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しおりを挟む「え!? 桔梗ちゃんいないの?」
「昨日旅に出ちゃった」
「昔から私たちみたいな人を探す旅をしていたらしくて。次の旅に行っちゃった」
「すまんな。今度でかけるときは静人さんらに伝えてから旅に出るように言っとくさかい」
「いや、別に旅に出るのは桔梗ちゃんの勝手だし。僕たちに伝えなくてももみじちゃん達に教えてもらえばいいから。あれ、そういえばみどりさんから人を紹介してもらうみたいな話の時はどうなるんだい?」
「それなんやけど……、うちがその子に、あ、名前は茜って言うんやけどな? 茜に仕事を前に振っとったのを忘れとって。しばらくは会えそうにないんや」
「あー、ちょうどよかったのかな?」
「まぁ、桔梗が帰って来たときには茜も仕事終わらせとるやろから。そん時にでも紹介するわ」
「私たちにも教えてね? あ、そうだ。桔梗ちゃんの分も持ってきてたんだけどこれ」
「なんや? 紙袋?」
みどりが不思議に思いながらもかなでから受け取った紙袋の中身は洋服が綺麗にたたまれてはいっていた。
「洋服のデザインは私が考えたのよ? みどりさんは年齢ごとに着る服変えたほうがいいかなって三着用意したの!」
「お姉さん私たちのはあるの?」
「もちろん! もみじちゃんの分も青藍ちゃんの分もあるわよ! これとこれに入ってるから!」
「わぁ! ありがとうお姉さん!」
「ありがとう、おねえさん。……ひらひらしたのじゃないよね?」
「大丈夫! スカートじゃないわ! もみじちゃんのほうには入ってるけど青藍ちゃんの分は普通のズボンよ。動きやすいものにしたわ」
「だったらいいや。ありがとうまた今度着てみる」
「なんや今着ないの? あ、保護したりしとるん?」
「うん。じゃないとここだとすぐに破けちゃうから」
「保護?」
興味を惹かれる単語が聞こえたからか首を傾げるかなでに気が付いたみどりが説明を始める。
「あ、かなでさんは知らんか。あっちやと出来んからな。保護って言うのは破れにくいようにすることやよ。青藍とかもみじが着とる巫女服は保護しとるね。桔梗のはしとるやつとしとらんやつを使い分けとるようやね」
「なんで使い分けてるの? 全部保護した方が長持ちするんじゃないの?」
「それはデメリットがあるからやよ。メリットは破れにくくなること。デメリットはこの世界から持ち出せなくなることや。せやからここの世界用とあっちの世界用で分けとるんやな」
「なるほどね。その保護って言うのは難しいの?」
「面倒な手順はあるけど。まぁ、そこらへんは企業秘密ってことで」
「あら、企業秘密なら聞き出せないわね。あ、みどりさんの分の洋服にはスカートも入ってるけど大丈夫?」
「大丈夫やよ。うちもたまにはくし、とはいえいつも和服やからあまり数は持って辺のやけどな?」
「今度着てみてね! できれば見せてもらえると嬉しい!」
「気が向いたら着るわ。この洋服はかなでさん一人で作ったん?」
「さすがに一人じゃ無理よ。これはグラさんと凪さんって言う人たちに手伝ってもらったの。一応あったことがある二人よ?」
「おん? あー、うちの店に来とったときの残り二人か。あの二人もここのことは知っとるん?」
「知ってるわ。ここに来たこともあるわね」
「そうなん? この服の感じからしてプロやろ?」
「そうよ、ちゃんとお店もやってるわ。今度一緒に行きましょうね」
「うーん。まぁ、その方がええか。そん時はよろしく頼むで」
かなで達が話し込んでいると小さなお腹の音が鳴り響いた。お腹の音のほうを見るとお腹をさすっている青藍の姿が見える。
「おにいさん、お腹空いた……」
「あ、話し込んじゃってたね、今から急いで作ろうか。もみじちゃん今日もよろしくね」
「うん! 頑張る!」
「私はお皿の用意だけ終わらせとくから早くね」
「うちも手伝えることってある?」
「今日作るのは焼き魚と味噌汁とご飯って言う感じだから。座ってもらってて大丈夫」
「そう? それなら遠慮なく座って待っとくわ」
「美味しく作るから待っててね!」
「期待して持っとくわ」
「魚……、早く食べたい」
「青藍はとりあえずよだれをふいて待っとったほうがええと思うで? ほら、お皿の準備するんやろ?」
「うん。準備する」
結局青藍はみどりと一緒に皿を水で洗って水気をぬぐい準備を始めた。静人ら三人はてきぱきと料理を作り始める。しばらくして味噌汁の優しい匂いと焼き魚のお腹がすく匂いがあたりに充満してくる。その匂いに敏感に反応した青藍は鼻をひくひくさせながら椅子に座りつつも落ち着かない様子でそわそわと体を動かす。
「もうすこし落ち着け青藍ちゃん」
「くぅ、お腹空いてるときにこの匂いはきつい」
「分かるけども。とりあえず落ち着け。な?」
「待たせてごめんね? 出来たから食べようか」
「その言葉を待っていた」
「今日のお味噌汁は私がほとんど作ったんだよ。どうかな?」
「まってまだ食べてない。……うん。おいしいよ」
「ほんと!? 良かったぁ」
「いい感じに出汁も取れとるし味が濃いすぎることもない。おいしいで、もみじちゃん」
「えへへ、ありがとう! お兄さんたちもどう?」
「うん、おいしいよ。作ってるところも見てたけど丁寧に作ってるのが分かったから安心して任せられるね」
「うんうん。危なっかしい所もなかったし包丁で切るのとかも慣れてきてたね。これからも丁寧に作るようにすればもっとおいしい料理を作れるようになるかもね」
「頑張る!」
「魚料理を頑張ってもらえると私が喜ぶよ?」
「青藍ちゃんもものづくり頑張ってね?」
「あ、そうだった。おにいさん小屋の作り方って知ってる?」
「小屋かい? また何で急に」
「あー、ちょっとした道具とかは自分で作れた方がええと思って道具をもらってきたんやけど。それをしまう場所と使う場所がなくてな? どうせやったら小屋を作ってもろてものづくりの技術を鍛えてもらおうかと思ってん」
「大きい木材とか用意しないといけないし、のこぎりとかは使えるけど、さすがに釘を使わないで作るのは無理だよ?」
「まぁ青藍がものづくり好きになるかのお試し的なものあるさかい。板とか釘とかそういうものはうちが用意するから大丈夫やよ。将来的にはこの世界の木とかを加工していろいろ作りたいけど人でも足りんしな」
「まぁ、ちょっとした小屋なら作ったことあるから作ろうと思えば作れるけど。うーん、青藍ちゃんが作るときは僕にも手伝わせてね?」
「うん。助かる。というか完全に一人で作るのは技術的にも体力的にも無理」
「それはそやろな。技術的なことは少しずつ覚えてもらうしかないからな。資材の運搬とかは任せてな」
「資材はすぐに搬入できるのかい?」
「出来る。というかある程度はもう搬入し終わっとる。しようと思えば明日からでも出来るで?」
「それじゃあ明日からやってみようか」
「うん。面白かったら続ける」
「最初の小屋は最後までやってみようね。面白く感じなくても」
「……分かった。最初の小屋は最後まで頑張る」
青藍は静人の言葉に目を瞑って考え込んでいたが、少ししてから軽く頷く。
次回からは小屋づくりが始まるようだ。
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