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八章
交易都市ガルミット
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周りがネプォンを追って行ったおかげで、通りはとても静かになった。
「ケルヴィン殿下」
ネプォンが引き連れていた軍の騎士団長が、ケルヴィン殿下に跪く。
「お助けくださいまして、ありがとうございます」
「感謝いたします」
次々と彼らは跪き、感謝の言葉が告げられた。
ケルヴィン殿下は、片手を挙げてみんなの前に立つ。
「いいんだ。皆、民間人に最後まで手を挙げなかった、素晴らしい騎士たちだ。その胆力を持つお前たちに、俺の方こそ国を代表して、感謝する」
「勿体無いお言葉です」
「そもそも、追われる原因を作ったのは俺だしな。迷惑をかけた」
「いえ、そんな。今では、ケルヴィン殿下こそ正しかったと、皆思っております」
「今後は、俺に従ってくれ。すぐに帰国して、姉上を助け、魔族の襲撃に備えるのだ」
「は!」
「仰せのままに」
「……それで、その、ネプォン王はいかがいたしましょう」
騎士の一人が、おそるおそる尋ねてくる。
「ほっとけ、と、俺に言われたと姉上に報告を。お前たちを見捨てた事実も、正直に伝えるのだ」
「わかりました」
ガルズンアース軍は、隊列を組み直して帰国して行った。
ふぅ……。これで、隠れながら旅をする必要は無くなったか。
ケルヴィン殿下は、すぐにテデュッセアの方を向くと、彼女の手にキスをしている。
「テデュッセア」
「ケルヴィン殿下」
「辛い思いをさせたな」
「いいえ、寝室までネプォン王についてこられたことは、たまらなく不快でしたけど」
「な!! あいつ……!!」
「ご安心を。しっかり、お仕置きさせていただきました。あちこち火傷して、お見せしたかったわ」
彼女は、涼しげに笑う。テレクサンドラともハグをして、二人はティアラを交換した。
「さぁ、魔王誕生までの間に、こちらも準備しましょう」
「えぇ、テデュッセア。結界を張る準備をしなくては」
「テレクサンドラ、あなたは少し休みなさい」
「でも」
「日の高いうちは、私が守るから」
「わかったわ……」
テレクサンドラは、月の神殿へと戻っていく。ほとんど休まずに、俺たちが帰還するまで頑張っていたからな。
テデュッセアは、テレクサンドラを見送ると、
俺たちに声をかけてきた。
「皆さんも、休まれませんか?」
「いや、テデュッセア。その前に、いい武具を揃えられる店はないだろうか」
「ケルヴィン殿下、武具をですか?」
「ああ、何が起きてもいいように、準備してから休みたい」
「そうですか……それでは」
テデュッセアは、しばらく考え込んだ後に、太陽の神殿の馬車を指差した。
「では、皆さん。この国の交易都市へと、この馬車で向かわれませんか?」
「交易都市?」
「はい、ガルミッドといいます。伝説の武具には敵わなくても、世界中のレアなものが集まる場所です」
「ガルミッド」
「ええ。魔王復活の不安から、他の人々も武具を買い付けているかもしれませんが、行かれて損はないと思います」
「ありがとう、テデュッセア」
俺はテデュッセアにお礼を言って、みんなで馬車に乗り込んだ。
御者が道を知っていて、迷わず現地に着く。
一目見て、思わず驚いてしまった。
「すごい人出だ!」
みんな押しかけるように、武器屋や防具屋に押しかけている。
そうだよな……。魔族がいつ襲撃してくるか、わからないからな。
一般市民ばかりではなく、卸業者も買い付けているようだ。
これじゃ、いい武具なんて、売り切れてるかもな……。
「とりあえず、各自店を回ろう。終わったらこの馬車の前に集合だ。その方が効率がいいだろう」
ケルヴィン殿下に言われて、俺たちは散り散りになって店を見て回る。
どこも、人がいっぱいだな。
……ん?
キーン……キィィィーン。
音がする。何の音だろう。
「フィオ、何か音がしないか?」
「え? いいえ?」
彼女には聞こえていないのか。
……耳鳴りでもないし。
どこから聞こえてくるのか、わからないな。
「ねぇ、アーチロビン」
不意に、隣を歩くフィオが話しかけてくる。
なんだろう。
「ん?」
「神器のない状態は、やっぱり不安ね」
「……」
「ネプォン王のように、肉体だけ消滅させても、また魔王の魂が受胎したら延々と繰り返になるし」
「そうだな」
思わず俺は胸に手を当てる。
ここに埋まった、あの三叉のクリスタル。
魔王ダーデュラを封印するはずだった神器。
俺と大帝神龍王が、融合するきっかけになったもの。
どうしてもの時は、これを……。
そう考えていると、フィオは俺が胸に当てた手に自分の手を重ねてくる。
「それはダメ」
「!?」
「ダメだから、それを使うの」
「フィオ……気づいていたのか?」
「ええ。ケルヴィン殿下も、ギルバートも、ティトも言わないけど、気づいているの」
「……みんな、か」
「ちゃんと見てるよ、仲間だから」
胸がズキッと痛む。誰も口にしないから、誤魔化せていると思ったのに。
「温泉で私がイルハートに痛めつけられていた時、アーチロビンはものすごく怒ったでしょう? 私以上に怒ってくれた」
「そ、それはもちろん」
「それは私たちも……私も同じ。あなたが傷付けば、胸が痛むの。あなたが大好きだから」
「フィオ……」
思わず、足が止まりそうになる。
その時だ。
「おおっと、へへ、可愛いおねーちゃん、ぶつかるぜぇ?」
後ろから歩いてきた男が、俺と一緒に止まりそうになったフィオに、勢いで抱きつこうとしている。
危ない!フィオ!!
「ケルヴィン殿下」
ネプォンが引き連れていた軍の騎士団長が、ケルヴィン殿下に跪く。
「お助けくださいまして、ありがとうございます」
「感謝いたします」
次々と彼らは跪き、感謝の言葉が告げられた。
ケルヴィン殿下は、片手を挙げてみんなの前に立つ。
「いいんだ。皆、民間人に最後まで手を挙げなかった、素晴らしい騎士たちだ。その胆力を持つお前たちに、俺の方こそ国を代表して、感謝する」
「勿体無いお言葉です」
「そもそも、追われる原因を作ったのは俺だしな。迷惑をかけた」
「いえ、そんな。今では、ケルヴィン殿下こそ正しかったと、皆思っております」
「今後は、俺に従ってくれ。すぐに帰国して、姉上を助け、魔族の襲撃に備えるのだ」
「は!」
「仰せのままに」
「……それで、その、ネプォン王はいかがいたしましょう」
騎士の一人が、おそるおそる尋ねてくる。
「ほっとけ、と、俺に言われたと姉上に報告を。お前たちを見捨てた事実も、正直に伝えるのだ」
「わかりました」
ガルズンアース軍は、隊列を組み直して帰国して行った。
ふぅ……。これで、隠れながら旅をする必要は無くなったか。
ケルヴィン殿下は、すぐにテデュッセアの方を向くと、彼女の手にキスをしている。
「テデュッセア」
「ケルヴィン殿下」
「辛い思いをさせたな」
「いいえ、寝室までネプォン王についてこられたことは、たまらなく不快でしたけど」
「な!! あいつ……!!」
「ご安心を。しっかり、お仕置きさせていただきました。あちこち火傷して、お見せしたかったわ」
彼女は、涼しげに笑う。テレクサンドラともハグをして、二人はティアラを交換した。
「さぁ、魔王誕生までの間に、こちらも準備しましょう」
「えぇ、テデュッセア。結界を張る準備をしなくては」
「テレクサンドラ、あなたは少し休みなさい」
「でも」
「日の高いうちは、私が守るから」
「わかったわ……」
テレクサンドラは、月の神殿へと戻っていく。ほとんど休まずに、俺たちが帰還するまで頑張っていたからな。
テデュッセアは、テレクサンドラを見送ると、
俺たちに声をかけてきた。
「皆さんも、休まれませんか?」
「いや、テデュッセア。その前に、いい武具を揃えられる店はないだろうか」
「ケルヴィン殿下、武具をですか?」
「ああ、何が起きてもいいように、準備してから休みたい」
「そうですか……それでは」
テデュッセアは、しばらく考え込んだ後に、太陽の神殿の馬車を指差した。
「では、皆さん。この国の交易都市へと、この馬車で向かわれませんか?」
「交易都市?」
「はい、ガルミッドといいます。伝説の武具には敵わなくても、世界中のレアなものが集まる場所です」
「ガルミッド」
「ええ。魔王復活の不安から、他の人々も武具を買い付けているかもしれませんが、行かれて損はないと思います」
「ありがとう、テデュッセア」
俺はテデュッセアにお礼を言って、みんなで馬車に乗り込んだ。
御者が道を知っていて、迷わず現地に着く。
一目見て、思わず驚いてしまった。
「すごい人出だ!」
みんな押しかけるように、武器屋や防具屋に押しかけている。
そうだよな……。魔族がいつ襲撃してくるか、わからないからな。
一般市民ばかりではなく、卸業者も買い付けているようだ。
これじゃ、いい武具なんて、売り切れてるかもな……。
「とりあえず、各自店を回ろう。終わったらこの馬車の前に集合だ。その方が効率がいいだろう」
ケルヴィン殿下に言われて、俺たちは散り散りになって店を見て回る。
どこも、人がいっぱいだな。
……ん?
キーン……キィィィーン。
音がする。何の音だろう。
「フィオ、何か音がしないか?」
「え? いいえ?」
彼女には聞こえていないのか。
……耳鳴りでもないし。
どこから聞こえてくるのか、わからないな。
「ねぇ、アーチロビン」
不意に、隣を歩くフィオが話しかけてくる。
なんだろう。
「ん?」
「神器のない状態は、やっぱり不安ね」
「……」
「ネプォン王のように、肉体だけ消滅させても、また魔王の魂が受胎したら延々と繰り返になるし」
「そうだな」
思わず俺は胸に手を当てる。
ここに埋まった、あの三叉のクリスタル。
魔王ダーデュラを封印するはずだった神器。
俺と大帝神龍王が、融合するきっかけになったもの。
どうしてもの時は、これを……。
そう考えていると、フィオは俺が胸に当てた手に自分の手を重ねてくる。
「それはダメ」
「!?」
「ダメだから、それを使うの」
「フィオ……気づいていたのか?」
「ええ。ケルヴィン殿下も、ギルバートも、ティトも言わないけど、気づいているの」
「……みんな、か」
「ちゃんと見てるよ、仲間だから」
胸がズキッと痛む。誰も口にしないから、誤魔化せていると思ったのに。
「温泉で私がイルハートに痛めつけられていた時、アーチロビンはものすごく怒ったでしょう? 私以上に怒ってくれた」
「そ、それはもちろん」
「それは私たちも……私も同じ。あなたが傷付けば、胸が痛むの。あなたが大好きだから」
「フィオ……」
思わず、足が止まりそうになる。
その時だ。
「おおっと、へへ、可愛いおねーちゃん、ぶつかるぜぇ?」
後ろから歩いてきた男が、俺と一緒に止まりそうになったフィオに、勢いで抱きつこうとしている。
危ない!フィオ!!
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