36 / 92
36
しおりを挟む「というわけで今日から小屋を作っていくことになったわけだけど。この前渡した本は読んだ?」
「うん。読んだ。立派な小屋を作る必要はないから大丈夫だと思う」
「そうかい? 作業用なんだよね? 立派なものを作らないと作業中に小屋が崩れてしまうかもしれないよ?」
「それは怖い。でも、最初だしそこまで手の込んだもの作るのは危なさそう」
「そこらへんは僕も手伝うから大丈夫」
「そういえばおにいさんは作ったことあるんだったね。でも大きいのは作ったことないんでしょ?」
「そうだね。でも普通の一軒家ぐらいの大きさなら作ったことあるよ?」
「それで十分な気がする。というかあまり大きくしすぎても困る」
「それじゃあ、それを目指して作っていこうか。なんだかんだで一人で作ったことあるから大丈夫だよ。時間はかかるけど……。ここなら天気の心配とかしなくていいからいいね」
「そうか、天気が悪いと明日に回すことが出来ないのか。そう考えるとここの世界は楽なんだね」
「いろいろと準備して回避するけどね。その準備を必要としなくていいからいいね。そのかわり便利なものがあふれてるのがあっちかな。こっちは電気を使って動かすことが出来るものが使いづらいからね」
「電気、みどりに聞いたけど便利なんだってね」
「うん。便利なものが多いね。ここにも冷蔵庫とかは欲しいかな。そういえばそのみどりさんは今日来ないのかい?」
「仕事が残ってるから今日はやめとくって。また今度来るって言ってたよ」
「そっか。かなでともみじちゃんは料理を頑張ってくれるらしいから僕たちも頑張って小屋を作ろうか」
「うん。頑張る。さっきはああ言ったけど。どうせなら立派な小屋を作ってもみじちゃんを驚かせたい」
「そうだね。頑張って作ってみようか。どんな反応をしてくれるのか楽しみだね」
軽く会話をはさみながら小屋を建てる予定の場所に移動する。そんな二人とは別の場所でもみじとかなでが料理を作り始めていた。
「お昼ご飯までまだ少し時間あるけど作っちゃおうか」
「うん! でもせっかくのご飯が冷めちゃうんじゃ?」
「大丈夫。今回作る料理は冷めても美味しい料理だから!」
「そうなの? そんな料理もあるんだ。えへへ、作るのが楽しみだよ!」
「しず君たちは小屋づくりを頑張るみたいだから私たちは料理作りを頑張りましょうね」
「うん! 頑張るよー!」
やる気をみなぎらせた声を出すもみじは右手を上に突き出して元気に返事を返す。そんなもみじを見たかなでもやる気をみなぎらせたようで一緒に右手を空に向かって突き出していた。
「今日は料理を作りながら一緒に本を読む練習もしましょうか。もみじちゃんは文字はどこまで読めるようになった?」
「えへへ、この前もらった本は読めるようになったよ! えっへん!」
「そうなの!? もみじちゃんはすごいわねー。こんなに早く読めるようになるなんて」
「えへへー。早く読みたいなって思って頑張ったんだー! 絵が描かれててお腹が空いてるときは辛かったけど、文字が読めるようになるとどんどん楽しくなってきて、覚えていったらいつの間にか全部読めるようになってた!」
「偉いわ。頑張ったのね。よしよし」
もみじの頭に手を乗せて頭をなでなでしていると、少し恥ずかしそうにしながらもはにかみながらされるがままになっていた。
「よし、そんな偉いもみじちゃんにはまた今度別の本を持ってくるわね」
「ホント!? もっといっぱい料理の本が読みたい!」
「分かったわ。料理は地域ごとにあるから私の住んでる場所以外の料理が書かれた本も持ってくるわね」
「分かった! 楽しみ!」
「それじゃあ本を読む練習はしなくていいみたいだし料理を作り始めましょうか」
「はーい」
「今日作るのは筑前煮よ。本に書いてあったかしら?」
「ううん。書いてなかったよ」
「そう。それじゃあ一緒に作っていきましょうか。干しシイタケを戻したりするのがホントは必要なんだけど時間がかかりすぎるから持ってくる前に戻しておいたわ」
「どのくらいかかるの?」
「八時間くらいだったかしら? 一日が二十四時間だってことを考えると長いわよね」
「長い!」
もみじはかなでの言葉に驚きつつも料理の準備を進める。味がしみこみやすくなるようにこんにゃくに切り込みを入れて大きめの賽の目切りにする。水と一緒に鍋に入れて火にかけ沸騰したら水にさらして引き上げる。次に鍋に火をかけて温めゴマ油をなじませる。そのあと蓮根、ごぼう、人参、先程切ったこんにゃくを入れて中火で温める。食材全体に油をなじませたあと干しシイタケと戻し汁を加える。落し蓋をして中火で煮つつ出てくる灰汁をしっかり取り除いていき、野菜に火が通るまで煮たら砂糖、濃口醤油、みりんを加えて落し蓋をしてさらに煮る、最後に煮汁が半分ほどになったところでインゲン豆を加えて軽く煮しめれば完成。
「こんな感じね。私が考えたわけじゃなくて調べたレシピだけど美味しかったから伝えたかったのよ」
「そうなの? お姉さんたちが好きな物なら私も頑張って覚える!」
「ふふ、別に私たちが好きな物じゃなくても覚えていいのよ? 最初は自分が好きな物から覚えたほうがいいわね」
「好きな物……、はんばーぐ?」
「ホント、ハンバーグが好きねもみじちゃんは」
「だって最初にお姉さんたちに食べさせてもらった思い出の味だから」
「そっか、ありがとう、嬉しいわ。思い出の味になるほど美味しかったなら良かった。それじゃあ明日はハンバーグを練習しながら一緒に作ろうか」
「ホント!? わーい!」
ハンバーグを食べられるのが嬉しいからか喜びを体全体で表現しているもみじを微笑ましいものを見る目で見つつ筑前煮を冷まして味をしみこませる。
「あっちはどこまで行ったのかしらね」
「青藍ちゃんはやり始めると止まらなくなるからお昼ご飯の時は呼びにいかないと来ないかも」
「そうなの? あと少ししたら味がしみこむからその時に呼びに行きましょうか」
「うん! 先に食べるのはかわいそうだもんね!」
「そうね。あ、筑前煮だけだと寂しいから鶏肉を使ってもう一品作りましょうか」
「どんなの作るの?」
「うーん。唐揚げかしらね?」
「唐揚げ! おいしい!」
「ふふ。それじゃあ作りましょうか」
唐揚げを作ることにしたかなでは作り終わった後にまだ食べに来ない静人達を呼びにいくことにした。
0
あなたにおすすめの小説
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
お気に入り・感想、宜しくお願いします。
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる