山に登ったら巫女少女と出会ったので遊ぶことにしました

榊空

文字の大きさ
26 / 92

26

しおりを挟む

 朝、かなでが目を覚まして朝食の準備をしているときに電話に着信が入る。朝早くに誰だろうと首を傾げながら着信画面を見るとグラの文字が表示されていた。



「はい、もしもし。どうしたんですか?」

「あ、かなで? 急に悪いな。この前桔梗が話してた、わたぬき商会を調べてみたんだけどよ。結構大きな商会だったぜ」

「え、そうなんですか? ちなみに扱っているものは」

「子供用の商品とかも扱ってるけど、基本的には何でも扱っているな。電化製品も食品も本とかもな」

「行けばなんでも売ってる感じなんですね」

「そんな感じだな。近くに本店があったから今度行ってみるわ」

「……私も一緒に行ってもいいですか?」



 グラの言葉に少しだけ悩んだかなでは自分の同行を求める。断る理由がないグラは二つ返事で受ける。



「いいぜ。どうせなら凪と静人も呼んで四人で行こうぜ」

「はい、さすがに責任者とかには会えないでしょうけど、出来るだけそこで買ったものを使いたいですからね」

「あっちから来てくれれば楽なんだけどな。値段もそこまで他と変わらないみたいだし、出来るだけそこで買うってのは賛成だな。桔梗達との繋がりを持たせてあげることができればさらに良しだな」



 要件はそのことだけだったようでそれ以外に少しだけ世間話をしたあと通話を終える。携帯電話から耳を離して顔をリビングに向けると静人と目が合った。



「おや、電話は終わったのかい?」

「あ、おはようしず君。グラからだったんだけど、この前桔梗ちゃんが話してたわたぬき商会を見つけたって報告。それでしず君も一緒にどうかな?」

「もちろんいいよ。何を買うつもりなんだい?」

「結構なんでも取り扱ってるらしいから、食材を買った後はのんびり見て回ろうかなって思ってる」

「なるほどね。その時に桔梗ちゃんの知り合いに会えればいいんだけどね」

「さすがにそんなに都合よく会えないわよ」



 かなでは希望を口にした静人に苦笑を浮かべて首を横に振る。静人もさすがに確率が低いことは分かっているのか同じように苦笑いを浮かべて頬をかく。



「分かっているんだけどね。なんとなくだけど会えそうな気がするんだよ」

「しず君が言うと何となくそうなるんじゃないかって感じがするわ」

「さすがに分からないけどね?」

「あ、どうせなら桔梗ちゃんに紹介状書いてもらう?」

「うーん。会えるかもわからないのに少し抵抗があるかな。二の足を踏むことになるかもだけど期待させて会えませんでしたっていうのはしたくないし」

「う、それはさすがにしたくないわね」



 期待させてから落ち込み悲しむ桔梗の姿を想像したのか、かなでは口を詰まらせて首を横に振る。



「まぁもう少し先の話だし日時が決まってから考えよう! 今からご飯作るね?」

「ありがとう。飲み物くらいは僕が入れようかな。かなでは何飲む?」

「今日は温かい緑茶かな。ちなみに朝食はお味噌汁とご飯と焼き魚とほうれん草のお浸しです」

「おや? 今日はパンじゃないんだね」

「うん。なんとなくだけど食べたくなって。朝からお味噌汁とご飯と焼き魚なんてなかなか食べないけどね」

「あはは、たまにはこういうのもいいね。作るの大変だったりしないかい?」

「これを毎日はちょっときついけどたまになら大丈夫よ。うん、おいし」



 かなでが料理の味見をしている横で静人はお湯を陶器でできたコップに注ぎ、少し冷ましてから茶葉の入った急須の中にコップの中身を注ぐ。蓋をして少し待ち優しい匂いを漂わせたお茶をコップに注ぐ。そのあとはかなでと一緒に配膳を済ませて椅子に座る。



「うん。美味しそうだ」

「ふふん、もちろんおいしいわよ。それじゃ、いただきます」

「いただきます」



 手を合わせてからご飯を口に運ぶ。二人は食事をしながらだったがかなでが口を開き会話が始まった。



「食事をしながらするのもあれだけど、今日の夜ご飯は何にするの?」

「今日は餃子でも作ろうかなって思ってるよ。もちろんみんなでね」

「皮に包むのをやるの?」

「そうそう。具材は作っていこうかなって思ってる。皮は市販品だしね」

「結局教えることになりそうだけどね。もみじちゃん料理好きみたいだし」

「僕も作り方は分からないから、今日は市販品で次作るときはちゃんと皮から作ろうかな」

「そういえば辛いのって大丈夫なのかしら。麻婆豆腐とか作りたいのだけど」

「辛いのはあまり作ってなかったし、今度カレーでも作ってみるかい?」

「……お腹痛くなったりしないかしら」



 少し不安そうな顔で頬に手をつくかなでに静人は頷いて提案する。



「そうだね。人によっては美味しいとは思うけどお腹が痛くなる人もいるし、無理はしないように言ってから食べてもらおうか」

「そうね。……そういえば何だけどあそこってトイレあったかしら。それに病気になったりしたらどうしてたのかしら」

「うーん。もしかしたらなかったかもしれないけど、全部見て回ったわけじゃないから分からないかな。一応妖怪的な物なんだよね、もみじちゃん達って。もしかしたら病気とは無縁なのかもしれないね。今日会った時に聞いてみようか」

「そうね。分からないものは分からないし、桔梗ちゃんに聞いてみようかしら」



 考えても答えは出ないと思ったかなでは最終的に本人に聞くことにした。ご飯はもう食べ終わり二人で洗い物をしている最中ではあったが、二人で話しているうちに結局餃子のタネを今のうちに作ることになった。洗い物を終え冷蔵庫の中から今日使うものを取り出す。



「朝食を食べてすぐに餃子の仕込みをするってなんか不思議な感じだ」

「ふふ、ご飯を食べてすぐに別の料理を作ることなかなかないものね」

「しかも今回はいつもに比べてしっかりと朝食を食べたからね。あ、餃子のタネ作るけど匂いの強いのとか辛いのとか控えめにした方がいいのかな」

「うーん。今回はお試しってことでいろんな種類のタネを少しずつ作って持っていく?」

「そうだね。今日の所は少し辛くないのも持っていこうかな」

「意外に辛いほうが人気あるかもね」

「どうだろう。あー、でもそうだね。辛いほうが子供のころは好きだった気がするし」



 かなでの言葉に首を傾げる静人だったが自分の子供のころを思い出したのか傾げていた首を元に戻し深く頷く。かなではそんな静人に笑顔で語りかける。



「辛いものは美味しいものね。うまく表現は出来ないけど」

「僕も美味しいとは思うけどうまく言葉に出来ないから何とも言えないね。そう考えると食レポする人達ってすごいよね」

「聞いてるだけで美味しそうって思えて、私も食べてみたいって思えるものね」

「うん。僕達にはうまく表現できないことも僕たちに伝わるように表現してくれるからすごいよね。まぁ、そういう表現はプロに任せて僕たちは美味しいって伝えればいいんだと思うよ」

「そうね、おいしいって言われると嬉しいものね」



 二人は軽く会話をはさみながら餃子のタネを作っていく。少量ずつ作るとはいっても少しだけ作るのは難しいのである程度の量になってしまったが。二人は気付いていないのかそれとも見てみぬふりをしているのか会話を続ける。



「分かりやすく喜んでくれるとこっちももっと喜ばせたくなるからね」

「もみじちゃん達は分かりやすく喜んでくれるからいいわ。青藍ちゃんも表情は動かないけど目を見たりすると結構わかりやすいのよね」

「確かに分かりやすいよね。表情は動かないけど目はキラキラしてるから」

「そうなの。本人は気付いてるのか分からないけどある意味一番わかりやすいのよね」

「目は口程に物を言うってことわざがあるけどまさにその通りって感じだね」

「青藍ちゃんは目で、もみじちゃんは体で表現してくれるけど、桔梗ちゃんは意外にそこまで大きなリアクションは取ってくれないのよね。まぁ目も大きな表現じゃないけど」

「あはは、そうだね。特徴的な話し方ではあるけどね」

「そうね。あの見た目で一人称がわしで語尾がのだ、だからね。なんであんな話し方するんだろう?」

「うーん。予想になっちゃうけどイメージなんじゃないかな。桔梗ちゃんにとって年上のイメージがわしって言う人なんじゃない?」

「あー、確かに年上って感じがするわよね。見た目で考えると違和感がすごいけど生きてきた年数で考えると間違いじゃないのよね」

「そうだね。そこまで詳しく聞いてないけど百年は余裕で生きてる感じなのかな?」

「あの家の設備からして数百年は前ね。あ、かまどの使い方覚えた?」

「あ、まだ調べてないや。掃除とかしてあるのかな? あ、水質調査キットも持っていかないと」



 段ボールで届いたキットをチラ見しながら話しかける。かなでもその言葉を聞いて思い出したのか同じように見て頷き返す。



「そういえば昨日届いていたわね。今日持っていきましょうか」

「餃子のタネも……、まぁ作り終えたし、というか作りすぎたような気もするけど」

「五人いるから大丈夫よ……多分。食べれなかったら私たちだけで食べましょうね」

「そうだね。もみじちゃん達ってにおいに敏感だし。やっぱり食べれないんじゃ……」

「美味しいって言ってもらうことさえできず、臭いって言われたらどうしましょう」



 話し合ううちに少しずつ不安になっていく二人。かなでに至っては具体的に想像をしたのか顔を青ざめていた。静人は軽く頷き諦めた顔でかなでを見る。



「あ、うん。よし、考えないようにしよう。駄目かどうかは分からないしいつかは持っていってただろうから」

「そうよね。和食だけで限定しても料理は他にもあるでしょうけど、どうせなら他にもいろいろと知ってほしいものね」

「最初に食べてもらったのがハンバーグだしね。ミートソーススパゲティとか喜んでくれるかな?」

「喉詰まらせたりはしないわよね」

「そこはちゃんと教えていく感じで。喉を詰まらせると言えばお餅とかもいいね」



 喉を詰まらせるという不穏な単語で思い出したのは一年に一度はニュースで流れる餅だった。かなでも思い出したのか顔を緩ませて思いはせる。



「あんこ? 醤油? 変わり種でチョコ?」

「あんこかな。きなことかもいいけど」

「きなこの存在忘れてたわ。あれも評価結構分かれるわよね」

「甘いから大丈夫かなって思ってるんだけどダメかな」

「甘いからとかじゃなくて結局味の好みだから何とも」

「そっか。まぁ、僕が好きだから駄目でも僕が食べるだけだね」

「ならいいのかな?」

「責任もって僕が食べるから大丈夫だよ。最後のデザートで食べるから少し量は少なめにしておこうかな」

「気に入ってもらえたらまた持っていけばいいしね」

「まぁ、今日はさすがに持っていかないけど。そういうチャレンジ品は少しずつ持っていかないとね」

「そうね。たくさん持っていって全部食べれないものだと困るし」



 持っていったものが食べてもらえないのは嫌なのか渋い表情をしながら目の前の餃子のタネを見る。少し遠い目になったが目をそらして夕方が来るのを待つことにした。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

神のミスで転生したけど、幼女化しちゃった! 神具【調薬釜】で、異世界ライフを楽しもう!

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
旧題:神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜  ※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!  電子書籍は、2026/3/9に発売です!  書籍は2026/3/11に発売(予約受付中)です!メロンブックス様より、特典の描き下ろしSSペーパーがあります。詳しくは、メロンブックス様へお願い致します。  イラストは、にとろん様です。よろしくお願い致します!  ファンタジー小説大賞に投票して頂いた皆様には、大変感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】元Sランク受付嬢の、路地裏ひとり酒とまかない飯

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
ギルド受付嬢の佐倉レナ、外見はちょっと美人。仕事ぶりは真面目でテキパキ。そんなどこにでもいる女性。 でも実はその正体、数年前まで“災厄クラス”とまで噂された元Sランク冒険者。 今は戦わない。名乗らない。ひっそり事務仕事に徹してる。 なぜって、もう十分なんです。命がけで世界を救った報酬は、“おひとりさま晩酌”の幸福。 今日も定時で仕事を終え、路地裏の飯処〈モンス飯亭〉へ直行。 絶品まかないメシとよく冷えた一杯で、心と体をリセットする時間。 それが、いまのレナの“最強スタイル”。 誰にも気を使わない、誰も邪魔しない。 そんなおひとりさまグルメライフ、ここに開幕。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

処理中です...