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三章
第64話 父親
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「ぐ、ぐはっ……なんだこれは……く、臭すぎる! 一体に何がどうなっているんだ、これは!」
防壁の上でのたうち回るお父様の姿が見える。
僕とアイリスは慣れたように、要塞都市の中を通り、防壁の上に向かった。
下でも分かるくらいお父様の無残な姿と、既にボロボロになって血を流して気を失っている青い髪の少女が一人。
「お、お前は!?」
「お久しぶりです。お父様」
「ま、まさか……これは……お前がやったのか!?」
「……ええ、そうですよ」
「こ、この! 役立たず所か俺の足を引っ張りおって! ゴミはゴミらしく、くたばっておれば良かったのだ!!」
目まで真っ赤になって怒り狂うお父様を、僕は何処か可哀想だなという気持ちで眺めた。
さっきまで彼に対して怒りを覚えていたのに……こういう姿を見ると、最早哀れんでしまう。
「お父様は相変わらずですね……ここまで来ても尚……他人を……ゴミとしか見てない所もそのままですね」
「はっ! ゴミをゴミ呼ばわりして何が悪い! 貴様のようなゴミは俺のような貴族の為にあるのだ! 敬い、跪き、許しを請うのはゴミである義務だ!」
お父様の詭弁に……僕はこれまで抱いていた「もしかしたら、お父様と和解出来るかもしれない」という感情が消え去るのを感じた。
お父様は…………この人は、人であって人ではない。
何かを必死に叫び続ける彼を僕は黙々と見つめる。
既にのたうち回って身体はボロボロ、普段の理性は欠片も感じない瞳、口からはひたすらに他人を侮辱する言葉。
彼に救いは……ないね。
僕は右手を彼にかざした。
「ひ、ひい!? お、お前……まさか、実の父親である俺を……殺す気なのか!?」
僕はゆっくりと近づいていく。
「や、やめろ! い、命だけは助けてくれ!」
少しずつ、少しずつ、追い詰めると増々顔色が悪くなり後退りしていく。
「そうしてお前は命乞いをする人を……何人も切り捨てて来たんじゃないのか! 僕は、お前を決して許さない。例え、実の父親だとしても……寧ろ、息子としてお前を成敗しなければならない!」
顔まで真っ青になった彼だった。
その時。
「やめてください!」
僕の前を、さっきまで倒れていた少女が震えながら塞いだ。
「え……? アレクお兄……様?」
「その声は……ユーリちゃん……だったのか」
ユーリは僕の妹のうちの一人。
昔からひ弱で、よく兄弟から虐められているをの目撃していた。
そもそも、僕に兄妹や他人と触れる時間なんてなかったから、妹だけど他人と変わらないように感じてしまうけれど……。
「ユーリ! そいつが俺を殺そうとしている! 命令だ! そいつを殺せ!!」
水を得た魚のように、また饒舌になる。
「お、お兄様……どうして……どうしてお父様を……」
悲しそうなユーリの瞳が僕を見つめる。
可愛らしい顔はボロボロになって、痣だらけで目をちゃんと開けれないくらいに…………。
「ユーリ、そいつはもう手遅れだよ。自分以外は全てゴミ以下としか思っちゃいない。僕や君でさえも……自分の子供さえもただの道具としか見てないんだ」
それを聞いたユーリの目には、大きな涙を流れ始めた。
「し、知っています…………それでも……私は…………お兄様に……お父様を手に掛けて欲しくないんです」
「ユーリ……」
その時だった。
後方で落ちていた剣を拾った父親は、ユーリごと僕を目掛けて剣を突き刺した。
「お前、父親として恥ずかしくないのか?」
静かに怒りが込められた声が響く。
ユーリごと僕を貫こうと突き刺した剣は、ユーリに刺さる直前に止まっていた。
「へ、ヘルド!?」
いつの間に現れたヘルドさんは、父親を止めてくれた。
「いつもなら冷静沈着なはずなお前が、ここまでクズに成り下がってしまうとは…………『賢者の末裔』も堕ちたな」
その言葉に握っていた剣を落とし、震え始める。
「ち、ちがう……お、おれは……賢者の…………あ、あぐぁ……」
ボロボロ涙を流しながら嗚咽し始める父親と、自分ごと刺されそうになったユーリも悲しく泣き始めた。
防壁の上でのたうち回るお父様の姿が見える。
僕とアイリスは慣れたように、要塞都市の中を通り、防壁の上に向かった。
下でも分かるくらいお父様の無残な姿と、既にボロボロになって血を流して気を失っている青い髪の少女が一人。
「お、お前は!?」
「お久しぶりです。お父様」
「ま、まさか……これは……お前がやったのか!?」
「……ええ、そうですよ」
「こ、この! 役立たず所か俺の足を引っ張りおって! ゴミはゴミらしく、くたばっておれば良かったのだ!!」
目まで真っ赤になって怒り狂うお父様を、僕は何処か可哀想だなという気持ちで眺めた。
さっきまで彼に対して怒りを覚えていたのに……こういう姿を見ると、最早哀れんでしまう。
「お父様は相変わらずですね……ここまで来ても尚……他人を……ゴミとしか見てない所もそのままですね」
「はっ! ゴミをゴミ呼ばわりして何が悪い! 貴様のようなゴミは俺のような貴族の為にあるのだ! 敬い、跪き、許しを請うのはゴミである義務だ!」
お父様の詭弁に……僕はこれまで抱いていた「もしかしたら、お父様と和解出来るかもしれない」という感情が消え去るのを感じた。
お父様は…………この人は、人であって人ではない。
何かを必死に叫び続ける彼を僕は黙々と見つめる。
既にのたうち回って身体はボロボロ、普段の理性は欠片も感じない瞳、口からはひたすらに他人を侮辱する言葉。
彼に救いは……ないね。
僕は右手を彼にかざした。
「ひ、ひい!? お、お前……まさか、実の父親である俺を……殺す気なのか!?」
僕はゆっくりと近づいていく。
「や、やめろ! い、命だけは助けてくれ!」
少しずつ、少しずつ、追い詰めると増々顔色が悪くなり後退りしていく。
「そうしてお前は命乞いをする人を……何人も切り捨てて来たんじゃないのか! 僕は、お前を決して許さない。例え、実の父親だとしても……寧ろ、息子としてお前を成敗しなければならない!」
顔まで真っ青になった彼だった。
その時。
「やめてください!」
僕の前を、さっきまで倒れていた少女が震えながら塞いだ。
「え……? アレクお兄……様?」
「その声は……ユーリちゃん……だったのか」
ユーリは僕の妹のうちの一人。
昔からひ弱で、よく兄弟から虐められているをの目撃していた。
そもそも、僕に兄妹や他人と触れる時間なんてなかったから、妹だけど他人と変わらないように感じてしまうけれど……。
「ユーリ! そいつが俺を殺そうとしている! 命令だ! そいつを殺せ!!」
水を得た魚のように、また饒舌になる。
「お、お兄様……どうして……どうしてお父様を……」
悲しそうなユーリの瞳が僕を見つめる。
可愛らしい顔はボロボロになって、痣だらけで目をちゃんと開けれないくらいに…………。
「ユーリ、そいつはもう手遅れだよ。自分以外は全てゴミ以下としか思っちゃいない。僕や君でさえも……自分の子供さえもただの道具としか見てないんだ」
それを聞いたユーリの目には、大きな涙を流れ始めた。
「し、知っています…………それでも……私は…………お兄様に……お父様を手に掛けて欲しくないんです」
「ユーリ……」
その時だった。
後方で落ちていた剣を拾った父親は、ユーリごと僕を目掛けて剣を突き刺した。
「お前、父親として恥ずかしくないのか?」
静かに怒りが込められた声が響く。
ユーリごと僕を貫こうと突き刺した剣は、ユーリに刺さる直前に止まっていた。
「へ、ヘルド!?」
いつの間に現れたヘルドさんは、父親を止めてくれた。
「いつもなら冷静沈着なはずなお前が、ここまでクズに成り下がってしまうとは…………『賢者の末裔』も堕ちたな」
その言葉に握っていた剣を落とし、震え始める。
「ち、ちがう……お、おれは……賢者の…………あ、あぐぁ……」
ボロボロ涙を流しながら嗚咽し始める父親と、自分ごと刺されそうになったユーリも悲しく泣き始めた。
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