山に登ったら巫女少女と出会ったので遊ぶことにしました

榊空

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「というわけで唐揚げの下準備をします」

「はーい」

「今日はからあげなの?」

「唐揚げは美味しいのだ。でも、なんで急に唐揚げなのだ?」

「昨日みどりさんと話してて何が食べたいか聞いたら唐揚げって言ってたからね。いつも通りの味も用意するけどいろんな味のものを用意しようと思って」

「唐揚げって味一種類じゃないの?」

「いつも作ってるのはにんにく醤油味かな。今日はそれ以外にも明太子とか梅、のり、昆布とかが相性良いらしいからそれを使ってみようかなって。まぁ、基本的にはボウルの中で用意した食材を混ぜておいてしばらく経った後に揚げるだけだけどね。今日は唐揚げ祭りだからいっぱい揚げようね」

「からあげってそんなにたくさん種類あるの? まぁ、混ぜるだけなら何とか私でも出来そう」

「わしは見とくのだ。混ぜた後に置いておくのはどれくらいなのだ?」

「大体二十分から三十分ぐらいらしいけど。まぁ、そこらへんは時計置いておくからそれで確認しようか。この針が大体この辺になったら揚げ始めよう」

「しず君。みどりさんはどれくらいに来るのかって聞いてる?」

「明日も来るとは聞いてたけど何時に来るかは聞いてないんだ。聞いておけばよかったね」

「唐揚げも揚げたてが美味しいから出来れば下準備が終わるころには来てほしいわね」

「うちのこと呼んだ?」

「あ、ちょうどいいところに。今、唐揚げの下準備中で二十分後に挙げ始めようかと思ってまして」

「そうなん? うーん、それじゃあまたそれくらいになったら来るわ。仕事少しでも先に片づけておきたいし。ほなまた」

「ケーキとか買って来てくれると嬉しいのだ」

「うーん。昨日食べたからなぁ。一週間は我慢やな。食べすぎるのもあかんし」

「むむ、そうなのだ? それなら諦めるのだ。でも、また買って来てほしいのだ」

「ええよ。また今度な」



 手を振り戻るみどりを見送った静人達は唐揚げの手を止めていた下準備を進める。準備していたそれぞれのボウルにあらかじめ準備していたものを入れて混ぜ合わせる。



「あとはこれを置いておくだけだね。あとはみどりさんが帰ってきたら始められるように油の準備かな」

「油の準備なのだ?」

「火をかけて温度を上げるんだけど、まぁ、この辺はみどりさんが来てからでいいから単純に上げた後に油をきるための準備とかかな。脂っこいものよりは余計な油をきったほうがパクパク食べれるしね」

「油を切る? のだ?」



 油を切ると言われ首を傾げた桔梗は刀を握り振り下ろすような動作をする。勘違いに気が付いた静人は首を横に振りながら説明を続ける。



「えっと、文字通り油を切るわけじゃないからね? 油を切るって言うのは余計な油を落としてカラッとさせること。これをしないとべちゃっとしたものになって食感がね。今度唐揚げ以外の揚げ物を作るときに見たら多分分かると思うよ」

「わざわざおいしくない食べ物食べたくないのだ。とりあえず美味しくするための方法ということで覚えておくのだ」

「まぁ、それもそうだね。あ、そういえば畑作りはどうなったんだい?」

「茜が頑張ってたのだ。いろいろとみどりから聞いておったみたいでもみじと共にどんどん畑を耕しておったのだ」

「もう終わったのかい?」

「耕すのだけは終わらせたみたいなのだ。茜も久しぶりに全力で動けて楽しかったと言っておったのだ。あとは種まきをしたり苗を植えたりとか何を植えるのかとかはみどりが決めてそれを渡す代わりに別のものを融通してもらう感じでまとまったのだ。こちらも作りたいものがあるときは新しく畑を作って今ある畑はほとんどみどりに卸すだけになりそうなのだ」

「自分たちで食べたいものとかはどうするんだい?」

「それはまた新しく作ることになるのだ。まぁ、みどりの指示で作るものも基本的にわしらも食べるものだからそこまで新しいものを作りたいとは思わんのだ。静人たちは何か希望あるのだ?」

「うーん。時間はかかるけどブドウとかりんごみたいな果物も作ってみたりするかい? 虫がいないからブドウとかなら楽になりそうだよ。作りすぎると大変になるとは思うけど。他のは虫を利用してたりするからわからないけど」

「虫を利用するのだ?」

「そう。人の手で花粉をつける作業をするのは大変だからね。それを虫が勝手にやってくれるんだ。まぁ、虫からすれば花の蜜を吸ってたら体に花粉が付いて、それが勝手につくだけだから手伝ってる気分は無いだろうけどね」

「あー、なるほどなのだ。でも、そのために虫をこの世界に持ち寄ったら本末転倒な気がするのだ」

「そうだね。だから、人力で出来るところまでを見極めて農作業するしかないかな」

「それがいいのだ。無理をする必要もないから今の畑を維持しつつ、暇になってきたらまたその時に考えるのだ」

「そうだね。それがいいかな。あ、もうそろそろみどりさん来るかな」



 桔梗と話しながらも準備を進めていた静人がふと時計を見ると二十分経っていた。そんな静人な言動を見張っていたかのようにみどりが現れる。



「もう出来とる?」

「今から作るところですから待っててください」

「おんおん。あ、食器出しとこか?」

「みどりは待ってるのだ。それはわしの仕事なのだ」

「ええやない。うちにも何か手伝わせてな」

「うむむ、それなら一緒に準備するのだ」



 出てきたみどりは静人の言葉に頷いた後何もしないで食べることに忌避感があるのか手伝いを申し出る。桔梗が仕事を取られると断ったがなんとなくみどりの気持ちもわかるのか一緒に食器の準備を始める。



「お兄さん、私も手伝います!」

「油が跳ねて危ないからエプロン着ようか」



 静人が自分のエプロンを引っ張りながら見せるともみじも分かったのか頷く。



「えぷろん。あ、お姉さんが持ってきたやつだね! 分かった、着てくる! それまで始めちゃだめだよ?」

「あはは、待ってるからあわてずにね」

「はーい」



 バタバタとエプロンを着に戻ったもみじを見てるとかなでがやってきた。



「ちょっと心配だから私も一緒に行ってくるわね」

「うん、よろしく」

「任せて!」



 やってきたかなではすぐにもみじを追いかけていく。それと同時に青藍が用意された食器の前に座る。しばらくしてエプロンを着用したもみじといつ持っていったのか同じくエプロンを着用したかなでがやってくる。



「おや、今日はかなでも手伝ってくれるのかい?」

「エプロン姿のもみじちゃん見てたら私もしたくなっちゃって。とはいえあまりやることもないでしょうし付け合わせのサラダでも作ってるわ」

「私は唐揚げ頑張る!」

「あはは、それじゃあ一緒に頑張ろうか。かなでもサラダよろしくね」

「ええ、任せて!」

「えへへ、任せて!」



 もみじはかなでの真似なのか同じように胸を張り親指を立てる。静人はそんな二人を見て一瞬目を見張った後微笑む。静人は少し目を潤ませたのを気が付かせないように顔を逸らして料理を始めた。そんな静人と同じような心境なのかかなでも嬉しそうに顔をほころばせて料理を始める。



「なんというか、あーいうのを見とると家族に見えるなぁ。あれ、茜はどないしたん?」

「茜は畑作ったあと気持ちよさそうに眠ってたよ?」

「あれ、誰も起こしとらんの?」

「気持ちよさそうな寝顔だったから起こすの躊躇って……」

「まぁ、いい匂いがしたら飛んでくるのだ。多分」

「いや、そんな野生動物じゃないんやから……。いや、あまり変わらんか。揚げ始めても来なかったら呼べばええんやない?」

「まぁ、こんだけいい匂いさせてるししばらくしたら来ると思う」

「畑作った後ってことは午前中に作り終わってそこから寝てるのだ?」

「うん」

「なら、起きないほうが悪いのだ。さすがにお腹空くと思うしもうそろそろ来ると思うのだ。というか噂してたら来たのだ」

「あら、ほんまやね」

「来なかったら一食分浮いたのに」



 ぼそっと呟く青藍の言葉には誰も反応しない。茜は恨みがましい目でその場のみんなを見る。



「なんかいい匂いしたから来たんだけど。誰か起こしてくれてもよくないかな?」

「ご飯なのだ。寝てる方が悪いのだ」

「まぁ、ご飯に間に合ったからええやない」

「からあげ。あとサラダ?」

「あ、今日はそれなんだね。あたしも好きな食べ物だし良かった」

「まぁ、あとは待つだけだからおとなしく待つのだ」

「普段は桔梗もそこまで落ち着いてない」

「そ、そんなことは無いのだ」

「まぁ、美味しい食べ物が食べれるならソワソワするやろうし。しゃあない。お、出来たみたいやで」

「ごめんなさい。おまたせ。あ、茜ちゃんもこんにちは」

「あ、かなでさんこんにちは。これって食べてもいいんですか?」

「もちろん。出来立てが美味しいからね。私たちはしばらく作った後に食べるからお先にどうぞ。一応味付けが違くてこれが梅味、こっちが明太子。これはにんにく醤油。これが昆布らしいわ。正直どれも美味しかったからどんどん食べてね」

「「「いただきます」」」



 かなでは三人が手を合わせて食べ始めるのを見て笑顔で下がる。しばらくしてまた出来立ての唐揚げとサラダ。ごはんを持ってきて静人達も食べ始める。作っては無くなる唐揚げを食べながら楽しい時間を過ごす。

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