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魔族国内の【ぽよんぽよんリラックス】支店の開店が順調に進んだ。
そこで大きな問題となったのが――――僕の貯金問題だ。
従業員達にお給料をできる限り高く渡してるけど貯金が減ることはなく、支店が増えれば増えるほど収益が上がり、それに比例して僕の貯金はより貯まる。
各街に出店するときでさえも各国や街からほぼ全額を出されているので全く減らないのだ。
「そっか……今までよりも貯まるのがワタルくんの悩みなんだね?」
そう話すのは、フェアラート王国の首都シグナルで【ぽよんぽよんリラックス】の支店で働いてくれているリーナちゃんだ。
最近はシスターのフルーネさんを中心に日々頑張ってくれているけど、フルーネさんの意向で仕事の時間はみんなが短い時間を担当している。
僕やエレナちゃんがよく炊き出しに来ていて、リーナちゃんもいつも僕達を迎えてくれているのだ。
「そうなの。ワタルったら、また眉間にしわを寄せて、またお金増えちゃったよ……って言うのよ。ね? ワタル~」
あ、あはは……僕のモノマネかな?
「う~ん。ワタルくんは自分のお金で世界の困ってる人達に炊き出しをずっとやってるんだよね?」
「うん? そうだね」
貯金を少しでも減らしたいのもあるし、多くの人が元気になればよりたくさんの人が分担して仕事ができて、平和になると考えたから。
「じゃあ、もっとたくさんの困ってる人を助けたらいいんじゃないかな!」
「もっとたくさん?」
「うん! 例えば~うちの王国はすでにやってくれてるけど、大陸の南にあるボロモロシア大荒野というところに住んでる人達とか?」
「ん? ボロモロシア大荒野? 初めて聞く場所だよ」
「住むのがすごく大変なところだってシスターフルーネが言ってたよ~?」
「そっか。大陸の南ということは……帝国領かな?」
大陸は大きく分けて東は魔族国、西は神聖国があり、他に王国が点在しているがほとんどの領地を支配しているのは帝国だ。自然と南側も帝国の領地だと思われる。
そのとき、後ろから女性の声が聞こえた。
「ボロモロシア大荒野は帝国の領地ですよ~でも」
「ミールおばさん!」
エレナちゃんが手を振って応えるのは、シェーン街から首都シグナルまでの物資運搬を護衛してくれる猫耳族の女性だ。
エリアナさんの友人でエレナちゃんとも長く付き合いがある彼女だが、弓術がとても上手で普段は狩りに出かけていて、あまり会うことはなかった。
「ミールさん。お疲れ様です」
「お疲れ様です。オーナー」
一応彼女の所属が【ぽよんぽよんリラックス】のボランティア活動隊になっているから僕をオーナーと呼んでくれる。
「ミールさん? でもってボロモロシア大荒野には何かあるんですか?」
「はい。確かに帝国領ではあるんですが、かの地はどちらかというと自由の権利を勝ち取ってるんです。魔族領内の猫耳族と似た立ち位置ですね」
猫耳族って、魔族にも人族――――とりわけ古の勇者にもゆかりがある種族だよね。
「一応領としては帝国だけど、ボロモロシア大荒野に住んでいる部族は帝国とは関係ない部族ってことですね?」
「そういうことになります。ですからボロモロシア大荒野に入るのはあまり得策ではないと思います。大荒野内には独自のルールがあって大きな火種になりかねませんから」
「そっか……」
「ですが、一つだけ入ってもいいんじゃないかと思う方法はあります」
「方法……ですか?」
ニコッと笑ったミールさんは、僕の隣で大きな目を開いて見上げていたフウちゃんを抱き上げた。
「つまり――――スライムです!」
「スライム!?」
「ふふっ。スライムに国境はありませんから。私も最近人族の領に入るようになって思います。魔族を見た人族の目付きが以前とは違うものになってます。これも全てオーナーとスライム達のおかげです。大荒野に住む部族も……きっとスライムを歓迎してくれますよ」
「スライムなら……」
「それに困ってる人だってたくさんいると思います。大荒野は住むのも大変だと聞きます。そこから出ることなく住む彼らに少しばかりの平穏を与えられるのは――――オーナーとスライム達だけだと思いますよ」
「ミールさん……はい! せっかく教えてもらいましたし、行ってみようと思います!」
満面の笑みを浮かべたミールさんに、何だか心が洗われるかのようだった。
次の日。
打ち合わせもあったことから、今日は帝国を訪れて第三王女でもあるセレティア様と面会をした。
「ボロモロシア大荒野に立ち入りたい……ね?」
商談の時はお互いに敬語でテキパキ話すのに、終わると同時にこうしてフランクに話してくれる。というか、フランクに話さないと怒られる。
「うん。できれば向こうでもボランティア活動をしたいと考えてるよ」
「う~ん。ワタルくんには多大な恩義があるので許可を出すのは簡単だけど……あの地は遊牧民達がそれぞれの部族を作ってるのよね。帝国が立ち入りを許可したとしても安全は保障できないよ?」
「大丈夫! それに関して僕の方で何とかするよ」
「ふふっ。ワタルくんは単独でフェアラート王国まで占領した強者だし、心配無用だったわね」
「僕単独じゃないよ!? アルトくんとかみんなが協力してくれたから……それに占領はしてないと思うんだけど……」
セレティア様はいたずらっぽく笑った。
「お父様には私から伝えておくから入ってくれてもいいわよ。もし何かあったときには私の名前を出してくれていいからね? できるだけバックアップはするから。でも帝都から遠いから近くの街まで連絡が届くのは少し時間がかかるかな」
「ありがとう!」
それからは帝都支店にも向かってスライム達とふれあい、食品やら資材やらたくさん購入してシェーン街に帰った。
そこで大きな問題となったのが――――僕の貯金問題だ。
従業員達にお給料をできる限り高く渡してるけど貯金が減ることはなく、支店が増えれば増えるほど収益が上がり、それに比例して僕の貯金はより貯まる。
各街に出店するときでさえも各国や街からほぼ全額を出されているので全く減らないのだ。
「そっか……今までよりも貯まるのがワタルくんの悩みなんだね?」
そう話すのは、フェアラート王国の首都シグナルで【ぽよんぽよんリラックス】の支店で働いてくれているリーナちゃんだ。
最近はシスターのフルーネさんを中心に日々頑張ってくれているけど、フルーネさんの意向で仕事の時間はみんなが短い時間を担当している。
僕やエレナちゃんがよく炊き出しに来ていて、リーナちゃんもいつも僕達を迎えてくれているのだ。
「そうなの。ワタルったら、また眉間にしわを寄せて、またお金増えちゃったよ……って言うのよ。ね? ワタル~」
あ、あはは……僕のモノマネかな?
「う~ん。ワタルくんは自分のお金で世界の困ってる人達に炊き出しをずっとやってるんだよね?」
「うん? そうだね」
貯金を少しでも減らしたいのもあるし、多くの人が元気になればよりたくさんの人が分担して仕事ができて、平和になると考えたから。
「じゃあ、もっとたくさんの困ってる人を助けたらいいんじゃないかな!」
「もっとたくさん?」
「うん! 例えば~うちの王国はすでにやってくれてるけど、大陸の南にあるボロモロシア大荒野というところに住んでる人達とか?」
「ん? ボロモロシア大荒野? 初めて聞く場所だよ」
「住むのがすごく大変なところだってシスターフルーネが言ってたよ~?」
「そっか。大陸の南ということは……帝国領かな?」
大陸は大きく分けて東は魔族国、西は神聖国があり、他に王国が点在しているがほとんどの領地を支配しているのは帝国だ。自然と南側も帝国の領地だと思われる。
そのとき、後ろから女性の声が聞こえた。
「ボロモロシア大荒野は帝国の領地ですよ~でも」
「ミールおばさん!」
エレナちゃんが手を振って応えるのは、シェーン街から首都シグナルまでの物資運搬を護衛してくれる猫耳族の女性だ。
エリアナさんの友人でエレナちゃんとも長く付き合いがある彼女だが、弓術がとても上手で普段は狩りに出かけていて、あまり会うことはなかった。
「ミールさん。お疲れ様です」
「お疲れ様です。オーナー」
一応彼女の所属が【ぽよんぽよんリラックス】のボランティア活動隊になっているから僕をオーナーと呼んでくれる。
「ミールさん? でもってボロモロシア大荒野には何かあるんですか?」
「はい。確かに帝国領ではあるんですが、かの地はどちらかというと自由の権利を勝ち取ってるんです。魔族領内の猫耳族と似た立ち位置ですね」
猫耳族って、魔族にも人族――――とりわけ古の勇者にもゆかりがある種族だよね。
「一応領としては帝国だけど、ボロモロシア大荒野に住んでいる部族は帝国とは関係ない部族ってことですね?」
「そういうことになります。ですからボロモロシア大荒野に入るのはあまり得策ではないと思います。大荒野内には独自のルールがあって大きな火種になりかねませんから」
「そっか……」
「ですが、一つだけ入ってもいいんじゃないかと思う方法はあります」
「方法……ですか?」
ニコッと笑ったミールさんは、僕の隣で大きな目を開いて見上げていたフウちゃんを抱き上げた。
「つまり――――スライムです!」
「スライム!?」
「ふふっ。スライムに国境はありませんから。私も最近人族の領に入るようになって思います。魔族を見た人族の目付きが以前とは違うものになってます。これも全てオーナーとスライム達のおかげです。大荒野に住む部族も……きっとスライムを歓迎してくれますよ」
「スライムなら……」
「それに困ってる人だってたくさんいると思います。大荒野は住むのも大変だと聞きます。そこから出ることなく住む彼らに少しばかりの平穏を与えられるのは――――オーナーとスライム達だけだと思いますよ」
「ミールさん……はい! せっかく教えてもらいましたし、行ってみようと思います!」
満面の笑みを浮かべたミールさんに、何だか心が洗われるかのようだった。
次の日。
打ち合わせもあったことから、今日は帝国を訪れて第三王女でもあるセレティア様と面会をした。
「ボロモロシア大荒野に立ち入りたい……ね?」
商談の時はお互いに敬語でテキパキ話すのに、終わると同時にこうしてフランクに話してくれる。というか、フランクに話さないと怒られる。
「うん。できれば向こうでもボランティア活動をしたいと考えてるよ」
「う~ん。ワタルくんには多大な恩義があるので許可を出すのは簡単だけど……あの地は遊牧民達がそれぞれの部族を作ってるのよね。帝国が立ち入りを許可したとしても安全は保障できないよ?」
「大丈夫! それに関して僕の方で何とかするよ」
「ふふっ。ワタルくんは単独でフェアラート王国まで占領した強者だし、心配無用だったわね」
「僕単独じゃないよ!? アルトくんとかみんなが協力してくれたから……それに占領はしてないと思うんだけど……」
セレティア様はいたずらっぽく笑った。
「お父様には私から伝えておくから入ってくれてもいいわよ。もし何かあったときには私の名前を出してくれていいからね? できるだけバックアップはするから。でも帝都から遠いから近くの街まで連絡が届くのは少し時間がかかるかな」
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