33 / 48
第33話 花
しおりを挟む
「初めまして。俺はアルマ。こちらは妹のクレアで弟のルーク。こちらは仲間のシャリーだよ」
鉄格子の中で怖がっている女の子が可愛らしい大きな目を開いて俺達を見つめる。
「さて、まずはそこから出してあげないとね。クレア~お願いしていい?」
【あい~】
妹の翼に炎が現れ始めて、俺の肩からひと凪ぎで鉄格子の正面を一瞬で溶かした。
あっという間の出来事にポカーンとしている女の子に手を伸ばす。
「君は自由だよ。さあ、外においで」
「!? あ……あぁっ…………」
何かを言いかけようとするが、声が出ないようで悔しそうに両手を握りしめた。
「大丈夫。怖がることは何もないよ」
「うんうん。アルマくんはとても優しいからね? たま~にあくどい事もするけど」
「え!? 俺ってそんなあくどい事したっけ?」
シャリーとクレアがジト目で俺を見つめてくる。
「だって薬草全部独り占めして高額で売ったのはアルマくんでしょう?」
「ううっ。あ、あれはだな……悪気があったわけでは……」
「ふふっ。もちろん知っているよ~でもちゃんと高額で売り払っていたしな~」
うぐっ。
何も言い返せない……。
そもそもだ。俺が転生人だからなのか『もったいない』と思ってしまう。
こう『損をしてしまう』と考えてしまうところもある。
だから稼げるならちゃんと定価で売っているのは、ある意味良心があるからだと思うんだけどな……。
「あっ! そうだ! アルマくん?」
シャリーが近づいて来て何かを耳打ちし始める。
どれどれ…………美少女に耳元で囁かれると色々周囲に誤解されそうで怖い。
…………クレア。そんな殺気めいた視線で見ないでよ…………。
「なるほど。それはいい考えだ!」
シャリーの提案を受け入れて、俺は鉄格子の中に入って女の子と少し距離を取って片膝を下して跪いた。
両手を目の前に出し――――道しるべの収納の中から色とりどりの花を両手いっぱいに取り出す。
「さあ、姫様。こちらをどうぞ」
「!?」
両手いっぱいの花のおかげで鉄格子の中には花の良い香りが充満し始める。
少しずつ表情が緩み始めた女の子は恐る恐る前に出て来た。
ボロボロの衣服にフードまで被らされてはいるが可愛らしくて、金髪の綺麗な髪が伸びている。
ゆっくりと両手を伸ばして俺が取り出した花束を受け取った。
どれも棘はないし、香りが良い花で、実を言うとこれだけで豪邸が建つ程の値打ちがあったりする。
それでも怖がっている女の子の心を開けるなら、花たちも本望だろうと思う。
花束を受け取った女の子は次第に目に大きな涙を浮かべて――――――満面の笑みを浮かべた。
「さあ、外に出よう? こんな冷たい場所にいなくても、外には楽しい事が沢山あるんだから。君を待ってくれる仲間達もいるからね」
やはり声が出ないようで何かを話そうとしても声は聞こえない。
「無理して喋らなくてもいいんだよ? これからゆっくり治していけばいい」
目を丸くした彼女は、聞こえない声で大きく口を開いて何かを話した。
――――「ありがとう」
声は聞こえなくても彼女から伝わる気持ちはしっかり伝わって来た。
「「どういたしまして」」
俺とシャリーは彼女の手を引いて外に出た。
両手いっぱいに抱えた花はより彼女の美しさを照らしてくれる。
そんな彼女をシャリーが少し羨ましそうに見つめるのに気付いてしまった。
ベルハルト様に話し合い彼女は俺達は請け負う事にして、理の教団の事は任せる事になった。
あのままレストラン『スザク』に連れて行っても良かったのだが、酷く疲れていたので宿屋に連れて来た。
まだ名前も知らない金髪の可愛らしい女の子は、年齢は大体十歳前後くらいか。
眠っている彼女のベッドに花束を散らす。
なんだか…………絵面だけみれば眠れるお姫様というか、このまま永…………ごほん。
意外というか、クレアもルークも彼女の隣で一緒に眠りについた。
妹弟がまだ話したこともない人に懐くなんて初めて見た。
恐らく彼女から優しさを感じているのだろうな。
「はい。アルマくん」
「ありがとう」
シャリーが淹れてくれた紅茶の良い香りが広がっていく。
目の前に眠っている天使達を眺めながら、紅茶を口にすると格別に美味しく感じる。
「それにしてもアークデモンすら軽々と倒せるなんて、アルマくん達って本当に凄いね」
「そうかな? ベルハルト様は一瞬でやっつけていたけど」
「あれはルークくんがいたからね。アークデモンの一番怖いところって消滅魔法だから。あの魔法って防ぐ事もできないから厄介なんだよ。聖属性魔法なら何とかなるかも知れないけど、他の魔法は文字通り消滅しちゃうから」
「ふむふむ。そんな消滅魔法を怖がることなくシャリーは俺を守ってくれたと」
「えっ!? い、いや、あれは……咄嗟に出た行動というか…………」
顔を真っ赤に染める。
消滅魔法がどれくらいの脅威なのかを知っているシャリーは、迷うことなく俺をかばってくれた。
できれば、異世界に来たら美女とは関わりたくないと思っていたけど、ここまでしてもらったら俺も何かした答えなくてはならないかなと思う。
道しるべの収納から小さな花を取り出した。
まだ両目を瞑って恥じらう彼女の美しい赤い髪に、不思議な光を放つ青い花を付けてあげる。
「へ?」
「プレゼント」
「――――――!?」
やはり、思っていた通り可愛いな。
異世界では装飾品を装備する人も多い。
その中でもファッションも気にする人も多くて、シャリーはどちらかというとオシャレにはあまり力を入れてない。
基本的に機能性重視だと言っていた。
この花も特殊な力を持っているので、機能性重視のシャリーにも受け入れやすいと思う。
「あ、アルマくん! た、た、大切にするね!」
嬉しそうに満面の笑みを浮かべたシャリーがとても美しかった。
鉄格子の中で怖がっている女の子が可愛らしい大きな目を開いて俺達を見つめる。
「さて、まずはそこから出してあげないとね。クレア~お願いしていい?」
【あい~】
妹の翼に炎が現れ始めて、俺の肩からひと凪ぎで鉄格子の正面を一瞬で溶かした。
あっという間の出来事にポカーンとしている女の子に手を伸ばす。
「君は自由だよ。さあ、外においで」
「!? あ……あぁっ…………」
何かを言いかけようとするが、声が出ないようで悔しそうに両手を握りしめた。
「大丈夫。怖がることは何もないよ」
「うんうん。アルマくんはとても優しいからね? たま~にあくどい事もするけど」
「え!? 俺ってそんなあくどい事したっけ?」
シャリーとクレアがジト目で俺を見つめてくる。
「だって薬草全部独り占めして高額で売ったのはアルマくんでしょう?」
「ううっ。あ、あれはだな……悪気があったわけでは……」
「ふふっ。もちろん知っているよ~でもちゃんと高額で売り払っていたしな~」
うぐっ。
何も言い返せない……。
そもそもだ。俺が転生人だからなのか『もったいない』と思ってしまう。
こう『損をしてしまう』と考えてしまうところもある。
だから稼げるならちゃんと定価で売っているのは、ある意味良心があるからだと思うんだけどな……。
「あっ! そうだ! アルマくん?」
シャリーが近づいて来て何かを耳打ちし始める。
どれどれ…………美少女に耳元で囁かれると色々周囲に誤解されそうで怖い。
…………クレア。そんな殺気めいた視線で見ないでよ…………。
「なるほど。それはいい考えだ!」
シャリーの提案を受け入れて、俺は鉄格子の中に入って女の子と少し距離を取って片膝を下して跪いた。
両手を目の前に出し――――道しるべの収納の中から色とりどりの花を両手いっぱいに取り出す。
「さあ、姫様。こちらをどうぞ」
「!?」
両手いっぱいの花のおかげで鉄格子の中には花の良い香りが充満し始める。
少しずつ表情が緩み始めた女の子は恐る恐る前に出て来た。
ボロボロの衣服にフードまで被らされてはいるが可愛らしくて、金髪の綺麗な髪が伸びている。
ゆっくりと両手を伸ばして俺が取り出した花束を受け取った。
どれも棘はないし、香りが良い花で、実を言うとこれだけで豪邸が建つ程の値打ちがあったりする。
それでも怖がっている女の子の心を開けるなら、花たちも本望だろうと思う。
花束を受け取った女の子は次第に目に大きな涙を浮かべて――――――満面の笑みを浮かべた。
「さあ、外に出よう? こんな冷たい場所にいなくても、外には楽しい事が沢山あるんだから。君を待ってくれる仲間達もいるからね」
やはり声が出ないようで何かを話そうとしても声は聞こえない。
「無理して喋らなくてもいいんだよ? これからゆっくり治していけばいい」
目を丸くした彼女は、聞こえない声で大きく口を開いて何かを話した。
――――「ありがとう」
声は聞こえなくても彼女から伝わる気持ちはしっかり伝わって来た。
「「どういたしまして」」
俺とシャリーは彼女の手を引いて外に出た。
両手いっぱいに抱えた花はより彼女の美しさを照らしてくれる。
そんな彼女をシャリーが少し羨ましそうに見つめるのに気付いてしまった。
ベルハルト様に話し合い彼女は俺達は請け負う事にして、理の教団の事は任せる事になった。
あのままレストラン『スザク』に連れて行っても良かったのだが、酷く疲れていたので宿屋に連れて来た。
まだ名前も知らない金髪の可愛らしい女の子は、年齢は大体十歳前後くらいか。
眠っている彼女のベッドに花束を散らす。
なんだか…………絵面だけみれば眠れるお姫様というか、このまま永…………ごほん。
意外というか、クレアもルークも彼女の隣で一緒に眠りについた。
妹弟がまだ話したこともない人に懐くなんて初めて見た。
恐らく彼女から優しさを感じているのだろうな。
「はい。アルマくん」
「ありがとう」
シャリーが淹れてくれた紅茶の良い香りが広がっていく。
目の前に眠っている天使達を眺めながら、紅茶を口にすると格別に美味しく感じる。
「それにしてもアークデモンすら軽々と倒せるなんて、アルマくん達って本当に凄いね」
「そうかな? ベルハルト様は一瞬でやっつけていたけど」
「あれはルークくんがいたからね。アークデモンの一番怖いところって消滅魔法だから。あの魔法って防ぐ事もできないから厄介なんだよ。聖属性魔法なら何とかなるかも知れないけど、他の魔法は文字通り消滅しちゃうから」
「ふむふむ。そんな消滅魔法を怖がることなくシャリーは俺を守ってくれたと」
「えっ!? い、いや、あれは……咄嗟に出た行動というか…………」
顔を真っ赤に染める。
消滅魔法がどれくらいの脅威なのかを知っているシャリーは、迷うことなく俺をかばってくれた。
できれば、異世界に来たら美女とは関わりたくないと思っていたけど、ここまでしてもらったら俺も何かした答えなくてはならないかなと思う。
道しるべの収納から小さな花を取り出した。
まだ両目を瞑って恥じらう彼女の美しい赤い髪に、不思議な光を放つ青い花を付けてあげる。
「へ?」
「プレゼント」
「――――――!?」
やはり、思っていた通り可愛いな。
異世界では装飾品を装備する人も多い。
その中でもファッションも気にする人も多くて、シャリーはどちらかというとオシャレにはあまり力を入れてない。
基本的に機能性重視だと言っていた。
この花も特殊な力を持っているので、機能性重視のシャリーにも受け入れやすいと思う。
「あ、アルマくん! た、た、大切にするね!」
嬉しそうに満面の笑みを浮かべたシャリーがとても美しかった。
47
あなたにおすすめの小説
異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます
内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」
――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。
カクヨムにて先行連載中です!
(https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)
異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。
残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。
一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。
そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。
そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。
異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。
やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。
さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。
そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。
転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。
鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった
仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。
家の庭にダンジョンができたので、会社辞めました。
希羽
ファンタジー
都内のブラックIT企業で働く社畜・佐藤健太(27歳)。
手取り18万、残業100時間。唯一の資産は、亡き祖母から相続した郊外のボロ戸建てだけ。
「このまま死ぬのかな……」
そう絶望していたある夜、庭の物置の裏に謎の穴が出現する。
そこは、なぜか最弱モンスターしか出ないのに、ドロップアイテムだけは最高ランクという、奇跡のボーナスダンジョンだった。
試しにスライムを叩いたら、出てきた宝石の査定額はなんと――【1,000,000円】。
「……え、これ一個で、俺の年収の3分の1?」
スマホアプリで即換金、ドローン配送で手間いらず。
たった10分の庭仕事で5000万円を稼ぎ出した健太は、翌朝、上司に辞表を叩きつけることを決意する。
※本作は小説家になろうでも投稿しています。
病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。
もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。
『今日も平和に暮らしたいだけなのに、スキルが増えていく主婦です』
チャチャ
ファンタジー
毎日ドタバタ、でもちょっと幸せな日々。
家事を終えて、趣味のゲームをしていた主婦・麻衣のスマホに、ある日突然「スキル習得」の謎メッセージが届く!?
主婦のスキル習得ライフ、今日ものんびり始まります。
『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』
チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。
その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。
「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」
そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!?
のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。
【完結】スキルを作って習得!僕の趣味になりました
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》 どんなスキル持ちかによって、人生が決まる。生まれ持ったスキルは、12歳過ぎから鑑定で見えるようになる。ロマドは、4度目の15歳の歳の鑑定で、『スキル錬金』という優秀なスキルだと鑑定され……たと思ったが、錬金とつくが熟練度が上がらない!結局、使えないスキルとして一般スキル扱いとなってしまった。
どうやったら熟練度が上がるんだと思っていたところで、熟練度の上げ方を発見!
スキルの扱いを錬金にしてもらおうとするも却下された為、仕方なくあきらめた。だが、ふと「作成条件」という文字が目の前に見えて、その条件を達してみると、新しいスキルをゲットした!
天然ロマドと、タメで先輩のユイジュの突っ込みと、チェトの可愛さ(ロマドの主観)で織りなす、スキルと笑いのアドベンチャー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる