74 / 92
74
しおりを挟む酒を飲んだことで眠ってしまった桔梗と青藍。そんな二人を見て首を傾げながらピザを静人に差し出す。
「ありがとう。もみじちゃんも一緒に食べるかい?」
「うん。食べる……けど、青藍ちゃん達はどうしたの?」
「あー、お酒を飲んでみて酔っちゃったみたいでね。僕もそうだけどお酒に弱い人って眠たくなっちゃうんだよね」
静人もお酒に強くないから分かるのか、青藍たちの現状について簡単に説明する。そのことを聞いて自分だけ仲間外れにされたと感じたもみじは納得した後に挙手する。
「そうなんだ! 私も飲んでみたい!」
「美味しいとは思えないと思うけどね、かなでの所に行けばもらえると思うよ」
「分かった! 行ってくる!」
お酒をもらえる場所を聞いてすぐにもみじは走り出す。もみじがかなでの元へ向かったのと同じくらいに青藍が目を覚ます。
「おはよう。おにいさん」
「おや、青藍ちゃん起きたのかい?」
「うん。とりあえずお酒はもう飲まない。でも、この体だと多分すぐに酔いが覚めるみたい」
挨拶をした後に先ほど飲んだお酒のことを思い出したのか、確固たる決意を持ってお酒を飲まないことに決めた青藍。そのあとに自分がそこまで寝ていないことに気が付き、自分の体の特性に気が付く。
「あはは、まぁ、無理して飲むものじゃないしそれでいいと思うよ。酔いが覚めるのが早まるのか、便利なようなそうじゃないような」
静人も青藍の言葉に賛成なのか笑って頷く。青藍の話の続きについては少しだけ苦笑気味だ。そんな静人を見て青藍は首を傾げる。
「? 便利なんじゃないの?」
「便利と言えば便利だけど、まぁ、それが嫌な人もいるってこと」
「そうなんだ」
青藍は理解はしてなさそうな声で頷く。そんな青藍たちの会話にいつの間にか起きていた桔梗が加わる。
「うむ、わしもお酒はもうよいのだ。そこまで美味しく感じなかったのだ」
「あ、桔梗ちゃんもおはよう。気分はどうだい?」
「おはようなのだ。気分は特にいつもと変わらんのだ。さっき青藍が言っておったのだ。多分お酒で酔うのはそこまで長くは持たんのだ」
桔梗も青藍と同じでお酒が体に残らないみたいで普段と変わらない様子だ。
「時間をかければもしかしたら飲めるようになるかもね。まぁ、好んで飲むようになるかは別だけどね」
静人は長い間飲み続けることが出来るのならば多少は慣れるかもしれないと思いつつも、味の問題で飲まないだろうなとも思った。その考えは正しかったみたいで青藍も桔梗も首を横に振る。
「わしは良いのだ。お酒飲むならお菓子のほうが良いのだ」
「私もお酒よりかはお菓子のほうがいい。ところでおにいさん、そのピザは食べないの?」
「え、あ、食べるよ。もみじちゃんが作ったものだろうからね。青藍ちゃん達もお腹に余裕があるなら一緒に食べるかい?」
もみじが作ったと聞いて青藍と桔梗は驚いた顔になる。
「もみじはとうとうピザも作れるようになったのだ? わしも食べたいのだ」
「もみじちゃん、どんどん料理作れるようになる。あ、私もほしい」
「ふふ、いいよ。みんなで食べようか。もみじちゃんも食べたそうだったし一つは残そうね」
「分かった。……ところでそのもみじちゃんは?」
静人の言葉に頷く青藍だったが、周りにもみじの様子が見当たらないことに気が付いたのかきょろきょろと辺りを見渡すそぶりを見せる。
「青藍ちゃんと同じようにお酒に興味があったみたいで、さっきかなでにお酒貰いに行ったよ」
「もみじちゃんが? それならもうすぐ帰ってくる?」
「どうだろう。あ、噂をすればだね。もみじちゃん大丈夫かい?」
帰ってきたもみじは、青藍と桔梗とは違いしっかりとした足取りで静人達の所に戻ってくる。静人の言葉に対する返答もしっかりと答える。
「うん! なんかさっきまでほわほわしてたけど、今は大丈夫!」
「やっぱり体質的に早く酔いが覚めるのかな? ま、そのことは考えなくていいか。それじゃあもみじちゃんも来たことだし、みんなでピザ食べようか」
静人は少しだけもみじ達の体について考えたが、すぐに気にする必要もないと考えるのをやめた。そのあとピザを食べようと促すともみじが照れくさそうに頬をかきながら笑う。
「えへへー、初めて作ったから茜お姉ちゃんのよりかは美味しくないかもだけど」
「普通においしそうなのだ」
「うん、おいしそう。早く食べる」
「そうだね。それじゃあいただきます」
「召し上がれ!」
青藍たちの言葉に嬉しそうに笑うもみじの召し上がれという言葉を聞いた青藍たちがピザを食べ始める。出来立てだからかチーズも熱々で、噛んでいた口を離すとチーズが伸びてついてくる。青藍はそれを慌ててすくって口に運ぶ。それを見たもみじはクスクスと笑う。
0
あなたにおすすめの小説
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
お気に入り・感想、宜しくお願いします。
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる