい相手のライフをごっそり削れるレア武器を売るなんてお前・・・。」
竜騎士のティルは呆れて物が言えない。
「何やってんの。
どうするの?
こちらの防御数値無視の攻撃が来た時のために、ケイだけ回復要因として集中させたかったのに、これじゃフィーの回復にボクが入らないと間に合わないじゃない。」
みんなから白い目で見られる。
「ご、ごめんなさい。
おまけに、中級くらいの武器しかない。
上級武器まで売っちゃった・・・。」
フィーは小さくなって謝る。
「タイミングを図って私とフィーで攻撃を加えていく作戦が、これじゃ通用せんか。
仕方ない。
私が中心になって敵の体力を削る。
フィー、足は引っ張るな。」
ティルの言葉がフィーの胸に刺さる。
「はい・・・。」
「勇者なのに、もう、後ろに引っ込んでて。」
ケイとシュンはため息をついて、睨んでくる。
そして、ついにラスボスとの戦闘が始まった。
ラスボスは行動が早い。
まごまごしていると、すぐに攻撃される。
案の定フィーは足を引っ張った。
フィーのダメージは、二桁くらいしかラスボスに与えられず、すぐに状態異常の餌食になる。
「く・・・ケイ、助けて・・・。」
「ああ!もうー!!!
またなの!?」
と、ケイがイライラしたように回復してくれる。
「やばい!みんな大きな技がくるよ!?」
シュンの叫び声のあと、ラスボスが大技を放った。
「あ!この技は!!」
ティルが顔色を青くして、慌てる。
「強制離脱の技だ!
メンバーの誰かが弾き飛ばされて、この戦闘が終わるまで戻ってこれなくなる!!」
と、ティルの言葉にみんな怯える。
フィーがメンバーを見回して、一体誰が?
いっそ俺を狙え!
と、思った矢先、黒魔道士のシュンが吹き飛ばされた。
「シュン!
そんな!」
ケイが振り向いた時、ケイも吹き飛ばされる。
その様子を見ていたティルが、フィーを悲しい目で見る。
「私は残された力で、大技を放つ!
お前は出来るだけ身を守れ!!」
そういうと、ティルは大技を放ってラスボスの体力をごっそり削った。
「やったか!?」
と、フィーが言うと、ラスボスはティルのライフを吸い取って回復する技を放った。
「くっそ・・・。
フィー・・・、回復薬くれ。」
フィーはティルに何とか、ライフを全部回復させる回復薬を使う。
直後にラスボスが攻撃してくる。
危ない危ない。
ラスボスは行動スピードが早いからな・・・!
フィーは悔しかった。
もっともっと活躍できたはずなのに!
次の瞬間、続けてラスボスから魔法を喰らい、フィーだけ状態異常になった。
「だー!!
なんだよ!?
なんで2回もそっちが先に行動ができるんだよ!?」
フィーが吠えたが、これがラスボス戦というもの。
続けてラスボスは、強制離脱の技を使ってティルを吹き飛ばしてしまった。
「嘘だろ!?
3回目じゃないか!!」
フィーは絶望的な気分で、ラスボスを見る。
「あと、ラスボスはどれくらいのライフか残ってる!?」
と、言ってフィーは考えを巡らせた。
少なくとも、ティルの体力を吸い取ったから、相当あるだろう。
ラスボスがゲラゲラ笑い出す。
「馬鹿な勇者め!
もう終わりだ!!
セーブからやり直せ!」
と、叫んだ。
「うるさい!
やり直しても、同じだ!
こんなことなら・・・道具屋に売る前にセーブしとけばよかった・・・。」
と、フィーは後悔した。
「どうしたらいいか・・・。」
こんな状態異常な状態で・・・。
「何か・・・何かないか。」
フィーが道具の中から漁ってみると、『敵味方全回復』と、『無敵の薬』があった。
他の回復薬は使い切ってしまった。
『敵味方全回復』を使えば、フィーのライフと状態異常を回復させる代わりに、ラスボスも全回復してしまう。
おまけに離脱した味方を戻す力はない。
『無敵の薬』は一定時間無敵になるが、効果が切れれば終わりだ。
「・・・・。」
考えなければ。
「させると思うか!?」
ラスボスが再び大技を使おうとした。
慌てて『無敵の薬』を使う。
ライフをごっそり削る技を喰らうが、なんとか凌ぐことができた。
「もう、攻撃しかない!!」
フィーは捨て身で攻撃した。
時間経過で、状態異常のうち攻撃不可だったものが解除されて、攻撃可能になっていたことも幸運だった。
3度攻撃をなんとか加えて、うち1回がクリティカルヒットした。
「くそ!しぶとい勇者め!」
ラスボスが叫ぶ。
フィーは、あと1回攻撃できれば!と、思ったが、薬の効果が切れてしまった。
状態異常も起こしているため、毒のせいでライフも自然と落ちていく。
ついにラスボスの攻撃がきそうになったが、運良く剣による攻撃がきた。
「やった!魔法攻撃じゃない!!」
それでもフィーも瀕死のため、体がフラフラしている。
「終わりだ!勇者め!!」
と、ラスボスも叫ぶが自分も瀕死のため狙いが定めにくく、フィーは攻撃を奇跡的に避けて、大きな隙を作ることができた!
瀕死の勇者と、瀕死のラスボス。
どちらが倒れてもおかしくない。
「勝つのは俺だーーー!!」
勇者フィーは、最後の一撃を放った。
攻撃はラスボスにあたり、ラスボスは光を放ちながら崩れ去る。
その間にも、フィーのライフは状態異常による毒で落ちていった。
「早く!早く消え去れー!!!」
フィーが叫んで自分のライフの残数を見る。
残り200ほど。
一回のライフダウンが180~200のため、下手するとあと一回ライフが落ちれば戦闘不能になる。
「やり直したくない!」
レア武器と装備がない以上、やり直してもくりかえすだけだー!と、フィーは頭の中で嫌がった。
そのままライフがついに残り20になって、ようやくラスボスは消え去っていった。
「・・・危なかった。」
フィーは、ボロボロになってため息をついた。
まだ心臓がドキドキしている。
戦闘が終わったので、仲間たちも帰ってきた。
「やったねー!」
「よかったね!」
「さ、帰ろう!」
仲間たちが声をかけてくれる。
戦闘が終われば状態異常は解除されるので、ライフを回復すればいいだけ。
「ふぅふぅ・・・。
か、回復薬くれ・・・。
あと俺は20しかライフがない・・・。」
フィーが仲間たちに訴える。
「えー、もうエンディングだから、いらなくない?」
「そうよ。
もう帰るだけよ。
いらなくない?」
「戦闘はもうない、いらないな。」
ティルもケイもシュンも、さっさと街に帰りだした。
「ひー!
こんなフラフラで、エンドロールに出るのか!?」
「ライフ20なんて、魔導士のレベル1くらいの通常ライフ値じゃない。
心配ないって。」
「私たち、レベル上げるまで、そのライフで戦ったから、散々役立たずとかその時言われたしー。
フィーも経験しときなよ。」
「少しは口の聞き方を直すんだな、フィー。」
仲間たちにそう言われて、フィーは叫ぶ。
「俺がラスボス倒したんだよ!!」
「仲間たちが頑張ったから、倒せたんだよ、フィー?
一人で倒したみたいに言わないでー?」
と、ケイに突っ込まれた。
「まあラスボスの大半ライフ削ったのは、私のおかげだな。」
と、ティル。
「レア武器や装備売ったの、フィーだもんね?」
「・・・。」
フィーはフラフラのまま口をつぐんで、仲間たちと街に帰っていった。
手に入れるには、手順や戦闘、謎解き、倒さなくてはいけない敵など、場合によっては自分一人では入手方法がわからず、ネット検索したり、解説本を開いたりして初めてわかるものもある。
そして、苦労の甲斐あってそう言ったものは、威力や効能が桁違いに高い。
ゲーム中の戦闘も、驚くほどスムーズにしてくれる。
そして一度失えば、武器屋や道具屋にも売ってない。
そんなものを・・・もし、間違えて売ってしまったとしたら?
ラスボスとの対決を控え、最後の街に来た勇者の一団がいた。
買い物ができる最後の場所。
ここまでの戦いで、回復薬が不足していた。
補充したいが、少し懐が寂しい。
街の外に出ればモンスターと戦闘があり、勝利すればお金は手に入る。
でも・・・いらない装備や武器を売ればわざわざそんなことをしなくても、まとまったお金が手に入る。
勇者フィーは、みんなを引き連れて道具屋に行った。
「はい、いらっしゃいませ。」
フィーは、道具屋の主人に不要な装備や武器、アイテムを売っていく。
「間違って大事な武器とか売らないでよ。」
と、白魔道士のケイが心配そうな顔をする。
「装備もレアなやつはもう身につけておけ。」
と、竜騎士のティルは、慎重に見守る。
「レアね。やっぱりこの杖はもう装備しておくよ。」
と、黒魔道士のシュンは最強の杖を大事に抱える。
フィーは一人楽天的に、不要と思うものを売っていく。
「心配すんなって。
俺は勇者だぜ?
直接攻撃の弱い魔道士のお前の指図は受けねぇよ。」
「そんな言い方!
何でそんなに偉そうなの?」
ケイの言葉をフィーは無視する。
「うるせぇな。
勇者は花形のジョブなんだよ!
魔導士は、所詮脇役なの!!
体力低いし、呪文の詠唱に時間かかるしさ。」
フィーに怒鳴られて、ケイは俯く。
「ついていく勇者を間違えたわ。」
「たく・・・。
さーて?
回復薬は限界数まで持っておきたいな。
状態異常を治すものもいるし。
特に効果が全体に及ぶものとか、ラスボスには必須だな。
そういうものを全て揃えるには・・・、雑魚の敵から奪った武器とかバンバン売ってと・・・。」
「毎度、ありがとうございます!
こんなにたくさん、いい武器や装備もいいんですか?」
目の前に積まれた品々に、道具屋の主人は感嘆の声をあげた。
「いいのいいの。
俺たちレアアイテムをもってるから、通常の武器や装備は不要なんだよ。
そのかわり回復薬をたっぷり買うさ。」
フィーはそう言って、換金したお金で回復薬を買う。
「えらくお金が余ったな。
こんなに余ったなら他の回復薬も、しっかり買おう。」
と、フィーが言うので、ケイがフィーに確認する。
「大丈夫?」
「大丈夫だって!
しっかり買えばお前やシュンの魔力が温存できるだろ。」
「そりゃそうだけど。」
「よし、さあ、これで準備完了!
ラスボスのところへ行こう!」
フィーは意気揚々と、ラスボスの元へ向かった。
ラスボスの戦闘が始まる直前、最後のセーブポイントで、フィーは初めて気づいた。
「え?
レア装備と武器がない。」
「なに!?」
一同その言葉に固まる。
「ま、まさか・・・。」
「なくした?とられた?」
みんな心配してフィーを覗き込む。
「いや、敵に盗まれてもないし、落としてもいない。」
フィーがいうと、白魔道士のケイが目を細めて、
「道具屋に売ったのね。」
と、言った。
「え?まさか。
いらない武器とか装備しか売らなかったぜ?」
「いいえ、あなた面倒そうにぽいぽい売ってたもの。
紛れてたんだ・・・。」
ケイがため息をつき、フィーは顔が真っ青になる。
「いやーーーーー!!!
あの時間!
あの手間!
返せーーーーー!!!」
フィーが叫び声を上げるが、他のメンバーはどうすることもできない。
「ラスボスは、行動も早く、二回連続攻撃することもある。
おまけに、状態異常や即死技をバンバン使ってくるぞ。
そう言うのを全部回避してくれるレア装備や、
ダメージを与えにくい相手のライフをごっそり削れるレア武器を売るなんてお前・・・。」
竜騎士のティルは呆れて物が言えない。
「何やってんの。
どうするの?
こちらの防御数値無視の攻撃が来た時のために、ケイだけ回復要因として集中させたかったのに、これじゃフィーの回復にボクが入らないと間に合わないじゃない。」
みんなから白い目で見られる。
「ご、ごめんなさい。
おまけに、中級くらいの武器しかない。
上級武器まで売っちゃった・・・。」
フィーは小さくなって謝る。
「タイミングを図って私とフィーで攻撃を加えていく作戦が、これじゃ通用せんか。
仕方ない。
私が中心になって敵の体力を削る。
フィー、足は引っ張るな。」
ティルの言葉がフィーの胸に刺さる。
「はい・・・。」
「勇者なのに、もう、後ろに引っ込んでて。」
ケイとシュンはため息をついて、睨んでくる。
そして、ついにラスボスとの戦闘が始まった。
ラスボスは行動が早い。
まごまごしていると、すぐに攻撃される。
案の定フィーは足を引っ張った。
フィーのダメージは、二桁くらいしかラスボスに与えられず、すぐに状態異常の餌食になる。
「く・・・ケイ、助けて・・・。」
「ああ!もうー!!!
またなの!?」
と、ケイがイライラしたように回復してくれる。
「やばい!みんな大きな技がくるよ!?」
シュンの叫び声のあと、ラスボスが大技を放った。
「あ!この技は!!」
ティルが顔色を青くして、慌てる。
「強制離脱の技だ!
メンバーの誰かが弾き飛ばされて、この戦闘が終わるまで戻ってこれなくなる!!」
と、ティルの言葉にみんな怯える。
フィーがメンバーを見回して、一体誰が?
いっそ俺を狙え!
と、思った矢先、黒魔道士のシュンが吹き飛ばされた。
「シュン!
そんな!」
ケイが振り向いた時、ケイも吹き飛ばされる。
その様子を見ていたティルが、フィーを悲しい目で見る。
「私は残された力で、大技を放つ!
お前は出来るだけ身を守れ!!」
そういうと、ティルは大技を放ってラスボスの体力をごっそり削った。
「やったか!?」
と、フィーが言うと、ラスボスはティルのライフを吸い取って回復する技を放った。
「くっそ・・・。
フィー・・・、回復薬くれ。」
フィーはティルに何とか、ライフを全部回復させる回復薬を使う。
直後にラスボスが攻撃してくる。
危ない危ない。
ラスボスは行動スピードが早いからな・・・!
フィーは悔しかった。
もっともっと活躍できたはずなのに!
次の瞬間、続けてラスボスから魔法を喰らい、フィーだけ状態異常になった。
「だー!!
なんだよ!?
なんで2回もそっちが先に行動ができるんだよ!?」
フィーが吠えたが、これがラスボス戦というもの。
続けてラスボスは、強制離脱の技を使ってティルを吹き飛ばしてしまった。
「嘘だろ!?
3回目じゃないか!!」
フィーは絶望的な気分で、ラスボスを見る。
「あと、ラスボスはどれくらいのライフか残ってる!?」
と、言ってフィーは考えを巡らせた。
少なくとも、ティルの体力を吸い取ったから、相当あるだろう。
ラスボスがゲラゲラ笑い出す。
「馬鹿な勇者め!
もう終わりだ!!
セーブからやり直せ!」
と、叫んだ。
「うるさい!
やり直しても、同じだ!
こんなことなら・・・道具屋に売る前にセーブしとけばよかった・・・。」
と、フィーは後悔した。
「どうしたらいいか・・・。」
こんな状態異常な状態で・・・。
「何か・・・何かないか。」
フィーが道具の中から漁ってみると、『敵味方全回復』と、『無敵の薬』があった。
他の回復薬は使い切ってしまった。
『敵味方全回復』を使えば、フィーのライフと状態異常を回復させる代わりに、ラスボスも全回復してしまう。
おまけに離脱した味方を戻す力はない。
『無敵の薬』は一定時間無敵になるが、効果が切れれば終わりだ。
「・・・・。」
考えなければ。
「させると思うか!?」
ラスボスが再び大技を使おうとした。
慌てて『無敵の薬』を使う。
ライフをごっそり削る技を喰らうが、なんとか凌ぐことができた。
「もう、攻撃しかない!!」
フィーは捨て身で攻撃した。
時間経過で、状態異常のうち攻撃不可だったものが解除されて、攻撃可能になっていたことも幸運だった。
3度攻撃をなんとか加えて、うち1回がクリティカルヒットした。
「くそ!しぶとい勇者め!」
ラスボスが叫ぶ。
フィーは、あと1回攻撃できれば!と、思ったが、薬の効果が切れてしまった。
状態異常も起こしているため、毒のせいでライフも自然と落ちていく。
ついにラスボスの攻撃がきそうになったが、運良く剣による攻撃がきた。
「やった!魔法攻撃じゃない!!」
それでもフィーも瀕死のため、体がフラフラしている。
「終わりだ!勇者め!!」
と、ラスボスも叫ぶが自分も瀕死のため狙いが定めにくく、フィーは攻撃を奇跡的に避けて、大きな隙を作ることができた!
瀕死の勇者と、瀕死のラスボス。
どちらが倒れてもおかしくない。
「勝つのは俺だーーー!!」
勇者フィーは、最後の一撃を放った。
攻撃はラスボスにあたり、ラスボスは光を放ちながら崩れ去る。
その間にも、フィーのライフは状態異常による毒で落ちていった。
「早く!早く消え去れー!!!」
フィーが叫んで自分のライフの残数を見る。
残り200ほど。
一回のライフダウンが180~200のため、下手するとあと一回ライフが落ちれば戦闘不能になる。
「やり直したくない!」
レア武器と装備がない以上、やり直してもくりかえすだけだー!と、フィーは頭の中で嫌がった。
そのままライフがついに残り20になって、ようやくラスボスは消え去っていった。
「・・・危なかった。」
フィーは、ボロボロになってため息をついた。
まだ心臓がドキドキしている。
戦闘が終わったので、仲間たちも帰ってきた。
「やったねー!」
「よかったね!」
「さ、帰ろう!」
仲間たちが声をかけてくれる。
戦闘が終われば状態異常は解除されるので、ライフを回復すればいいだけ。
「ふぅふぅ・・・。
か、回復薬くれ・・・。
あと俺は20しかライフがない・・・。」
フィーが仲間たちに訴える。
「えー、もうエンディングだから、いらなくない?」
「そうよ。
もう帰るだけよ。
いらなくない?」
「戦闘はもうない、いらないな。」
ティルもケイもシュンも、さっさと街に帰りだした。
「ひー!
こんなフラフラで、エンドロールに出るのか!?」
「ライフ20なんて、魔導士のレベル1くらいの通常ライフ値じゃない。
心配ないって。」
「私たち、レベル上げるまで、そのライフで戦ったから、散々役立たずとかその時言われたしー。
フィーも経験しときなよ。」
「少しは口の聞き方を直すんだな、フィー。」
仲間たちにそう言われて、フィーは叫ぶ。
「俺がラスボス倒したんだよ!!」
「仲間たちが頑張ったから、倒せたんだよ、フィー?
一人で倒したみたいに言わないでー?」
と、ケイに突っ込まれた。
「まあラスボスの大半ライフ削ったのは、私のおかげだな。」
と、ティル。
「レア武器や装備売ったの、フィーだもんね?」
「・・・。」
フィーはフラフラのまま口をつぐんで、仲間たちと街に帰っていった。
0
この作品は感想を受け付けておりません。
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