妄想聖書

丸我利伊太

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想生記

第一章 光あれ その二

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光の中に速度が遅くなるものが現れた、それが物質の始まりであり、速度が変わらないものが波の始まりだった。
物質は集まってゆき、波は広がっていった。

宇宙の始まりだった。それは4次元で起きたのだ、その4次元の影が照らし出されたのが3次元だったのだ。
4次元は波と物質に満たされていた。
物質の中に波が流れた。物質と波は複雑に絡み合ってゆく。

長い、長い、時が流れた。
複雑な物質と波、その中についに言葉が生まれたのだ、「ああ」という言葉「んん」という言葉。
言葉はあふれていった、そして運命の言葉の発生、その言葉とは「怖い」だった。

「寂しい」「つらい」など否定的な言葉が生まれていった。
「愛」という言葉も生まれた。

なぜ、この言葉が生まれたのだろう?

そして「悪」という言葉、「正義」という言葉、宇宙の流れを変えてゆく重要な言葉が現れ始めた。
そして、ついに、ついに、意識が生まれたのだ。それは、自分も他もないものだった。
つまり、複数の意識が混ざり合っていたのだ。混乱と混沌、これは統合失調症、精神分裂病、いわゆる精神疾患のようだった。

私は誰だ、
君は誰だ、
私の中に君がいる。
君の中に私がいる。
ここはどこ、
何故私がここにいるの、
君と僕、あなたと私、

彼らは、戦った、その戦いは続いた。
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