能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました

御峰。

文字の大きさ
45 / 102
二章

第44話 死神ですか?

しおりを挟む
「情けないわね。あんなやつらに、なにを手こずっているの!」

 怒りを表すライブラ。

 折角の美女も、しかめっ面になって顔に出るシワが残念であった。

「それにしても、あいつら……強いな、戦いの前に『ポーション』を飲んでいるように見えたのだが……」

「ん? んでいたわよ?」

「マジか、あいつら『錬金術師』もいんのか。これは大当たりだな」

 自分達が連れて来た兵士達が全員負けたにも関わらず、英雄ヘルドと連れのライブラは何ともないような表情で戦場を眺めていた。

「ねえ、ヘルド! 私に魔法、撃たせてよ!」

「いや、駄目だ」

「えー! 何でよ!」

 怒っているライブラに、溜息を一つ吐いたヘルドは続けた。

「あいつら、有能過ぎる。このまま殺すのは勿体ない。俺様の手ごまにしたい、特に『錬金術師』がいるなら話は別だ。お前の魔法だと、全員殺しかねないからな」

 ヘルドの言葉に、しょぼくれたライブラは、イライラした姿で小石を蹴った。



 ◇



「ねえ、アレク」

「どうしたの、アイリス」

「あいつら……ヤバい気がする」

「ああ、僕もそう思うよ」

 本当なら、戦場の状況を見ていたかった。

 でも、戦場の向こうで、こちらを見つめている男と女から目が離せられない。

 こんなに遠くにいても感じるのは、その凄まじい威圧感。

 彼がその気なら、一瞬で戦場が制圧されてしまうんじゃないかという不安が頭をよぎっていた。


「そろそろ、あいつらも……動くわよね」

「うん、戦場も静かになったのなら……僕達の勝利だろうから……、駄目だ、一秒も惜しい、アイリス、撤退の指示を」

「え? ――う、うん。分かった」

 アイリスから撤退の指示があり、町から撤退指示の鐘の音が戦場に響き渡った。

 自分達が優勢だったとしても、この指示を守らない町民は一人もいなかった。


 それから暫くして、全員が戻り、防壁の扉が閉められる。


 閉める音と共に、今回の負傷者の確認作業が急いで行われている。

 全員戻っていると思い、安堵の溜息を吐いた。

 そして、向こうの男を見た。



 ――――!? いない!?



 パチパチパチパチ

 僕が立っていた防壁の壁に、ある男が座って、拍手をした。

「よお、お前がここの代表か」

「な、な!?」

「おいおい、驚く事もないだろう。お前らが相手しているのが、誰だと思ってる?」

 突如の出現に、僕の前をアイリスが遮った、敵対心丸出しで。

「ほぉ、お前、魔女も連れてんのかー、ますます気に入った」

 男は平然と喋っているが、その威圧感に晒され、僕は全く動けていなかった。

 辛うじて、アイリスが全身から噴き出す汗と共に、彼に向かい対峙出来ていただけだ。

 脳裏に一瞬、あの男に一撃でアイリスの首が一瞬で飛ぶ夢が見えた。

「ま、待って! アイリス!」

 僕の言葉に、焦っていたアイリスが一歩下がった。

「くっくっくっ、お前のその判断、正解だよ。その女が仕掛けた瞬間、首が飛んだからな」

 それがではない事を、僕もアイリスも、そしてこの場にいる全員が知っていた。


「まあ、言いたい事も多いだろうが、俺様はお前を気に入った。アレクと言ったな? お前に二つだけ選択肢をやろう。喜べよ? 俺様がこんなに寛大な慈悲を与えるなんて、滅多にないからな」

 彼の言葉を、一つ一つに全身を集中させる。

 たった一瞬。

 たった一瞬で我々は死を迎える。

 目の前の男が、僕達にとって『死神』である事を理解している。

 だから、言葉一つ聞き逃さないように、僕達は彼の口が開くその刹那の瞬間が、永久を感じる程に長く感じた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

辺境追放された「植物魔導師」の領地開拓 ~枯れ果てた死の大地は、俺の魔力で聖域(楽園)へと変貌する~

リーフレット
ファンタジー
​「植物魔法? ああ、農作業にしか使えないあの地味な魔法か」 ​帝国騎士団の専属魔導師だったアルトは、無能な二世皇太子レオンによって、一方的に追放を言い渡された。 アルトがどれほど魔導植物を駆使し、帝国の食糧難を裏から支えていたかを知らぬまま、彼は「戦闘に役立たない役立たず」という烙印を押されたのだ。 ​帝国を出て行き着いた先は、魔物が跋扈し、草一本生えないと言われる最果ての荒野。 死を待つだけの地。しかし、アルトは絶望するどころか、晴れやかな顔で笑っていた。 ​「やっと、気兼ねなく『植物』を愛でられる。……よし、ここを世界一の庭(楽園)にしよう」

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

僕だけレベル1~レベルが上がらず無能扱いされた僕はパーティーを追放された。実は神様の不手際だったらしく、お詫びに最強スキルをもらいました~

いとうヒンジ
ファンタジー
 ある日、イチカ・シリルはパーティーを追放された。  理由は、彼のレベルがいつまでたっても「1」のままだったから。  パーティーメンバーで幼馴染でもあるキリスとエレナは、ここぞとばかりにイチカを罵倒し、邪魔者扱いする。  友人だと思っていた幼馴染たちに無能扱いされたイチカは、失意のまま家路についた。  その夜、彼は「カミサマ」を名乗る少女と出会い、自分のレベルが上がらないのはカミサマの所為だったと知る。  カミサマは、自身の不手際のお詫びとしてイチカに最強のスキルを与え、これからは好きに生きるようにと助言した。  キリスたちは力を得たイチカに仲間に戻ってほしいと懇願する。だが、自分の気持ちに従うと決めたイチカは彼らを見捨てて歩き出した。  最強のスキルを手に入れたイチカ・シリルの新しい冒険者人生が、今幕を開ける。

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

処理中です...