山に登ったら巫女少女と出会ったので遊ぶことにしました

榊空

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「お兄さん! ピザ美味しい!」

「そうかい? それは良かった。茜さんにも伝えたら喜ぶと思うよ」

「大丈夫! 最初に伝えた!」

「喜んでたかい?」

「うん! 後で一緒に作るんだ!」

「お、それは楽しみだね。その時は僕の分もお願いできるかな?」

「うん! 茜さんほどの物は作れないかもだけど……、頑張る!」


 静人からのお願いにもみじが意気込んだところで茜に呼ばれる。ピザを作る用意が出来た茜が手招きしているのを見たもみじは、静人に手を振ってから茜のほうに走っていった。先ほど意気込んだのが影響しているのか、やる気に満ちた表情のもみじに、茜は少し不思議そうに首を傾げつつ一緒に作り始める。

 そんなもみじ達の様子を眺めている静人に、みどりが鍋を持ってやってくる。


「へい、静人さん。これも食べへん?」

「いただきます。みんなに配ってるんですか?」

「お腹に余裕がありそうな人に配ってるんよ。余ったら勿体ないやろ?」


 そこまで多く作っていないからかもうそこまで残っていない鍋の中身を器によそう。それを受け取った静人はゆっくりと食べ始める。


「それは、まぁ……。みどりさんは食べないんですか?」

「いや、凪さんのカレー食べたら思いのほか満足してん。さかい、これ以上は食べへんでもええかなって」

「え、十分なんですか? 何か食べてきました?」


 普段のもみじ達の食べる様子を思い出した静人はみどりの言葉に驚く。みどりはそんな静人の態度に呆れた様子だったが、思い当たる節があったのか納得した顔になる。


「なんでそうなるん。あ、もみじ達は別やからね? 今までが食べてなかったから満足するために必要な量が多いんよ。うちも最初のころはたくさん食べてたんやけど、毎日その量を食べてると苦しくなる日が来てな? その日からは普通の人が食べる量ぐらいしか食べれんようになったんよ」


 昔を思い出しながら話すみどりに静人は頷き返す。


「それじゃあ、いつかはもみじちゃん達も、今よりも少ない食事の量で満足するようになるんですか。あ、そういえば気になってたんですけど、もみじちゃん達が食べた後のエネルギー的な物ってどうなってるんですか?」

「あー、うちも調べたわけやないから分からんけど。多分体を構成する何かになっとるんやと思うで? せやからうちらも食べへんようになると死ぬ、というより消滅するするんやない? どの程度消費しとるかは確かめようがないから分からんのやけどな。まぁ、うちも昔に比べて食べへんようになったけど体に不具合は感じんし。さほど消費量は多くないんやと思うけどな?」


 みどりの言葉に静人は苦笑いで頷く。


「うーん、調べようと思えば調べられるかもしれませんが、それを調べるために無理をしてしまうと本末転倒ですしね。今まで通りきちんと食べればいいのなら気にしなくて良さそうですね。まぁ、もみじちゃん達はたくさん動くからしばらくは今の量のまんまかもしれませんが」

「せやねぇ、青藍とかそんなに動かへんやろと思っとったけど、どちらかというと一番動いとるような気もするし」

「ものづくりは結構重労働ですからね」


 青藍の話をしていると、名前を呼ばれたと思ったのか青藍が歩いてくる。


「? 呼んだ?」

「あはー、別に呼んどらんよ。最近の青藍はたくさん働いてるって話をしとったんよ」

「たくさん働いてる? そう?」


 自分ではそういう風に感じないのか首を傾げる青藍だが、そんな青藍にみどりは話を続ける。


「物を作るのって結構体を動かすやろ?」

「あ、確かに。そう言われるとたくさん動いてる気がする。うーん、ご褒美にお魚食べたい」

「どんだけ魚好きなんよ。一応刺身は持って来とるし別にええけど」

「魚、食べる」


 話しの流れを断ち切って魚の話になる青藍に呆れながらもみどりは刺身を渡す。


「あ、うん。ほい。どうせやし、かなでさんの作ったなめろうももらってきたらええんやない? あれも魚を使った料理らしいし」

「お魚使ってるなら食べたい。もらいに行ってくる」

「いってらっしゃい」

「あ、うちもこれを食べてもらいたいし一緒に行くわ。待ってや青藍」


 しばらく静人が一人でみどりから貰った料理を食べていると青藍がふらっと帰ってきた。


「おや、おかえり。青藍ちゃん。なめろうは美味しかったかい?」

「うん。おいひかった? でもねむい」

「えっと……? 寝ててもいいよ? 戻るときはおんぶするから」

「しょう? しょれならおやすみなしゃい」


 もにょもにょとあまり動かない様子の口で、滑舌の怪しい青藍に静人が隣をポンポンと叩くと、青藍は頷いて叩かれた場所で丸まって眠る。


「滑舌がだいぶ怪しかったけど。あ、もしかして」

「あはー、お酒を飲んだというか、なめただけやよ」

「やっぱり……。みどりさんも飲んだんですか?」


 静人の言葉に首を振ってから青藍が酔った経緯を話す。


「あんまり得意やないからうちは遠慮したんよ。青藍はちょっと好奇心のほうが勝ったみたいやね。おちょこいっぱいどころか唇を湿らす程度の量やったんやけどな?」

「それであれって相当弱いんじゃ」

「さすがにあそこまで弱いとは思ってなかったんやけどな。表情もいつもと変わらんし」


 確かに表情はいつもと同じだったなと静人は思いつつ、隣で眠る青藍を見る。


「まぁ、次からは飲ませないようにしましょうか。そういえば茜さんとかはどうなんですか?」

「うちよりは飲めるで。というか普通の人よりは飲めるやろな」

「かなでぐらい?」

「まぁ、あの三人と同じぐらいやろな。あとでもみじ達にもお酒飲ませてみよか」


 頷きつつもみじのほうを見るみどりの所に桔梗がやってくる。


「うむ? 青藍のやつは寝てるのだ?」

「あ、桔梗も飲んだことなかったやん。桔梗ちょっとこっちに」

「なんなのだ? 引っ張らなくても行くのだ」


 良いところに来たとみどりが桔梗をかなで達の所に連れていこうとする。桔梗はいきなりみどりに引っ張られて、頭の中を疑問符でいっぱいにしたような声で戸惑いつつも、かなで達が酒を飲んでいるところに連れていかれる。

 その場所で桔梗がかなでから渡されたおちょこに口をつけて固まる。しばらくして口を離したかと思うとふらふらと静人の元へ歩いてくる。


「大丈夫かな。あー、大丈夫じゃなさそうだ。桔梗ちゃんも青藍ちゃんと一緒に眠っとくかい? 家に帰るときは車だし寝てても大丈夫だよ」

「うむ、うむなのだ。あとはよろしくなのだ」

「うん。おやすみ」


 眠ってしまった二人の子供を起こさないように静かに料理を楽しむ静人の所にもみじがやってくる。両手には出来立てで熱々なピザを抱えているが、近づいてきてから青藍たちの様子に気が付いたのか首を傾げる。


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