君と白玉フラッペを

吉岡ミホ

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幸せの白玉フラッペ

幸せの白玉フラッペ③

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今日は日曜日だ。
雅は百貨店のスイーツフェアに行っている。
この一週間は百貨店詰めだったが、それも今日で終わりだ。

昼ごはんを食べさせた後、俺は二人を公園に連れて行く予定だった。
恵は手を引いて歩く練習だ。

「光、公園に行かないのか?」
「うーん、いく……」

なんだ?  いつもなら大喜びなのにな。
まだあのノートを見ているのか。

「どうした?」
「……おとーさん、ひかり、おもちのアイスたべたい」

おもちのアイス?
光が指したのは、文化祭で作った白玉フラッペだった。

なるほど、白玉は餅に見えるな。

「……光、これはお母さんが作った白玉フラッペなんだ」
「おかーさん?  ふらっぺってなに?」
「フラッペは……よし!  これ作ってみるか!」
「え!  ひかり、たべれるの?」
「ああ、お父さんと一緒に作って食べよう!」

公園はキャンセルだ。
俺は早速、恵を自転車の前にセットし、光を後ろに座らせ、スーパーに向かった。

ちょうど今、光はあの時の愛と同じ歳だ。
……どんな反応するかな?
娘の反応が楽しみだ。

「おとーさん?  これこむぎねんど?」
「いや、これは白玉粉だ。
うーん、似たようなもんだな。でも茹でたらお餅みたいになるんだ」
「おもち!」
「光、これ丸くできるか?  お団子みたいに」
「うん!  ひかり、おだんごしょうずなのー!」

ふっ……あの時の愛のセリフと全く同じだな。
我が娘ながら可愛い。

恵の昼寝タイムの間に何とか丸め終わりたい。

意外なことに光は手先が器用で、次から次へと綺麗なお団子を作っていった。

団子を丸めながら鍋に湯を沸かす。
と同時に氷水をボウルにセット。
これで準備万端だ。

丸め終えた白玉を鍋にポロポロと入れていく。

「うわー!  グツグツ~!」

俺は光を抱っこして、鍋を覗かせる。

白玉が浮き上がってくると、網目のお玉で掬って、氷水を張ったボウルに落としていく。

これで白玉の完成だ。

ところが、今の今まで元気いっぱいだった光がウトウトし始めた。

「光?  メグと昼寝するか?」
「……んー……しらたま……」
「白玉は晩御飯の後に食べよう。
ほら、メグのとこに行こう」

今にも寝そうな光を抱き上げて、昼寝布団に眠る恵の横に寝かせた。

いつもの昼寝時間をかなり過ぎてしまったからか、グズることなくすぐに寝付いてしまった。
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