塩対応の汐宮先生は新人医局秘書にだけ甘くとける

吉岡ミホ

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森下先生と話す

森下先生と話す⑤

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「『彼でもダメだった』ってどういう意味ですか? 
二人っきりで会ったということですか?」

「え、いや、その……」

 森下先生が『マズイ、余計なことを言った』という顔をしている。

「うーん……伊原さんに悪いな。彼氏に言いつけてしまったみたいで……」

「言ってください」

「んー………………会った、と思うよ」

「は?」

「脳外のローテーションが終わる頃だったと思う。
やっと連絡先の交換ができて、会うことになったって。
らしくもなく浮かれてるって、大迫先生本人が言ってた。
だから本気の告白でもするのかと思ったんだよ」

「はぁ?」

「や、でも、告白されても断ったんじゃないかな? 
うん、きっとそうだ! 
伊原さんは断ってるよ。
だって汐宮先生の彼女なんだから」

 森下先生は妙に気を遣いながら、根拠のない断定をした。

 脳外のローテーションの最後、ということは先月末か? 
 くそっ! いつの間に。
 あの時追い払えたと思ったのに、また接点があったのかよ。

 だが叶恋と大迫が会ったからといって、俺はそれを咎められる立場にない。
 今はまだ偽装恋人関係なんだから。
 
 ……これは偽装関係を持ちかけてる間に外堀を埋めて、などと悠長なことを考えている場合ではなかった。

 あれだけ可愛いくて性格も良いのだ。
 狙う男がいて当然。
 もっと早く確実な関係にしておくべきだった。
 今となっては後悔しかない。

「あー……汐宮先生?」

「……ありがとうございます。教えてくださって」

「いや、その、本当に告げ口するつもりはなかったんだ」

「わかってます」

「い、伊原さんには……」

「叶恋に問い質すようなことはしません。幼馴染と会うことは、決して悪いことではありませんから。
ただ、これからはもう少し堅固な関係を築こうと思いました」

グズグズしている場合ではない。
叶恋は誰にも渡さない!

「そ、そうだな、それはいい。
いやー、若いっていいね。オフィスラブもいい! 
汐宮先生、応援してるよ」



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